中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

【23年6月議会/質問と答弁2】木曽川水系連絡導水路事業計画について

2023年7月8日 9:30 am
カテゴリ: 活動報告

「 2.木曽川水系連絡導水路事業計画について」6月議会・質問と答弁。6月30日、午前。


6月30日の6月岐阜県議会の代表質問で「 2.木曽川水系連絡導水路事業計画について」質問しました。知事への質問と答弁は以下の通りです。

<質問>

木曽川水系連絡導水路事業とは、徳山ダムにためられた水を濃尾平野北部の山中にトンネルを通し、一部は長良川を経由し、木曽川へ導水するという事業です。事業概要によると、上流施設は延長約43キロメートル、下流施設は延長約1キロメートルにも及びます。2008年時点の事業費は約890億円と言われていますが、現在の資材単価などから考えるとさらに増額する可能性が大きいと思われます。

今回は長良川を経由するルートについて、長良川の河川環境に絞って質問します。
徳山ダムからの水が放流される場所は、ちょうど御料鵜飼いが行われる地点付近、岐阜市長良古津付近であり、長良川鵜飼いの舞台になる河川を経由したのち、下流施設で木曽川に放流されます。

当初、長良川には常時放流する計画でしたが、長良川鵜飼いの場所であり、アユなど長良川の環境悪化を懸念する多くの意見が出され、平成6年の異常渇水水準の渇水が起きる恐れがあるときに放流する計画に変更されました。

しかし、異常渇水と言っても、長良川は他の河川と異なり水はかれることなく流れていました。岐阜市の水道は長良川の伏流水であるため取水制限はなく、水道事業にも大きな影響はありませんでした。岐阜市に確認しましたが、過去30年間、渇水で特に困ったという事態が起きた記録はまとめられてもおりません。

むしろ、平成6年渇水時の水量で放流することを試算すると、長良川に流れる水の4割が徳山ダムの水になるため、むしろ環境悪化につながるとの指摘もあります。とくに清流長良川のブランドであるアユは水質が命であり、水系の異なる水を流すことについては慎重になるべきです。

先の岐阜市議会において岐阜市長は「長良川の環境へも十分配慮し、河川沿線および導水路沿線の各自治体・関係者などの意見を十分踏まえたうえで検討を進めてほしい旨」の発言がありました。

また、5月29日に開催された木曽川水系連絡導水路事業の関係地方公共団体からなる検討の場、以下「検討の場」と省略します。においても、一貫して同様の主旨の発言をしておられます。
しかし、この検討の場において岐阜県は、以前は求めていた長良川の環境への配慮について一切言及されていないようです。

岐阜県においても、以前は、平成20年3月中部地方整備局への木曽川水系河川整備計画の策定に対する意見などで、河川環境に与える影響を多方面から十分調査検討することを求めるなど、されていました。

「長良川は自然豊かな河川であり、それを生かした鵜飼いや水道水として利用するなど流域住民の生活を密接な関係にあることから、良好な河川環境を保全する必要がある」とし、河川環境に与える影響を多方面から十分調査検討することなどを求め、それまでは工事に着手しないように意見されてきました。

当時の印象と比較すると、検討の場など、この間の岐阜県の姿勢や発言は、推進一辺倒の印象が強く、長良川の河川環境への配慮についてどうお考えなのか、気になるところです。

そこで2点、知事にお聞きします。
(1)点目。
岐阜県から出した128項目の意見に対し事業者の見解が発表され、平成21年に岐阜県へ意見照会されております。が、それ以降、岐阜県は内容を精査中とし今に至っているようです。
この環境レポート(案)の検証と今後の対応についてお聞きします。

(2)点目。(長良川の河川環境への配慮について)
さきほど触れたように、名古屋市の提案を受け、5月29日に開催された検討の場において、岐阜市から長良川の環境への配慮について要望を発言されていますが、岐阜県は長良川について一切言及がありませんでした。

