中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

【9月議会質問②質問・答弁全文】旧統一教会及びその関連団体について

2022年10月3日 11:30 am
カテゴリ: その他

旧統一教会及びその関連団体への見解と今後の対応について


世界平和統一家庭連合いわゆる旧統一協会とその関連団体について質問します。以下当該団体およびその関連団体を一括して「旧統一協会」と省略します。

岐阜県は、旧統一協会が開催にかかわった行事2件について後援したことを表明しました。さらに知事は、おととし12月に旧統一協会を訪問し県幹部と面談した事も明らかにされています。

この旧統一協会について指摘されている最も大きい問題は、マインドコントロールによる無報酬での過酷な労働や多額の寄付、それが原因で生活が破壊されるなどの被害が生じていることですが、問題が多岐にわたるため整理して申し上げます。

まず大前提として、宗教団体でもその他、どういった団体であっても、その行為が違法性を持っているかどうか、公序良俗に反していないか、行為自身に注目すべきです。

1点目の問題は、勧誘方法です。宗教団体だと明かされないまま勧誘され、関連団体による活動や行事をきっかけに勧誘が進められます。

勧誘当初に宗教団体だと明らかにされれば絶対に入信しない人であっても、宗教団体であることを隠し勧誘することで信者にしてしまうという、信教の自由や自己決定権を侵害するという点が最も大きな問題です。

こうした正体隠しの布教活動は違法と裁判で認定されていますが、いまだに続いているというのが全国霊感商法対策弁護士連絡会(以下、対策弁護士連絡会と省略します)や被害者やの指摘です。

2点目は、様々な悩みに対し「先祖の怨念(おんねん)」それも何代、何十代も前の先祖まで出され、そのたびに多額の献金を求められることです。その被害額は一人あたり、数千万から億にまで上ることもあり相当なものです。

3点目は、信者2世の問題です。子どもは生まれた時から信者となり、信教の自由はありません。自由恋愛を否定され基本的人権がなく、子ども時代から経済的困窮に苦しんでいることも少なくありません。

立て続けに刑事摘発された2009年、旧統一協会はコンプライアンス宣言を行っていますが、対策弁護士連絡会はそれ以降も被害は続いているとのことです。

こうした団体が関係する行事に対して行政が後援したり、政治家が参加することは、社会的信用を高め、正体を隠した勧誘の入り口にお墨付きを与えるだけでなく、信者に対してはマインドコントロールを強化する効果があるから問題だと指摘されています。

1点目、当該団体に対する見解と今後の対応についてです。

知事が訪問し面会したという事は、客観的に見れば旧統一協会がおこしている問題や被害について目を背け、県民を被害から守る姿勢がないと捉えられかねません。

県民を代表して行動すべきであって、多くの失望の声が届いております。また、私自身も非常に残念な思いを持っています。

「今後、慎重に対応する」と記者会見で述べられておられましたが、旧統一協会について何が問題なのか明確にされていません。

今後、後援の審査にあたって「承認手続きのあり方を見直す」との答弁がありましたが、見直しにあたっては問題点をはっきりさせることが必要だと思います。

統一協会に対してどこが問題で、今後の対応はどうされるのでしょうか。また、他県では、「県民の不安や懸念が増大している」とし後援自体を取り消しする動きが出ていますが、岐阜県としても取り消しを検討すべきではないでしょうか

<知事答弁>

旧統一教会及びその関係団体についてでございますが、これの問題点、そして、今後どのように対応するか、また、既にお出しした後援名義の取消しをする考えがある かどうかということでございました。

旧統一教会及びその関連団体につきましては、議員も質問の中で触れておられますけれども、正体を秘匿した伝道や勧誘、高額な献金、霊感商法など様々な問題が指摘されております。

