2016年12月27日 5:24 am
カテゴリ: 活動報告
県内の居場所事業の取り組みなどを紹介
今年9月、内閣府は若者生活に関する調査、いわゆる「ひきこもり実態調査」を発表しました。この調査で定義されているように、「ひきこもり」とは、自分の部屋からは出るが自宅からは出ない、自分の部屋からも出ないといった方だけでなく、趣味の用事や近所のコンビニなどには出かけることができるといった、いわゆる「社会的ひきこもり」をさしています。
「怠けている」「働きたくないだけ」などの誤解もあるようですが、決してそうではなく、「しかしいつか自分の夢を実現させる仕事に就きたい」と回答されたかたは6割以上、「仕事をしなくても生活できるのならば、仕事はしたくない」に「はい」と答えた方の割合は、「ひきこもりの気持ちが分かるがひきこもっていない」という方の半分であり、一般群に分類される方とほぼ同じ2割にとどまっており、社会の一員として自分の人生を歩みたいという思い持ちながら模索している姿が調査からも読み取れます。
しかし、40歳以上が調査の対象外になっていますが、年齢層別の調査からも読み取れるのは最初の調査であった平成22年と比較し、5年前から単純に5歳プラスになってスライドしており、ひきこもりの高齢化や長期化が指摘されています。実際に、山梨県。山形県、島根県の調査では40代以上がひきこもりの半数を超えていることも明らかになっており、行政の支援のあり方を再検討する必要もあると思います。
岐阜県では、内閣府の調査をもとに県内のひきこもりが1万人弱と推計し、今年度、ひきこもり支援の窓口としてひきこもり地域支援センターが開設されました。
若者の県外流出や東京一極集中が全国的にも問題になり、移住定住策の取り組みも充実されていますが、いま実際に県内に暮らし何とか現状を打開したいと模索している彼らを、長い目で見守り社会で受け止める取り組みこそ、これからの人口減少社会と高齢化社会を支える力になると思います。長い時間が必要だと思いますが、今後の取り組みに期待します。
(1)実態調査と課題について
中川ゆう子の質問
県内の実態把握をされているとのことですが、県内ではどのような実態や課題があるでしょうか。健康福祉部次長(医療・保険担当)の答弁
ひきこもり地域支援センターでは、県内のひきこもり支援の実態や課題を把握するために、市町村、保険所、社会福祉協議会及びNPO法人などの機関及び団体を対象に、アンケート調査を実施しているところです。126通の調査票を回収し、現在、その結果を集計、分析をしているところですが、過去5年間で、全体の約6割の機関でひきこもりの相談を受けたことがあり、また、ひきこもりの当時者の年代別では10代、20代の若い年代が約4割を占めることが判明しました。また、支援機関からは、特に相談支援に困ることとして、「ひきこもりや支援機関の情報が少ない」「支援者に対する研修が必要」などの意見もありました。今後、本年度中にひきこもり支援に関する現状と課題をさらに詳細に分析してまいります。なお、調査結果は、市町村等の引きこもり支援を行います機関、団体へ広く提供していきたいと考えております。(2)相談窓口の拡充と職員の増員について
中川ゆう子の質問
開設されたひきこもり地域支援センターは、岐阜市鷺山の精神保健福祉センターにあります。しかし職員は2名で、今後相談活動がさらに本格化した場合、きめ細かく迅速に対応するのも限界があると思います。今後、県内各圏域ごとに支援の核となる窓口や拠点が必要だと思いますが、相談窓口の拡充や職員の増員の必要性についてお聞きします健康福祉部次長(医療・保険担当)の答弁
ひきこもり地域支援センターでは、専任職員の保健師と社会福祉士の2名を配置し、相談業務を行っています。開設後6ヶ月間で、電話相談75件、面接相談64件の相談があったほか、東濃圏域と飛騨圏域に出向いての圏域相談会を2回開催し、合計で7名の参加があったところです。また、県内市町村、保険所やNPO等の支援団体においても、ひきこもりに関する相談が行われているところです。こうした状況を踏まえて、現時点では、先の調査を受けた分析や今後の相談動向を注視していきたいと考えております。(3)今後の支援の方向性について
中川ゆう子の質問
今後の取り組みの方向性についてお聞きします。医療面での相談や就労支援だけでなく、いかに社会から孤立させないかという視点や自己肯定感を取り戻すための取り組みが必要であると感じています。ひきこもっていたり社会とうまくつながることができない人でも排除することなく地域を支える一員としてとらえ、支援策を考える必要があると思うが、今後の取り組みの方向性についてお聞きします。健康福祉部次長(医療・保険担当)の答弁
ひきこもり支援の方向性としては、医療支援、生活支援等による日常生活の自立からはじまり、次に居場所の提供を含め社会参加を促すことによる社会的自立、就労支援による経済的自立と、各段階に応じて様々な支援策を適切に活用できる状況を整えることが重要であると考えています。このため、まず、ひきこもり地域支援センターが核となって、市町村をはじめひきこもり支援を行う様々な機関、団体の連携体制の構築が必須となるため、センターに配置したひきこもり地域支援連携会議の積極的活用を図り、切れ目ない支援が提供できる体制づくりに努めてまいります。(4)他自治体の取り組みも踏まえた居場所事業の必要性と今後の取り組みについて
中川ゆう子の質問
居場所事業の必要性と今後の取り組みについてお聞きします。ひきこもり支援を行っている方や、市町村担当者にお話を聴くと、本人が徐々に社会に目が向いていったときに誘い出せる場所がないこと、就職がうまくいかずひきこもりがちになった時に、戻れる場所がなく、結果としてひきこもり状態に戻ってしまうなど、居場所がないことへの課題が出されています。岐阜市では、生活困窮者やひきこもり状態の方を対象に、社会的自立や就労支援の核に居場所づくり事業を位置づけ、社会とつながるきっかけや就労など次のステップに進む前段階の支援を行っています。食事会、職業体験、ボランティア活動など利用者が提案した企画が行われているとのことです。人が集うということは、それぞれに自然に役割が生まれ、結果として社会参加の入り口になっていますが、残念ながらこうした取り組みが県内各地に広がっているわけではありません。土岐市の生活・就労準備支援センターでは、周辺の自治体や中津川市などの遠方から通うかたもいらっしゃるそうです。現在、行政の支援は、医療相談と就労支援が中心ですが、それらの支援を行う核として居場所づくりが必要と考えます。そこで、このような県内自治体の取り組みを踏まえ、居場所事業の必要性と、今後のとりくみについてどのようにお考えでしょうか。お聞かせください。