中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

【23年9月議会/質問と答弁2】有機フッ素化合物(PFAS)問題

2023年10月4日 6:33 am
カテゴリ: 活動報告

中川ゆう子

PFASとは、泡消化剤、撥水剤として利用されてきたPFOS、テフロン加工などのフッ素樹脂製造などで使用されてきたPFOAを含む総称であり、ほぼ分解されない「永遠の化学物質」とも呼ばれているものです。

発ガン性、胎児や子どもの発育など様々な健康への影響が指摘され、ストックホルム条約でそれぞれ、廃絶、使用製造の禁止が決められております。

日本においては2021年までにPFOSとPFOAの製造、輸入を禁止しましたが、禁止前に製造販売されたものについては使用が禁止となっておらず、PFOSについて環境省は在庫量の調査を現在行っているという段階です。

岐阜県では各務原市三井水源地の井戸において国の暫定目標値を大きく超える数値が水道水や地下水から検出されたのはご案内のとおりであります。

また、報道によりますと、2021年度の防衛省の調査で、航空自衛隊岐阜基地の消火用水槽から暫定目標値の380倍にあたる濃度が検出されていたとのことです。

日本で初めてPFAS問題が明らかになった大阪府のダイキン工業周辺では、土壌から高濃度の数値が検出、そこで採れた作物とそれを食べた住民の血液から、高濃度のPFOAが検出されております。ダイキンは2015年にはすでに使用を中止していますが、土壌に残留したPFOAが地下水を汚染し続けていると考えられています。

このようにこれまでの事例から、まずは、早急な水道水の浄化を優先するとともに、地下水や河川だけでなく土壌調査や住民の血液検査、健康調査をきめ細かく行い、汚染の状況を把握し、問題を明らかにしていく必要があると考えます。そこで4点伺います。

(1)水質検査と住民への結果公表に係る県の基本姿勢について

県内の市町村の対応は様々ですが、県が確認するまで水質調査がされていなかった、または調査した多くの自治体で結果が公表されていなかった、基準超過が住民に知らされていなかったなど、国の通知から見ると適切とは思えない対応があったようです。

県内自治体の状況を受けた県の姿勢についてお考えをお答えください。

答弁 知事

水道法では51項目の水質基準を定めて、水道事業者に検査の実施と基準の遵守を義務付けております。この水質基準を補完するものとして、厚生労働省の通知で、水質管理目標設定項目が定められております。

この水道水質管理目標設定項目につきましては、検査の実施や結果の公表は義務ではないものの、「水質基準に準じた検査の実施に努め、水質管理に活用すること」、「検査結果については、毒性評価等の関連情報と併せて公表し、関係者の注意喚起等に努めること」が求められております。

PFOS及びPFOAにつきましては、海外における飲料水の目標値の設定状況や、国内での検出事例を踏まえ、令和2年4月に、新たにこの水質管理目標設定項目に追加されたところでございます。

本年7月の他県におけるPFOS及びPFOAに関する動きを踏まえて、県内市町村の状況を確認しましたところ、自己水源を持つ34市町村のうち、13市町において検査を実施しており、そのうち各務原市につきましては、暫定目標値を超過しているにもかかわらず、その事実が公表されていないことが判明いたしました。

また、その他の12市町については、暫定目標値の超過はなかったものの、この時点で検査結果を公表しているのは2市のみでありました。

県としては、こうした実態は大変遺憾なことであると認識しております。このため、まず、各務原市に対しては、直ちに立入検査を行ったうえで、検査結果の公表、住民への丁寧な説明、低減措置の実施を行うよう求めました。市からは数日後に検査結果の公表がなされたところであります。

加えて、7月末には検査の実施及び公表について、県内全市町村に対して国の通知を踏まえた適切な対応を行うよう文書で通知をしたところでございます。

その結果、残り21市町村のうち、16市町においてPFOS及びPFORの検査が実施されております。いずれも目標値の超過がないことを確認されております。残る5町村は今年度中に検査を実施する予定であります。

なお、検査を実施したにもかかわらず、昨日までに、検査結果を公表していないのは5つの市町でありますが、速やかな公表を促してまいりたいと思っております。

そもそも、安全で質の高い水道を確保することは、県民の皆様の安全・安心にとって極めて重要であり、水道事業者においては法に規定された水質基準の遵守はもとより、水質管理目標設定項目についても、目標数値を下回る水質を確保することが望ましいと考えております。

