中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

中川ゆう子の3月議会討論2

2019年3月25日 11:03 am
カテゴリ: 活動報告

中川ゆう子の討論

議第1号 平成31年度岐阜県一般会計予算

借金依存体質の県財政、県債残高は過去最高額を更新

まず始めに、依然として県債依存の予算編成になっているという点です。
知事からは、実質公債費率が10%程度で推移するような県債発行を目標に掲げているとの答弁がありましたが、県債残高は過去最高額を更新し続けており、2019年度末では1兆6,014億円と県の一般会計予算規模の2年分にまで膨れ上がっています。県民一人当たりの借金は77万9,500円で、この一年間で1万6,120円も増えています。
このまま大型公共事業が続けば県財政が再び悪化する危険性を否定できません。
新年度予算中で県債を充てたものの中で、直轄道路事業負担金が193億円と断トツに多く、県債残高をどのようにして減らしていくのか、県予算の抜本的な見直しが求めます。

財政調整基金を大幅に取り崩し県庁舎建設費用に

次に、2015年度に予算ベースで323億円あった財政調整基金が2019年度末には60億円まで激減している点です。
この基金は本来、災害など緊急の事態が起こった場合に備える基金です。昨年夏の西日本豪雨による被害など想定外の自然災害の多発に加え、終息の見通しのつかない豚コレラの発生など「想定外の常態化」が続いています。
基金激減の背景には、新県庁舎の建設費用の積み立てがあるようですが、
自然災害が多発する今、県庁舎建設のために最低限の備えを取り崩すべきではないと考えます。

その他具体的な事業について
2020年度にオープンを目指す関ケ原古戦場記念館整備事業費として新年度は約36億6000万円が計上され、うち県債は28億6000万円。これは関連施設とあわせて総額52億円の事業であり、当初の計画からどんどん大きくなりました。将来の維持管理費も考えると、ここまで大きな建物がどうしても必要なのか疑問を申し上げてきました。大きな建物を作るのではなく、古戦場の魅力であるこの関ヶ原一帯に広がる史跡を主役にした取り組みを要望します。

新年度、いよいよ本格着工となる新県庁舎建設事業は、人口減少に突入する中、現在の1.6倍の規模にするというものです。行政棟と議会棟の建設費は524億円に増額され、関連費用あわせて664億円という費用が明らかになり、新庁舎整備により、今以上に福祉ニーズに答える財源が厳しくなります。さらに3棟目となる県民サービス棟を含めた全体像は明らかにされておらず、こうした今後の財政見通しを踏まえ、規模の縮小と県民サービス棟の白紙を求めます。
最後に、この予算がこの10月の消費税10%増税を前提に組まれている点について述べる。
県の「当初予算の概要」で「消費税増税にともなう県経済や県税収入の動向にも注視を要する」と述べられているように、このタイミングでの消費税増税は、岐阜県の地域経済や、県税などへの影響が心配されます。

さらに、県民に対しては増税にともなって各種手数料の引き上げが行われます。これにより新年度は半年で総額9000万円との事です。
そもそも今の県民生活の実態をみると、8%に増税されたときの打撃を家計調査ベースでもGDPベースでも回復するには至っておらず、県民への年間1億円をゆうに越す企業会計はまだしも一般会計で行うべきではありません。

関連して、消費税増税にともなう手数料改定である
【議第32号 岐阜県行政財産の目的外使用にかかる使用料徴収条例等の一部を改正する条例】
【・議第50号 岐阜県農林関係手数料徴収条例の一部を改正する条例】
についても反対します。

議第6号 国民健康保険特別会計予算

県事業になり2年めになりますが、医療費の増大と激変緩和の減額にともなって、本格的に値上げに動き出すものになっています。
県が決定した新年度の市町村の納付金は、県全体で約26億円の増額であり、
市町村独自に、ため込み金や一般会計からの繰入で対応しないかぎり、増額分は保険料の値上げに直結します。
国が措置した毎年3,400億円の公費投入は、新年度も行なわれますが、それと引き換えに市町村による一般会計からの公費繰り入れが減らされれば、保険料引き上げは避けられません。
国保加入者の暮らしの実態と比較し、国保料が高すぎることが、この問題の本質であることは、県も認めているところであり、
県として、負担抑制の検討を行うべきと考えます。

議第12号 徳山ダム上流域公有地化特別会計予算

私たちは、一滴も水が売れていない徳山ダム建設そのものが無駄遣いであると反対をしてきました。さらに、この上流域の山林買収によって、旧徳山村民が私有財産の侵害を受けることになり、住民にも、職員にも二重の苦労を負わせる事業には賛成できません。

議第31号 岐阜県職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する条例の一部の改正

そのうち、教職員の部活動指導業務について勤務1日を4時間3600円から3時間2700円に改定するという内容には賛成できません。
部活動に関する国のガイドラインで、休日の部活動は3時間程度が適切とされており、それに合わせた改定であることは理解できますが、実際に4時間以上かかっている部活動や試合はどうするのか、保護者や生徒への理解はどうやって得るのかなど、現場では課題は山積みとのことです。
教職員組合との交渉は決裂しており、この時点での強行はモチベーション低下にもつながりかねません。
まずは手当を削減する前に、実際の部活動時間を3時間程度に削減することが前提ではないでしょうか。

