中川ゆう子の知事提出議案に対する反対討論をご紹介します。
なお、他の議員からの発言はありませんでした。
・議第1号議案 令和6年度岐阜県一般会計予算
財源不足の原因として県債(借金)にメスを
基本方針において、財政需要の増加に対し「基金の取り崩しの避けられない状況にある」と書かれています。そうであるならば、増えている県債残高が高止まりしている原因を直視すべきです。知事は、借金の返済額の規模を示す「実質公債費比率の増加傾向も当分の間続くことから、決して楽観視できない」とおっしゃっています。
令和6年度予算と同額で試算した仮試算によると、令和6年度と同額の借入を続けた場合、令和10年度には公債費、借金の返済額は令和6年度比で70億円以上も増え、歳入と歳出の収支差はさらに198億円、261億円もの財源不足が生じるようです。この状況をどのように打破するのか、その道筋は新年度予算においても示されておりません。
これでは、県民要求が大きい、福祉や子育て支援に充てる財源はどんどんなくなってしまいます。
ハード整備全てを否定するわけではありませんが、例えば、新年度予算内で1事業で年間100億円を超える起債を行なっているものは主に東海環状自動車道である直轄道路負担金のみです。あまりにも予算を集中させすぎではないでしょうか。大規模災害への備えや安全確保の面から公共事業へのニーズを見極め、起債を慎重に行うべきだと思います。
(賛成44:反対1 可決)
・議第6号議案 令和6年度岐阜県国民健康保険特別会計予算
9割の市町村がさらに保険料値上げ。県運営方針に反対
保険料軽減のために市町村が独自に行なっていた一般会計からの繰入れは、県単位化後、県の運営方針により原則なくなりました。繰入れ解消の理由とされていた国からの財政支援は、いまだ十分とはいえず、結果として県単位化のもとで保険料の値上げが続いています。運営方針こそ矛盾だらけです。
県が公表した国保標準保険料率の通りに改定した場合のモデル世帯の保険料を比較すると、新年度は42市町村中38市町村、9割の市町村でさらに保険料が引き上げられます。
元々、協会けんぽの1.5倍や2倍以上の高い保険料となっていますが、物価高騰で厳しい現状の中、社会保障である国保がさらに県民を追い詰めることになってしまうのではないでしょうか。
加えて、新年度からの新しい運営方針では、県統一の保険料率を目指すとされています。中津川市や飛騨市ではすでに数年かけて引き上がると言われています。医療費をあまり使っていない自治体が、多く医療費を使っている都市部の分を負担することになり、さらに矛盾が膨らみます。
負担の公平性の観点から、協会けんぽと同水準まで保険料を引き下げるために国の財政支援はもとより県一般会計からの繰入れなどの対応をとるべきだと申し上げます。
(賛成44:反対1 可決)
・議第13号議案 令和6年度 岐阜県徳山ダム上流域公有地化特別会計予算
新年度は山林取得費として約2億1400万円が計上されていますが、旧徳山村村民が自身の土地に立ち入るための道路整備の約束が反故にされ進められているため、事業そのものに反対です。
(賛成44:反対1 可決)・議第14号議案 令和6年度 岐阜県県営住宅特別会計予算
県営住宅さらに364戸の削減ではなく住みやすい住環境に
令和4年度までに県営7団地が集約化され、15棟約458戸が削減されました。そのうち、宮代(垂井町)、荒崎(大垣市)、旭ヶ丘(多治見市)、泉北(土岐市)、加野(岐阜市)団地においては、現在二度目の集約化が行われ、さらに12棟、364戸が縮小予定とのことです。今後も、入居率を見て集約化を判断するということでした。
当初、集約化の理由は低い入居率でしたが、集約化を進めても入居率は改善せず、集約化がきっかけで退去される方もおられ入居率は上がっていません。さらに、3年前に集約化により転居を余儀なくされた方が再度転居を迫られる事例も出ており、高齢や障がい者、ご病気の方など様々な事情を抱えた方にとって非常に過酷です。また、引越し費用は一定額が公費で補助されているため、計画なしに何度も集約化をくりかえすことが適切な税金の使い方とは言えません。
このままでは何度も何度も計画性なく集約化を繰り返し入居者は振り回されることになります。
この間、集約化を進める中で、移転先に1.2階の希望が多く、バリアフリーになっていない課題が浮き彫りになってきました。
まずは、住宅のセーフティネットとしての公営住宅の役割に立ち返り、県としての適正な管理個数や公営住宅の計画を作ること、県営住宅へのエレベーター設置や住環境の改善に着手すべきではないでしょうか。
(賛成44:反対1 可決)・議第57号議案 岐阜県職員の給与、勤務時間、その他の勤務条件に関する条例及び岐阜県教育職員の給与その他の勤務条件の特例に関する条例の一部を改正する条例について
・請願第18号 公立学校に「一年単位の変形労働時間時間制」を導入するための条例制定に反対する請願は、関連しているため合わせて申し上げます。
教員の長時間労働解消が課題なのに、休みまとめ取りしたら長時間労働を可能にする条例とは
1年単位の変形労働時間制は、教員が繁忙期に一日当たりの勤務時間を増やし、その分を閑散期の勤務時間短縮や長期休暇に振り返ることができるという仕組みを導入するというものです。
元々、民間企業で導入されてきた制度ですが、時間外労働が厳しく改善されてきた民間企業と学校現場では労働環境が圧倒的に異なっています。
教員の働き方改革は道なかばで、未だ恒常的な長時間勤務の状態は続いています。
