2019年3月25日 6:24 am
カテゴリ: 活動報告
子どもの貧困をなくすための取り組み
貧困の連鎖を断ち切るためには、貧困そのものをなくしていく取り組みが必要です。今年度県が実施した岐阜県「子ども調査」によると、家庭の所得は貧困ラインを下回った区分ほど授業の習熟度が低く、学習支援を利用したいという意向が強くなるなどの傾向が出ているなど、家庭の経済的状況により子どもの学習状況や将来に大きく影響があることが読み取れます。この調査結果をもとに、新年度は具体的な実行計画を策定するということですが、有識者と県だけでなく、民間の支援団体や子育て世代など、広く県民が課題を共有しながら取り組んでいただきたいと思います。
岐阜県「子ども調査」を踏まえた今後の取り組みについて
中川ゆう子の質問
実行計画や各施策を作るにあたり、子育て世帯の意見、特に様々な困難を抱えるひとり親家庭の意見をしっかり聞いていただきたいと思いますが、子ども調査の結果を踏まえ、今後どのように施策に反映させていかれるのでしょうか。また、子どもの貧困対策は、親の就労、教育、福祉など様々な分野の渡る施策が必要であり、子ども・女性局に限らず、全庁的な取り組みにしてほしいと思います。各部がそれぞれ主体となって、個々の施策に反映させていく必要がありますが、どのように取り組まれるでしょうか。
子ども・女性局長の答弁
本年度初めて実施しました「子ども調査」は、県内全市町村を対象に、子どもを取り巻く環境が、日々の生活などにどのように影響しているかを調べ、その結果を県の施策に活用するために調査したものです。来年度はこの調査結果を踏まえ、子どもの貧困対策について、必要な支援策を盛り込んだ実行計画を策定することとしております。策定にあたりましては、学識経験者に加え、支援団体の代表者、学校関係者、市町村などからなる策定委員会を立ち上げ、議員ご指摘のように、困難を抱えるひとり親家庭などから幅広くご意見を伺いながら議論してまいります。
また、県におきましては、5部11課からなる「子どもの貧困対策推進会議」を開催して、幅広く対応策について検討してまいります。なお、国の「子どもの貧困対策に関する大綱」の見直しも予定されていることから、その動向も注視してまいります。
こうして、関係部局はもとより、民間の支援団体や市町村などと連携して取り組んでいく体制を整えてまいりたいと考えております。
子どもの医療費助成制度の対象拡大について
現在の県の子どもの医療費助成制度では、就学前までの子どもに対し、市町村と県で1/2負担しています。一方、県内の実施状況は、全ての市町村で少なくとも義務教育卒業まで、さらに今は本来の児童福祉法の対象である18歳まで拡大する自治体も広がっています。しかし、小学校入学以降の医療費は市町村が全額負担しており、この負担が重く対象年齢の拡大に二の足を踏むという現実があるようです。
岐阜市のある方ですが、ご夫婦と高1、高2の子どもを育ててみえるご家庭から相談を受けました。就学支援金の支払い日の相談で、今年はたまたまマイナンバー導入の年で大幅に遅れたことがあったようで、切羽詰まったご様子でした。というのも、上の子は、内臓腫瘍によって月に1度の通勤で1万4000円かかるそうです。下の子は糖尿病で、毎月1週間の入院が必要で、中学生のうちは無料だったので食費の3万円程度でしたが、高校に上がった途端、医療費が無料ではないため月に8万3000円です。医療費の高額療養費の限度額分の負担になるようです。ご両親は病気を抱えながら一生懸命働いておられますが、生活保護ラインぎりぎりですが、高校に通いたいという子どものために何とかやりくりをされているとのことでした。
今はほとんどの子どもが高校に進学するため、家庭にとっては中学を卒業しても世帯収入が増えるわけではありません。
18歳までの医療費助成は、本当に切実な願いです。
例えば、岐阜市の場合、18歳未満で3学年対象を拡大するのにかかる費用は年間3億円です。仮に岐阜県の制度を中学卒用まで拡大すると、岐阜市は10億円かかっている分の半分、5億円が浮くことになり、18歳まで対象拡大するための費用を捻出することができるようです。
これは県内の市町村で同じ状況であり、県内の全市が加入する市長会も要望されています。また、岐阜県市議会からは全会一致で県へ意見書が提出されております。
県で対象年齢を拡大することにより、市町村はさらに対象年齢を拡大することができたり、他の子育て支援策を充実させることができる。非常に高い効果が期待できます。
※県の助成対象を義務教育卒業まで拡大すると、県負担は約24億円、単純計算で、助成制度を1学年拡大するのに3億円弱が必要となる。
県は、国に対して、共通の医療費助成の制度を要望しているということであるが、県としても医療費助成制度の対象拡大を検討すべきでないでしょうか。
