中川ゆう子

長引く物価高騰により、値上げが追いつかないという厳しい状況が続いています。特に深刻なのは、値上げができず、経営努力で収入を上げることもできない社会福祉施設や医療機関また、カンパや補助金のみで運営している子ども食堂などです。
子ども食堂では希望者が昨年の2倍近くに増え、子ども食堂を必要としている子どもたちが増えているそうですが、あらゆる食材が値上がりしてメニューを考えるにも限界がきているとの声が届いています。実状に合わせた補助金制度の見直しなど支援が必要だと思います。
また、介護施設などでは、現在の介護報酬が今の物価高騰を前提としたものになっていないため、必要経費の値上がりで非常に苦しい状況になっているとのことです。こうした介護施設をはじめ、保育所などの社会福祉施設や医療機関は、事業の特性上、サービス内容を削ったり変更することも経営努力で収益を上げるということもできません。
県では昨年12月議会において、光熱費の高騰に対応するため、医療機関、高齢者・障がい者施設、保育施設等に対し、およそ18億円の補正予算を組み、交付金として支援を行っております。
現在もなお、光熱費にとどまらずあらゆる物価高騰が長引いている以上、こうしたきめ細かい支援はさらに重要になってくるのではないでしょうか。
国においては、この秋に物価高騰対策を盛り込んだ経済対策や地方自治体への追加の交付金も検討されているようですが、すでに現場からは厳しいとの声が届いており、国の動きを待たず早急に県として対策をする必要があります。
現在、県有施設整備等基金には物価高騰にも活用可能な枠がおよそ57億円、また不測の事態に備えた財政調整基金はおよそ175億円が積み立てられているとのことです。
これらの基金の活用も視野に検討する必要があるのではないでしょうか。
そこで知事に質問いたします。
昨年度、医療機関、社会福祉施設等への支援金を実施しましたが、状況は変わらず、物価高騰の影響が続いています。第二次の支援金を検討できないでしょうか。

答弁 知事
本県では、ロシアのウクライナ侵攻等を契機とする原油価格や物価の高騰に対し、これまで、国からの交付金を最大限活用し、厳しい環境に置かれた事業者や生活者の皆さんを支援してまいりました。
医療機関や社会福祉施設等に対しては、本年9月までの光熱費や食材費の高騰分を支援してきたところです。
併せて、医療機関における診療報酬や社会福祉施設における介護報酬等は、国が定める公定価格であり、これらの施設では、物価高騰によるコストの増加分を価格に転嫁することができないという構造的な問題を抱えております。そうしたことから、報酬改定等による一元的な対応について、全国知事会を通じて国に対して要望してきております。
直近のデータである本年8月の消費者物価指数を見てみますと、全国では、前年同月比3.1%の上昇、本県の基準値である岐阜市においては、前年同月比3.0%の上昇ということになっております。
生鮮食料品を除く食料は上昇が続いておりますものの、エネルギー価格全体は下落しておりまして、電気・ガス料金の負担軽減策による押し下げ効果が一定程度表れているというふうに評価されております。
こうした中、国においては、本年9月末を期限としていたガソリンをはじめとする燃料価格の激変緩和措置について、年末まで延長するとともに、電気・都市ガス料金の支援も継続することを決定いたしました。
さらに、今週金曜日、岸田総理大臣から、10月中を目途に新たな経済政策を取りまとめるよう指示がなされたところであります。その5つの柱の1番目に、「足元の急激な物価高から国民生活を守る」との対策を掲げ、「厳しい状況にある生活者・事業者の方々を引き続きしっかりと支えるための措置として、物価高対策のための重点支援地方交付金の追加などについて検討してまいります。」というふうに言っておられます。
県としては、まずこうした国の動向を注視しつつ、本県における課題を見定めたうえで、対応を検討してまいります。
加えて、報酬改定等による国の一元的な対応について、引き続き、国に対して働きかけてまいります。