中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

9月議会(3)子ども相談センターの現状と課題

2016年10月11日 1:59 am
カテゴリ: 活動報告

職員の増員、メンタルケア・・現場の実態を掴み、質問

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子ども相談センター、全国的には児童相談所と言われておりますが、こちらは、子育て相談や、一時的に保護が必要な子どもに対する一時保護に加え、法的権限を持つ中核的行政機関でもあります。虐待通報があったら、すぐに子どもの安全を確認しなければならず、緊急的な対応が求められますし、子どもに危険が及ぶことを防ぐためには、保護者と強制的に分離したり、親子関係を築くための支援を行ったりと、専門的で高度な役割が求められる存在でもあります。

岐阜県には、5圏域にそれぞれ子ども相談センターがあり、一時保護施設は飛騨と中央の2か所。この県内の子ども相談センターの体制についてお聞きします。

全国では、14年度、児童相談所に約8万9000件の児童虐待が通告され、調査開始以降初めて8万件を超えたとのことです。児童養護施設の子どもたちの入所理由も、虐待が最多(13年で38%)でもあります。こうした子どもをとりまく問題の背景には、保護者の就労など経済的問題、精神疾患など貧困と孤立が根深く関係しているとの、現場の声もあり、今後さらに深刻化すると見られます。

明日食べるものがない、住む家がないという明らかに目に見える貧困ばかりではありません。非正規雇用や低賃金などのワーキングプアに見られるように普通に働いているにも関わらず生きていくのが大変、貧困のために人付き合いなど周りとの関係を保つことができず社会的に孤立して見えづらい、自己責任論のもとで支援をもとめづらいなど、現在の貧困は目に見えない中で確実に広がっている。子どもの6人に1人が相対的貧困応対に置かれ、ひとり親家庭では2人に1人が貧困状態にあるという、極めて深刻な状態ではありますが、自己責任論のもとで、周りに助けを求めづらく、社会的にもそうした過程を把握しにくいという問題もあります。

県の子ども相談センターは、こうした困難で深刻な家族を見逃さない存在にもなっています。今年3月、社会保障審議会児童部会「新たな子どもの家庭福祉のあり方に関する専門委員会報告」提言がまとめられ、それにもとづき来年4月に施行で児童福祉法が改正されました。この児童福祉法1部改正法の第一条には、批准から22年たった「子どもの権利条約」が初めて書き込まれ、子どもを「保護の主体」から「権利の主体」に転換されたことは、大きな前進です。

提言ではさらに、「強制的な権限を行使して保護者と対峙してでも子どもを守るというハードな役割と、保護者に寄り添って養育の改善を促すというソフトな役割を同時に求められてきた」児童相談所について、虐待相談の増加などによる対応の限界を受け、国、都道府県、市町村の役割を明確にし、業務を抜本的に見直すことが検討課題としてあげられています。中核市が児童相談所を設置できる措置も検討課題になっているようで、現実的には今すぐには難しいと思いますが、いづれにしても今以上に市町村との連携、協力を強めた体制を作り上げていくことが求められていると思います。

(1)子ども相談センターの職員の増員について

中川ゆう子の質問

虐待相談の件数は岐阜県においても増加していています。平成21年度と26年度を比較すると、全国ののびに比べ急増傾向であり、とくに中央子ども相談センターは21年度の2.64倍、飛騨子ども相談センターは、2.77倍です。このかん児童福祉司の増員もされたようですが、職員の育成には5~10年の経験が必要との現場の声や、移動距離が長いなどの地理的問題もあり、さらなる増員が求められています。国では今年度より、児童福祉士の配置について、地方交付税の算定基準を引き上げたとも聞いており、着実に定員増を計画していく必要があると思う。子ども相談センターの職員の増員にどのように取り組まれるでしょうか。

