2022年3月14日 6:30 pm
カテゴリ: 活動報告
本会議の質問、[6]リニア中央新幹線整備に関する諸課題について。3月11日、午前。
3月11日,午前にリニア中央新幹線整備に関する諸課題について、本会議で質問しました「[質問 中川]
(1)瀬戸トンネル事故の検証と今後の対応について
経済性、安全性、環境への影響など多くの側面から問題があると申しあげていますが、まず(1)瀬戸トンネル掌故の検証と今後の対応についてお聞きします。山岳トンネル工事での事故が頻発しております10月27日の瀬戸トンネル工事での死傷事故以降、11月伊那山地(いなさんち)トンネル工事、今月は愛知県春日井市に続き、8日には安全確認後、工事再開した当日に伊那山地トンネルで事故が発生しています。
事故に遭われた方に心よりお見舞い申し上げるとともに、リニア工事が、現場の作業員にとっても、地元住民にとっても安全が担保されるものであるべきだということを強く申し上げます。
先の12月議会では、瀬戸トンネル工事に対し、知事より「安心安全な工事遂行が必要不可欠である」との姿勢で対応にあたる旨を、都市公園整備局長より「JR東海から報告を受けた段階において、県としての検証を加えていく」旨のご答弁がありました。
そこで1点目、知事に伺います。その後、県としてリニア瀬戸トンネル事故をどのように検証され、今後の対応はどうお考えでしょうか。
<答弁 知事>
次にリニア中央新幹線に関して、2点お尋ねがございました。まず、瀬戸トンネルの事故の検証と今後の対応でございます。リニア中央新幹線工事における昨今の相次ぐ事故は、大変遺憾なことでございます。このため、「急がば回れ」とも言いますが、まずはJR東海に対し、徹底した工事の安全性確保を求めることを最優先に対応してまいりました。
まず、事故後本県から、JR東海に対して第一に、事故原因の徹底的な検証と安全対策の再点検、第二に、再発防止策の策定、第三に、本県を含めた地元への丁寧な説明と納得、そして、これらを全て満たすまで、県内全トンネル工事を再開しないことを要請いたしました。
これに対しJR東海からは、12月22日に瀬戸トンネルの事故に関する検証報告書及び他の岐阜県内3工区の安全対策に関する報告書が提出されました。これらの報告書に基づいて、JR東海から沿線両町及び地域住民に対して、検証結果や今後の対策についての説明が行われました。
県では、報告書を受け、環境保全措置及び安全対策の2つの観点から、専門家の意見聴取などによる検証作業を進めてまいりました。
まず、環境保全措置についてでありますが、12月2 8 目及び1月1 3 日に「環境影響評価審査会地盤委員会」を開催し、1月28日には、現時点では地盤沈下は認められないものの、監視の継続が必要であるなどの意見が取りまとめられました。
次に、安全対策に関しては、新たにトンネル工学などの専門家による「リニア建設工事安全対策専門家会議」を立ち上げました。1月l4日及び30日に開催をし、2月9日には、JR東海が工事のリスク管理や評価に責任を持ち、より積極的に関与すべきであるなどの報告書が提出されました。
本県としては、これらに加え、沿線市町から寄せられた意見も踏まえて、2月25日にJR東海に対し、「岐阜県知事意見書」を伝達いたしました。その中では、地盤沈下の監視、適切な環境保全措置の実施、リスクに対する検討体制の整備や責任の明確化、フォローアップの実施などを求めるとともに、JR東海による沿線地域への説明が完了するまでは、工事を再開しないよう、改めて要請いたしました。
現在は、JR東海が私どもの知事意見に対する対応方針を取りまとめている段階でございます。今後報告があり次第、内容確認を進めるとともに、JR東海による沿線地域への改めての丁寧な説明を求めてまいります。
なお、今月1日に発生した愛知県内の、また、今月8日にも発生した長野県内のトンネル事故についても、別途、検証結果の報告を求めてまいります。
[質問 中川]
(2)車両基地整備にかかる農業用ため池の計画変更について車両基地整備にかかる農業用ため池の計画変更について農政部長にお聞きします。まず、リニア車両基地との予定地と農業用ため池の位置関係について地図を用意しました。
上流/下流 農業ため池の位置(旧溜池) 旧溜池という名前の農業用ため池で100年以上
この地でため池として使われ続けているそうです。
そして、ため池の上部にリニア車両基地の予定地 ため池から下流にこの水を使用している水田が広がっています。これが位置関係です。
