2018年10月13日 1:50 pm
カテゴリ: 活動報告
未利用県有建物の活用と安全対策について
未利用県有建物の活用と安全対策に対する考え方について
7月西日本豪雨により、岐阜市長良にある旧県職員住宅の屋根の一部が落下するという事態がおこりました。この敷地には、現在使用中の県職員住宅、駐車場、そして隣には岐阜市の児童センター、学校のテニスコートがあり、子どもが行き交う場所です。
厚さ1.5センチほどのコンクリートが大きな塊で落下し、さらにまだ剥がれ落ちそうになっていることから、フェンスやネットで安全対策をしていただきました。しかし、特に台風などの突風や豪雨が続き危険な状態には変わりなく、隣の児童センター指定管理者、岐阜市からは早急な撤去が要望されています。
このような、使用目的のなくなった未利用の県有の建物は県内に昨年度の集計で83物件あります。売却できないものに関しては、財政的な負担もあるので順番に取り壊しを行っているとのことですが、当時はこの旧職員アパートは優先順位はそれほど高くなかったようです。
しかし、たまたま運よく子どもたちがいなかったからよかったものの、大事故につながりかねません。
空家の適正管理を民間に呼び掛ける県が、未利用の県有建物を管理されることもなく崩れるまで放置していて大丈夫なのか。
今後、関ケ原ビジターセンターや新庁舎建設など新たに大規模な建設が続く一方で、使われなくなった建物がこういった放置される状況は、県民の理解が得られるのか、など率直な疑問を持ちました。
近年、想定を超える大規模な自然災害が連続して起きており、安全を第一に考え今以上に財政措置を優先させ、放置されている建物は早急に取り壊しを対応すべきでないかと感じるところです。
一方で、例えば先ほど例に挙げた旧職員住宅も取り壊せば産業廃棄物になりますが、この建物を使わなくなった約14年ほど前の時点で、リノベーションや民間での活用ができていれば、耐用年数からみても崩れて危険な状態になることもなく、まだまだ使えていたのではとも思う。
全国的には、こうした使わなくなった公共施設を民間が借りたり、買い取って、活用するという取り組みが生まれています。
鹿児島県では、海の近くというロケーションを生かして廃校を宿泊施設に、神奈川県では公営住宅をリノベーションし若い子育て世帯が住みやすい間取りの住宅や、シェアハウスなど、古い建物が新築にはない新しい価値を得て活用されつつあります。
中川ゆう子の質問
防災の観点や、使えるものを長く使うという観点から、未利用建物を長期間放置するのではなく、早急な活用の検討や取り壊しを進めるべきでないかと感じるが、お考えをお聞きします。また、県有施設整備基金230億円は県庁の再整備のために積み立てられたと聞くが、これを活用し、まずは放置されている建物の活用や安全対策に使うという事はできないでしょうか。
知事の答弁
県の所有する未利用建物というのは、当初の利用目的を終えたり、老朽化した建物について、他の目的で利活用または処分するまでの間、管理しているものでございます。こうした未利用建物の有効活用につきましては、まず県において、土地のみの活用も含めて、利活用の方策を検討するわけであります。例えば、平成27年に、それまで休止していた未来開館を清流文化プラザ及び運転免許講習センターの複合施設としてリニューアルしたのがその例でございます。
県として活用予定がない場合には、公的利用を優先するという観点から国や市町村での活用希望を伺うということにしておりまして、例えば、平成29年に揖斐川町所在の岐阜農林高等学校・旧実習棟を、教育支援施策に活用するということで、揖斐川町へ売却したのがその事例でございます。
公的利用の希望もないという場合には、建物の有効活用を図る観点から民間への売却を進めております。例えば、平成25年に岐阜市内の旧県職員宿舎を民間企業の社員宿舎として売却した事例がございます。
こうした手続きを経てもなお、建物の売却が見込めない場合には、取り壊して土地を売却するということにしているわけであります。
現在あります、47全ての未利用施設について活用方策を検討してきておりますが、その結果として申し上げますと、県での活用を考えているものがこの47の内の18施設でございます。また、市町村や国での活用を検討しているものが11施設、残りの18施設は民間への売却を予定しております。
これを建物の利活用の観点で分類しますと、47のうち22施設は建物の利活用の方向で活用が進んでおります。残りの25施設は建物を取り壊した上での利活用をということで検討しております。
これらの25施設につきましては、したがいまして遅くとも来年度末までに取り壊しの調査設計を行い、再来年度中には取り壊しを終えたいというふうに考えております。
岐阜市司町にある旧岐阜総合庁舎の利活用について