中川ゆう子の質問
市町村の子育て支援策応援のため、子どもの医療費助成制度について、県の助成対象を拡大すべきではないか。お考え意をお聞きします。健康福祉部長の答弁
子どもの医療費助成制度については、本県として、1973年に0歳児を対象に医療費を無料化した後、順次対象年齢を引き上げ、2006年には小学校就学前までを対象と敷いております。さらには小学校就学後も含め、とくに手厚い支援が必要な慢性疾患、難病、障がい等を有する子どもについて、自己負担の軽減を行うなど拡充を図ってきており、都道府県の制度として全国的に見ても高い水準の医療費助成制度を実施していると認識しております。こうした中、市町村独自のご判断によりさらに対象年齢を引き上げ、現在、全ての市町村で義務教育終了まで無料化が実施されております。こうした状況にありますので、県として、あえてそのうえで助成対象年齢を引き上げることが考えておりません。
中川ゆう子の再質問
入院・通院と岐阜県より充実した制度としている都道府県があり、全国的に見ても高い水準とはいえないと思う。1学年ずつ拡大するような方法もあると思うが、もう一度考えをお聞かせいただきたい。健康福祉部長の再答弁
本県の子ども医療費助成制度は、小学校就学前までを対象としております。この取り組みについては、全国平均並みだと承知しておりますけれども、一部自己負担が無い、またご指摘の所得制限が無いものを含めますと、全国的に少数の方に位置づけられると承知しております。このようなことから、本県の制度といたしましては、全国的に見ても高い水準の医療費助成制度を実施していると考えております。
こうした中で、市町村独自のご判断によりまして、義務教育終了まで無料化が実施されているということでございます。
こうした状況にありますので、県といたしましては、あえてその上で助成対象年齢を引き上げることは考えておりませんが、全国知事会を通じて、国に対し、全国一律の制度創設を要望してきたところでありますけれど、今後も行ってまいりたいと考えております。
新たな奨学金の創設について
貧困の連鎖を断ち切るのが教育です。とくに先に紹介した岐阜県「子ども調査」によると、理想の進学先に「大学」を選ぶ子が多い反面、現実に行くことになると思う進学先の方では、所得が低い世帯の子どもほど「大学」の割合が低くなり、「高校」の割合が高くなっている、ということです。こうした貧困の連鎖を断ち切る取り組みとして、大学への支援も大きな課題ですが、日本の大学の授業料は正解的に見ても高く、初年度の納付金が国立で約82万円、私立大学で平均約132万円と、昔に比べかなり高くなっています。
こうした実情を鑑みて、国において給付型奨学金が設けられましたが、対象は全学生のうち1割程度にとどまっています。
県では清流の国推進部の取り組みで、Uターン就職を促進することを目的に県内での就業を条件に返還が免除される「清流の国ぎふ大学生等奨学金」が作られ大変好評です。
毎年、予定した予算はほぼ使われており、新年度は、新規貸与120人をふくめ395人分が計上されております。
沢山の方に喜ばれている制度だと思います。
しかし、依然も指摘しましたが、子どもを県外に進学させ下宿させることは、経済力のない家庭では難しいのが現実です。
現在、本県にはすでに、経済的理由により就学が困難な大学生を対処とした「岐阜県選奨生奨学金」があるが貸与型であり、就職後、返済をしなければならない。
返済不要の奨学金が好評であること、子ども調査の結果を踏まえると、本来位の奨学金の趣旨に照らし、経済的事情で、県内大学に進学せざるをえなかった同年代も分け隔てなく使える返済不要の奨学金を教育委員会で検討していただきたいと思います。
中川ゆう子の質問
岐阜県選奨生奨学金について、国の給付型奨学金の支給要件を超える形で拡充し、給付型奨学金を創設すべきではないか。教育長の答弁
新たな給付型奨学金につきましては、財源の問題を含め、大学生に対する奨学支援制度全体の整理が必要であり、基本的には全国的に統一された制度とすべきではないかと考えております。国におきましては、大学など高等教育の無償化を目指し、真に支援が必要な低所得者に対し、修学に対する経済的負担の軽減を図る方針としております。具体的には、2020年度4月から、授業料及び入学金の減免制度が創設されることに加え、給付型奨学金について、家計要件の緩和や給付額の改定などによる大幅な拡充がなされる見込みとなっております。
県教育委員会といたしましては、国が進めているこれら拡充施策の状況を注視しつつ、民間団体で実施されている給付型奨学金の情報も含め、各種修学支援制度を生徒に十分周知し、希望する大学への進学に繋がるよう取り組んでまいります。