中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

6月議会(3)親亡き後の障がい者に対する支援

2016年6月29日 5:33 am
カテゴリ: 活動報告

支援への考え方と全体構想を問う

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中川ゆう子の質問

「障害者差別解消法」が平成28年4月1日から施行され、岐阜県においても、同日、「岐阜県障害のある人もない人も共に生きる清流の国づくり条例」が施行されました。これらは、障害を理由とする差別の解消を推進することにより、一人ひとりの違いを認め合いながら共に生きる社会づくりを目指すというもので、障がいを理由とする差別や社会的障壁が無くなっていくことを、大いに期待しています。

戦後、「障がいがある方は、施設入所へ」という考え方から、地域で住むという考え方に徐々に移行し、家族と地域で暮らしながら就労施設に通う方が増えました。今後、直面する問題は、障がいがある方本人の高齢化とともに、親の高齢化、そして親なきあとの生活をどう支えていくかといった問題です。社会的ケアへの転換をはかることが求められます。

例えば、知的障害の場合であれば、各種の手続きや連絡などは親や兄弟をはじめとした親族の方が行っている場合が多いと思いますが、兄弟も同じように高齢になりますし、親が亡くなったあとは頼るところがない、という方も多くおみえになります。

障がいがある娘さんをもつ方は、「自分の親を送って、今度は、自分がこの世に何年いられるかと思うようになった、明日ガンだと言われ治療に入らないといけなくなるかもしれないと思ったり・・・60を過ぎたら、それこそ娘を置いていかなければならないということが現実になってきた」と語ってみえます。

親亡き後、娘本人は、何十年と暮らしてきた自宅でそのまま暮らせるのか、空きがある施設はそんなに多くないそうで、意思決定ができない娘は急に知らない環境でパニックにならないだろうか、など、多くのご家族が共通して抱えている不安であり、社会全体が抱える課題でもあります。

日本も批准した障がい者権利条約では、障がいがある方もない方と平等に、豊かで自立した生活、居住地の選択が保障され、地域社会で生活する平等の権利を有することを認めております。今後、本条約の理念を生かし、親亡き後の生活支援を構築していただきたいと強く思うところです。

そこで、健康福祉部長に4点お伺いします。

(1)親亡き後の障がい者に対する支援の必要性について

健康福祉部長に質問

いま申し上げたような課題も踏まえ、親亡き後の障がい者に対する支援が必要だと思いますが、見解をお聞きかせください。

健康福祉部長の答弁

既に親の高齢化が相当進んでいること、親以外の方が代わって支援する事が難しいこと、障がい者の方は一般に加齢による心身機能の低下が早いと言われていることなどの理由から、障がい者ご本人にとって差し迫った課題であり、相談支援をはじめ、住まいの確保、生活支援、就労支援など、総合的な支援が必要だと考えております。

このため、県では平成27年度から29年度までを計画期間とする岐阜県障がい者総合支援プランにおいて、例えば入所施設の定員数について、国から定員の4%以上の削減方針が示されたものの、これを現状維持とし、約100人分の住まいの場を確保することや、食事・入浴等の日常生活への支援サービスを1月あたり3500人分増やすことなどを定め、各種の施策を推進しているところであります。

(2)障がい者向けワンストップ相談支援窓口の設置について

健康福祉部長に質問

障がい者に関係する行政手続きは複雑であり、また、生活上の困難は多岐にわたります。相談や支援が一か所で行えるワンストップ窓口の設置が必要であると感じますが、いかがお考えでしょうか。

健康福祉部長の答弁

ワンストップ相談窓口としましては、社会福祉法人等が運営する相談支援事業所が、現在県内各地に128箇所設置されておりまして、身近な地域で障がい者に寄り添い、必要な支援の検討、サービス事業者との連絡調整等の支援を行っております。相談にあたる相談支援専門員がご本人のニーズを汲み取り、サービス事業者に適切に橋渡しすることで、必要であれば各種手続きを行う役所等への移動の介助も受けることができます。

県としましては、相談支援事業所の窓口機能をさらに強化するため、専門員に対する実践的な研修を行い、障がい者個々の事情により、適切に対応できる体制の整備を図ってまいります。

(3)ワンストップ相談支援窓口で相談支援を行う職員の育成について

 健康福祉部長に質問

ワンストップ窓口での相談支援業務は多岐にわたります。支援団体との連携やソーシャルワークができる職員を育成することが必要であると思いますが、どのように取り組まれるのでしょうか。

健康福祉部長の答弁

先ほど申しました、相談支援専門員につきまして、県では平成18年度からその確保に取り組み、昨年度までに述べ2,166名の専門員を養成いたしましたが、昨年度からはさらに、相談支援専門員のレベルアップを図るための指導役として、地域での研修や勉強会を主導する地域リーダーの育成も進めております。

一方、国では親亡きあとに備え、相談支援専門員より高度なスキルを持ち、とりまとめ役となる「主任」制度を新たに設け、この主任が親に代わって事業者、成年後見人等による支援チームを作り主導することが検討されております。県としましては、こうした国の動きも注視しながら、相談支援専門員の資質の向上を図ってまいりたいと思っております。

(4)全体構想の必要性と今後の支援の進め方について

健康福祉部長に質問

厚生労働省の社会福祉施設等調査によると、現在、就労継続支援B型事業所、いわゆる通所施設に通っている方は県内で約1,500人、全国では約17万人ですが、親亡き後をどう支えていくかという問題に必ず直面します。しかし、現在、それに対する明確な政策が打ち出されていないのが現状です。

親亡きあとの支援については、どのような問題やニーズがあるのか、当事者、家族はもちろん、さまざまな立場の方を交えて議論することで、必要な支援はなにかということが見えてくると思います。

そのうえで、住む場所を含め支援体制など、親亡き後の生活支援に焦点を当てた全体構想を持つ必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか。また、今後の支援の進め方についてもお答えください。

健康福祉部長の答弁

障がい者施策を進めるにあたりまして、県ではこれまで、県内の障がい者団体29団体全てに集まって頂き、様々なご意見やご要望を伺う機会を定期的に設けるとともに、個々の障がい者団体との意見交換会も随時行い、問題やニーズの把握に努めてきたところです。

それらのご意見を踏まえ、親亡き後の障がい者への支援といたしましては、住まいの場の確保、日常生活の支援、年金等の金銭面の支援、就労の支援および芸術・スポーツなど社会参加の支援等を対策の柱とし、柱に沿った各種施策を岐阜県障がい者総合支援プランに盛り込み、計画的かつ体系的に推進しているところでございます。なお、来年度行います次期プランへの改定作業におきまして、親亡き後の視点も含め、障がい者やその関係者、障がい者団体へのご意見も伺いながら、新玉計画を策定したいと考えております。

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