2020年12月14日 7:00 pm
カテゴリ: その他
(2)県債残高を抑制する取組みについて
このような県民の福祉や教育ニーズに応えていくためには財源が必要である。今議会には少人数学級の推進に関して3件もの請願が出されているが、たとえばこれを県独自にすすめていくべきでないかと要望すると、将来にわたる財政負担が生じるため、財源の裏付けがネックになっていると答弁いただいてきました。ということで、来年度だけでなく、もう少し中長期的な将来にわたる財政見通し、増加している県債残高を抑制する取り組みについて知事に質問します。
ちなみに県債には国の財源不足を補うため県が肩代わりしている臨時財政対策債もありますが、これは国の姿勢の問題なので今回の質問ではこの臨時財政対策債を除いた県独自の借金、県債についてのみ取り上げます。
県債残高は過去最高額を更新しているが、県の借金が増えればその分毎年の返済額も増え、県民の声に応えるための自由に使える財源は減っていきます。
知事は、本年3月の議会で、臨時財政対策債を除いた県債残高について「平成20年代に一貫して減少が続いたあと、平成30年、令和元年、令和2年にインフラ整備によって微増していますが、平成15年度と比べまして、1100億円程度減少してきている」と答弁されておられます。
一時期の危機的な状況と比較したら健全な水準で推移しているという評価だと思います。ということで、県財政が危機的状況だった時を含めこれまで10年間と、今後10年間の県債がどうなるかをグラフにしてみました。
臨時財政対策債を除いた県債です。過去の分は決算ベース、今後の推計は財政課が出していらっしゃる数字です。 近年の県債増加の要因は、関ケ原古戦場記念館や県庁舎建設等の建設です。
特に関ケ原古戦場記念館は計画が大きくなり総事業費は当初予算時で53億円に上りましたが、その約87%が県債です。規模について申し上げてきた新庁舎建設は始まったばかりでこれから数年間は大きな起債が続きます。
これらは当初の計画にくらべ規模が拡大してきた経過がありますが、将来の財政への影響をしっかり考えて検討されてきたのか大変疑問です。 その結果、10年後には、この間減少させてきた県債残高がもとの金額まで戻ってしまうどころか、過去の危機的な状況よりも悪化するというのが、財政課の試算です。
知事がおっしゃっておられた過去最も県債残高が大きかった平成15年は約1兆1323億円ですが、このままいくとそれを優に超える事態になるということです。
しかしこれはあくまで試算で有り、この試算の前提は、新たに建物を建設しないこと、既存の公共施設の長寿命化で年間130億円平均的にあてること、今まで同様の道路予算を計上する、という3つの前提に立つとこうなります、ということでした。
公共施設の長寿命化は施設の安全対策としても重要で減らすことは非現実的だと思いますので、この状況を改善させるには、今までどおりの道路予算を見直す必要があると思います。
これまで何に最も借金をしているか、毎年の県債発行額の大きいものを拾ってみましたが、少なくともこの5年間はどれも最も大きいのは東海環状自動車道の国直轄道路負担金で、今年度は予算ベースで182億円です。
先月知事はコロナ渦であっても東海環状自動車道の整備をさらに推進するよう国へ要望されましたが、国事業で有りながら国庫支出金は約6億8000万円であり、ほとんどが地元負担の県債であることを考えると事業の進捗スピードを落とし、毎年の起債額を抑えるなどの対応が必要であると考えます。
→そこで知事に伺います。県財政の現状を踏まえ、大型道路事業や大型の建物建設の見直し、規模縮小を行うなど、県債残高を抑制する取組みが必要ではないでしょうか。お考えをお聞かせください。
答弁・知事
ご指摘の通常情残高につきましては、バブル崩壊後の公共投資の増額などにより平成15年度にピークの1兆1323億円となりました。そめ後、徹底した行財政改革により、平成25年度には1兆円を下回るところまで下げてまいりました。ここ数年は緩やかな増加傾向にあるものの、実質公債費比率は、令和元年度6.6%と低水準にあり、慎重な財政運営を心掛けてきたところでございます。同時に、本県の未来を見据え、必要な公共投資は行っていく必要がございます。
議員ご指摘のように、先月6日、私から、政府幹部の方々に対し、東海環状自動車道、東海北陸自動車道の建設推進について要望いたしました。これら道路ネットワークの整備が着実に進捗する中で、本年上半期における本県の製造業等の工場立地件数が23件、過去最高の全国2位となるなど、しっかりと効果を生んできております。
また、両自動車道は、本年7月の豪雨災害で国道41号、JR富山本線等が寸断された折、迂回路として機能ずるなど、県民の命を守る観点からも重要なプロジェクトでございます。
