2021年7月6日 9:00 am
カテゴリ: その他
オリンピック・パラリンピックを控え、今後の感染対策の強化と国への意見
1.東京オリンピック・パラリンピック等を控え、第5波を繰り返さないための今後の感染対策の強化と国への意見について(1)人の流れが増加する夏休みやお盆だけでなく、東京オリンピック・パラリンピック開催による感染リスクの高まりと地方への感染の拡大が懸念されています。
観客は会場ごとに最大1万人と設定され、関係者も合わせると、380万人を超えるけた違いの人(6/30現在)が動き接触することになります。政府新型コロナ対策分科会の尾身会長ら専門家有志は、「無観客での開始」を提言していますが、通常のスポーツイベントとは別格の規模であるから、感染拡大は首都圏だけではなく全国に広がることは避けられません。
直接的な影響は東京都だけではありません。会場は、北海道、神奈川、静岡など地方に分散しており、「地方の会場は医療体制が薄い。地方に感染が広がることを懸念している」と提言に名を連ねた専門家は指摘しています。
海外選手団の事前合宿の受け入れは全国で計画され、岐阜県においても今のところ、岐阜市をはじめ4自治体で4カ国約200名の海外選手団の受け入れが予定されています。
しかし、海外からの選手は14日間の待機期間はなく、事前合宿の参加者に感染者が出た場合の追跡や濃厚接触者の洗い出しは受け入れ自治体の責任になります。オリパラ開催はIOC、JOC、国、開催都市の責任で行われるべきであるが、感染が拡大した時の対応や責任の所在が明確になっていない。
知事からは、安心安全のバブル方式で受け入れを行うと説明がありましたが、6月23日時点の説明では、事前合宿受け入れにあたられる関係者のワクチン接種状況は約150人中10名とのことでした。ワクチン接種の予報的効果から逆算すると、すでに今月12日から始まる受け入れにはほとんどの関係者が間に合わないということです。
これで、来日される選手方々、受け入れに関わる関係者のみなさんの安心安全を確保できるのか心配が尽きません。そしてバブルの外の県民へのワクチン接種は緒についたばかりであり、64歳以下の一般接種のワクチンは供給の見通しが明確になっていない状況も深刻に受け止める必要があります。
このような状況のもとで、内閣官房によると、事前合宿について海外選手団のキャンセルや自治体が受け入れを断念する動きが相次いでおり、6月23日現在で122自治体にのぼり、この1か月で80近くも増えているとのことです。
県が県民に対して実施する対策についても申し上げます。
こうしたオリンピックをめぐる動きと、岐阜県が県民に呼び掛けている「イベントの人数制限」「花火大会の中止も含めた検討」などの厳しい対策は整合性が取れていません。オリンピックは開催しているのに、町内の夏祭り、地蔵盆、運動会はなぜ中止なのか、説明がつかなくなり、県が危機感を持って感染拡大防止に取り組んでも県民には響かない可能性もあります。
オリンピック・パラリンピック、そしてホストタウン交流は楽しみにしていた一人として複雑な思いがありますが、選手にとって、事前合宿は安全であり、自分の力を最大限発揮できるためのものでなければなりません。そして平和と人権の尊厳を掲げるオリンピック憲章のもとで開催されるオリンピックは、どんな理由であれ、選手や国民の命や健康が損なわれることがあってはならないと申し上げます。
そこで1点目の質問です。
感染対策の最前線で取り組んできた岐阜県として、再度、感染拡大や経済を止める措置が必要な状況を起こさないために、オリンピック開催やホストタウン受け入れをめぐる問題については開催の中止や見直しもふくめ強く意見を出していく必要があると考えます。
<知事答弁>
この東京オリンピック・パラリンピックの開催及び事前合宿の受入れに関しましては、本県は、国に対し、感染防止対策の徹底はもとより、水際対策及び防疫措置の国の責任による徹底などについて、数次にわたって全国知事会を通じて申し入れを行ってまいりました。直近では、先月19日、「海外からの選手団などのワクチン接種及び行動管理の徹底」、「大会開催蒔期の県境をまたぐ移動やパブリヅクビューイング等の関連イベントのあり方の検討」などを盛り込んだ全国知事会緊急提言をまとめ、国に提出しているところであります。
