中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

3月議会討論に立ちました

2020年3月18日 12:18 pm
カテゴリ: 活動報告

中川の3月議会討論

議第1号議案 令和2年度岐阜県一般会計予算

主な理由を3点

新年度予算では、県債発行額を前年比で7億円減、わずかではありますが新たな県の借金は微減したものの、総額は過去最高額を更新しつづけており、その額は県の一般会計予算額の約2年分に匹敵する額になります。

とくに、一般質問で申しあげたように、国庫かつ負担金、主に東海環状自動車道の整備は、新年度予算約193億円のうち約95%が借金、関ケ原古戦場記念館は、今までの執行額と新年度予算を合わせると総事業費約53億円のうち86.9%が借金です。

それは今進められている新庁舎建設なども同様です。

このように大型公共事業の財源の大半は県債であり、こうした財政運営がもたらすものは、将来の負担増です。事実、知事も認めておられるように、実質公債費比率は2020年度を底に、再び悪化する見込みであり、事業の必要性を見極め、頻発する自然災害に備え老朽化した社会資本の改修や防災・安全対策に重点をしぼるべきであると考えます。

2点目は優先順位です。

新年度の政策の柱の最初に掲げたのはターゲットイヤーとしての位置づけで、東京オリパラの高揚感や交流の勢いを岐阜に呼び込むとし、

その予算の中心は多くのイベントです。特に大きいのは、関ケ原古戦場記念館のオープンに伴うイベント費に4億7000万円です。

イベント全部を否定するわけではありませんが、この厳しい財政状況のもと、ここまで多額の予算を投じて行うべきことなのか、これが県民生活の向上にどう結びつくのか、県財政と県職員を疲弊させる結果にならないか、

説明責任が求められると思います。

こういった部分こそ、節度を持った財政措置を求めます。

見直すべきと思います。

3点目は、これも優先順位に関連しますが、今最も最優先してスピード感をもって取り組むべき、新型コロナ対策の予算が、毎年計上される感染症対策費しかないということです。これまで新型コロナ関連では2度、2019年度の補正予算は組まれましたが、新年度、この4月から、県はこの新型コロナ肺炎にどう取り組んで行くのか、その姿勢を示すのが私は新年度予算なんだと思います。医療体制、病院、福祉施設のマスクなどの物資不足をどうするのか。

すでに県内の地域経済には深刻な影響が出ていますが19年度の補正予算には景気対策は含まれておらず、貸し付けを受ける体力のない自営業者やフリーランスの方々への生活保障は不十分なままです。

新型コロナ肺炎などについては当初予算の説明資料で「国の対応を待つことなく、県が最前線に立って県民の生命・財産を守る覚悟で、これらの課題・懸案に(けんあん)に万全を期する」と述べておられますが、残念ながら、この予算にはそうしたものが全く見えておりません。優先順位が逆であります。

早急に県内の実態を掴んで新年度予算に組み込むべきだと申し上げます。


議第6号 岐阜県国民健康保険特別会計予算

県単位化され、県が事業責任を担うようになって3年目になります。県単位化されるにあたり、全国知事会は、低所得者が多くを占める健康保険でありながら保険料は他の保険にくらべ異常に高いという構造的問題の解消を求めて来ましたが、残念ながらいまだ根本的な改善はされておりません。

この2年間、各市町村の国保料・国保税の本算定におけるひとりあたり調停額が前年比で上がる市町村が相次ぎました。さらに県は、保険料抑制のための一般会計からの繰り入れは解消すべきとした運営方針を策定しており、保険料のさらなる引き上げに繋がる方針には賛同できません。


議第13号 岐阜県徳山ダム上流域公有地化特別会計予算

ダム建設のための移転に同意する条件として、旧徳山村村民が自分が所有する山林に引き続き立ることができるよう道路建設を約束していました。この山林の公有地化事業はその約束を反故にするものであり、旧村民は裁判を起こしておられたものです。事業そのものに反対します。


議第14号 岐阜県県営住宅特別会計予算

岐阜県は2018年度、入居率が低い県営住宅を対象に、縮小する計画を打ち出し、新年度においても各団地で計画が進められることになっています。

県民の中で低廉な公営住宅へのニーズはいまだ大きい一方、入居者が時減少した理由は、交通の便が悪い立地、老朽化、階段しかなくバリアフリーになっていないなど住環境の問題があげられ、縮小と集約化でのみでは根本的な解決になりません。入居者が半分以下になった住宅をそのまま維持管理し続けることは適切とはいえませんが、古く暮らしづらい住環境の思い切った改善も同時に行っていくべきだと思います。

さらに、今年度2019年度に移転が進められたある団地では、対象入居者全員と移転補償契約を締結したとのことですが、実際には、他の棟に移転するか、県営住宅から退去するか期限を切った2択であったこと、移転により家賃が上がるという不安に寄り添ってもらえていない、引っ越しの期限が一方的に決まられて困っている、などの声が寄せられました。病気や経済的事情も異なり、住民一人ひとりには生活があります。

住まいは人権そのものであり、個人の意向を尊重し、経済的負担なく行えるよう、現在の進め方を見直すことを求めます。


議第38号 岐阜県厚生環境関係手数料徴収条例の一部を改正する条例について

このうち、希望が丘子ども医療福祉センターにおける診断書等の交付手数料の値上げに反対です。

理由は2点。

まず値上げ幅が非常に大きいこと。それぞれ、値上げ率が低いもので1.6倍、高いものは2.2倍以上の値上げです。診断書は、福祉手当や福祉制度などの申請に必要であり、診断書発行の手数料が高い事が大きなハードルにもなるのです。一方で、子育て支援を掲げている県の姿勢に整合性はとれません。