もともとこの農業用ため池は、耐震補強のため単独で改良工事の設計が行われていました。しかし、リニア車両基地用地の開発に伴う洪水調整池機能をこの農業用ため池に付加し、(要するに容量を増やし)、農業用ため池と車両基地の調整池機能を兼用する計画変更が行われました。
平成29年8月、県、中津川市、JRの3者で工事の協定書が交わされています。通常、民間の開発行為に伴う調整池と、農業用ため池は別ものであり、一体で整備する事例は全国でもまれで、県内では前例はありません。
農業用のため池の性質上、計画変更は、水量だけでなく水質維持という点、将来的な影響も含め多面的に検証し、慎重に検討すべき性格のものです。
他のため池工事とは内容が異なる異例の事業ですから、議会に説明があってしかるべきと感じています。
そこで農政部長に車両基地整備にかかる農業用ため池の計画変更についてお聞きします。この計画変更はどのような理由で行われたのでしょうか。
また、民間企業の調整池と農業用ため池を一緒に整備することは全国的にもあまり例がなく県内では初めてのことです。
本来、予算審査に当たっては議会に説明がなされるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
<答弁 農政部長>
中津川市の旧ため池については、平成27年度に耐震工事のための計画を定めたところ、平成28年4月にJR東海から、県の改修に合わせて、ため池に車両基地の洪水調整機能を付加してほしい旨、申し入れがありました。県としては、1点目に、JR東海が別に調整池を設けた場合、ため池の集水区域の約半分が失われ、水不足が心配されること、2点目、共同工事とすれば、県の工事費を3割以上削減できること、また、3点目、JR東海がため池受益者の同意を得たことから、事業の実施方法をJR東海から洪水調整機能を付加する工事の委託を受けて県が行う共同工事へと変更することとし、翌29年12月から工事に着手、令和2年6月に完成をしたものです。
議会への対応につきましては、契約案件としては、工事の金額から議決案件や報告案件とはなっておりません。なお、今回のような民問と共同で実施した事例としましては、ダム事業における発電事業者との共同工事などがございます。
[質問 中川]
(3)ため池に隣接するリニア新幹線車両基地へ要対策土の最終処分計画について3点目。このため池にするリニア車両基地へ要対策土の最終処分計画について知事にお聞きします。要対策士とは、カドミウム、水銀、ヒ素などの重金属、酸性土などで、土壌汚染対策法の基準を超え汚染対策が必要なるいわゆる「汚染対策土」と呼ばれるものです。
JR東海による住民説明会資料の内容では、トンネル掘削にともなう建設残土100万立米を、ため池上部の車両基地内と車両基地北側に埋め立て、そのうち、地元の方によると要対策土は約38万立米と発表されたようです。
ため池上流の谷部分、湿地が続いているところにため池の盛土の約3倍、高さ約30メートルの埋め立てがされると説明があったようです。
熱海の災害を契機に、こうした建設残土の埋め立ての危険性が指摘をされていますが、さらに今回はこの中に要対策士を処介するとのことですので、この点を質問します。
建設発生土検討委員会の資料にあるボーリング調査ではこのエリアが軟弱な地盤であることが示されており、最終処分場としてそもそも適さない可能性があります。
さらに、遮水シートで包み込むという最もシンプルな方法で埋め立てる計画となっていますが、農業用ため池と調整池機能が兼用されている以上、ここから何らかの理由で汚染物質が染み出した場合、下流一帯の水田への被害は計り知れないものになります。
過去には可児市において要対策土から染み出た強度の酸性の水によって、魚が死んだり稲作が中止になったと新聞が報じており、最終処分場所としてふさわしいとは思えません。再検討を求めていくべきと考えます。
そこで知事にお聞きします。こうした、「ため池周辺を要対策土の最終処分地とする」とのJRの説明に対し、住民からは心配の声が出されています。
農業用ため池の水質はこの地域の農業振興に大きく影響を及ぼすことであり、この場所を要対策土の最終処分地にすべきではないと考えます。今後、県としてどのように対応されるか
<答弁 知事>