そもそも、本県は、東京オリンピック・パラリンピックを本県の魅力を国内外に発信する絶好の機会と捉え、美濃手漉き和紙の人賞者表彰状への採用、一位一刀彫、飛騨春慶、関の刃物、美濃焼など本県の伝統工芸品の大会関係者への贈呈、県産の杉、桧の選手村ビレッジプラザ、あるいは国立競技場、さらにはレスリング会場への活用など、様々な取組みを重ねてまいりました。
また、海外代表チームの事前合宿も、県内スポーツ施設の周知;岐阜県の魅力発信、地元自治体との交流などを目的に、積極的に誘致してきたところであり、安全・安心な事前合宿の実施は本県の務めでございます。
このため、事前合宿の受入れにあたりましては、各国の責任ある競技団体と県及び関係市との間の協定を締結し、これに基づいて、海外代表チームを外部から隔離し、感染拡大を防止する、いわゆる 「バブル方式」を実行することしております。
具体的には、この場合 「検疫での水際対策」そして 「合宿地での感染防正対策」が、重要課題となります。
第一に、「検疫における水際対策」でありますが、本県は、かねてかち、「検疫での検査の充実」及び 「早期隔離の徹底」を求めてまいりました。これに対し、先日、空港検疫におきまして、ウガンダ選手団から陽性者が判明し、それ以外の選手等が事前合宿地に移動したのち、更に陽性者が判明するという事案が発生いたしました。このような事案の連鎖を防ぐべく、先月25日には岐阜、愛知・三重の三県知事名で、政府に対し、「検疫における濃厚接触者の特定」及び、「検疫段階で濃厚接触者と特定された者の国の責任における隔離」を申し入れました。
ざらに、翌日には、関西広域連合でも同趣旨の提言がなされ、28,日には、”全国知事会長より西村内閣府特命担当大臣に対して、要請が行われました。
これに対し、30日に示された政府の方針によると、第一に、国は、機械的に 「濃厚接触候補者」の区分のみを行うにとどまっておること、第二に、「濃厚接触候補者」以外のものは、受入れ自治体に移送された後に 「濃厚接触者」の特定が行われること、第三に、受入れ自治体が空港から5時間未満に位置する場合、岐阜県の場合ですと、関空とセントレアがこれにあたるわけでありますが、「濃厚接触候補者」であっても、国の指定する一時滞在施設ではなく、受入れ自治体に直接移送されること、などとされております。
これらは、私ども東海三県からの意見が十分に反映されたとは言い難いということで、昨日、改めて再検討を三県知事名で申し入れたところであります。そして、さらに、全国知事会長より田村厚生労働大臣に対し、直接要請を行ったところでございます。
一方、本県としましては、検疫で陽性者が確認された場合の濃厚接触者の特定、受入れ自治体入りした選手等の健康観察及び検査などの手順について、感染症専門家に確認しつつ、早急にマニュアルを作成してまいります。
第二に、事前合宿地における対応であります。本県は、すでに;感染症専門家の意見を伺った上で、移動、宿泊、食事、練習など場面ごとの厳格な対応マニュアルを作成しておりまして、その遵守についで合宿実施国と合意書を交わしてまいります。加えて、本県独自に、選手の宿泊施設、トレーニング施設などともそれぞれに合意書を交わし、対策を徹底してまいります。
なお、事前合宿期間中は、海外代表チームと接触機会がある自治体の担当職員、宿泊施設及びトレーニング施設関係者、選手輸送を行うバス運転手などについては、毎日PCR検査を実施いたします。同時に、これら関係者に対ずるワクチン接種を鋭意進めているところでございます。
<再質問>
1(1)知事に東京オリンピック・パラリンピック開催と国への意見について、6,19緊急提言(知事会)は非常に膨大です。さらに、色々書いてありました。ホストタウン、事前合宿をして頂いている。国への対応を申し入れたが「国の対策は反映されているとは言い難い。」とあったが認めていらっしゃる。同意見です。それについて知事会で意見を出されているようですが、県民の健康を守るという立場としてさらに踏み込んだ意見や態度表明を出していただきたい。全国の知事は感染の在り方や状況次第では中止や延期の主張をしてみえる。東京では感染者が増加傾向にあります。こうした中、感染状況で中止や延期、オリンピックの在り方について知事としても明確な態度を期待したい。<知事>