また、こうした問題は法的にも、信教の自由の侵害や威迫•困惑による勧誘に当たるとして民事•刑事で争われ、違法性が認定されている例がございます。

現在、旧統一教会を巡る、こうした問題•指摘に対する社会的関心が急速に高まり、 団体に対する疑念が一段と深まっていると承知しております。

そして、国も消費者庁を中心に、これらを問題視し、先頃、検討会を設置しておられます。現在、実態把握、論点整理、被害者救済について鋭意、議論が進められてお ります。

この中には、消費者契約法でありますとか特定商取引法でありますとか、さらには宗教法人法も視野に入れて、法制度の運用、見直しについても議論が含められておると承知しているところでございます。

こうした中で、県では、関連団体が関与する行事への後援名義の使用承認が2件、祝電が1件、確認されております。

後援名義の使用を承認した時点においては、事業内容そのものを確認した上で、基準に照らして判断したことではございますけれども、現時点で省みますと、より慎重に対応し得たものではないかと考えています。

従いまして、今後はより注意深く対応してまいりたいと考えております。

そこで、今後の後援名義の使用承認等についてでありますが、国の議論の動向を注 視しながら、県における後援名義の使用承認手続きを見直してまいりたいと考えてお ります。

まず、今、各部局がそれぞれの基準によって運用しておりますけれども、そうした各部局バラバラの基準そして判断という現状を改めまして、県として統一した基準を設けたいと思っています。

その際、当然のことながら、県として、この旧統一教会を巡る実態について十分に調査、分析をしたいと思っております。

その上で、秘書広報部門を、この承認事務の県全体の統括部署と位置付けたいと思っております。これに よって、チェック体制を強化すると同時に、組織として統一的に対応してまいりたい と思います。

そして、後援名義の申請者につきましては、主催者、後援団体、あるいは実行委員会形式の場合には、その構成員までを丁寧に調査し、十分に確認したうえで判断してまいりたいと思っております。

また、祝電対応につきましても、これに準じて対応してまいりたいと思っております。

なお、これまでに承認した2つの後援名義についてでございますが、事業終了後に 提出された実施報告から見ましても、基準に照らして、取消しに該当するような具体 的事実はさしあたり見当たらないことから、現時点で取り消すことは考えておりませ ん

<中川 再質問>

まず、面会について知事自身から反省やお詫びの言葉がないのは非常に残念です。

過去の後援について、どのような検討をされるのでしょうか。

実施報告、企画内容には問題ないということですが、裁判においても反社会的な活動と違法性が何度も認定されているという客観的事実に照らして、後援が相応しかったのかどうか検討する必要があるのでは。

<知事 再答弁>

後援名義の点でありますけれども、これまでのことにつきましては、各部局ごとにそれぞれ基準をもって対応してきたわけでありまして、また、事業が終わったあとの事業報告もしっかりともらって、取消し要件に該当するか否かもチヱックをしているわけでありまして、そうした規定からみますと、今直ちに取り消すような事実は見当たらないけれども、やはりもっと慎重にやるべきであるということは間違いないところでありまして、今後新しい基準を作っていくなかで、これまでの2度のケースを丁 寧に振り返って、新しい基準をどうするかということをしっかり考えていきたいと思 っております。

<中川 再々質問>

過去には後援したが今後は慎重にするという対応では行政としての一貫性がないのではないか。

他県では過去の後援について取消しの検討がされています。県の後援の信用性に関わる問題でもあるので、後援の取消しは検討すべきだと思いますが。

<知事 再々答弁>

現在の、県の後援名義を出した担当部局の承認基準には、後援等の取り消しという項目がそれぞれありまして、こういう場合に取り消すと書いてあるわけです。

ここに当たれば、もちろん取り消すわけでありますけれども、これを見たときに、そのまま今これを取り消す理由になるかどうかと いうところについては、私どもとしては疑問な状況でありますので、先ほど来、答弁 しているわけでございまして、取り消すという規定も適当であるかということについ ては、また、統一基準を作るなかで検討しなければいけませんので、現行基準のなかで判断する限りでは、今のところ承知している内容では、取り消すことは考えていな いと、こういうことでご理解をいただきたいと思っております。