岐阜市は以前より、長良川の環境は市民の宝と位置づけ、導水路事業について一貫して環境への配慮を求めていますが、その位置づけは岐阜県にとっても同様だと思います。岐阜市と足並みをそろえ環境への配慮について言及すべきだと考えますが、長良川の河川環境への配慮について知事はどのようにお考えでしょうか。

//答弁知事//

2項目ご質問いただきましたが、関連いたしますので、まとめてご答弁させていただきます。
本事業は、徳山ダムに確保した水を、異常渇水時に木曽川や長良川に導水し、流量 を増やすことにより、可茂•東濃地区の渇水被害を大きく軽減するとともに、魚類等の生息環境の保全に資する、本県にとりましては重要な国家プロジェクトでございま す。

同時に、本事業の環境への影響に関しては、「県民の関心の高い長良川•木曽川の水環境を守る」、これが県の一貫した姿勢であり、現在も変わることはございません。

この環境影響の点について、改めてこれまでの経緯を申し上げますと、平成2 0年 3月に河川法に基づく木曽川水系河川整備計画の策定に際して、国に対しまして、 本県としては「良好な河川環境に与える影響を多方面から十分調査検討し、その内容が丁寧に県民に説明されること、また、工事の着手前には再度県の意見を聞くこと」 などの意見を提出しております。

また、平成2 0年8月の水資源機構による事業実施計画の策定に際しましては、「導水先の河川環境に配慮し、これに必要な施設の設計を行う」よう意見を提出しており ます。

加えて、環境レポートの検討項目と手法に関しては、水環境の保全、魚類への影響等について更に慎重な検討が必要として、国と水資源機構に対し、調査項目の追加な ど、平成2 0年11月に119項目、平成21年3月に9項目、合計12 8項目の意 見を提出しております。

その後、平成21年5月に、国と水資源機構から「長良川へは通常時には導水せず、 平成6年と同程度の異常渴水時の緊急水に限り導水する」との案が追加提案されまし た。

そして、同平成21年7月に国と水資源機構は、これらの案を含めた「環境レポー 卜(案)」を公表し、9月には県に対し、意見照会がございました。当時県においては、副知事を会長として関係各部長をメンバーとする庁内連絡会議を設け、環境、生物、地盤など幅広い分野の有識者の意見も伺いながら、事業の環境影響について検討 を重ねておりました。

こうした最中、意見照会から3か月後の同年12月に本事業がダム検証の対象とな ったため、県としては、国が検証作業を終えて、事業の対処方針が明確になった後に意見を述べることとし、検討作業を中断したまま今日に至っているわけであります。

前回の国からの意見照会から既に14年が経過しております。そこで先月30日に開催されました中部地方整備局長との意見交換の機会に、私の方から今後も国が主体となり、各関係機関の意向を一つ一つ積み上げながら、速やかに検証作業を進めると ともに、長良川の水環境への配慮も含めて、丁寧に対応していただくよう、改めて局長に申し上げたところであります。

今後、国のダム検証の結果として、本事業の内容や進め方などが明確にされるとともに、14年前の「環境レポート(案)」の取扱いも明らかになるものと思われます。これに関しては、これまでと同様に、岐阜市など関係市町や有識者の意見も伺いながら、しっかりと精査してまいります。

<再質問>

木曽川水系連絡導水路計画について知事からまとめて答弁がありましたので再度聞きます。1点目として今、ダム検証の最中である。

環境レポート案の対応についてはダム検証の最中であるので明確化された後にと扱いが明らかになったら精査するということですが今、並行して行う必要があるのではないかと思います。この点ついて聞きます。

2点目、平成30年3月や8月の姿勢と現在も県は変わらないと、長良川の環境への配慮については引き続き求めていくということでしたが、そうであるならば「検討の場」で是非、言及をして頂きたいと思います。

長良川の河川環境の配慮について岐阜市はしっかりと発言をしているわけですから自治体として発言して頂きたい。

//答弁知事//

まず、先般の検討の場というのはちょうど6回目でありまして、2年ぶりに行われたものであります。これ検討の場と言いますが、検討の場の幹事会の方でありまして、 各自治体の部長クラスが参加しているわけでありますが、今回のこの検討の場が行われた趣旨は、名古屋市長が新しい提案があるということで、名古屋市長の提案を聞き、 それについて国がコメントをする、それについて関係者はコメントすると、そういう セッションが中心に設けられたわけでありまして、主役は名古屋市でございました。