したがって、県としましては、PFOS及びPFOAを含む水質管理目標設定項目の検査について、国の通知に基づき、検査とその結果の公表が適切に行われ、安全・安心な水が供給されるよう、市町村に対し、指導を助言してまいります。

中川ゆう子

(2)実態把握のための国への要望について

こちらも知事に質問いたします。現在、県と市において、全容把握に取り組んでいるとのことなので、実態把握のための国への要望についてです。

基地内の土壌調査をくまなく行い、情報を公開することで、全容が把握できると考えます。各務原市は防衛省に対し調査の要請を行っていますが、しっかり全容把握を進めるためにも、県も各務原市と足並みを揃えて要望すべきではないでしょうか。

答弁 知事

県では、各務原市の三井水源地において、暫定目標値を超過するPFOS及びPFOAが検出されたことを受け、国が定めた「対応の手引き」に基づき、市と連携して、周辺井戸の水質調査を実施し、汚染範囲の把握に取り組んでいるところでございます。

まずは、三井水源地の取水井から半径500メートル範囲の井戸44本を調査し、13本の井戸で暫定目標値の超過が確認されました。これを受けて、超過が確認された井戸からさらに半径500メートルの範囲の井戸について、現在、追加調査を行っているところでございます。

また、昨日公表されました、各務原市が実施した市内全域の観測井戸95本の水質調査によりますと、5本の井戸で暫定目標値の超過が確認されたところであります。これについても、市と連携し、追加調査を実施してまいります。

これらの調査に加え、今後、県において、超過が確認された井戸周辺の河川、用水路の水質検査も行い、汚染範囲の特定を図ってまいります。

このような取組みを行う中で、必要があれば、市と連携し、国に対する基地内での土壌調査の要請についても検討してまいります。

再質問 中川ゆう子

今、お答えがあったように、必要があれば基地内の土壌調査についても要請していくというお答えありましたけれども、実際にもう各務原市の方では必要があるということで要請をして、今2か所、井戸水の調査が行われているということです。

先ほど、私も申し上げましたけれども、大阪での事例などを考えると、むしろもう必要性を考えるというよりは、必要があるのではないかと思います。その認識について伺います。特に、今回この件については、最初検査の公表、検査の実施について県の姿勢がとても重要で、これがあってこの問題が明らかになり、そういう意味では、住民の皆さんにとって非常にありがたい、とてもよかった対応だったと思います。ぜひ、これが分かった以上は、面で把握するためにもむしろもう必要性があると判断をしていただきたい、その要請をしていただきたいと思います。

再答弁 知事

土壌中のPFOS及びPFOAについてでありますが、水環境における水質の暫定目標値のような基準値が土壌には設定されておりません。したがって土壌調査をどうやって、出た結果をどう評価するかということ自身が、すでに大変困難な状況にあるということでございます。

とはいえ、こうした状況ではありますけれども、先ほど申し上げましたように、まず水環境から入って、汚染範囲の特定を進めていく中で、必要があれば、基地内の土壌調査についても、各務原市とともに要請をするということも検討していきたいというのが、私どもの立場であります。

それから、この場合につきましては、各務原市と私どもとは立場は全く足並みを揃えてやるということで共通であります。

それから、各務原市はすでにこの土壌調査について国へ要望しているではないかという話がございましたけれども、各務原市が基地に対して要望したのは、井戸水の調査をさせてほしいということでありまして、これは昨日発表されました95本の内数として基地内の井戸水の調査も行われたということでございまして、各務原市が土壌調査についてまで国に要請をしたというふうには私どもは承知しておりません。

それから3番目に、ご参考までに知事会の方でも色々議論をしておりまして、この土壌につきましては、とにかく知見の集約を今色々と国でやっているわけでありますけれども、これを加速化してほしいということを言っておりますが、心は土壌汚染について調査の方法、評価のあり方、それから汚染除去対策の具体的方法に至るまで、土壌汚染対策全体として知見を集め、かつ方法を示していただきたいと、こういう要望をこの7月に出しております。私どももそういう意味で、知事会でも議論をさせていただいるところでございます。