統一協会とその関連団体における霊感商法等の被害について

①被害者の実情把握と支援の必要性について


霊感商法等の被害に対する対応について2点質問します。被害とその支援の課題については、本当に多岐にわたりますが、ここでは4点にしぼり述べます。

まず経済的被害、霊感商法などの相談について大きな課題があります。対策弁護士連絡会に所属されている岐阜県の神谷弁護士によると、コンプライアンス宣言以降も被害は続いていますが、近年は被害を申告できないような巧妙な手口に変化していると指摘されています。

たとえば、壺や印鑑の購入など契約行為に関するトラブルは消費者契約法の改正で厳しく対応できますが、高額献金によって物がもらえる、または一部の協会ではポイント制が導入されており、これらの被害は契約行為にあたらないため、消費者トラブルに該当せず、実際には公的相談窓口が十分機能できていません。

また中には、脱会にあたり、「返金を求めない」という公正証書を交わしている事例もあるそうで、そうなると本人も「そもそも相談できない」と泣き寝入りしてしまう可能性が十分にあります。

神谷弁護士によると、その場合でも裁判で返金を求められる可能性があるため、公的機関が「ますは相談を」としっかりアナウンスすることが重要だとおっしゃっております。

2点目は、そういった相談に至る前段階の問題です。

信者が脱会するまでの過程や脱会間もない元信者が社会に復帰するまでの過程では、地獄に落ちるかもしれないという恐怖、失った物の大きさからくる喪失感、自責の念に駆られるなど、長い年月、様々な葛藤や苦しみがあるとのことです。

専門的知見や、福祉、精神的なサポートが非常に重要だと感じますが、実際には家族が手探りで対応したり、ボランティアにゆだねられており、公的に支援する仕組みがありません。

3点目は、信者二世に関する問題です。親の無理な献金や生活費に、アルバイト代や奨学金が使われる、教育機会の保障から生活の保障まで、多方面のサポートが必要です。

最後に、被害をなくすという点も重要です。 勧誘は大学など学生に対して行われている事例も多く報告されています。中には、内定を辞退したり、勉学を継続することができなくなるなど将来にわたる大変な被害もでており、子どもや学生へのカルト対策を講じる必要があります。

これら、被害の実態と支援の課題を述べましたが、現在相談につながっていない人を相談につなぐためにも、県自身がこうした被害を許さないという姿勢を示すことと、本気になって被害を無くすという取り組みを示す必要があると感じました。

そのためにも、被害者家族や支援に当たっている弁護士、支援にあたる方々から実態を聞き取っていただきたいですし、知事自身も実際に話を聞いてほしいという声があります。

そこで質問です。①被害者の実態把握と支援の必要性について知事にお聞きします。

様々な被害について、その支援の必要性をどのようにお考えでしょうか。また、知事本人が実際に被害者やその家族、支援にあたっている方々等の話をぜひ聞き取っていただきたいと考えますが、そのお考えをお聞かせください。

<答弁知事>

旧統一教会に関連する被害に遭われた方々が抱える問題、これもご指摘がございま したが、高額な商品の購入や多額の献金による生活の困窮、入信による家族との断絶、 知人への勧誘により関係が疎遠になることなど様々でございます。

また、本人のみならず、信者の子どもたちも、親の多額の献金等による生活苦、進 学や就職の困難、婚姻の強制など親との対立による心の悩み、信者の家族であるが故 の誹謗中傷への不安などに直面しておられるというふうに言われております。

県では、県民の皆さまの日常生活における様々な困りごとに関するご相談について、 県の代表窓口である県民生活相談センターにおいて対応にあたってまいりました。

この相談センターではこれまで、多額の献金の返還を求めるものや、高額な商品や サービスのクーリング.オフ、返金に関するものなどのいわゆる「霊感商法」、「開 運商法」に関連する相談を受けてきております。