この旧総合庁舎は2代目の県庁舎として対象13年1924年に竣工し、今年で築94年。90年間、県庁舎や県事務所として県民に愛され歴史的にも文化的にも価値の高い建物であり、取り壊すことなく保存するとの方針が決められましたが、現在は耐震性に問題があるということで5年前から閉鎖されています。当時は、岐阜市が行っている周辺の整備事業の全容が明らかになったら活用の方向を検討するとの事でしたが、いまだに活用の方向性は見えてきません。
隣に建設された岐阜市のメディアコスモスや広場には多くの方が行きかっており、その中でいまだに柵に囲われた状態になっているのは非常に残念な思いがあります。また、この間、専門家による定期点検がされていないため、建物の劣化についても非常に気がかりです。
いま、古い建物を取り壊し、新しい建物をどんどん建てるという時代から、現在ある建物を修復し伝統的な建物を長く活用することが求められつつある時代に転換しつつあります。
この旧総合庁舎がある司町は、初めて県庁舎が作られた地であり、それが由来となりつかさのまちと称されるようになりました。つかさのまちで100年近い歴史をもつ歴史的な建物として、長く大切に使っていこうというメッセージが込められた重要なシンボルとして、一刻も早く活用に向けた取り組みを望むものです。
中川ゆう子の質問
そこで知事にお聞きします。県民からは早急に公開し使えるものにしてほしいとの声が寄せられています。
利用方針と改修時期はどうお考えでしょうか。
また、利用方針を検討するにあたっては周辺全体の調和やまちづくりも考えるべきで、地元岐阜市との協議も必要であると思います。知事のお考えをお聞きします。
知事の答弁
県旧岐阜総合庁舎につきましては、老朽化や耐震性の問題から平成25年3月末を持って閉庁いたしました。現在保存されている建物内には、大理石がふんだんに使用された玄関ホールや、特別会議室、旧知事室などがございまして、旧県庁舎として大正13年に建築された当時の状態が良く残されている貴重な建物だというふうに認識しております。このため、歴史的、文化的な価値がある建物に相応しい活用方法について、他県の旧県庁舎の活用事例なども参考にしつつ、また、岐阜市の新庁舎など周辺施設との関係も考慮しながら、検討を行ってまいりたいというのが基本的な考えでございます。
具体的な活用方法として他県の旧県庁舎を見て見ますと、再現した旧執務室や県政資料などの展示でありますとか、ギャラリーや会議室などの貸館でありますとか、カフェやレストランといった飲食施設などに使っている事例が多くございます。
こうした事例を参考にして、具体的な活用案を検討するため、他県の実例の視察などにも取り掛かったところであります。本年度につきましては、昭和初期に建設され、同様に歴史的・文化的な価値がある愛知県庁舎、名古屋市役所庁舎などの状況について現地でいろいろとヒアリングさせていただいております。
また、まちづくりや建築の専門家などからもお話を伺う予定としています。
旧岐阜総合庁舎の再開にあたりましては、耐震性の確保や設備のリニューアルなど、大規模な改修工事が必要となりまして、相当程度の財政負担が生じるということとなります。
このため、まずは県庁舎の再整備がひと段落した段階で、活用の方向性について具体的な議論を開始できるよう、当面情報収集、検討を進めるとともに、必要に応じて、地元岐阜市との意見交換も行ってまいりたいということでございます。
中川ゆう子の再質問
石若県の旧県庁舎は金沢市と10年以上検証を重ねて「しいのき迎賓館」として活用されている。旧岐阜総合庁舎は、後5年で築100年を迎える。その節目に現状のままで良いのか、具体的な検討を進めるべきであると考えるが、認識は。知事の再答弁
石川県のケースは、私の現地へ行って見させていただきましたけれども、金沢城を借景にしているんですね。だから、県庁の裏側を前面ガラス張りにして、金沢城がその前に見えて、レストランであれ、なんであれ、金沢城を見ながら、旧庁舎を楽しめるという、こういう事になっておりますから、当然金沢市との色んなやり取りがあったんだろうなということは、想像に難しくないんですが。私が申し上げておりますのは、財政的なことも考えますと、やっぱり優先順位というのがある訳でありまして、まずは県庁舎の再整備というのが一つ大きな事業として我々控えているわけでありますので、これがひと段落したところで速やかに具体な議論ができるよう、今から色んな準備を重ねていって、県庁舎の整備がひと段落したところで、すぐ動き出せると、こういうことを申し上げているという訳で、岐阜市との意見交換もそれまでしないというわけではありませんので、準備の過程で必要に応じて、やっていくということで、準備作業は順次やって行こうと、こういう趣旨で答弁させていただいた次第であります。