2016年6月29日 5:41 am
カテゴリ: 活動報告
学校の実態を基に改善の必要性を問う
中川ゆう子の質問
特別支援学校に在籍する児童・生徒数は、平成17年からの10年間で835人、約50%増加しました。こうした生徒数の増加に対応するため、岐阜県では子どもかがやきプランが策定され、各地域に核となる特別支援学校が20校整備されました。学校建設がすすんだことで、子どもを地域で育てるための環境整備が大きく進展したと思います。先日、県内の特別支援学校を視察させていただいたのですが、様々な困難を抱えた生徒さんがいる中、障がいの程度や特性に応じたきめ細やかな教育が行われており、施設における工夫、先生方の熱意、そして授業を受ける生徒さんの生き生きと表情が大変印象的でした。しかしその一方、児童・生徒数の増加により、特別支援学校では教室が不足し様々な苦労もあるとお聞きしています。
県内の公立特別支援学校が報告している不足教室数は、平成27年度で111教室。うち、県立の特別支援学校では93教室にのぼっており、この不足に対する対応方法は、文部科学省の資料によると、仮設・借用教室での対応が3教室、教室や廊下などの間仕切りが25教室、倉庫・準備室を教室として使っているのが12教室など、となっています。
教室確保対策の一例として、仮設のプレハブ教室があります。プレハブ教室は、5月でもかなり暑く、教室ではすでにエアコンを入れないと勉強できる環境ではないとの事でした。また、壁が薄いため穴が開いていたり、その穴を板でふさいだ後があちこちに見られ、床は歩くたびに、ふわふわとたゆみます。
また、現場からは、「屋内の講堂では、全員入ることはできるが身動きがとれないほど狭い。」「プレイルームでは全生徒が入っての運動会や文化祭ができない」「プールがない」、などの声もありました。生徒数増に対応するためだったと思いますが、学校規模が小さかったり、生徒数が多く適正規模を超えているなど、全体の生徒数が学校規模に見合っていないのではと思われるケースもあります。特別支援学校が新設され喜びの声も聞かれる反面、抜本的な改善が必要だと感じます。
そこで、教育長に2点お伺いします。
(1)改修計画の策定と早急な施設の改善について
教育長へ質問
先ほど現場の実態を申し上げましたが、子どもかがやきプランでは、「障がいの有無や状態にかかわらず、誰もが互いに尊重し合い、一人一人の能力を最大限に発揮することができる「共生社会」の実現を目指す」としています。障がいの有無にかかわらず、適切な教育環境を保証するためにも、教員の皆さんの努力に応えるためにも、現場の声を十分聴いて全体的な改修計画を立て、早急に施設を改善すべきと考えますが、どのようにお考えでしょうか。教育長の答弁
平成18年に策定した「子どもかがやきプラン」に基づき、特別支援学校を12校から20校に整備し、教育環境が格段に改善したことから、保護者の理解も進み、児童生徒が急増しております。とりわけ軽度の知的障がいのある生徒が増加しており、来春の開校に向け、高等特別支援学校の整備を進めているところです。ご指摘のプレハブ校舎が存在するのは、かがやきプラン以前に設置された中濃特別支援学校だと認識しておりますが、近隣の関特別支援学校に分教室を設置し、来年度に解消する見込みです。また、屋内のプレイルームでは運動会の実施はしておりません。さらに、特別支援学校における可動式間仕切りは、児童生徒の障がいに応じて様々な形態で教育活動を行う上で必要なものと考えております。
なお、調査における不足教室数は各学校が希望する教室数をそのまま集計したものであり、客観的な調査といえず、その改善を文部科学省に申し入れる予定です。改修計画の策定につきましては現在、県有施設全体の再整備について、県議会の特別委員会において議論されておりますので、これを踏まえ対応を検討してまいります。
中川ゆう子の再質問
特別支援学校の改修計画の策定と早急な施設の改善についてお答えを頂きました。学校がそれぞれ不足教室数というのを出しておみえで、確かに教育委員会が考えている教室の附則数とは違うというのは私も説明を受けておりましたが、要するに現場との認識のズレ、課題の共通認識に立てていないということだと思います。国にカウントのしかたの変更を要望するのではなく、現場が不足と言ってカウントしている数字です。現場とのズレをしっかり直して、教育委員会と現場と同じ課題意識で進めていく必要があると思います。この点についていかがでしょうか。お聞かせ下さい。
教育長の再答弁
特別支援学校につきましては、先ほどお答え申し上げましたように来春でかがやきプランに盛り込まれた整備が終了し、県内各地域への設置が完了しますので、大規模な校舎を建設するような大掛かりな工事が必要とは考えておりません。しかしながらですね、各学校ごとの状況を確認し、必要があれば早急に学校ごとに対応策は講じて参ります。(2)教職員の待遇改善の方針について
教育長へ質問
学校基本調査によると、特別支援学校においては、育休の補充等も含め約3割を講師が占めていますが、講師は、一般教諭のような研修を受けることなく、配属されてすぐ子どもと関わることになり、現場では戸惑いもうまれているとのことです。日々子どもの成長を考え、一人ひとりと向き合い、一般教諭と同じ仕事をこなし、同じだけ責任をもっているにも関わらず、給与や退職金の有無など大きな待遇の差があります。人材育成やモチベーションに大きく影響しますし、地域の特別支援教育を支えるセンター機能を担うためにも、正規雇用化を含め改善が必要と思います。こうした講師の待遇改善の方針について、どのようにお考えでしょうか。
教育長の答弁
講師は期間を定めた臨時的任用であり、教員採用試験に合格した教諭と比べ、条例上は給料に差がありますが、退職手当は給料・勤続期間に応じて支給しております。また、平成22年度からは年次休暇の繰り越し、平成26年度からは社会保険の継続を実施しており、このほか研修面においても県の研修講座は教諭・講師ともに受講可能であることから、積極的な受講を働きかけていきたいと考えております。全国的にも類を見ないスピードで特別支援学校の整備を進めてきたことに伴い増加しておりました講師数ですが、特別支援学校に通う児童・生徒数は、平成18年度からの5年間では33%の増加でしたが、平成23年度からの5年間では9.1%となっており、増加の度数が収まりつつあることから、長期的な採用計画に基づいて講師数は減少する見通しです。今後も、講師数の減少に努めるとともに、教職員の待遇改善に取り組んでまいります。