中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

【2024年3月議会/質問と答弁6】長良川管理釣り場からのニジマス流出事案と今後の対応

2024年3月26日 12:57 pm
カテゴリ: 議会

中川ゆう子の代表質問と答弁をご紹介します。

中川ゆう子

長良川鵜飼の観覧船乗り場付近に作られたニジマスの管理釣り場は長良川漁協が木曽川上流河川事務所より占有許可を受け月初めに営業を開始されたばかりでした。1月の漁業権免許の切り替えの際にこの場所にニジマスの管理釣り場を設ける規則変更が行われ県が認可しております

先日増水によりニジマスが3000匹流出する事案が発生した際木曽川上流河川事務所は撤去計画通りの対応ができていなかったとし行政指導を行いました国交省によりますと報告を求めその内容をしっかり確認するとともに河川管理上の確認だけにとどまらず市民の信頼回復合意形成ができているかについても重点を置いて確認したいとの意向でした

非常に重要な視点だと思います

この報道の中で県からはアユ漁に影響がないと考えるとのコメントが発表されていましたしかし専門家によりますとこの場所はこの時期ちょうど海から稚が群れで遡上してくる場所であり遡上のタイミングとこの流出の時期があってしまったこと上流での計画的な放流とは状況が異なっていることさらにその量が3000匹というこれまでにない大規模な流出となったことからアユ遡上に影響する可能性も指摘されています県のコメントには率直に違和感を覚えるところです

また水産庁の指針ではニジマスはこれ以上の分布拡大をしないとし対策が求められているところでもありこうした点から見ても県の姿勢が問われてくるのではないでしょうか 

お聞きしたところこの管理釣り場を作る最初のきっかけに県も関わっていらっしゃったとのことです釣り人口を増やす川に親しんで楽しんでもらいたいという思いは否定しませんが長良川鵜飼の舞台を選定した点をはじめ食害の恐れが指摘される外来種のニジマスを結果的に流出させる事態になったことなど県としても改めて見直すべきことがあると考えます


ニジマス流出事案に対する所感と今後の対応は

ニジマスはなじみ深い魚ではありますが産業管理外来種として位置付けられ水産庁は県へも分布拡大防止を求めています生態系への影響や遡上稚魚を捕食する可能性も指摘されていますアユ漁に影響はないと考えるという県の見解が報道されていますが今回の事態はもっと深刻に受け止めるべきではないでしょうかお考えをお聞かせください

また清流長良川のは世界農業遺産に認定されておりはトップセールスの品目に掲げてきました。1300年の歴史を持つ長良川鵜飼とともに岐阜の貴重な資源でもありま今回の特定釣り場の取り組みは市民の間から多くの否定的な意見が寄せられており長良川に関わる広い県民の理解を得られて進められてきたのか疑問ですこれまでの県の対応に関しても課題があったのではないでしょうか。

今後の対応について伺います


答弁 知事

ニジマスは、大正10年に長良川と揖斐川で初めて放流されて以降、100年以上に亘って広く県内で漁業の重要な対象種として継続的に放流されてまいりました現在県内22漁協に漁業法に基づくニジマスの漁業の免許、10漁協に管理釣り場の設置を認可しております

これらの免許と認可にたっては漁業法の規定に則り、内水面漁場管理委員会での公聴会や審議答申を経て手続きを進めてまいりましたこれは長良川漁についても同様であります

その後、長良川漁協は国から河川法に基づく河川の占用許可を受けて管理釣り場を開設いたしましたが今回の事案は増水によりニジマスの一部が施設外に流失したものであります現在は営業を中止し施設は撤去されております

今回の件については、2つの問題があるというふうに考えております

つは管理釣り場の施設の運営管理の問題でありますこの点については水産庁の管理指針により施設の管理者は流出しないよう管理することが求められており、県としてもこれを指導監督することとなっております

現在ご指摘もありましたが長良川漁協に対しては河川の占用を許可した国土交通省木曽川上流河川事務所からも今回の増水時の対応の経緯と課題について報告を求められているというふうに承知しております

管理釣りの設置場所の問題であります長良川鵜飼の場所に開設し、流失事案が発生したことは世界農業遺産として認定されている清流長良川ブランドのイメージダウンにつながりかねないと危惧しているところであります

県といたしましては今回の流失事案の発生原因を検証し再発防止策を取りまとめてまいりますそして県内の管理釣り場に対しても指導監督を徹底してまいります

また漁業法を所掌する農政にとどまらず生物多様性を含め幅広い観点から対応していけるよう県庁内関係部局間での情報共有と関係者からの意見聴取を行うべく、県の体制の見直しを検討してまいります


再質問 中川ゆう

知事に2点、伺いたいと思います。

2つの問題があると。運営管理の問題と設置場所の問題、これはイメージダウンにつながるということだったんですが、私がここで気にしているのは、「アユ漁に影響ない」と言った県の見解のことなんです。

影響について、これは問題ないのか、本当に、そういうお考えなのかどうか伺いたいと思います。

これはもともとこの場所でやったことのイメージダウンというよりは、防ぐべきだった流出が実際に起きてしまった、計画的な放流と一緒に論じるのは矛盾しております。

更に、この時期この場所で流出したということが問題です。最初に質問の中でも申し上げました専門家の方の意見をご紹介しました。3000匹というのはサイズにもよるんですけれど、だいたい1900㎏ほどではないかと、非常にかなりの量なんです。上流で計画的に放流されているという規模とは比較できないのではないか、さらに昨日の質問でちょうどこの時期にアユの遡上が観測されたということでしたが、ちょうどこの2月下旬からこの場所というのは海からアユの稚魚がのぼってくる、群れでのぼってくる、そのタイミングなんです。そこで3000匹というこれまでにない規模のニジマスが放たれるということは過去にはなかったんじゃないかと思います。