現在はコロナ何というか百年に一度のパンデミックの渦中に人類全体が直面しているわけでありまして、どのような行事、どのようなイベントをやろうにも、ありきという判断はあり得ないというふうに思っております。やはり、安全・安心、このコロナ禍にどう立ち向かっていくかというところが、まず問われてしかるべきであろうというふうに思っております。
そういう意味で、感染状況が今どのような状況になっていくのか、現状、先の見通し、そういう中でそれに対してどこまで適切な体制がとれるかどうかと、これが絶えず問われるわけでありまして、オリンピックについていえば、そのタイミング、ぎりぎりのどういうやるのかやらないのか、やるとすればどういうやり方があり得るのかという、ぎりぎりのタイミングが今近付いてきているということでございますので、そういう意味では、政府の一挙手一投足の動き、それから東京、及び関東を中心とするコロナの状況、そういったことについて、私どもしっかり注視しながら、タイミングよく意見を言っていくということかと思っております。
で、これは全ての47人の知事も共通じた考えでありますので、そういった意味で、ほぼ毎週のように全国知事会を開いて、その都度その都度の緊急提言と、何度でも緊急提言ということで出していくという、そういう姿勢で臨んでいるわけであります。
特に、私どもとして、いよいよ近づいてきた中で気になるのは事前合宿のあり方でありまして、私どもで出来ることは徹底してやりますけれども、濃厚接触者の特定と、そして濃厚接触者と判断された人を、誰がどう責任をとって対処するかというところについて、暖味なところがありますので、これを今まさに議論しているところであります。
昨日も、田村大臣は引き続き検討したいということをおっしゃったようでありますので、どういう答えが返ってくるか、いずれにしてもそういったこと一つひとつですね、丁寧にぎりぎりまで議論していきたいと思っております。
<再々質問>
「政府の動きを注視しタイミングよく意見を言っていく」ことですが、再度、知事の中には、「県は今、感染の増えている所や緊急事態宣言やまん延等防止のところに行かないで下さいという県がいくつかあります。知事の中には今回、観客だけでも270万人をこえるという。「県域をまたぐことが前提の開催」となる。県の言っていることと矛盾していると言っておられる方もおられます。政府を注視するということで首都圏のまん延防止等措置の会場が今後、困難なことで観客の見直しがあると聞いている。せめて開催の可能性よりも観客は無観客と専門家の意見を取り入れて知事として言っていくべきではないか。岐阜県も感染が爆発しているところに行かないで下さいと言っている。県で要請しているのは矛盾しない。この点について伺う。<知事>
県の対策としては、現時点で申し上げますど、先般発表したなかに、まん延防止等重点措置区域及び緊急事態措置区域への不要不急の移動は極ガ避けていただきたいというように言っているわけであります。実は今晩また、本県の専門家会議をやりますが、岐阜県のまん延防止が解除された時の対策として掲げたものについては、一応、7月4日までということですから、その先どうするかは今日、議論するわけですけれども、その中でも、この話は当然話題にのぼると思います。
一方で、そういった不要不急の移動を避けていただきたいということについて、現状の岐阜県も含めて感染状況を見ながらどう考えるかと。他方でオリンピック自身がどういうことになるのかと。
無観客になるのか、それとも観客を制限するとすればどういう制限をするのか。そこら辺のオリンピックの方針、それから我々の方針、どういう風に整合性をつけて整理していくかと、いうことは、その中で考えていきたいというふうに思っております。
2021.7.2 代表質問