中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

12月議会(3)県職員の労働環境

2015年12月16日 8:50 am
カテゴリ: 活動報告

配置と働き方の見直しを

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Q、中川ゆう子

県庁や議会棟に出入りするようになり驚いたことは、平日の夜はもちろん、週末の夜に通りかかっても、県庁舎には多くの明かりがともっていることです。これでも一時期よりは改善したとのことですが、本来、一時的、臨時的な勤務であるはずの時間外勤務が、多少の波はあるにしろ、年間を通して慢性的に行われているこの状況は、職員に大きな負担がかかっているのではないか、と率直に感じるところです。以前から県では、「早く帰る日」「ノー残業デー」などさまざまな取り組みを進めていますが、一部の職場では、職員が非常に遅い時間まで職場に残らざるを得ない状況が慢性化しており、人事委員会からも、毎年、長時間労働慣行の見直しについて勧告されています。現状をお聞きしたところ、イベントや災害などへの対応のたびに人事異動を行って、なるべく業務量が偏らないように苦慮されているとのことです。しかし、そもそもどこの職場にも職員が十分に配置されているわけではないため、イベントなど突発的業務に職員をあてるため、人員を減らされたほうの職場は大きな負担となっているようです。また、柔軟な人事配置の名目で、年度途中に新たな業務に充てられる職員の負荷も非常に大きいと思われます。実際、岐阜県は人口1万人あたりの一般行政部門の職員数が、人口同規模県のうち、指定都市の所在する団体を除くと、2番目に少なくなっています。平成22年度から3年間にわたって実施された「行財政改革アクションプラン」によって、歳出削減などにより、約860億円の財源対策を図ったとのことです。そのうち約292億円は人件費の削減であり、この間の行政職の採用人数は10数名程度にまで抑えられて、近年において最小人数に絞っていると聞いております。これまで県は、こうした行政のスリム化を「効率的な行政運営」と評価してきましたが、貧困世帯の増加、高齢化など、社会変化の中で行政の果たす役割は大きくなっています。はたして業務量と職員数のバランスがとれているのか、疑問を感じるところです。人事課によると、今年度4月から12月7日までで知事部局の職員の年度途中の異動は256人にのぼっています。また、各職員がそれぞれ専従の業務をになうのを原則に人事は行われますが、4月1日時点で複数の部署の業務を一人で兼務する職員の数は、448人にのぼるということです。病気による長期休職のうち精神疾患を原因とする職員の割合も50%と高い状況であり、業務量と職員数のアンバランスさがこういった数字に表れているのではないかと思われます。先にお伺いした、雇用支援やひきこもり支援を見ても、行政の行う仕事はマンパワーによるものが圧倒的に多いです。極端にスリム化されたことによる業務の多忙化が、職員を追い詰めてしまってはいないか、県民と時間をかけて向き合う余裕が失われているのではないか、と危惧しております。そしてこうした悪影響は最終的には県民にしわ寄せが行き、行政サービスの低下を招くことになりかねません。

1点目、知事へ質問

職員数と業務量のバランスに対する考え方と今後の方針について知事に1点お聞きします。知事自身、組織全体を見て、職員数と業務量の現在のバランスをどのように捉えているでしょうか。また、全国的に見ても、極端にスリム化されている組織について、今後どのように改善される方針でしょうか。