だからこそ、「アユ漁に影響ない」と言い切ってしまうのではなく、むしろ清流の長良川のアユを守るという県の姿勢を私は見せてほしかったと思います。アユ漁への影響についてもしっかり注視していく、そういったお考えはないのか、伺います

次に、今後の対応についてですが。

体制を見直しするということでしたが、やはりこれだけ市民の方から否定的な意見が寄せられるというのは、これは川に関わる多くの皆さんにとって非常に残念なことだったと思います。県の進め方自身も検証する必要があると思いますが、先ほど言われた検証、体制の見直しというのは、これまでの県の進め方についても検証されるのかどうか、今後の対応について伺います。


答弁 知事

まず今回手続き的に言いますとこれは漁業法の世界で法的には進めてきたものでありますが漁業法上はこのニジマスについては産業管理外来種というふうに分類しておりまして適切な管理それから利用上の留意事項をきちんと設けるこういうルールになっておりまして別途水産庁が管理指針というものを設けてります

この管理指針の中で先ほどちょっと申し上げましたが管理釣り場の管理についてまず管理者がしっかりと責任持ってやりなさいとそれから都道府県は指揮監督をしっかりやりなさいと、こういうふうに書いてあります。

原則はこれ以上産業管理外来の分布域の拡大を招く可能性があるような新たな免許は行わないことが望ましいという原則を掲げながら個別の状況に照らしてその是非を慎重に検討するということでその手続きについては事前に関係研究機関岐阜県の場合ですと水産研究所十分に相談するとともに水産庁に連絡するというふうになっております。

今回あらかじめ水産庁にご相談をしたところ、「本件については県の水産研究所の見解を添えて県の漁場管理委員会で判断してくれとこういうことで県の水産の方はこの区域では今のところニジマスの再生産は確認されていないそれからニジマスが確認される場合があるけれども尾数は少ないという見解でございましてこの見解も含めて内水面漁場管理委員会で了解を得たと

ただし、「放流する場合には在来魚の繁殖保護に留意をすることそして管理釣り場では逃がさないようしっかり管理をするように」という留保条件を付けて今回漁業権の免許をを与えたとこういうことでございます。

そうしてみるとまずその管理釣り場という閉ざさエリアできちんと管理をしなさいよということまず大前提としてあったわけでありますからこの部分が損なわれたということはやはり問題だったということです。そういう意味でなぜこういうことが起こったのか、いろんな観点から検証したいというのが先ほど申し上げたことであります

それから県の方として先ほどご指摘があったようなことを申し上げたのは以上のような手続きというか考え方を整理して進めてきたものであるという趣旨を申し上げたということであります

一方でこの漁業権の免許の問題とは別に、こういった問題いろんな角度から検討する必要があるということで生態系の問題生物多様性の問題あるいは文化観光いろんな観点から検討する必要があるということであります

これまで農政部のほうで漁業権の免許の問題とし単独で取り組んできたわけでありますけれども今回のこうした経緯とか、おっしゃるような様々な方々のご意見を踏まえて県庁内にも横断的に広く議論をするそういう仕組みを作ってかついろんな方のご意見も伺いながら慎重にこの分についてやっていくという体制を組んでいきたいとそういうふうに、思っているところでございます

再々質問 中川ゆう子

アユ漁に影響がないか、ということについては何もお答えになりませんでした。本来は、アユ漁に対しても影響があるかどうか分からないのでその点について注視していくというのが本来、県の姿勢ではないか、長良川のアユを守るという姿勢ではないかと思うんです。その点についてお答えください。


再々答弁 知事

まず、今回の管理釣り場に対する一連の手続きについて先ほど申し上げましたようにしっかりと釣り場として管理をされているという前提での、一連の手続き判断であったということが一方でありますそれから一般論として申し上げますと水産研究所の基本的な見解はもちろんこのニジマスは水昆虫小型甲殻類等への食害、渓流魚産卵場所等が競合する可能性というのあるということでございますが、ニジマスは全国的に漁業の対象とされ県内でも100年以上にわたって河川に放流されてきたとかつては繁殖・定着させよう研究が重ねられたことがありましたが現在に至るまで県内では繁殖による定着やアユ漁への深刻な影響は確認されておらないとまた河川に放流されたニジマスは多くが速やかに釣りで漁獲され、当該漁場では夏には水温が上昇しニジマスが生育できない環境となることから長良川の生態系への影響は限定的と考えているというのが水産研究所の見解であり、内水面漁場管理委員会の皆様のお考えというふうに私は理解しておるわけであります

なお、今回の件については囲われた管理釣り場の管理という面で非常に残念なことが起こったと思いますし、しかしこれを機会にしかもあの場所が清流長良川の鮎というという世界農業遺産の場所でもあるということで単に漁業権の問題とかいうことだけではなしに幅広くいろんな観点から慎重に県庁横断的に検討して判断、考えていくべきではないかというところは軌道修正していきたいという風に思っているわけであります

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