中川ゆう子

水道水浄化のための財政支援についてです。水道事業会計内で浄化対策を行えば、それは将来的に水道料金に跳ね返ることになります。

(3)3点目 水道水浄化のための財政支援について

健康福祉部長にお聞きします。

昨日のご答弁にあったように、水道水の早急な浄化のために活用できる国の水道施設整備補助金は、各務原市は対象外とのことです。国に対し、補助要件の緩和とともに、PFAS除却のための新たな補助金の創設を要望すべきだと考えます。また県でも支援すべきではないでしょうか、お答えください。

答弁 健康福祉部長

水道事業者が行う水道施設の整備については、企業会計で行われており、本来、水道事業者が料金収入等の自己財源で行うべきものですが、施設の耐震化や高度な浄水処理施設の整備に対しては、国が財政的な支援を行っており、PFOS及びPFOAの除去施設の整備についても、その対象とされています。

しかしながら、こうした補助には採択基準があり、財政指標である資本単価が安く、給水人口が一定の規模以上である各務原市は、現行制度では採択されないことから、各務原市の改善策の状況や財政負担の規模をよく確認し、必要に応じ、補助制度の柔軟な運用について、県としても、国へ働きかけてまいります。

なお、各務原市に対しては、一日も早く暫定目標値を下回る水が供給されるよう、引き続き指導を行ってまいります。

再質問 中川ゆう子

必要があれば、引き続き要望していくとのことであったが、各務原市では、水源の切替え等がなされるまでの間、当面は浄化対策が必要であり、継続的に費用負担が生ずる状況にあります。

これまで、国の補助制度に関しては、一般的な要件緩和を要望してきているが、各務原市の事案を踏まえた要望をすべきではないかと考えます。

今回の件を踏まえた要望、財政支援するかどうか、再度伺います。

再答弁 健康福祉部長

水道施設の整備につきましては、先ほどご答弁申し上げたとおり、既存の国庫補助制度がございますが、現状で各務原市は採択基準を満たさないため、市の改善策の状況や財政負担の規模を確認したうえで、必要に応じ、補助制度の柔軟な運用について国へ働きかけてまいります。

中川ゆう子

日常的に飲料水として利用していた住民からは、血液検査の実施を求める声が出ております。

今回、岐阜市にあるみどり病院が、大学の研究機関と連携し、100人規模の血液検査を実施すると発表し、募集が始められました。しかし、予算や病院の体制にも限界があるため、本来は国や行政がしっかり取り組んで欲しいともおっしゃっておられます。

また、豊山町では血液検査とともに、医療機関が医療面での健康相談を実施しており、こういった取り組みは、血中濃度の高い方の健康被害を予防するという観点で非常に重要であると考えます。

(4)住民への血液検査の実施について

そこでお聞きいたします。

こうした取り組みを進める民間と、情報共有するとともに県も連携していただきたいと思います。

また、血液検査実施を国へ要望するとともに県としても検査実施などの取り組みできないでしょうか、お答えください。

答弁 健康福祉部長

環境省が設置する、PFASに対する総合戦略検討専門家会議が本年7月に取りまとめた「PFASに関する今後の対応の方向性」では、地域での血中濃度調査の実施について、「血中濃度のみを測定しても健康影響を把握することができない現状である」とされています。

また、Q&A集では、「国内において、PFOS、PFOAの摂取が主たる要因とみられる個人の健康被害が発生したという事例は確認されていない」とされています。

こうした状況を踏まえ、現時点で県において血液検査を実施する予定はありませんが、他県の状況や民間の独自の取り組み状況を注視しつつ、国に対し、毒性評価の検討の加速を求めてまいります。

再質問 中川ゆう子

健康への影響が不明確なため、血液検査の実施は検討していないとの答弁であったが、不明確だからこそ検査が必要だと考えます。住民への血液検査についての認識と実施については。

再答弁 健康福祉部長

現時点での知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康被害が個人に生じるかといったことは明らかとなっていません。

このため、国に対しては、まずは、毒性評価の検討の加速を求めてまいります。

再々質問 中川ゆう子

民間が検査を実施しているのであれば、重症化予防の観点から、県も連携して住民への血液検査を実施すべきだと考えます。国の動向を見てとの答弁であったが、県民の問題なので、県としてどうすべきか。

再々答弁 健康福祉部長

現時点での知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が個人に生じるかについて明らかとなっていません。

このため、血液検査に財政支援を講じることは現時点では困難であり、県としましては、国に対し、毒性評価の検討の加速を求めてまいります。

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