中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

3月議会質問(2)医師確保計画と医師を増やす要望について

2020年3月16日 9:47 am
カテゴリ: 活動報告

医師確保計画と医師を増やす要望について

新型コロナ感染者の受け入れと治療を支えているのが感染症指定医療機関です。岐阜県内にも30床ありますが、公立・公的病院がその役割を担っております。全国的にも感染症指定医療機関の9割が公立・公的病院であるとのことで、あらためて重要性が浮き彫りになりました。昨年9月に厚労省は、統廃合の検証が必要な公立公的病院のリストを公表し県内9つの病院が名指しされ統廃合の検証が求められております。しかし今、新型コロナ対策でさらなる受け入れ病床の確保など、公立公的医療機関の役割に依拠すべきときに、同時に統合再編の議論も行うことなどありえない話であります。

知事には、地域の事情や医療機関の判断を尊重し、ダウンサイジングありきですすめるべきでない、と国に対し毅然とした態度でのぞんでいただきたいと思います。

2019年6月閣議決定の骨太方針2019には、こうした病床の再編をすすめる「地域医療構想」とともに、「医師偏在対策」「医療従事者の働き方改革」を三位一体ですすめるとともに、「医学部定員の減員に向けた検討」をすすめることも明記されました。

病院の統合再編をすすめ、医療提供体制を集約化することで、医師配置も集約化できますので、医師数を抑制する事ができる、ということだと思うのですが、県民にとっては医療にかかりにくくなるものです。

今議会に議案として出されている医師確保計画も、一連のこうした流れの中で作られているものと考えております。
内容としては、一定の指標によって全国の各エリアを順番に並べ、上から1/3が医師多数、その下を中程度、そして下から1/3を医師少数区域と色わけするものです。
しかし、この計画の実効性には懸念を抱いており、医師(勤務医)の勤務環境や県民の医療環境が悪化するのではないかと心配している。

申し上げるまでもないですが、医師少数とされた飛騨、西濃だけでなく、中程度とされた中濃、東濃圏域でも医師不足は大変深刻なものがあります。
そして、今回の計画ではこうした医師不足に対応するため「多数区域である岐阜県域は少数地域に医師を派遣し協力する」との方針が示されている。
しかし、医師多数とされる岐阜圏域であっても、実際には医師が不足しているし長時間過密勤務を強いられているのが現状です。

具体的に紹介します。

岐阜圏域の中でも郊外の羽島市民病院では、時間外労働についてチェックし当直の改善に努力してきた。しかしこのまま医師が減っていったら、内科と外科の2人体制の当直がどちらか1名になりかねない。夜間の救急の受け入れが外科か内科のどちらかしかできないことになる。医師不足は非常に頭を悩ませている。

岐阜市民病院は、以前、時間外労働に関する労使協定で定めた月100時間の残業上限を超えていると労基署から是正勧告を受け、今度は、残業の上限を月150時間とする協定を結び直したという報道がされました。月80時間という過労死ラインの倍近い長時間勤務ですが、患者の診察を断るわけにはいかないというのが実情だと思います。働き方改革を進めるためにも他に派遣する余裕すら無いとのこと。

自治体病院だけではありません。岐阜市内のある民間病院も、当直明けで午前中外来診療をし、お昼を過ぎてやっと帰宅するなど医師の過酷な勤務環境を改善したいと頭を悩ませている。医師を確保するためにも働き方改革は必須でありますが、そのためには勤務医の絶対数が足りないとご指摘されました。

医師の偏在というが、実態は偏在ではなく医師の総数が足りていないということが明確です。

このように、実態にあっておらず少ない医師のパイを県内の地域間で取り合うことになる無理な計画こそ、医師不足で深刻な問題を抱えている地域に対し無責任ではないかと考える。むしろ、根本的にこの状況を打開する方法を示すべきでないでしょうか。

そこで知事にお聞きします。

中川ゆう子の質問

現在、こうした医師確保計画となっていますが、医師の偏在解消ではなく医師数そのものが少なすぎるのが問題ではないでしょうか。また、国へは地域枠の維持にとどまらず定数の増員を求めていくべきと思いますが、お考えをお聞きします。

知事の答弁

病床の機能分担の方針ということについては地域医療構想において、そして医師確保ということについては医師確保計画ということで対応してきているわけでございます。

現在、県議会にお諮りしております本県の医師確保計画でございますが、令和2年度から5年度までを計画期間として、「医師確保の方針」、「目標医師数」そして「医師確保の施策」と、この3つのポイントで構成されております。

第一に、医師確保の方針でありますが、国の示す医師偏在指標に基づき、西濃及び飛騨圏域を医師少数区域、中濃及び東濃圏域を中位の区域、岐阜県域を医師多数区域と位置づけ、特に、医師少数区域については医師の増加を図る方針を明確にしております。
第二に、目標医師数でありますが、国の基準に従えば現状維持が目標となるところでありますが、本県としては「清流の国ぎふ」創生総合戦略の目標値を踏まえ、令和5年に平成30年比で258人増の4553人まで増加させる目標を独自に設定しております。
第三に、医師確保の施策として、地域枠卒業医師の確保、岐阜県医学生就学資金貸与制度による県内勤務医師の確保、自治医大卒業医師の確保、臨床研修医の確保などを盛り込んでおります。
なお、この計画は、三師会、岐阜大学、県内の中核病院などの委員で構成する地域医療対策協議会や各圏域の地域医療構想など調整会議での議論を経て策定したところでございます。

さて、議員ご指摘の定数、定員でございますが、現在、岐阜大学医学部の定員は、令和3年度の入学者までの臨時的な増員25人文を含め、110人となっております。
これに対し、今後の人口減少局面を踏まえ、厚生労働省の検討会におきましては、減員も含めた極めて厳しい議論が行われております。

地域枠は岐阜大学医学部の臨時的増員を活用して設定しているのでありますが、この臨時的定員を減らされるということになれば、本県の医師確保計画の実効性が大きく揺らぐことになります。

もちろん定員増は望むところであり、つとに県の責任において必要な医師確保、医師数の養成ということを、本県としても国に対して要望してきているところであります。

が、目下のところ、特に令和4年度以降も現在の臨時的増員の維持確保が急がれるところであります。そこで、すでに全国知事化を通じて「地域に必要な医師が十分に確保されるまで医学部の臨時定員増を延長すること」を、緊急提言として国に要請しておりますし、私自身からも、関係省庁に対し、直接要望を行ってまいります。

中川ゆう子の再質問

「県では医師数を増加させる目標を設定している」が、実際には「厚労省では厳しい議論がされている」。小さいパイで取り合うとことになる。そもそも日本はOECD諸国と比べて医師数が少ないのが問題である。OECD水準の医師確保を日本が目指していくべきだということを国に求めてただきたいが、その考えについて伺います。

知事の再答弁

医師数については、どう配分するかという偏在の問題と、全体としてのパイを増やすという問題と、これを車の両輪としてずっと議論をしてきているわけでありまして、増やすということについては、先ほどもご紹介しましたように、国に対しても、つとに要望してきているわけでありますし、そういう中での臨時定員増を減らすという議論はとんでもないということで反発するわけでありますので、増やす方向での国への要望はもちろんやっていきたいという風に思っております。

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