2020年3月16日 10:06 am
カテゴリ: 活動報告
加齢性難聴に対する支援について
年齢とともに人の声が聞こえにくくなる、周りが何の話をしているか分からない、などといった加齢性難聴は、日常的な会話を困難にし、生活の質を落とす大きな原因となるだけでなく、コミュニケーションが減ることで脳機能が低下し認知症発症のリスクが高まることや、社会的に孤立しうつ状態に陥る可能性が指摘されています。この加齢性難聴、どれほどの方が該当してくるかと言うと、30代後半から徐々に進むと言われており、65歳を過ぎると、男性で4割強、女性で約3割、70歳代では約5割、80代では8割にのぼっており、高齢者にとって大変身近な問題でもあります。
この加齢性難聴の聞こえの改善のためには補聴器の使用が欠かせず、またそのままにしているとさらに聴力が低下してしまうということで、WHOでは、41デシベル、普通の会話が聞き取りにくい、という中程度の難聴で補聴器をつけることを推奨しています。
しかし、
日本の補聴器の所有率は、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスなど欧米に比べて半分以下と圧倒的に低く14%にとどまっています。
その理由は、価格です。
補聴器の価格は一般的な性能のものでも非常に高く平均で15万円。両耳ですと30万円にもなるとのこと。
WHOが推奨する難聴レベルであっても、年金暮らしの高齢者にとっては購入をあきらめざるを得ず、聞こえないまま生活されているのです。
とくに、働きたい、または働かざるを得ないという高齢者の再雇用や定年延長が進み、社会的参加に困る高齢者が増えているのが現実です。
欧米諸国は医療のカテゴリーで補聴器購入に公的補助を付けていますが、日本は障害のカテゴリーのみの限定的な対応で、70デシベル以上の重度の難聴しか購入補助がありません。
ちなみに聴力が70デシベルというのは「40センチという近さで話してやっと聞こえる」という状況であり、かなり重度の難聴になります。
そのためWHOが推奨する会話がままならない中程度の難聴でも購入に公助補助をつけるため、東京23区内の複数の区や、長野県木曽町、埼玉県朝霞市など、各自治体では独自の購入補助制度がひろがっています。
また、今年度、国は、講演会や会議室で補聴器をつけている人に音声をクリアに届ける貸出用ヒアリングループを整備する取組みを助成する補助制度が創設されこれも活用がひろがっているようです。
中川ゆう子の質問
加齢性難聴者への支援ニーズについてどのように認識しているか。また、県施設におけるヒアリングループ(ループアンテナ内で誘導磁界を発生させることで音声磁場をつくり難聴者の聞こえを支援する設備)の設置や補聴器購入への助成創設についてどのように考えているのか所見を問う。健康福祉部長の答弁
まず、加齢性難聴者の言葉や音の聞き取り支援については、コミュニケーションの機会を確保し認知症の発症リスクを抑制する一助となり、一定のニーズはあるものと認識しております。次に、ヒアリングループにつきましては、ぎふ清流プラザや福祉友愛アリーナなど7つの県施設にはすでに設置をしており、他施設にも、必要に応じて機器の貸し出しを行っております。今後は、貸し出しの周知に加え、県施設への更なる導入も検討してまいります。
また、補聴器の購入ですが、現在でも、身体障がい者手帳の所得等一定の要件を満たせば、障がい者総合支援法に基づき助成が受けられます。県としましては、こうした支援の対象とならない方につきまして、今後、市町村や医療関係等から購入支援に係るニーズや対象についての考え方をお伺いし、東京都の制度や国の動向も参考にしながら、支援の在り方について検討してまいります。