そこで、今般の旧統一教会を巡る状況に鑑みまして、本県としては、この問題に関 する専用の相談窓口を設置するとともに、関係する機関との連携体制を強化すること といたします。

その上で、窓口に寄せられる1件1件の相談に丁寧に対応するととも に、その内容をしっかりと把握し、分析し、これを関係機関と共有してまいります。

その具体的な仕組みにつきましては、後ほど部長から答弁をさせていただきます。 また、このような取組みを通じて適切な支援のノウハウを蓄積し、今後の被害者支 援に活かしてまいりたいというふうに考えております。

②被害の未然防止と被害者救済のための総合的な支援体制の構築について

<答弁 環境生活部長>

旧統一教会に関するご相談につきましては、県民生活相談センターに設置する専用 の相談窓口でお受けし、本庁の管理のもと対処法の助言やあっせんを行うなど責任を もって対応してまいります。

その際、霊感商法や開運商法に関する、高度かつ専門的な支援が必要なご相談にっ いては、県弁護士会、全国霊感商法対策弁護士連絡会など外部の支援機関と連携し、 それぞれのご事情に応じた対応に努めてまいります。

その他、生活苦に関する相談は 生活困窮者自立相談支援窓口、心の悩みであれば精神保健福祉センター、誹謗中傷の 被害については人権啓発センターなど他の相談窓口に適切に橋渡しを行ってまいりま す。

また、県民生活課を中心に、県民生活相談センターをはじめとする県の相談窓口及 びその所管課、弁護士や臨床心理士などの専門家、民間支援団体等から成る被害者問題連絡会議を設置し、相談状況や被害者の実情、ニーズ等を共有してまいります。

こうした取組みを通じ、被害者の適切な支援につながるノウハウを蓄積し、迅速かつ丁寧な支援に繋げてまいります。

さらに、被害に遭われた方の救済にあたっては、相談員の対応力の向上が重要であることから、研修会で霊感商法等をテーマとして取り上げ、被害者支援に携わる弁護士などを講師に招き、一層のスキルアップを図ってまいります。

加えて、新たな被害発生の防止を図るため、霊感商法を中心とした悪質商法の実例や被害の実態、勧誘の手口やその対処方法、相談窓口等を分かりやすくまとめた啓発チラシを作成し、出前講座などの様々な機会を捉え、県民に対する周知啓発にも取り組んでまいります。

<再質問 中川>

実情を聞いてほしいという声が実際にあります。知事は、実際に支援団体、被害者 家族の方、そして弁護士の方。実際に会って、実情を聞き取るという準備はあるのかどうかお聞かせください。

<再答弁 知事>

貴重なご提言だと思いますが、旧統一教会に関するご相談につきましては、先ほど 環境生活部長からご答弁しましたような仕組みによってお受けをして、しっかりとした組織体制で対応していきたいというふうに思っております。

私自身としては、その進涉状況について、つぶさに報告を受け、注意深くフォローするとともに、必要に応 じて指示をしていきたいというふうに思っております。

その過程で、タイミングをみて直接聞くことについても、また考えてみたいという ふうに思っております。

<再々質問 中川>

組織体制で対応するとお答えがありましたが、(知事は)旧統一教会へは実際に出向いたうえで面談をされておられます。

旧統一教会に対しては実際に会われているわけですので、被害者の方からもちゃんとお話を聞くというのが筋ではないか と思います。

それが県民に対してのけじめでもないかと思います。ぜひ、会っていただきたい。そのお考えについてお聞かせください。

<再々答弁 知事>

被害者にお会いする話につきましては、先程申し上げましたように、一つの体系を 作って、そして広範な、いろんな事例をしっかりと受け止めて丁寧にやっていこうと いうことでございますので、その流れの中で必要なタイミングがあれば考えたいと、 そういうふうに思います。

 

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