中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

12月議会(3)介護保険制度について

2016年12月27日 5:18 am
カテゴリ: 活動報告

給付制限などペナルティの実態を告発

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2000年にスタートした介護保険制度は「みんなで支える老後の安心」を合言葉に、介護保険料を払う代わりにいざというときは十分な公的介護サービスを受けることができるいう目的のもと創設されました。しかし16年目の現在、当時の合言葉からかけ離れた介護の実態があります。

家族の介護のため仕事を辞めざるをえない介護離職は毎年10万人以上にのぼる中、昨年の改定では、特別養護老人ホームの入居要件を原則要介護3以上とし、年間の合計所得160万円以上の方は介護の利用料が2倍の2割負担に引き上げられるなど、介護が必要な人が十分な介護を受けることができない仕組みに改変されてきました。

こうした相次ぐ給付削減は、給付を増やせば保険料が限りなく増えるというジレンマのもと進められています。このジレンマは、介護保険財政を公費50%保険料50%という割合で支えているという介護保険財政の構造的要因が大きいといえます。高齢者が増え、介護ニーズが高まる中で、改訂のたびに介護保険料は上がり続けています。保険料の県内平均基準額は、制度が始まった第1期は2,675円だったのが、この15年で5,406円と2倍以上になっています。今後、さらなる介護サービスの給付削減をしても、2025年度には全国平均8,150円程度になることが国の試算でも明らかであり、公費負担の割合を増やすしか現実的な解決方法はないと考えられます。

岐阜県社会保障推進協議会が県内自治体に聞き取りアンケートを行いまとめた結果によると、6つの町が未回答ではありますが、保険料の滞納者は県内12,053人。かつて「高齢者の負担の限界は月5000円」と言われていたそうですが、実際に保険料が支払い能力を超えたものになってきているのではないでしょうか。

(1)国に対する公費負担増額の申し入れについて

中川ゆう子の質問

こうした実態を受けて、国は、平成27年度の改定で初めて、5割の公費負担以外に保険料軽減のための公費負担を打ち出しました。年金が増えない以上、高齢者の負担にも限界があり、制度の存続に関わる深刻な構造上の問題だと認識しています。サービスを維持するうえで、公費負担の増額は避けられず、国への公費負担増額の申し入れをすべきだと思うがお考えをお聞きします。

健康福祉部長の答弁

現在、国では、平成30年度からの介護保険制度の見直しに向けて、高齢者の有する能力に応じ自立した生活を目指すという制度の趣旨を踏まえつつ、地域包括ケアシステムの推進と制度の維持可能性確保の観点から、議論・検討が行われているところでございます。こうした動きに対しまして、本年7月に、全国知事会として「介護保険制度が将来にわたり安定したものとなるよう、介護報酬の設定や保険料と国・地方の負担のあり方を含め、必要な制度改正を図る」よう、要望を行ったところでございます。

(2)介護保険料の滞納や滞納ペナルティに関する実態把握と今後の対応について

中川ゆう子の質問

続いて、保険料滞納がもたらす問題について申し上げます。介護保険制度では、保険料の滞納が続くと、介護が必要になった際、介護サービスの給付制限や通常の3倍の利用料が課せられます。このいわゆるペナルティについて、一人暮らしの高齢者などで、介護が必要になった際に、本人は無自覚のまま保険料が滞納状態になっている期間があることが判明するという事例が、現場では起こっております。本来、介護保険料は年金から自動的に天引きされますので、本人は滞納の自覚はありません。が、調べてみると生活費をやりくりするために年金受給権を担保に融資を受けており、天引きがされていなかったということでした。

高齢であったり、以前から認知症の症状があったようで、納付をうながす役所からの通知や文書は理解できず放置されていたとのことでした。介護関係者によると、これは特殊な事例ではなく、近年は増えてきているとのことでした。実際に岐阜市では、年金があり、保険料が自動的に天引きされるはずの所得階層の方の滞納がかなりの割合でおこっています。それらがすべて今回のような事例であるとは言い切れませんが、物価高の中、少ない年金でやりくりする高齢者の生活は非常に厳しいものがあるのだと思います。

また、高齢のため介護保険の通知など役所からの文書が理解できず、放置されている現状もあります。とくに、今まで保険料が天引きされており納付書で納付したことない方はなおさらです。多くの場合、こうした事態に気付くのは、介護が必要になり介護認定を受けたときだということです。そして問題は、保険料の納付は2年までしか遡及し払うことができないこと、それより前の滞納は、仮にお金を用意できたとしても納めることすらできず、介護サービスの給付制限などのペナルティがかかってしまうということです。

先の県内自治体への聞き取り調査では、回答がなかった6つの町を除き、現在ペナルティがかかっている方は県内で139名おられるそうです。先ほどの方は、ペナルティにより週1回のデイサービスのみの期間が続いたそうですが、必要な介護を受けることができない状況は結果として重症化をまねきかねません。

これは国の制度上の問題ですので国へ改善を求めることや、悪質でない滞納や緊急性の高い場合は、ペナルティ解除の仕組みを求めていくことが必要だと思います。

同時に、市町村において、防止対策として保険料滞納者の現状把握やきめ細かい丁寧な対応がされていないことも大きな問題です。また、重度化を防ぐ観点から、認知症など悪質でない滞納であったり、緊急の場合は利用料の減免や補助(2割分の利用料補てん)の仕組みなど何らかの救済措置を検討することが必要だと思います。

以上のことを踏まえて県として、この介護保険料の滞納やペナルティをめぐる問題について実態把握をし、国へ改善を要求していくこと、また防止対策や救済措置などの検討が必要だと考えるが、この問題にどう対応されるでしょうか。

健康福祉部長の答弁

介護保険料の収納状況につきましては、最新の介護保険事務調査によりますと、普通徴収対象者47,093人のうち、1カ月以上の未納があった方の実人数は14,779人でした。介護保険制度では、介護認定がされる前の10年間に滞納した保険料が時効により消滅した場合、保険給付が減額されるなどの給付制限が定められております。他方、この給付制限は、災害その他法令で定める事情がある場合には適用されず、また、保険料の徴収においては、保険料の減免や徴収猶予の制度も定められているところでございます。県としましては、これらの制度が法令の趣旨に従い、適切に運用されることが重要であると考えており、保険者である市町村における具体的な運用状況を踏まえ、必要な対応を行ってまいります。

中川ゆう子の再質問

滞納ペナルティについて、市町村の運用を踏まえ必要な対応を行っていくということだが、制度上解決策がないのが実状。地域包括支援センター1か所あたりの65歳以上の人口は、県内の市町村でバラバラだが、数千~一万数千。細かい対応だけでは防ぎようがない。県内で具体的にどれだけ発生しているのか、対策や救済措置として何ができるのか、具体的な対応をとることはできないか。

健康福祉部長の再答弁

先ほどご答弁申し上げましたとおり、まずは保険者たる市町村におきまして、関係法令の趣旨にしたがいまして適切に運用されることが重要であると感がえております。県としましても、そういった運用の状況を十分踏まえ、また、市町村のご意見も伺いながら、適切な対応を検討してまいりたいと考えております。

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