名古屋市が考え方を改めて、この導水路を積極的に利用しようとする、どういうこと に利用しようとしているかということの説明でありましたので、それに対するコメン 卜は県としてはいくつか差し上げたわけでありますけれども、そういう場としてあっ たということで、何かそういう場で行われた1回限りのやりとりの中で、県の方針が 変わるとか態度が変わるとか、そういうことではありませんので、まさに態度は変わ らないということですし、これから、そもそも検討の場もどうなるかわからんわけで すよ。

国として、とにかく1番のネックであった名古屋市の方針が変わったということで、それから、この間14年かけているわけですよ。14年間、国として検証作業 をしてきたとおっしゃるわけです。この検証作業の中には、環境調査もあり、様々な 調査もしてきたとおっしゃる。

じゃあ14年間何をやってきて、どうなったのか、と いうことをきっちりまず説明してくださいということを、もちろんその中に環境問題 も含まれるわけでありまして、そのことを私どもは今国に対して申し上げているわけ です。

ですから、これまで私どもは相当意見を言ってきて作られてきた環境レポート でありますから、当然内容も熟知しておりますし、様々な意見交換も、既に我々はや ってきているわけでありますが、その後14年かけて、何をやってきて、何がどう変 わったのかと、そこをきっちり見極めながら、迅速に意見を言っていくということで ありますから、並行して作業するというよりはですね、まず14年の検証期間を問いたいというのが私どもの基本的な立場ということであります。

<再々質問>

木曽川水系連絡導水路について知事に聞きます。「検討の場」が14年続いていて、それがどうなったのか説明してほしいというのはその通りで、県民に説明すべきと平成20年段階で県は言っておられた。

もう一つ問題は6回目の「検討の場」で出されている資料の中では環境レポート案については岐阜県において精査中と国の資料にしっかり明記してある。

要するに国が説明する番ではなく、県が精査しなさいと国が意思表示をしていることだと思います。この資料は岐阜県も出席して確認されていると思います。

ボールは国でなく県にあるという国の資料にあることがわかります。そうであるならば14年の検証をすべきと県から言うべきだと思います。

//答弁 知事//

今の資料にどう書いてあるか、実は私は担当からは聞いておりません。しかし、私と中部地整局長との会話では、先ほど答弁申し上げたような趣旨の会話をしておりま す。

従って、何か岐阜県にボールがあるというふうに認識はしておりません。あくまでも、このダム検証ということを宣言したのは国であります。その検証作業がどうな って、このプロジェクトをどうするかということを説明するのは国及び水資源機構の仕事だと思っております。

そのどうするかの中で、環境なり色んなテーマについて、 関連の地域が岐阜県であれ、愛知県であれ、何県であれ、岐阜市であれですね、色々 と疑問な点について質問をし、意見を言っていくという、この作業は、まず検証につ いての総括がなければ先に進みませんね、と申し上げております。

ですから、まずは、 このプロジェクトを前に進めていくとすると、ダム検証ということで事実上ストップ がかかったわけですから、これの総括をきっちりやったうえで、そのうえで当然14 年前の環境レポートがそのまま生きているのか、見直しをするのか、この14年間の 水質調査はどうなっているのか、そういったことも国と水資源機構がまず、第一義的に判断をして、そしてそれを我々に提示をしていただくと、それに対して我々がまたコ メントを加えていくと、こういう流れになるのではないかというふうに私自身ははっ きりと局長には申し上げておりますので、先ほどの資料はちょっとよくわかりません。

ちょっと精査してみますけれども、私の認識及び言動とは全く違う話というふうに思っております。

 

かなりな大規模事業と予想され、数百億円規模の予算とされています。県民の皆さんをはじめ多くの方々の声を大切にしていきたいと思います。

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