中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

12月議会(3)岐阜県子ども食堂運営事業と子どもの貧困対策について

2017年12月11日 10:51 am
カテゴリ: 活動報告

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「子どもの貧困」が注目され社会的問題になる一方、実際に貧困家庭が見えないという声も聞こえるようになりました。
貧困というと、「今食べるものがない」「家がない」「服がない」といった目で見て認識しやすい状況を思い浮かべがちですが、食事内容が菓子パンだったり、自宅に勉強できるスペースがない、孤食、健康状態が悪いなど、相対的貧困は目で見えづらく、孤立しているため周りも気づきにくいという複雑な問題をはらんでいると思います。

家庭の経済力と学力に大きな関係性があることが指摘され、貧困の連鎖を断ち切るための学習支援や子どもの居場所としての子ども食堂が、地域の草の根レベルで広がっていったのも、こうした背景があると言えます。

県の子どもの貧困に対する取り組みとしては、こうした住民の自主的な取り組みを大いに支援し継続させることはもちろんですが、子どもの生活基盤である家庭にたいする子育て支援、不安定雇用から正規雇用への転換、教育の無償化、社会保障の充実など貧困そのものをなくしていく取り組みを、つよく要望します。

そこで3点、子ども女性局長にお聞きします。

子ども食堂の運営支援に関する予算

今年度、子ども食堂運営支援事業補助金と子どもの居場所づくり推進事業補助金が新設されました。
当初予算で800万円との事ですが、まずこの執行状況についてお聞きします。

新年度予算の目玉として新聞にも大きく報道され、多くの県民が期待をしていたため、今年度に入り、「どうやったら支援をうけることができるのか」「くわしく知りたい」など私も多くの方から問い合わせを受けました。
夏休みになっても実際に子ども食堂を運営している団体に県の補助内容が伝わってこないので県にお聞きをしたところ、丁寧に市町村を回って要綱や運用方法を作っているとのことで、秋には全容を示すことができるという見通しだとの回答でした。
しかし、子ども食堂を運営するには、場所や日程の決定、スタッフ集め、食材集め、メニュー、宣伝、問い合わせや申し込みの電話対応など、事前の準備だけでも相当な労力がかかります。夏休みを中心に取り組む場合は、夏前から準備に入る事、さらに具体的に予算が付くのか付かないのか分からない中、自腹の支払いにも限界があることなど考えると、県の対応は実態に合っていなかったのでは、と感じています。

結果として、12月時点で予算の執行はゼロとなっています。

多くの方が期待を寄せていた事業であっただけに、非常に残念ですし、せっかくの貴重な財源がまったく生かせていないことに対する責任は重いと思います。
実態把握ができていたのか、制度設計に問題はなかったのかなど、検証が必要だと思います。

中川ゆう子の質問

これら子ども食堂運営支援事業等について、今年度予算額が現時点でまったく執行されていないことについて、なにが問題だったと捉えておられるか、子ども女性局長にお聞きします。

子ども・女性局長

家庭の様々な事情により、1人で食事をとることが常態化したり、生活習慣が見につかないなどの問題を抱えた子供に対して、温かい食事や安心して過ごせる居場所を提供する、いわゆる「子ども食堂」の取り組みを支援するため、今年度、新たに
市町村への補助制度として「子ども食堂運営支援事業」等を立ち上げました。

予算措置にあたっては、各市町村のご意向をお聞きした上で、希望のあった5団体分を見込んで所要額を措置したところ、関市において7月から事業が実施されており、今年度の補助金を交付予定です。

他の4団体は、検討を行う中で、別の財源として国庫補助事業を活用するほか、県の補助要件に合致しなかったなどから、市町村などによる単独事業で対応され、県の制度を使わないこととなりましたが、「子ども食堂」事業としては5団体で実施されているところです。

来年度に向けた制度改善について

この事業の目的は、単に孤食を防ぐ、子どもの健康を支えるというだけでなく、行政の相談窓口になかなかつながらなかった事例を支援につないだり孤立させないという役割もあると感じています。

実際の子ども食堂の運営はどこも財政的な苦労は絶えず、ほとんど支援者の持ち出しや負担で賄われています。岐阜市のある子ども食堂では、立ち上げた年に10万円の赤字となり、来年からどうしようと不安になる中、必死に続けているという話です。
もともと子どもの多くの負担をさせるわけにもいかないため、採算のとれる性格のものでもなく翌年の見通しも立てられない中で行っている実態をみております。

また県の調査によると、子ども食堂がない市町村は県内42市町村中半数以上の26自治体にのぼっており、市町村で取り組んでいないところでの掘り起こしが必要です。

そこで、私が、制度を改善してほしいと考えるポイントは次のとおりです。

まずは実態に合った補助条件の緩和です。
県の定めた補助対象は、法人であること、月1開催とするなどが条件になっていますが、もともと草の根で始まった取り組みであり、個人で立ち上げて場所を借りて数人のグループで行っておられたり、夏休みなど長期の休みに連日開いたりと、形態もさまざまで実態にあっていません。

