2020年3月16日 10:04 am
カテゴリ: 活動報告
就職氷河期世代を応援する環境整備について
(1) 就職氷河期世代に対する幅広い支援に向けた取り組みについて
現在、30代半ばから40代のいわゆる就職氷河期世代は、雇用環境が厳しく規制緩和による非正規雇用が一気にひろがった時期に就職活動をしたため、希望する就職ができず、不安定な仕事に就いている人や、無業の状態にある人、さらには、ひきこもりの状態にある人など、様々な課題に直面している世代であります。今回の集中支援プログラムは3年間で100万人を対象、正規雇用を30万人増やすとの目標です。就職氷河期世代は、たまたまその時代に就職期が重なったことにより、職業能力を高める機会が少なく、キャリアを積めていない世代であり、不遇の世代とも呼ばれています。個人的な要因ではないことを前提として、安定した雇用でひとりひとりが自分の将来の見通しがもてることが一番重要だと思います。
今回の新規事業は大変うれしい取り組みだと思っていますが、さらに充実させていっていただきたと思いますのでいくつか申し上げながら、2点、商工労働部長に伺います。
①支援に対する考え方について
中川ゆう子の質問
就職氷河期世代に対する就労支援を行うにあたり、当事者はもちろん、雇用する側の民間事業者からも声を聞いてほしい。またこの問題は自己責任ではなく社会全体の責任であるという問題意識で取り組んで欲しいと思うがお考えを問う。商工労働部長の答弁
就職氷河期世代の方々は、バブル崩壊後の雇用環境が厳し時期に就職活動を行い、その後もリーマンショックなどの影響を受ける中で、希望する就職ができず、現在まで不本意ながら不安定な仕事についている、あるいは無業の状態にある方が少なくありません。就職氷河期世代の方々には、こうした社会的な背景から十分なキャリアを形成する機会に恵まれなかった方や、社会との距離感、就労への不安感など様々な悩みを抱えている方が多いと考えております。また、企業からは、採用にあたり、まずは、ビジネスマナーなどの基礎的な能力を重視しているため、これらのスキル向上に向けた取り組みが重要であること、また、就労前の職場体験や就労後のフォローアップも必要とのご意見を伺っております。
こうしたことを踏まえ、この世代の方、個々人の状況に寄り添い、きめ細やかに、持続的かつ息長く支援してまいりたいと考えております。
②県独自の更なる支援について
中川ゆう子の質問
県によると県内の就職氷河期世代の中で、正規雇用を望みながら非正規雇用で働いている方は5000人、無業状態の方は6700人とのこと。しかし、社会人ビジネス基礎やパソコン実習の定員はそれぞれ数十名ほどとお聞きをしており、県の本気度に疑問を感じるところです。これでは就職氷河期と呼ばれる対象者の中でもさらに選別が行われるのではないかと懸念しますし、むしろ多く困難がある方にこそ支援が届く機会をつくるべきではないでしょうか。また、採用する事業所側からは、人手不足などもあり研修制度などの教育機会が少なく、しっかり定着できるか、すぐ離職してしまうことが心配、との声もお聞きします。特に就労経験が無いなどの場合、個人や事業所の努力だけでは限界があるのも事実で、寄り添った独自の取り組みが必要かと思います。
少なくとも、対象者の拡大、予算の思い切った増額は必要だと考えますが、今後の取り組みをお聞かせください。
商工労働部長の答弁
今後の就労支援につきましては、県として、これまでの職業訓練に、これらの世代の方々を対象といたしましたパソコン実習や体験実習などを行うコースを新たに設けるとともに、小グループで、丁寧にビジネスマナーなどを指導する就活塾を開催いたします。就活塾では、個々の状況に応じて、きめ細かく支援する観点から、10名程度の小グループ制とし、6月開始と9月開始の2コースを予定しておりますが、応募状況などを踏まえまして、拡充も検討してまいりたいと考えております。また、新たに企業開拓員を設置し、長期無業の方への就労体験などに協力いただける企業の開拓を進めるなど、就労準備に向けた支援の充実も検討してまいりたいと考えております。
就労後についても、総合人材チャレンジセンターなどによる就労者への定期的なフォローに加え、今後は、就労先の企業へのヒアリングを行い、必要に応じて臨床心理士などの紹介や県で開催するスキルアップに向けた人材育成研修の情報提供を行うなど、企業側に対するサポートも充実を図ってまいります。
引き続き、労働局や経済団体などとも連携し、支援を充実してまいりたいと考えております。
(2)就職氷河期世代を対象とした県職員採用試験のあり方について
関連して、就職氷河期世代を対象とした県職員採用試験のあり方について人事委員会事務局長に伺います。就職氷河期世代を対象とした県職員採用試験の申込受付が行われております。この試験の受験資格は「令和2年現在で34歳以上50歳未満の者」という条件が付されているだけで、その他の条件は付されておらず、正規雇用からの転職による受験も可能となっております。
一方、商工労働部が行う就職氷河期支援では、不本意非正規と無職の方の正規雇用をすすめる、ということで対象や目的が明確であり、正規雇用の方は対象にはしていません。県内企業にも同様の要請を行うことになります。県が行う採用と整合性がとれていないのではないでしょうか。
神奈川県では、年齢制限とは別に「申し込み開始日以前の1年間に正規雇用されておらず、5年間に正規雇用期間が通算1年以下の人」という条件が付されている。また、堺市でも、年齢制限とは別に「正規雇用の経験がない人」という条件が付されている。
県が行う就職氷河期世代に特化した採用試験は、そういった条件すらなく、正規雇用の方の転職も可能になっている。就職氷河期世代のかかえる問題は、無職や非正規雇用のためキャリアを積むことができず正規採用を得ることができなかったことにあるが、どのような理由でこのような受験対象とされたのでしょうか。
人事委員会事務局長の答弁
今回の就職氷河期世代を対象とした県職員採用試験は、この世代のより多くの方が受験できるよう、一般行政職の試験で儲けている「専門試験」は行わず、教養試験と面接試験により、受験者の人物を重視したものとなっております。就職氷河期世代の方の就労形態や生活スタイルは様々であることから、正規雇用の経験の有無などの条件を一律に設けるのではなく、年齢制限だけを設けることで、より多くの方に受験の機会がいきわたるようにしたとことであります。
また、選考に当たっては、これまでの経験にかかわらず、チャレンジ精神に富み、強い精神力や、柔軟な発想力などを具え、県政に貢献いただくことができる人材を確保していきたいと考えています。
なお、今回のこの採用試験は、通常の一般の職員採用試験とは別に早く採用できるように前倒しで実施しているものでありますが、就職氷河期世代の方々のご意見を伺いながら、今
後も柔軟に検討してまいります。