中川ゆう子の代表質問と答弁をご紹介します。
中川ゆう子
新年度から孤独・孤立対策推進法が施行され、民間を含めた取り組みの展開が期待されているところです。
今年1月、県庁内で開かれた内閣官房孤独・孤立対策担当室政策参与の村木厚子さんを講師に開いた孤独・孤立シンポジウムに参加いたしました。その中で孤独・孤立は病気や家族や大切な人との死別など人生の様々な段階で誰もがなりうる、ということです。そのため年齢や性別などに偏りがなく、支援のターゲットを絞るものではないということ。支援のポイントは、ものや食べ物というだけでなく、誰のために、何のために生きるのかという機会をつくっていくことで、支援する人・支援される人という枠組みを超えていくものだと語られたのが印象的でした。
岐阜県では、これまで2年にわたり孤独・孤立対策官民連携事業費補助金として、孤独・孤立対策に取り組む県内NPO団体に対し、活動費を助成し支援を行ってきたところです。
しかし、新年度予算では民間支援団体に対する孤独・孤立対策補助金が今年度は2400万円でしたが、新年度は700万円に、今年度の予算規模からすると約3割にまで大幅に削減されています。
先日、この補助金を活用した事業の発表会が開かれ、私も参加いたしました。
多胎児の育児支援に取り組まれる団体では、1年に及ぶ伴走型支援により、ようやく子育て世帯の生活リズムを取り戻し、適切な支援制度につなぐことができたこと、食糧支援の現場では、食糧支援を受けていた方が食材の運搬をスタッフとして参加できるようになり、社会への一歩が踏み出せたこと、まちづくり団体では古民家を活用した子どもの居場所をつくり、経済的に関わることで抱えている問題が見えてきたことなど、多様な団体が、多様な支援活動を展開し、この事業の重要性と継続性の必要性がよくわかる会でした。
新年度予算の大幅削減については、支援団体からは今の支援を継続させることができず中止、縮小せざるを得ない、結局それは新たな孤立を生むことにつながると、苦情や不安の声があがっています。
2年前、この補助金ができた際には、県の要請を受け止め支援事業を立ち上げてきたという経緯があるだけに、今後、孤独・孤立対策を進めるにあたって信頼関係を構築するのが難しくなってしまうのではないかと心配するところです。
そこで健康福祉部長に2点お聞きします。
(1)孤独・孤立対策に係る団体への補助金の実績に対する評価について
2年間の補助金の実績をどう評価されているでしょうか。
答弁 健康福祉部長
県では、コロナ禍により孤独・孤立を深める方を支援するため、令和4年度から国の地方創生臨時交付金を活用し、NPO等による孤独・孤立対策の新規事業の立ち上げ事業の拡充を支援してまいりました。
具体的には、就労支援を行っている団体による生活困窮者や引きこもりの方に対する就労体験の場の構築や、子育て支援を行っている団体による居場所の拡充として、子どもの一時預かりを定期預かりにするための環境整備など、2年間で48件の取組みに対して支援を行ってまいりました。
こうした助成により、コロナ禍で顕在化した孤独・孤立に対する支援体制構築・強化につながったと考えております。
(2)新年度における孤独・孤立対策に係る団体への補助金予算の確保について
先ほどお話ししたように、実際に支援の継続が危ぶまれています。これは、新たな孤立・孤独を生み出してしまう事態につながりかねません。予算を増額し、少なくとも同額の予算規模を保障するべきではないかと思います。どのように予算を確保されるでしょうか。お聞きいたします。
答弁 健康福祉部長
孤独・孤立対策については、先ほど申し上げた新規事業の立ち上げや事業の拡充により、一定の基盤が構築されたものと考えております。
他方、単身世帯の増加やコロナ禍の影響で、孤独・孤立の問題が複雑化・複合化する中、本年4月施行の「孤独・孤立対策推進法」では、県やNPO等による相互連携や協働がうたわれております。
このため、本補助金の内容を見直し、来年度からは、複数の支援団体が連携・協働のもとで新たな取組みを行うものに限って、支援を行うこととしたところです。
また、県としては、今後も重層的な孤独・孤立対策を進めるため、「孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム」に圏域別の部会を新たに設置し、各地域の実情に応じた課題解決を図るなど、これまで以上にNPO等との連携・協働を強化し、孤独・孤立に悩む方を支援してまいります。
再質問 中川ゆう子
来年度の補助金の予算の確保についてなんですけれどもこの2年間の支援で強化につながって一定の基盤が構築されたので今後は対象を限定するというのが答弁の趣旨でありました。新年度、法律が施行なんです。これから官民で連携してどんどん支援を広げていこうという時に対象を限定するというのは、そもそも法律の趣旨からすると違っているのではないか、これこそ予算の優先度を高めるべきであり、今年度の予算からすると新年度は3割に予算規模を下げてしまうというのは優先度を下げていることになるのではないかというふうに思います。今、ようやく支援団体同士の連携も生まれてくる中で対象限定するのではなく、せめてこれまでの支援はそのまま継続できるようにしないとこれによって支援が終わってしまったら孤独孤立を新たに生むことになる、そういう意味での予算確保について伺いたかったのです。もう一度、お聞かせください。
再答弁 健康福祉部長
NPOは孤独・孤立対策を進めていくうえで重要なパートナーと考えております。こうした中、これまでの支援によって、一定の体制の基盤が構築されたものと評価をしております。
法で地方公共団体に支援団体間の連携・協働を促進するということがうたわれたことを踏まえまして、補助事業の内容を見直して必要な予算額としたものであります。
また、先ほど申し上げましたけれども、県としてはその本補助金の交付のみならず、「孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム」による連携体制の構築や「孤独・孤立対策地域協議会」の支援体制の確立など、法の趣旨にのっとり、重層的な支援体制を進めてまいりたいと考えております。
再々質問 中川ゆう子
孤立・孤独対策についての予算規模について再度伺います。連携したものだけに限るんだということを、さらにそうやって強化していくんだっていうのが県のお考えだというのは分かったんですけれども、加えて予算規模をそれで減らす必要はないんじゃないかと思うんです。しかも2400万円だった予算規模を700万円、対象を絞って支援の規模を減らしてしまうってことになるんではないか、県の姿勢として、その部分について私は伺いたかったんです。なのでせめて内容については、それぞれこう強化していくんだっていうのはあったとしても予算規模としてちゃんと確保していかないと、これは県内中に広がっていく支援にはならないと思うんです。その点について伺いたい。
再々答弁 健康福祉部長
繰り返しになりますけれども、法の趣旨に沿った形で、補助内容を見直したものでございまして、補助金に限らず、今後も「孤独孤立官民連携プラットフォーム」、こちらを通じて、これまで以上にNPOとの連携・協働を強化して、重層的な支援体制の整備を進めてまいりたいと思います。