知事の答弁

県職員の職員数と業務量のバランスということについてのご指摘でございます。午前中、太田議員からもご質問がございました。重複する部分もあろうかと思いますが、本県の職員数は、平成17年から24年にかけての行財政改革大綱、行財政改革アクションプランに沿った取組みの中で、組織の見直し、職員数の削減を進めた結果、平成17年度の職員数と比較しますと約900人、率にして18%の削減が行われたということでございます。その後は、概ね同程度の規模を維持している状況でございます。いろいろと改善努力は重ねてきておりますが、そうした中でも、新たな政策課題には積極的に対応するということで国体、育樹祭などの大規模プロジェクトでありますとか、あるいは喫緊の危機管理案件などにおきましては、事案の進捗に応じて必要な人員をタイムリーに配置するとともに、事業終了時には、行政需要に応じて速やかに組織を見直して戻すということも含めて、極力柔軟に対応するように努力をしてきているところでございます。また、県民サービスの低下につながらぬよう、例えば、今年度では、子ども相談センターにおいては、心理、あるいは警察OBといった非常勤専門職、あるいは再任用職員の増員を図っておりまして、子育てに関する相談、複雑化する児童虐待事案にもそういった形で対応してきております。また、午前中にもお話がありましたけれども、今年度から発達障がい者支援センターも新規に6人体制でスタートしているところでございます。私としては、組織の効率化を進める中にあっても、県民ニーズに配慮しな原、不断に事業進捗に応じた業務量を見定め、柔軟にバランスのとれた組織運営に努めていくことが重要であるというふうに思っております。従いまして当面は、基本的には、概ね現在の職員数を維持しながら、組織管理、労務管理の双方について、不断の見直しの中で、効率的な行政運営と行政サービスの向上、あるいは新しい課題への対応を図るということで、メリハリをつけて対応するというのを基本にしていきたいというふうに思っております。

2点目、総務部長へ質問

労働環境を改善するための今後の取組みについて、総務部長にお聞きします。午前中の質問において大田議員が質問されていますが、今議会には過重労働と行き過ぎた指導により、労災認定された事案について、県に対しての損害賠償にかかるご遺族との和解議案が提案されております。また、前回の9月定例議会では、渡辺議員の「県職員の職場環境について」の質問に対して「平成28年度から全職員に対するストレスチェックを実施し、必要に応じ、医師による面接指導や、就業上の配慮を行うなど、職員のメンタルヘルス対策のさらなる強化に努めて」いくとの知事の答弁がありました。改正労働安全衛生法におけるストレスチェック制度の適用は、パワハラや劣悪な職場環境の改善のための大きな一歩だと思いますし、知事の答弁についても重く受け止めたところです。しかしながら、ストレスチェックによってストレスが大きい職員を発見し、その職員に対する配慮を行うことは、あくまでも対症療法であり、長期休職者の50%に達する精神疾患の職員を生み出している構造を根本的に解決する対策としては、あと一歩踏み込む必要があると感じます。この改正労働安全衛生法におけるストレスチェック制度の1次、2次予防は個人に対するものですが、本来はそれ以前の0次予防、個人ではなく職場全体を変えることこそ真の目的です。アリバイ的、作業的に行うのではなく、この際、職場全体を変えるという心構えで取り組んでいただきたいと思います。より良い労働環境があってこそ、県民から見てよりより行政サービスが生み出されます。そこでお聞きします。長期病気求職者の半数以上が精神疾患を理由にした休職という現状ですが、こうした労働環境を今後どのように改善していくお考えでしょうか、おたずねします。

総務部長の答弁

私どもの職場環境の改善に向けた今後の取組みについてお答えします。本件の長期病気求職者のうち精神疾患を原因とするものは、ここ数年%%程度で推移しており、職務に専念できる職場環境を整備し、職員の心の健康を確保することは、たいへん重要な課題であると認識しております。このため、これまでも先程知事が申し上げたとおり業務量などを踏まえた柔軟な人事配置に取り組んでおりますほか、職員個々の時間外勤務の状況を毎月把握し、労働時間が長い職員には直接状況を確認したうえで個別に解決策を指導するなどの取組みを行ってきたところでございます。今後は、こうした取組みに加えまして、来年度から実施するストレスチェックにおきましては、職員個々のストレスの程度を把握し、不調を未然に防ぐだけではなく、高ストレスの職員が多い所属を明らかにした上で、その所属ごとの業務負担や上司のサポート、職場内のコミュニケーションの状況などについても分析することで、業務量や人員配置の見直しにつなげるなど、より一層の職場環境の改善を図ってまいりたいと考えております。

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