また、ブームで終わらせない息の長い取り組みにしていくことがこの事業の鍵だとおもうので、活動の継続性を重視した支援にしてほしいと思います。
現制度のように1回限りの立ち上げ支援でなく、少額で良いので先の見通しがつく支援を望む声が多くあります。
運営の見通しがつけば、子ども食堂の新たな広がりにもつながると思います。
次に、市町村が運営または補助、委託する子ども食堂が補助対象となっていますが、市町村が子ども食堂支援に取り組んでいないところこそ、支援し広げていくべきと考えます。
市町村の取り組みが薄い地域こそ掘り起こしが必要であり、県が最も力を入れる必要がある地域です。実施団体から県に直接申請できるなどの条件緩和も考えてほしいと思います。

以上が、私がこれまで伺ってきた意見です。これらをふまえお聞きします。

中川ゆう子の質問

来年度に向けて、制度改善にどのようにとり組まれるでしょうか。

子ども・女性局長の答弁

子ども食堂への支援事業の制度設計にあたっては、市町村や子ども食堂に関わる団体から意見をお聞きするとともに、他県や他の補助し制度を参考に定めたところです。

しかし、先程ご答弁申し上げました通り、補助要件に合わなかった事例もありますので、ご指摘いただきました点や、市町村、運営団体のご意見も踏まえ、制度の見直しについて検討してまいります。

検討にあたっては引き続き市町村が関与する形で事業を実施してまいりたいと考えておりますが、法人格を有する団体に限るなどの要件につきましては、改めて検討してまいります。

県による子どもの貧困の実態調査の実施について

子ども食堂の支援事業は、制度立ち上げに向けて職員の方が現場に足を運んで頂いたと聞いています。
しかし、実際には現時点で利用できる制度にならなかったのは、事前の実態把握は不十分だったのも原因の一つではないかと考える。

県が子どもの貧困対策ですべきなのは、先にのべたように、子どもの貧困そのものをなくしていく取り組みであり、検証を重ねながら長く継続的な取り組みが求められると思っています。

平成26年に閣議決定された「子どもの貧困対策大綱」では、地方自治体で「子どもの貧困対策について検討の場を設ける事、子どもの貧困対策の計画を策定することが述べられています。

独自調査で子どもの貧困率29.9%とした沖縄県では、県独自で子どもの貧困について調査をし、対策を討議しています。調査費に対して4分の3が国から交付される「地域子どもの未来応援交付金の活用も全国で進んでいます。

岐阜県においては、県ではなく各市町村が主体となった実態調査が進められていると聞いていますが、県も努力されているとは思いますがその実施数はまだまだ県内の1部に留まっています。
また市町村独自の調査項目や調査方法では、市町村同士で結果を比較することもできず客観的で正確なものが得られないという声も聞きます。

中川ゆう子の質問

子ども食堂への支援をはじめ、さまざまな支援制度の創設や検証のためにも
県として、子どもの貧困に関する実態調査を行う必要があると感じるがいかがでしょうか。

子ども・女性局長の答弁

子どもの貧困の実態調査は、貧困の実態を把握し、その実態に応じた支援策につなげることを目的としております。

県の調査に対して、市町村に意見を伺ったところ、特に郡部からは、「貧困の実態はすでに把握している」、「一律調査はやめてほしい」などのご意見をいただいたところです。

このため、実態調査は、その後具体的支援の実施も念頭に置きながら、その地域の子どもや支援団体の状況を熟知する市町村が主体となって行うことが望ましいとかんがえたところです。

その上で、今年度、県でモデル調査票を作成して市町村にお示しし、調査の実施を働きかけてまいりました。
その結果、現在、6町村においては調査が行われているところであり、今後も調査の拡大や施策の充実に向けて、引き続き市町村を支援してまいります。

中川ゆう子の再質問

市町村により様々な意見があるのは承知しているが、市町村がバラバラに調査をしても比較できないので、ぜひ県でやってほしいとの意見もある。県が子どもの貧困をなくすという視点で実態を把握するべきであり、県で実態調査を行う必要があるのではないか。

子ども・女性局長の再答弁

子どもの貧困の実態調査について、一部の市町村から県で実態調査をして欲しいとの超えがあることは承知しております。

先程ご答弁申し上げましたが、実態調査は、その地域を熟知する市町村が実施する必要があると考えております。今年度に調査を実施している市町、来年度に調査の実施を検討している市町は、合わせて13団体になる見込みであり、毎年、実態調査を行う市町村は増えてきております。

この市町村ごとに調査を行うとともに、調査を実施する市町村のために、県が標準となる統一的な調査票をお示しし、市町村んが独自項目を追加することができるようにすることで、より効果的、効率的な調査になると考えております。

県は、引き続き、市町村が実施する実態調査を、しっかり支援してまいりたいと考えております。

中川ゆう子の再々質問

子ども食堂の予算は実態にあっていない。予算が使われなかったことの責任と県が実態をつかむことの必要性をどのように感じているか。

子ども・女性局長

予算計上時に県の補助事業の実施を想定していたものの、県の補助事業を活用しなかった4団体については、県の補助事業を活用したほか、子ども食堂以外の事業も一緒に実施するために市町村単独事業で実施した団体がある一方で、県の補助要件と合致しなかったために市町村の単独事業として実施した団体もありました。

何らかの形で、「子ども食堂事業」が実施されたところでありますが、多くの方に利用していただく補助制度とするために、市町村、子ども食堂運営団体のご意見をお聞きしながら、補助制度の内容については改善を図ってまいります。

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