中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

12月議会質問(3)8050問題に象徴されるような複合的な課題を抱えた人々に対する支援について

2018年12月24日 2:57 pm
カテゴリ: 活動報告

8050問題に象徴されるような複合的な課題を抱えた人々に対する支援について

これまでひきこもりやニートが若い世代の問題ととらえられてきましたが、国が40才以上のひきこもり状態の方の調査に乗り出したように、ひきこもりの長期化と高齢化、無業状態の長期化がこれまでにない複合的な問題になってきました。自治体による調査でも、山梨県の調査ではひきこもり状態の方の6割が40才以上、佐賀県では7割以上という結果が出ています。

8050は必ずしもひきこもり状態だけを指すわけではないと思うが、少なくとも社会的なつながりがなく、社会的に孤立した状況の本人が50代前後となり、80代の親が50代の子どもの生活を支えることになるのが「8050問題」です。

複合的な問題になっている理由は、これまで両親が働いていた時と異なり年金暮らしになり養っていけるだけの収入がないこと、親自身に介護が必要となり家族まるごと生活が成り立たなくなる、親の病気や死亡をきっかけに生活が破たんしてしまうなど、経済的問題だけでなく、介護や医療など複合的な問題を抱えている場合が多いと言われています。

そして、このひきこもりについては、原因は病気なのか無業状態によるものなのか様々ありますが、決して本人の怠けからきているわけではなく、ブラック企業の中で働き続け心身ともに壊してしまった、過労によって精神疾患を発症したなど、現在の社会構造が少なからず起因してるいという事は、厚労省の調査からも明らかになっています。しかし、これに対し具体的な施策やひきこもりの原因の一つである就労環境や社会構造の見直しを行わず何十年も放置したことが今の8050問題の背景にあるのではないかとも思います。

実際に相談が寄せられる時には親も子も介護、貧困、就労、医療など問題が複合的になり深刻化している場合が多いのですが、なるべく人に知られたくないという意識や相談できる場が知られていないこともあり、こうなる前段階では公的支援につながりづらいのも、8050問題の特徴です。

詳細は省きますが、あるご家庭では、もうすぐ90歳になる母親と50代の男性の二人暮らし。
90歳になるということで車を手放したが、通院の足がないという相談がきっかけでした。お話を伺う中で、息子さんがひきこもり状態のため、自分自身はデイサービスの利用も出来ない、また家庭内暴力や借金の問題も抱えてみえることが分かりました。様々な窓口に相談し子どもに精神疾患があることが分かったのですが、この家族をどうやって支えていけばよいのか、いまだ糸口を模索中です。

また、もう一つの例は、80代の女性が病気の治療ができないという相談。よくよくお話をお聞きすると、無職の子どもと同居しており自分が入院すると生活ができないということでした。

自治体によっては、介護分野や生活困窮支援など各支援分野が横の連携がとれているところもありますが、実態にはかなりの差があり、全体的にまだまだ進んでいないと感じています。
各市町村単位に総合的に相談を受け付け問題を洗い出す窓口と、介護や医療など各分野から家族の問題に気付き総合的な相談窓口に繋ぐという、横断的な体制を県が働きかけて作っていく必要があると考えます。

そこで2点、健康福祉部長にお聞きします。

中川ゆう子の質問

いわゆる8050問題と呼ばれていますが、複合的な課題を抱えた人が社会的に孤立しているような問題について、どのような課題意識を持ってみえるのか、お聞きします。

健康福祉部長の答弁

複合的な課題を抱える世帯とは、80代の高齢の親と働いていない独身の50代の子が同居している8050世帯のほか、介護と育児に同時に直面するいわゆるダブルケア世帯、障害のあるこの親が高齢かし介護を要する世帯などがあると承知しております。

こうした世帯は、少子高齢化・人口減少社会が進展する中で、自治会・町内会の加入率が減少し、地域のつながりが希薄化することに伴い、誰にも相談できずに社会的に孤立し、家庭内で課題を抱え込んでしまっている可能性があります。

また、複合的な課題に対しては、これまでの支援策は、高齢者や障害者など対象者ごとに整備されてきており、必ずしも十分に機能しないケースも見受けられます。

そのため、様々な支援をワンストップで受け付け、支援機関につなぐことの出来る包括的な相談支援体制の整備が必要であると考えております。

中川ゆう子の質問

相談体制や支援する方の育成についてです。こうしたケースにあたる相談支援を横断的に行う体制づくりや人材をどのように育成されるか、お考えをお聞きします。

健康福祉部長の答弁

複合的な問題を抱える方に対する支援体制として、今年度中に策定予定の第四期岐阜県地域福祉支援計画において、様々な相談をワンストップで受け付け、支援期間につなぐ相談窓口を全ての市町村に設置することを目標に掲げる予定です。

この窓口で相談を受ける人材を育成するため、包括支援センターなどの相談業務従事者に対して、研修を行うことを検討しております。

具体的内容としては、生活困窮、介護保険、子育て、障がい福祉など、各種福祉分野の事項をついての研修に加え、ケーススタディや現地実習もとり入れた実践的な研修を実施することを考えております。

こうした相談支援体制の整備や人材育成により、複合的な課題を抱えた支援を充実し、地域共生の実現を目指してまいります。

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