つぎに、引き上げ理由です。

県立3病院と金額を合わせるということですが、そもそも手数料の額は、それぞれの医療機関が独自に決定できるものであり、一定の経営的判断が迫られる独立行政法人3病院とあわせるという理由は法的根拠もなく説明になっておりません。

子どもの医療と福祉的要素をもつ当施設の成り立ちから見ても賛同できるものではありません。


議第59号 内ケ谷ダム本体工事の請負契約の変更

これは、掘削途中でダムを支える岩盤が劣化し亀裂が入っていることが判明したことによる工事の追加にともない46億8000万円余りの増額です。

これにより、完成は3年近く先送りになるとのことでした。毎年のようにゲリラ的な集中豪雨が頻発する中、治水対策は待ったなしです。完成が先送りになった分、その間は洪水対策効果は得られないこと、さらに、ここまで事業費が増加するということですので、本来は再度の事業検証が必要です。

ダムは一定限度の規模の洪水にのみしか対応できず、想定外の局地的豪雨に対応できないという弱点が西日本豪雨災害で明らかになりました。

力を入れるべき河川改修や堤防のかさ上げはまだ不十分な状態で、限られた財源の中、想定外でも対応できる治水対策とし力を入れるべきと申し上げます。


請願第7号 「最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書」の採択を求める請願について

地方創生の掛け声のもと、岐阜県でも移住定住策に県を挙げて取り組んできていますが、若い世代の人口流出という傾向に歯止めはかかっておりません。やはり移住の決め手は仕事であり、生活できる賃金だと思います。

同じ日本国内で同じ時間、同じ労働をしたとしても、東京や愛知と岐阜県では賃金に差が生じている一方、地方は車がないと生活していけないなどの事情で生活コストは日本全国ほぼ差がないことが分かっており、これが地方の人口減の一つの理由といわれております。

この請願に書かれている時給1500円というのは週休二日、8時間勤務で月25万円になる時給であり、労働者が経済的に自立できるかどうかという大変重要な目安であると言えます。

委員長報告では不採択の理由として中小企業支援施策の効果や経営環境も考慮すべきとありました。

そのためにも中小企業の賃上げ支援策を強力にすすめることを国へ求めていくべきです。国の新年度予算の中ですが、この助成制度は、生産性向上のための設備投資が条件になっており、中小企業の7割が赤字という中では実効性に課題があるのが実情です。経営環境を考慮するという手なら、たとえば赤字企業でも負担する社会保険料の事業主負担を減免するなど具体的な支援策が必要です。

この請願で求めておられることは、岐阜県のような地方で若い世代が経済的に自立し暮らしていくためには避けて通れない問題であり、若者の人口流出が課題である岐阜県で採択し国へ声をあげていくことはとても意味のある事であると考えます。

委員長報告は不採択でしたが採択を主張します。


請願第8号 「長良川河口堰の運用見直しとゲートの試験的開放の議決を求める請願について

河口堰運用から25年、堰の下流にはヘドロが2メートル堆積し、ヤマトシジミは絶滅し、ヨシも9割が消滅しました。残念ながら私より下の若い世代は、こうした現状の長良川しか知りません。運用から四半世紀が経ち、長良川をめぐる全生態系におよぼす河川環境の悪化に対し検証し、具体的な手を打つことを始めるべき時だと思います。

ゲートを上げると塩害がおきるというご意見ですが、遡上シミュレーションは川の流れのない時のモデルであり、実際に川が流れているときのシミュレ―ションではありません。実証データに基づく議論をすべきという願意は妥当です。


請願第9号 「選択的夫婦別姓など1日も早い民法改正を求める意見書採択についての請願

1996年、法制審議会の答申で選択的夫婦別姓の導入が提言されています。それからすでに24年になろうとしています。この間、この請願にもある通り、公明党、国民民主党が相次いで選択的夫婦別姓の導入をされ、世論調査で肯定的な意見が増加しており、国民的議論が起きています。

婚姻により、強制的に同一の姓を名乗る仕組みは、国際社会でも日本ぐらいであり、政府が進める旧姓併記は、海外ではまず例がなく、さらなるトラブルの原因になっていること、職業上の不利益が実際に起こっていること、国連機関から3度も法改正の勧告が出されていることは直視すべきです。本請願は県や国が進める女性の活躍推進とも一致するものであり、採択を主張します。


請願第10号 「新型コロナウイルス感染症予防のための学校休校や事業悪化で影響を受けている仕事やくらしへの財政支援を求める請願

委員長報告では不採択とのことですが、県内、地域経済にも深刻な影響がすでに出ていることは、県の調査でも明らかになっています。不採択の理由は国、県が大規模な緊急対策を行っているとのとこですが、国が決定した学校の一斉休業に伴う補償が、会社員とフリーランスなどの自営業者で大きな差が生じていたり、融資を受ける体力のない小規模事業者への救済策は不十分です。

今、県民の多くが多かれ少なかれ先行きの見通しが持てない状況にある中、いま必要なのは、この請願にあるように、雇用形態問わず、生活保障がいきわたることと、働いている人の雇用を守り小規模、自営業などを潰さない経済対策です。他の自治体では休業補償や景気対策について、独自に財政措置し早速対応を始める動きが出ています。

残念ながら、国は予備費の対応でとどまっていますので、しっかり国へ財政措置を求めることはもちろん、岐阜県では、新年度予算での対応はまだ全容が見えていません。県議会として財政支援をもとめる請願を採択すべきと考えます。

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