子ども・女性局長の答弁

平成27年度に県が対応した児童虐待相談は1,018件で、過去最多となりました。相談や早期発見の体制を強化していることも増加の一因ではないかと考えておりますが、県では、増加する児童虐待相談等への対応をさらに強化するため、児童や家庭の支援にあたる児童福祉司の増員を順次進めております。現在は、10年前と比べ11人増の42人を配置しているところです。

平成28年10月現在、本県に必要な児童福祉司は37人となっており、この基準以上に配置をいたしております。しかしながら改正後の同法の基準では、平成31年度にじゃ児童相談所の所管地域の人口4万人に1人、平成27年国勢調査の速報値に基づきますと53人以上の配置が求められることから、今後もこの基準を踏まえ、計画的に増員を図ってまいります。

(2)相談にあたる職員のケアについて

中川ゆう子の質問

相談件数の増加だけでなく、扱う問題の多様さ、深刻さは職員への負荷も増大しています。強い権限を持つため、職員の葛藤や心理的負担にも配慮すべきです。きめ細かい対応をしていくには、職員の増員とともに、相談にあたる職員のケアも必要と思うが、どのように対応されるでしょうか。お考えをお聞きします。

子ども・女性局長の答弁

近年、児童虐待の相談事案は複雑化・困難化しており、関係機関の間で連携を強化しておりますが、その中で、広域的、専門的な対応を担う県の子ども相談センター職員には、より高度な専門的知識や対応能力が求められています。このため、従来より職員の経験年数や職種に応じてカウンセリング技術向上のための研修等を行ってきましたが、今後はテーマ別研修の導入など、より専門的な内容を加え、職員の職務遂行能力の向上を図ってまいります。

併せて、職員に対する心のケアとして、課長・係長といった指導的職員にメンタルヘルス研修を受講させ、部下への指導に活かしております。さらに、経験の浅い職員が、困難な事案を担当する場合には、複数の職員で対応するなど、今後も個人に過重な負担がかからないよう、より一層の配慮をしてまいります。

(3)市町村でのきめ細かい対応を実現するための体制強化の必要性について

中川ゆう子の質問

先にのべたように、来年4月施行、児童福祉法改正により、子どもの権利条約の精神が法に明記され、加えて、検討課題として、市町村と県の役割分担が明文化。今後は、保護することに加え、子どもたちの発達や学習の権利をどう保障するかといった課題もあり、市町村との連携が今以上に必要になると考えます。

岐阜市では、子育て相談を子ども若者総合支援センターで一元的に対応しています。その家庭が抱える問題ごとに、学校、介護、生活保護など関係する他部局が集まってのケース検討会議が週5,6回というペースで開き、総合的な支援を行っているそうです。こういった他部局に渡る問題をかかえた子どもやその家族にとって、総合的で継続的な支援は、何よりも心のよりどころになります。こうしたきめ細かい支援や、継続した支援は市町村だからこそできるといった側面もありますが、一方で、県から市へ、専門的なアドバイスや支援がさらにほしいといった声もあります。市町村でのきめ細かい対応を実現するための体制強化の必要性についてのお考えをお聞きします。

子ども・女性局長の答弁

現在、市町村では、住民からの子育て相談のうち、非行児童や虐待リスクの高い児童に対しては、県子ども相談センター、医療機関、学校、保育所、警察、民生委員等で構成し、県内全ての市町村毎に設置されている要保護児童対策地域協議会で、支援方針や対応策を協議して、支援を行っております。今般の児童福祉法の改正により、この機能が強化され、来年度から要保護児童対策地域協議会の調整業務を行う市町村担当部局に、児童福祉司の資格を有する者、保健師、保育士など専門職を配置し、併せて、これらの者に対し、研修を行うことが義務付けられました。

この研修は、県で実施することとされており、県が行う市町村職員向けの研修カリキュラムに盛り込んでまいります。また、市町村に対して技術的なアドバイスを行ったり、市町村での対応が困難な子育て相談に応ずる児童家庭支援センターが、今年度中に県内5圏域の全てに設置されることから、こうした期間も活用し、市町村の支援体制の強化に取り組んでまいります。

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