今後も、道路業につきましては、本県の産業;経済、観光を振興する観点、効果的な防災・減災、国土強靱化の観点を踏まえ、かつ、その将来負担を考慮しつつ、優先順位を見極めながら取り組んでいく必要があると考えております。
また、施設整備につきましては、再来年度に新県庁舎が完成した後は、大規模な施設新設は予定しておりません。ただし、既存施設の改修、更新、機能強化などについては、十分に精査し、計画的に取り組んでまいります。
そこで、今後の地方財政でありますが、今般のコロナ禍により地方税収が大きく減少し、地方交付税も減少する一方、国に強いられる借金であります臨時財政対策債の増発は不可避となってまいります。
そうした中で、コロナ対策への重点的な対応、あるいは防災、減災、社会資本の長寿命化人の継続した対応が必要となってくるわけであります。したがって、通常債の残高は中期的には増加をし、実質公債費比率なども上昇するものと見込んでおります。
ということでございますので、持続可能な財政運営を継続していく観点からも、先々の各種財政指標の見通しも含めてしっかりと精査してまいります。
再質問 中川、 知事に県債残高を抑制するという点について
「ネットワークの整備は重要で着実に推進していくということ、効果も出ている」ということでしたが、そういうやり方でやっていくとこうなりますよというのが、先ほどの県債残高のグラフです。知事も認めていらっしゃるように公債費率というのは県債残高が増えていくとそれにつれて必ず増えていくわけで、この10年間で大体、毎年の返済額は、数百億円以上増えていくのが今の推計だと思います。それをどのように抑えていくのかを伺いたい。
返済額より起債の額が増えるから県債残高がU字型に増えていくわけなのです。そのためには道路予算を見直し、せめてそのスピードを抑えて、借金をしていく金額をもう少し抑えていく。そのスピードについて見極めて頂きたい。もう一度、明確にどういうやり方で減らしていくのか答えて頂きたい。
答弁 知事
現時点で具体的に何をどうするというごとを申し上げる状況にはありませんが、すでに申し上げましたように,今年度の財政見通しを基に試算をすると、ご案内のように通常情残高、実質公債費とヒ率ともに、しばらくの間、上昇していくという見通しになっているわけであります。したがって、このため、将来への負担が過大なものとならないよう、投資的経費の水準も含めて、引き続き、注意深く財政運営を進めでいくと、そのための政策の優先順位ということについてはしっかりと見極めていくというのが基本的な考え方でございます。
加えて、コロナ対策によって歳出が増加する一方で、税収の減少が今年度から来年度にかけて予想、きれるわけでありまして、こうしたコロナの影響を勘案した中期的な財政見通しにつきましては、改めて計算をして、来年度当初予算と併せでお示しをしていきたいというふうに考えております。
再々質問 中川
知事。県債残高を減らす取り組みについて「注意深く、これからは進めていく」という答弁は非常に理念的です。これまでも「節度ある財政運営」と言っておられたが、実際、あのような推計が出ているわけです。知事とは政策的には色々違うかもしれないが、様々な政策が必要だと思っても財源がない状況になる事を示していると思います。こういう数字が出ている以上、具体的な指標を持つ必要があります。(答弁では)「見直しを進められる」とありました。明確な指標をもって取り組みが必要だと思いますが、そのお考えは。
答弁 知事
かつて行財政改革をやりました時に、あらゆる指標が急速な右肩上がりになっていると、どうするかということで議論じたわけでありまして、その際には、やはり中長期的な見通しを立てながら、その際に立てた目標は何年後にピークアクトするかと、ひたすら右肩上がりに伸びていくいくつかの指標について、どのくらいの期間で頂上を迎えて、あとは下降していくと、そういう絵が描けるようになるかということで議論したわけであります。現状から言いますと、例えば、実質公債費比率は今、岐阜県は6.6%であります。当時はワースト3であったものが、現在6.6%というのはべスト3でございます。
ですから様々な指標を眺めながら、その中長期的な、先々の見通しも考えながら、どういう姿を描いていくか、どういうターゲットを設けるのか、設けないのか、どういう財政運営をやっていくのか、その辺は一つ一つ丁寧に考えていきたいというふうに思っておりますが、当面は先ほど申し上げましたようなスタンスで持続可能な財政運営ということで、優先順位をつけながら慎重に予算編成を行っていくと、併せて中長期的な試算値をお出しして、その中で、全体のバランスを考えていくと、こういう姿勢で臨みたいということでございます。
1項目目の将来の財政に関わる質問です。県債に歯止めをかけることが大切と感じました。