リニューアル計画について
Q、中川ゆう子
9月1日に、岐阜県は、現在各務原市が運営する「かかみがはら航空宇宙科学博物館」をリニューアルし、県と市で共同運営する事を発表しました。リニューアル基本構想によりますと、新たなコンセプトのもとで、第二次世界大戦中に各務原で製造された飛燕(ひえん)などを目玉に、4000㎡の増床、展示スペースの充実を行うという事です。事業費は施設の改修・増築におよそ18億円と、シミュレーターなど展示物に12億円。総額およそ30億円。このうち、設計、増築、シミュレーターなどの設置は岐阜県が負担とのことですので、今後、多額の事業費負担が予測されます。また。今議会には、リニューアル事業費補助金4900万円が計上されております。こうした事業費負担にくわえ、各務原市の施設に対し新たに県が運営に加わるという事ですので、リニューアル後の施設内容、運営方法について、商工労働部長に3点お聞きします。
1点目、商工労働部長へ
先ほど申し上げたように、増築は県負担で行うとのことだが敷地は各務原市所有と聞いている。リニューアル後の運営は各務原市と岐阜県で共同運営とのことだが、建物、敷地の所有はどうなるのか。また、管理運営上の責任は、どこになるか。
商工労働部長の答弁
敷地につきましては、現在の所有者である各務原市が所有し続ける予定でございます。建物については、基本構想の中で「施設の増築を県が担い、既存施設の改修を市が担う」という基本的な考え方が記載されております。今後基本計画の策定や設計を進めていく中で、負担割合を決定してまいります。また、責任分担も含めた共同運営のあり方については、複数の自治体が共同で所有・運営する施設などの全国的な事例も参考にしながら、今後、具体的に検討してまいりたいと考えております。
2点目、商工労働部長へ
産業の発展と歴史を伝える博物館とするために、展示物の背景まで掘り下げることができる展示、詳しく伝える学芸員などの体制が必要かと思う。現在の当博物館は博物館法上の登録博物館ではなく博物館相当施設と言われるものだそうだが、「日本を代表する博物館」を目指されるのであれば、リニューアルを機に、ぜひ博物館法にのっとった博物館に発展させていただきたいと思うが、お考えは。
商工労働部長の答弁
かがみがはら航空宇宙科学博物館は現在、博物館の事業に類する事業を行う博物館法上の「博部館相当施設」に指定されております。議員ご指摘の「登録博物館」への以降については、現在のところ財政面あるいは運営面において特段のメリットがないものと考えております。なお、わが国を代表する国立のそうそうたる博物館は、「登録博物館」には含まれていないものと承知しております。
3点目、商工労働部長へ
今後の基本計画策定について。基本構想策定には、意見交換会やリニューアル構想検討委員会で議論がなされてきたが、委員の構成をみると、行政、教育、産業界、博物館ボランティアのみなさんなどの委員が中心。現在の利用者、今後利用するであろう市民、県民が置き去りにならないためにも、計画策定の際には、公募委員を募る必要はないか。
商工労働部長の答弁
リニューアル基本構想策定にあたり、県においては、産業界、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、日本宇宙少年団、そして国行政に参加いただいたオールジャパン体制の「リニューアルに関する意見交換会」において、幅広いご意見をいただき、また、各務原市においても、地元の学識経験者、ボランティア、中学校校長や経済団体など、市民が大半を占める「リニューアル検討委員会」を開催し、ご意見をいただきました。このように、様々な立場の皆様からいただいた、様々な視点による幅広いご意見を、この度のリニューアル基本構想に反映したところであり、今後はその実現に向けて全力を尽くしてまいります。なお、今後基本計画を策定するにあたっても、引き続き様々なご意見を充分に踏まえた博物館になるように努めてまいります。
平和の大切さを伝える役目について、知事へ
今回のリニューアルの目玉は第二次世界大戦中に製造された「飛燕」と伺っている。航空宇宙産業の魅力を伝える施設ということだが、航空機産業の歴史には、同時にこうした航空技術が軍事利用されてきた歴史もある。国では安保関連法が成立し、世論はいまだに反対・慎重にという方が過半数以上を占める事態。この議論を通し、多くの国民が平和について自分の問題として考え、多くの方が様々な形で声を挙げている。県としても新たなメッセージを込めた博物館として、リニューアルを目指すべきではないか。素晴らしい技術が二度と軍事に使われず、平和的に利用されることを願うメッセージを同時に発信すべきと考える。基本計画の検討にあたって、そのようなお考えはあるのか、考えは。
知事の答弁
リニューアルにあたりましては、基本構想において「空・宇宙(そら)への挑み」という基本コンセプトを掲げております。このコンセプトには、先人の航空・宇宙へのあこがれや朝鮮の物語を伝えるとともに、子どもたちに夢やチャレンジングスピリットを与え、航空宇宙産業の拠点である「かかみがはら」から我が国の航空宇宙産業の優れた技術力を発信する、そのような思いを込めております。とりわけ次代を担う子どもたちが、博物館において「見て・体験して・遊んで・考える」ことを通じ、大空や宇宙における先人の営みに感動し、将来の航空宇宙産業を支える人材となることへの興味を喚起していく場としていきたいというふうに考えているわけでございます。こうした考え方の下で、言及がございました「飛燕」につきましても、YS-11や実験機「飛鳥」あるいは国産ロケットエンジンなどといった他の展示物と同様に、我が国航空宇宙産開発の歴史の流れの中で、それぞれの時代における航空宇宙の挑戦の物語と、それを可能にした科学技術・産業技術を子どもたちにわかりやすく伝えられるよう、それぞれに位置づけてまいりたいというふうに考えております。