議第40号 岐阜県厚生環境関係手数料徴収条例の一部を改正する条例

この中で、介護支援専門員、いわゆるケアマネの実務研修受講試験手数料の増額に反対です。
岐阜県では、この試験の合格後に受ける実務研修の費用も1年前に増額されております。
今回は受験資格の要件が厳しくなり験者の大幅減による減収をカバーするための増額だとの事です。
知識や経験の面でハードルが高くなるのは理解できますが、費用面までハードルを上げるのは、今後の介護職員不足が課題となっている中で
全く理解できるものではありません。

議第42号 岐阜県教育委員会の職務権限の特例に関する条例の一部を改正する条例

これは、H29年度から社会教育関連の業務が、教育委員会から知事部局に移管されたことに伴って、今回、文化財の保護に関する事務も知事部局に移管するというものです。
実際にはすでに環境生活部が補助執行している業務ではありますが、本来、社会教育全般は
時の政治的影響を受けない教育委員会が所管するものであるというのが私の考えあり、賛成できません。

議第51号 岐阜県土木関係手数料徴収条例の一部を改正する条例
議第52号 岐阜県建築基準条例の一部を改正する条例

既存の建物を一時的に他の用途に転用する時の規制緩和許可に対する審査手数料と、規制緩和許可を受けた場合は、出口、廊下、階段などの条例上の規制も適用しないというものです。
空き家などの既存建築ストックの活用をすすめることには異論はありませんが、その建物内の人の命や安全性を担保するための建築確認制度や防火・耐火規制の緩和は別問題です。安易に安全に関する規制を緩めることには反対です。

請願第49号 長良川河口堰の運用見直しとゲートの試験的開放の議決を求める請願

河口堰の運用が始まって24年目ですが、深刻な河川環境の悪化にどう対応するのか具体策はありません。国と県による、ゲートを開放すると一気に塩害がおきるという懸念が出たようですが、それを裏付ける実証はなく、専門家からも疑問が出されています。愛知県が検討する開門調査を岐阜県としても検討する余地はあり、請願は採択すべきと考えます。

請願第50号 国に対し「消費税増税中止を求める意見書」の提出を求める請願

地域経済がおちこみ個人消費を喚起する必要がある時に、消費活動への課税強化、実質賃金は6年間で14万円もマイナスであるのに、5.6兆円の増税、など、この消費増税は、自営業者の営業努力や働く労働者の賃金改善に取り組む企業努力があったとしても、すべて水の泡にしてしまう多くの問題をはらんでいます。
また、地域経済だけでなく、各自治体においてはさまざまな生活困窮者支援や子どもの貧困対策に力をいれていますが、こうした支援をおこなう低所得者ほど負担が重くなりさらに窮地においこむ逆進性の問題が指摘されるのも消費税です。

委員会報告では消費税は社会保障費を維持するために必要とのことでしたが、社会保障費の自然増の圧縮や削減はこの7年間で4.3兆円にのぼります。この間、消費税が社会保障の充実にはつながってきませんでした。
いま、課税のあり方や社会保障の財源については様々な意見があったとしても、このタイミングでの増税は避けるべだという意見は、党派を超え広がっております。本請願は今年10月の引き上げを中止する意見書採択を求めるものであり、採択をもとめるものです。

請願第51号 日本政府に核兵器禁止条約の署名と批准を求める意見書採択についての請願

委員長報告では、日本は条約の署名ではなく、核保有国と非保有国両者を歩み寄らせる役割があるとの事でしたが、こうした日本政府の姿勢に対し、核兵器禁止条約への批准を求めている地方議会は3月21日時点で367自治体にひろがり、県議会の採択も増えております。
岐阜県内では関市議会、多治見市議会、池田町、神戸町、坂祝、関ケ原で採択されています。

また、核保有国であるアメリカ国内でも、地方議会から国に対し核廃絶を求める決議がひろがっており、先日は首都であるワシントン特別具議会で全会一致で採択されました。まさに両国の地方議員が核保有国と非保有国に対し条約への署名に踏み切るよう歩み寄らせる役割を果たしており、県議会で意見書採択することはなんの矛盾もありません。

地球上に存在する核兵器はおよそ1万4500発。この問題は、国家と国家の問題ではなく、人類の存続を危うくさせる問題です。唯一の被爆国として、核廃絶を真正面から要求することこそ日本の役割でもあります。
請願の願意は妥当であり、採択を主張します。

請願第52号 子どもの医療費無料制度の充実を求める請願

現在の県制度の対象を就学前から中学校卒業まで拡大してほしいという請願です。現在は県内全ての自治体で少なくとも中学校卒業まで無料化されていますが、市町村の負担が重いため、対象年齢の引き上げや子育て支援策の充実まで手が回らないのが現状であり、県の対象年齢拡大により、県内市町村の取り組みが進む可能性が大きい。

医療費の負担感についてですが、対象年齢が中学卒業までという自治体の子どもは、中学を卒業したら一気に3割負担になりますが、ほとんど高校に進学するため本人には収入はありません。学費と医療費が一気にかかるため、高校へあがったとたん治療の中断がおこるという医療現場の声もありました。
病気と闘う子どもやその家族にとって、高校を卒業するまでの3年間の無料化は大変切実な願いです。

他県の取り組みもすすんでおり、入院・通院とも岐阜県より対象年齢を充実させている都道府県は18。入院だけの場合は、岐阜県より充実している都道府県は26にのぼります。岐阜県の取り組みは全国的にも先進的な取り組みでしたが、今は全国的に見ても遅れつつあります。
少子化の影響で、無料化に要する費用も少なくなり、岐阜県の場合1学年あたり3億円もかからない予算で可能だとのことでした。委員長報告では不採択でしたが、本請願の採択を主張して、討論を終わります。

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