最後に、ため池に隣接するリニア中央新幹線車両基地における要対策土の最終処分計画についてのお尋ねでございました。リニア中央新幹線車両基地に係る要対策土を含めた発生土の最終処分計画について、現在、JR東海から地元住民の皆様に計画素案を説明されていることは承知しております。
リニア工事では多くの土砂が発生いたしますが、その処理に際して様々な環境影響が生じる可能性があります。このため、平成26年3月にJR東海に提出した、「環境影響評価準備書に対する知事意見」におきまして、JR東海が新たな発生土置き場を設置する場合には、環境影響評価法に基づく手続きに準じた対応を求めております。
具体的には発生上置き場の計画にあたって、JR東海が周辺環境への影響を考慮して、大気、騒音、水などの調査項目を設定した上で影響の予測を実施し、その影響を低減するための環境保全措置の内容を定めるとともに、事後調査やモニタリングの計画を策定し、それらすべてを県へ報告することになっております。
・JR東海から、その報告書が提出されたのちに、県としては、当該報告書の内容について、県環境影響評価審査会を開催しつつ、審査をいたします。
具体的には、ため池などの周辺環境を考慮して、水質、地下水などについて現況がまずしっかりと把握されているかどうか、発生土置き場の設置による影響が適切に予測されているかどうか、環境保全措置の内容がため池などの水質への影響を低減できるものとなっているかどうか、地下水や河川水などのモニタリング計画が適切であるかどうかなどについて、審査をいたします。
これらの審査結果を踏まえ、JR東海に対し県としての意見を述べることにより、必要な対応を求めてまいります。その過程で中津川市の意見を聴取するとともに、住民説明会も開催することとなっております。
その後、要対策土につきましては、さらに埋立て規制条例に基づく知事承認に係る手続きを行くことになります。まず、JR東海は、汚染拡大防止措置の内容や地下水モニタリングの方法などについて記載した協議書を県に提出することになります。
県は、提出された協議事について、汚染拡大防止措置に係る工法の選定や設計施工などの基準を定める国土交通省マニュアルに合致しているかどうかを確認いたします。
その際、専門家の意見を聴取しつつ、埋立てを認めるかどうかを審査してまいります。以上の手続きを通じてしっかりと対応してまいりたいと思っております。
[再質問 中川]
ため池に隣接するリニア中央新幹線車両基地における要対策土の最終処分について、知事に再度伺います。今後、環境影響評価の調査の後、汚染土については協議書を交わすところまでやるのだということでしたが、先ほどの農政部長の答弁にあるように、ため池の集水区域の半分が残土で、その3分の1が要対策土になるという計画なのです。
農業に、この地域の水を集めて農業に活用するということになっております。わざわざ、そういう農業用に使っている水のところに要対策士を持ってくる道理があるのかどうかと私は考えます。この危険性とかリスクの認識について、そのお考えを伺いたいと思います。
<答弁 知事>
要対策土の最終処分計画につきましては、まだJR東海から私どもの方に具体的な計画なり、環境影響評価のあり方なり、何ら出てきていないわけでありますから、そういったものが出てくれば、厳正に対処するということでございます。[再々質問 中川]
最後のリニア中央新幹線の車両基地における要対策土の最終処分計画について、これも知事に再度伺います。厳正に対処していくというふうに答えていただきましたので、その点もう少し伺いますけれども、安全性をこれから求めて、追求していくのはJRですね。県は、予想されうるすべてのリスクを取り除いていくという役割があると思います。この厳正な対処の中には、場所そのものの見直しも含めたものになるのか。そのお考えを伺います。
<答弁 知事>
環境アセスメントというルールと、それから埋立て規制条例に基づく知事承認、というルールと、それぞれルールがあるわけですから、そのルールをクリアしない限りは、実現しないということでありますので、私どもは、法とルールに則ってしっかりと審査をさせていただくということかというふうに思っております。ちなみに、可児の例を先ほどご質問の中で挙げておられましたけれど、まさにあの可児の例の反省に立って、平成I9年でしたか、岐阜県としての理立て規制条例を設定したわけでございますので、まさに法とルールに従って、きっちりと判断をしていくというのが私どもの立場でございます。
持ち込み資料 → 旧ため池概要図(出典入) 県議会持込資料 20220311