教育委員会、教育現場あげて恒常的な残業を無くしていこうとしている中で、夏休みに休暇をまとめてとるから通常時は連日長時間残業であっても良い、という労働条件に変更することが、深刻な長時間労働の問題を見えなくします。
この制度はそもそもこうした恒常的な長時間勤務がないこと前提でしか成り立ちません。こうした理由から、私は現時点での導入は拙速(せっそく)であり、賛成できません。
アンケートで回答の46%が導入に前向きなであったことが決定打であったとのことですが、請願者からは、「連日の長時間勤務に疲れ、どうせ長時間勤務状態が改善されないなら、長期休暇が少し長く取れた方が良い」という諦めや藁にもすがる思いでは、と指摘されています。しかし実際に本制度はこうした長時間の残業を強いられている教員は対象外であり、本当に救済すべき方々へは届かない制度だということも申し上げます。
また、アンケート結果だけでなく、請願にはほぼ同規模の5260人が署名されていることも共に重く受け止めるべきだと思います。
今回、この条例案が上程された2月22日、請願者の岐阜県の学校教育をよくする会の西村祐二さん、県教職員組合に加え、県職員組合、県公立小中学校事務職員組合が合同で記者会見を開かれ、あらためて導入に反対することを表明されました。3組合が揃って記者会見を行うのは、財政危機以来10数年ぶりとのことで、教員と一緒に働いている職員の立場から、健全な職場を作っていきたい、過労死を防ぎたいとの思いで危機感を共有されているのだと感じました。教育委員会は今後も協議を続けるとおっしゃっていますが、本来、教員の心身の健康に関わる労働条件については、その当事者と十分な協議を重ねて結論を出すべきですし、ある程度の合意形成をしてからの議会上程が筋です。
本議案には反対いたしますが、教員の働き方改革の目的は、子どもや生徒にしっかり向き合う時間をつくるためです。今議会にも関連予算が様々出されていますが、教育委員会だけの取り組みでも学校現場だけの取り組みでも難しく、教員を支えるために一緒に取り組んでいただきたいと思います。今後は、そうした姿勢をお願いいたします。
(議案 賛成44:反対1 可決)
(請願 不採択44:採択1 不採択)・請願第19号 長良川河口堰の運用見直しとゲートの試験的開放の議決を求める請願
来年で運用から30年を迎えます。特に河口堰上流部の深刻な環境悪化をどうするのか、河口堰下流のヘドロの堆積なども合わせて具体的に調査、検証すべき時が来ていると思います。
不採択の理由として、ゲートの解放により塩害の可能性があるという懸念が述べられましたが実証データはありません。
請願者は農閑期に実証的調査をすることを提案されているように、科学的なデータに基づく議論が必要だと考えます。
(不採択44:採択1 不採択)
・請願第20号 「パレスチナ自治区における人道的休戦・平和実現を求める決議」を県議会として上げることを求める請願
「外交政策や国際紛争については国で主導すべき」というのが先ほどの委員長報告での不採択の理由でしたが、令和4年3月の岐阜県議会では、ロシアによるウクライナへの軍事侵略を非難する決議を全会一致であげております。否決理由として整合性が取れないのではないでしょうか。
軍事衝突には様々な歴史的背景があることは承知していますが、ガザ地区では病院や避難所、学校が攻撃され、無差別に市民が殺害されています。これは明らかに国際法、国際人道法違反であり、この点については、多くの方と認識を一致できるものと思っております。
少なくとも、人道的休戦、平和実現を求める声を否定する理由は一切なく、請願を採択し、県議会として決議すべきと主張します。
(不採択44:採択1 不採択)・請願第21号 岐阜県議会として、政治資金「裏金疑惑」徹底究明を政府に要請する請願
・請願第22号 政治資金の「裏金」疑惑について、岐阜県議会議員に関する調査・徹底究明を求める請願
自民党派閥の政治資金パーティーで得た収入の一部を議員側にキックバックし、収支報告に不記載であった裏金事件について、その数が多数、多額であるにも関わらず、政治倫理審査会においては、裏金作りはいつどのように始まったのか、復活した経緯も、明らかになっていません。
国民には1円単位で帳簿をつけることを強いておきながら、なぜ裏金は非課税なのかと怒りの声も寄せられています。
不採択の理由として「政治倫理審査会が開かれ法改正も検討されている」と述べられましたが、共同通信の世論調査では、衆議院政治倫理審査会について、説明責任を果たしていないとの回答は91.4%を占めています。(3月9、10日の調査)
また、裏金を受け取った議員に対して国税庁による税務調査を「行うべき」としたのは94.5%です。
請願内容は圧倒的多数の声であります。
国民感情とかなり乖離していると感じました。
政治資金規正法は、「政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにするため」のものであり、政治活動の公明と公正を確保し、民主政治の健全な発達に寄与することを目的に制定されたものであり、本件は同法に抵触するものです。
こうした政治と金をめぐる問題を曖昧にして政治が行われていくことは、政治の腐敗と国民の間に一層政治不信を招くものであり、いち地方議員として受け入れ難いものがあります。
岩手県議会、高知県議会など複数の県議会で同様の意見書が上がっています。
これは政治的立場を問わず、政治資金規制法を改正し再発防止をするのであれば、本請願が求める全容解明は不可欠であり、地方議会として毅然と求めていくべきです。
(請願 不採択44:採択1 不採択)