中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

9月議会(4)未届け有料老人ホーム

2015年10月5日 5:48 am
カテゴリ: 活動報告

未届け有料老人ホームについて

中川15094

Q、中川ゆう子

有料老人ホームとは、老人福祉法第29条第1項の規定で、高齢者1名以上が入居し、食事・入浴などの介護・家事・健康管理のどれか1つのサービスでも提供していれば、有料老人ホームと定義されるそうです。同条項では、有料老人ホームを設置する場合は、知事への届け出が義務付けられていますが、未届け老人ホームとはこうした届け出がされていない有料老人ホームについてお話しさせていただきます。

2009年、群馬県の老人ホーム「たまゆら」で火災が起き、10人の高齢者がお亡くなりになる痛ましい事故がありました。未届け有料老人ホームであり、建築基準法違反の増改築がされていたことも問題になりました。2011年には老人ホームではありませんが、新宿大久保の木造二階建てアパートで火災があり5名がお亡くなりになっています。こちらでは、居住していた23人のうち19人が高齢者で生活保護を受けてみえたとのことです。そして今年5月、川崎市の簡易宿泊施設の火災事故では、10人の方がお亡くなりになられました。宿泊者の多くが高齢者で生活保護を受けながら生活されており、犠牲となられた方も同様だったと報道されています。防火上の安全性が確保されていたかどうか、建築基準法違反はあったかどうかなど、現在でも特定されていないとのことです。

この一連の事故は、問題はさまざま指摘されているが、身寄りのない高齢者や、貧困状態にある高齢者が、低額の宿泊施設や未届け有料老人ホームに居住している(せざるを得ない)という、高齢者をとりまく劣悪な居住環境を明らかにしていると思います。現在、国民年金の平均受給額は、月4万9000円。厚生年金も女性の平均は月11万円です。厚労省の年金基礎調査によれば、2011年度の年金生活者の48%は、年間100万円以下の低い年金で生活しておられます。こうした低年金でご家族の支援が受けられない高齢者が要介護状態になったとき、入居できる施設は特別養護老人ホームしかありません。しかし、ご存知のとおり、特養の待機者は膨れ上がりすぐに入居は困難なのが現実です。

県内のある要介護者専用の老人ホームに入居されている方のご家族から相談がありました。7月、8月の真夏の日中でも各部屋に設置されているエアコンをつけてもらえない、エアコンのコントローラーごと回収されてしまい、暑い中耐えている、食事があまりにも少ないため、家族が差し入れすると罰として食事を減らされる、夜は8時に外から鍵をかけてあり、管理者不在の施設に防災の観点から不安がある、とのお話しでした。ご家族は、施設運営に問題を感じ行政で実態を確認してほしいと所在地の市役所の介護の窓口へ相談に行きましたが、未届け施設だということが判明し対応ができない状況でした。入居契約書によると入居一時金5万円、食事サービス付きで一か月の基本料金9万3000円とのことですが、また生活保護の方は、入居一時金1万円、月の料金8万8000円で生活保護費でも入居できるようになっています。一般的な有料老人ホームに比べたら非常に安く、生活保護、または保護基準ぎりぎりの年金で介護が必要な高齢者にとっては、藁をもつかむ心境で入居されるのかもしれません。

厚生労働省によると、有料老人ホームの届け出が進んでいない実態や、未届け件数の増加をうけ、この3月には、有料老人ホームを対象とした指導の強化について通知も出されているところです。

1点目。健康福祉部長へ

こうした未届け有料老人ホームの把握と対応はどうようになっているか。

また、今回の相談者は、施設がある市町村の窓口に行ったところ対応されず県庁におみえになった。本来、届け出がされた介護施設であれば市、あるいは県で対応が可能だが、届け出施設でなかったため受け皿がなかったのも問題。情報収集のためにもワンストップで相談を受ける場を新たに作っていく対応が必要かと思うが、いかがお考えか。

健康福祉部長の答弁

県では、有料老人ホームに該当する疑いのある施設について、市町村や県事務所などを通じた情報収集に努めるとともに、県ホームページにおいて広く県民に情報提供を呼びかけております。このような施設に関する情報を入手した場合には、調査を行い、有料老人ホームに該当すると判断した施設について、老人福祉法に基づく届出の実施やサービスの提供状況について把握してまいります。なお、各市町村が設置する地域包括支援センターは、無届施設に関する相談も含め、その地域に住む高齢者のお困りごとなど各種相談を幅広くワンストップで受け付け、支援を実施することとされております。県でも、岐阜県福祉事業団に運営を委託し設置している岐阜県福祉総合相談センターにおいて「福祉なんでも110番」事業を実施し、福祉におけるあらゆる相談を総合的にお受けすることとしております。

再質問、健康福祉部長へ

未届け有料老人ホームであっても指導は可能か。また、ケアマネージャーやヘルパーなど日常的にホームに出入りする人たちに積極的に働きかけ、全県的な実態調査をすべきと考えるが、そのつもりはあるか。

健康福祉部長の答弁

未届けであっても。有料老人ホームに該当すると考えられる場合は、指導をしてまいります。情報収集につきましては、いろいろな方面から情報収集に努め、把握をしっかりしてまいりたいと考えております。

2点目、健康福祉部長へ

特別養護老人ホームについて。身寄りがなく行き場のない要介護者、いわゆる「介護難民」の増加、ショートステイや老人保健施設を転々とする高齢者の実態が「介護漂流」として報道され、高齢者も、これから高齢者になっていく世代にも衝撃が走った。家族が介護できない、または身寄りのいない高齢者にとっては、これほどつらい現実はなく、こうした中、やむにやまれず、こうした未届けの老人ホームに住まざるをえないのではないか。こうした問題の背景には介護制度の貧困さがあると指摘せざるを得ない。今年の春からは、特別養護老人ホームの入居を原則要介護3以上に限定された。未届けのホームが成り立つ背景には、特別養護老人ホームの整備状況や入居条件の問題があると思うが、特別養護老人ホームの充実の必要性についてどのようにお考えか。

健康福祉部長の答弁

県が昨年度行った調査では、特別養護老人ホームへの入所申込者のうち要介護3以上で入所の必要性が高いと推測される方だけでも2,768人となっております。

その他、特例的に入所対象となりうる要介護1または2の入所申込者も相当数あることと考えると、今後も特別養護老人ホームを計画的に整備していく必要があると考えております。他方で、高齢者ができる限り在宅で自立した生活を営むことができるよう、短時間訪問介護の普及や医療関係者も含めた他職種連携による居宅サービス計画の作成支援など、在宅サービスの充実にも取り組んでまいります。

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