中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

【23年12月議会/質問と答弁2】令和4年度決算について財政見通し悪化と今後の予算編成

2024年1月1日 7:00 am
カテゴリ: 活動報告

  1. 継続審査となっている令和4年度、昨年度の決算認定における、実質公債費比率の悪化と今後の予算編成についてお聞きします。

公債費とは、県の借り入れ(借金)に対する返済額であり、実質公債費比率とは、県の借り入れ金(借金)の返済額の大きさを、県の財政規模に対する割合で表したものです。

この割合が大きくなればなるほど負担が増え苦しくなるというものです。

こちらは岐阜県の実質公債費比率の推移のグラフです。

・実線→決算値

・点線→令和4年度当初予算編成時に示されていた推計値

・赤い実線は、令和4年度当初予算編成後に出たR3年度の決算値、R4年度決算値がどうなったかを示している

 

令和4年度当初予算時の推計では、令和3年を底に緩やかに上昇するとの見通しでしたが、実績値では、すでに令和3年度から上昇が始まり6.1%、そして令和4年度は推計値は6.2%でしたが、1%も悪化し7.2%、緩やかな上昇ではなくなっていると感じます。

標準財政規模にもよりますが1%はおよそ40億円強に相当するとのことであり、財政見通しをはっきりさせていくことは県財政だけでなく県民生活にも深く関係してくる。 

繰り返しになりますが、実質公債費比率が大きくなるということは、借金の返済額の大きさが財政規模に対し大きな割合になっていると言うことであり、たとえば、政策的判断で新たな事業を行うだけでなく、既存の事業の継続も財源が厳しくなる可能性もありえます。見通しをはっきりさせるだけでなく、急激な上昇そのものが県民生活に大きな影響を及ぼしかねません。 


(1)当初予算編成時見込みからの悪化要因の分析と今後の改善について

この差異の要因についてどのように分析されているのでしょうか。また今後の試算は改善されるのでしょうか


答弁 総務部長事務代理

令和4年2月に発表いたしました実質公債費比率の推計値6 . 2 %は、今年2月の推計では6 . 9 %、今年9月に発表いたしました実績値では7 . 2 %となり、最終的に1ポイント上振れいたしました。この点、県といたしましても課題であると認識し、検証と改善に向けた検討を行っております。この要因は、比率を引き下げる要素であります、元利償還金に係る交付税算入率を高く見積もりすぎていた点にあったと分析しております。

交付税算入率は減少傾向にあり、推計では、毎年度同じ割合で減少していくものと見積もっていました。しかし、実際の算入は、県債の借入れ年度、借入額や種類によ って異なり、交付税算人が大きかった県債の償還が令和3年度、4年度に終了するにもかかわらず、この点を試算に反映できていなかったことが、実質公債費比率の上振れにつながったと考えております。

今回、推計値と実績値に乖離が生じたことを踏まえ、今後の試算においては、より精緻な推計方法に見直してまいります。


中川ゆう子

知事は以前(H31年3月議会)この実質公債費比率について「向こう10年間は10%を下回る水準で推移する」をいう見通しを答弁されているが、このままの流れだと赤信号になりかねないのではないかと思います。

この急激な上昇の要因は、道路建設や河川整備に対する国からの交付税比率が見込みより激減している傾向を読み切れず公債費が増加したということでした。実際にこのR4年度決算における県債(借り入れ額)は、大きいものから順に、国直轄道路負担金(主に東海環状自動車道等)、県庁舎建設、内が谷ダム、となっています。こうした県債依存度の高い事業を見直さない限り、厳しい状況は続くのではないでしょうか。

一方、県民に身近な高校や県事務所、既存の道路の老朽化もかなりすすんでおり、それらの更新、改修、安全対策などの公共事業は後回しにできません。

県財政の悪化を招くことなく、県事務所、学校校舎など必要な社会資本整備を確実に進めることが求められる時がきています。新たな道路建設などについては事業の必要性を見極めて起債を行うべきではないでしょうか。

岐阜県では過去に起債許可団体となり、市町村への補助金、県民の福祉や医療に関わる予算を大きく減額されるという、2度と繰り返してはならない教訓がありますので改めて伺います。


(2)今後の予算編成における大型公共事業の再検討および起債方針について

 今後の県債借り入れにあたっていかす課題として、県債依存度の高い公共事業(いよいよ全線開通になりますが、これまでの事業でいうと東海環状自動車道など)について優先順位を再検討すべきではないでしょうか。また、今後の起債方針について伺います。


答弁 知事

県財政は、しばしば申し上げておりますけれども、社会保障関係経費、あるいは社会資本の老朽化への対応など構造的な課題があるほか、今後の税収など歳入につきましても、物価上昇や為替変動、就労人口の減少などの影響を見極める必要があり、決して楽観視できる状況にはないと考えております。

しかしながら、そうした中にあっても、「清流の国ぎふ」の魅力の創造や発信、進 行し続ける人口減少社会からの脱却に向けた少子化対策とともに、県民の安全・安心への確保や、地域の活性化につながる公共事業については、着実に推進していく必要がございます。

現在、国では、特に防災・減災、国土強靱化の加速を図るため、国土強靱化基本法に基づき、激甚化・頻発化する風水害や切迫する大規模地震等への対策、インフラ施設の老朽化対策などを進めております。

これに対応して、本県におきましては、岐阜県強靱化計画において道路ネットワークの整備、水害・土砂災害対策、社会インフラの長寿命化などを位置づけた上で、それぞれの分野ごとのピジョンや計画も踏まえて推進することとしております。

まず、道路整備につきましては、災害時の広域的な代替ルートの確保や、速やかな救援・復旧を支える体制の構築など、県土の強靱化に資するだけでなく、広域的なアクセス向上による企業立地の促進などの産業振興、広域的な観光交流への効果も期待されており、新広域道路交通ピジョンや、同じく新広域道路交通計画などに基づき事業を進めてきているわけであります。

さらに、水害や土砂災害対策につきましては、災害リスクを低下させ、生命はもとより財産や暮らしを守るため、新五流域総合治水対策プランや八山系砂防総合整備計画に基づき進めることとしております。

このほか、老朽化施設の維持管理については、道路施設維持管理指針、河川インフラ長寿命化計画などに基づき、実施してきております。

これらの事業は、いずれも県土の強靱化や地域の活性化に必要な事業であり、今後も着実に推進してまいりたいと考えております。

しかしながら、一方で、公共事業の実施には、申すまでもなく、その財源の多くが 県債となっております。従って、将来的な財政負担に十分留意しなければならないと思っております。このため、引き続き、ビジョンや計画における位置づけ、事業の実施状況、完成後の効果、緊急性、そして今後の財政負担などを踏まえつつ、メリハリと節度ある財政運営を行うよう努めてまいりたいと思っております。

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