中川ゆう子の代表質問と答弁をご紹介します。
中川ゆう子
高山市内での産業廃棄物最終処分場建設計画についてお聞きします。
この産業廃棄物最終処分場の建設が計画されているのは、高山市荘川地域で、ここは庄川の最上流の源流に位置します。
庄川は2020年の国交省の調査で「最も良好な川」という判定を受けており、「庄川の鮎」は全国清流めぐり利き鮎会で準グランプリを複数受賞していることでも知られています。
さらに下流域は富山県4市35万人が水道水として利用するなど、生業にも生活にも密着している河川です。廃棄物の処分場は生活に欠かせないものであり、その必要性を否定するものではありません。しかし、この地域は国府にかけて活断層が通っているとも言われており、大規模地震や頻発している異常気象などの災害が発生した場合、水質悪化は庄川下流域の白川村、富山県内の住民の生活に直結する問題となります。
この計画は現在、県に提出された事業計画書の審査が終了したと聞いております。県の条例に定められた事前手続きでは、今後、周知計画書の提出を経て、事業計画書の周知、環境アセス、合意形成と進みます。地元高山市議会は、この計画に反対する意見書を挙げております。また富山県知事は県議会において、岐阜県に対し慎重で適切な対応を求めていると答弁されています。審査を行う岐阜県は、こうした声を受け止めるべきであると考えます。
(1)計画への意見書等の内容及びそれらに対する所感について
県には関係議会や自治体等より複数の意見書や要望が出されていると聞いておりますが、その内容はどのようなものでしょうか。また、それらをどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。
答弁 知事
高山市内での産業廃棄物最終処分場建設計画についてでございますが、これにつきましては、高山市と白川村の議会や地元住民団体のほか、庄川下流の富山県内の4つの市議会や2団体から、「計画地は庄川の源流であるため、農業用水の水質汚染まで懸念され、環境や産業、人体に与える影響が危惧される」、「地域資源である自然・景観が損なわれれば、観光や産業にとっても大きな痛手となる」、「盛土による土石流災害の危険性がある」など、施設設置への反対や、慎重かつ的確な判断を求める意見書、要望書をいただいております。
このように、本計画に対して多くの方々が懸念を抱いておられることについては承知しておるところでございます。
県としては、今後、「産業廃棄物処理施設の設置に係る手続の適正化等に関する条例」、「環境影響評価条例」、そして「廃棄物処理法」に基づき、慎重かつ厳正に審査をしてまいります。
(2)庄川流域の富山県内自治体等への意見照会について
審査の過程で岐阜県は、地元関係者の意見を聞くことになっています。富山県は多くの自治体が庄川の水を水道水、農業用水に利用しており、漁業関係者も多く、関係者であると考えられます。地元関係者に富山県を含め、意見を聞く必要があるのではないでしょうか。
答弁 知事
今申し上げました3つの条例、法律の手続に従って今後進むわけでございますが、それぞれの手続きのプロセスにおいて、意見聴取をする仕組みが予定されております。
まず、「産業廃棄物処理施設の設置に係る手続の適正化に関する条例」におきましては、事業計画の周知を行う地域を「周知地域」というふうに規定しておりまして、「周知地域」が所在する市町村の長を「関係市町村長」と規定しております。
計画地の高山市長に加えて、今後の生活環境影響調査の結果から関係市町村長の範囲を確定していくことになります。
一方、事前計画について周辺地域の生活環境の保全上の見地から意見を有する方はどなたでも、事業者に対して意見書を提出することができるようになっております。これに対し、事業者は見解書を作成し、県に提出することとなっております。県は、これに基づいて合意形成の判断を行っていくと、こういった段取りになるわけでございます。
また、これと並行して行う環境アセスメントを定める「環境影響評価条例」におきましては、「事業者が事業を実施しようとする地域及びその周辺の地域で、事業の実施に伴い環境に著しい影響を及ぼす恐れのある地域」を「関係地域」というように規定しております。この地域を管轄する市町村長に環境の保全上の意見を聴くこととされております。
「関係地域」のこの範囲につきましては、環境影響評価調査会の意見を踏まえて、判断していくということになります。
また、環境影響評価方法書及び準備書につきましては、環境保全の見地から意見を有する方はどなたでも、事業者に対して意見書を提出することができるということになっております。
最後に、「廃棄物処理法」でございますが、施設の設置に関し生活環境の保全上関係がある市町村の長に意見を聴くことされております。
これについても、今後行われる生活環境調査の結果に基づいて、その範囲が確定されます。
また、施設の設置に関し利害関係を有する者は、県に対して生活環境の保全上の見地から意見書を提出することができるということになっております。
以上申し上げました諸手続きに則って関係者からの意見聴取をしっかりと行ってまいりたいと思っております。
再質問 中川ゆう子
手続きがあって、3つの条例の中でそれぞれ意見を言う仕組みがあるということで。
その点については了解したんですが、1つ確認をしたいと思います。事前手続きに関する条例の中で、事業計画書の周知については意見もそこで出せるんだということでしたが、その次の段階が、私は重要だと思うんです。合意形成をこれから行っていくと、合意形成の努力や合意形成をしたかどうかの判断というところで、やはり地元の皆さんの意見というのが大きなポイントになってくると思うんですが、ここへも(富山県等を)含めていかれるというお考えかどうか、その点について伺いたいと思います。最初にお話ししたように、多くの富山県民にとって水道水や農業などで生活に密着した川です。有害な重金属というのは、一度水に溶けてしまったらこれは除去するのはなかなか難しい。いま、PFASで水道水の水源地が汚染されている問題で、岐阜県も市も対策に奔走しており、県自身が実感されていることだと思うんです。意見書、要望書は、富山県内(の団体)が多くを占めているということです。今後、合意形成の対象としても含めることができるのか、その点について伺いたいと思います。
再答弁 知事
合意形成ということでございましたが、この手続条例では、先ほど申し上げましたように周知地域という概念がありまして、その周辺地域の所在する市町村の長が、「関係市町村長」ということでございますので、市町村長というレベルで言うと、高山市はもちろんでありますけども、これから生活環境影響調査やるわけでありますので、その結果を見て範囲を決めてまいりますので、そこで決まってくるということになりますし、それから、意見については、先ほど申し上げましたように、周辺の生活環境保全上の見地から意見を有する人は、どなたでも意見書を出すことができるということになっておりますので、広く意見をお出しいただければいいと思いますし、手続き的にはですね、2回意見を言えることになっておりまして、第1回目に意見書を提出、それに対する第1回目の事業者からの見解書、それでなおかつ疑問があれば、第2回目の意見書の提出、それに対する第2回目の事業者からの意見書提出と、こういう手続きがございますので、そこらへんを丁寧にやっていくということかなと思っております。