中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

6月議会(1)災害対策及び原発政策について

2016年6月29日 5:47 am
カテゴリ: 活動報告

熊本地震を経て、あり方を問う

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中川ゆう子の質問

今回の熊本地震は、立て続けに震度7を観測するという、過去にない特徴によって、大きな被害をもたらしました。犠牲となられた方のご冥福と、今もなお避難生活を強いられている方々をはじめ被災地域の一日も早い復興を願います。

この本会議でも多くのの方が取り上げておられますので、地震の概要は省略いたしますが、多くの専門家が指摘されているように、この地震は、本震と思われていた最初の地震のあと、さらに大きな地震が起きるという「連動」が特徴であり、こうした大地震が連動しておこる可能性は何かいトラフ地震で4連動が想定されているなど、この岐阜県においても指摘されています。県においては、被災地の復興支援に取り組むとともに、熊本地震のこれまでにない特徴もふまえ、防災対策の強化、また災害関連死を防ぐ対策が求められます。

県の地域防災計画は、一般対策と地震対策と原子力災害対策の3つに分けられています。先の答弁で、熊本地震を受けて再検証されるとのことでしたが、地震対策だけでなく、原子力災害が起きた場合についても同様に再検証が必要と思われます。現在の岐阜県の原子力災害対策計画では、原子力災害が起こった場合、または事故が起こる危険が高まった場合、放射能被ばくを避ける為に、屋内退避をするという内容になっています。

しかし、熊本地震の状況を伝えた4月18日の報道によりますと、同じ場所でも、15日と17日で街の様子が一変しており、15日には一見して無事であった2階建ての家屋が、17日には1階部分がつぶれて屋根が地面と接する状態になってしまっていたということでした。また、益城町にお住いの方によると「14日午後9時すぎの最初の揺れでは屋根のかわら1つも落ちなかったが、16日未明の本震で一瞬のうちに全壊した。」とのことでした。

今回のように、大きな地震が連続して発生し、ライフラインも途絶するなかでの屋内退避は非現実的でありますし、大地震が連動して起きた場合は逆に命を奪いかねません。

また、熊本地震の際、避難の原則は新幹線、在来線などの鉄道が止まり、一般道、高速道をふくむ道路が寸断され、広範囲にわたって交通が麻痺してしまいました。岐阜県地域防災計画でも、地震の際の避難では交通対策として「車両は使用しない」となっていますが、一方、原子力災害の場合は、「自家用車による避難が原則」とされています。

このように、大きな揺れが同一地点を連続して襲うという、従来の想定を超えた熊本地震により、地震対策と原子力災害対策との整合性もとれなくなっていると感じます。連動する可能性のある地震と放射能から県民を守るため、原子力災害を含めた地域防災計画を見直すことは非常に重要ですが、同時に、この地震大国の日本において、ひとたび事故になったらその被害が空間的にも時間的にも制限することなく広がってしまう異質性をもった原発と人類は共存することが困難だということも言わざるをえません。

災害時の避難指示の判断は非常に難しいものがあると感じますし、使用済み核燃料の処分方法が存在しないことも、原発の致命的な問題であります。日本中の原発が停止した期間は約700日。今、国と地方あげてとりくむべきことは再生可能エネルギーの計画的導入に本格的に取り組み、稼働原発ゼロを実現することだと申しあげておきたいと思います。

そこで、3点お伺いします。

(1)原子力災害対策計画の再検証と見直しの方針について

危機管理部長に質問

原子力災害の避難計画(地域防災計画)では屋内退避をすることとなっています。しかし、住宅の耐震基準は、一回の大きな地震しか想定していない最低限の基準です。このため、仮に、熊本地震のような連続した大きな地震で原発事故が起きた場合、屋内退避が危険なことは明らかであり、計画に矛盾があると思います。今回の地震を踏まえ、原子力災害対策計画の再検証と見直しが必要であると考えますが、方針をお聞かせください。

危機管理部長の答弁

県地域防災計画の原子力災害対策計画につきましては、国の原子力災害対策指針に基づいて策定されております。国の指針では、原子力施設で地震や津波などによって電源が喪失し、原子炉の冷却機能が全て失われるような事態に至った場合は、施設から概ね5キロから30キロ圏内において、放射性物質が放出される前から屋内退避を行うこととされています。

しかしながら、今回の熊本地震のように、余震が相次いで発生している場合には、倒壊する恐れのある家屋での屋内退避は危険であることから、中部圏知事会において余震が相次ぐ場合の屋内退避や避難の在り方を示すよう国に提言を行うこととしました。今後、7月の全国知事会における議論や国の対応を見つつ、県防災会議原子力専門部会の有識者の意見も踏まえながら、原子力災害対策計画の見直しについて検討してまいりたいと思います。

中川ゆう子の再質問

余震が相次いだ場合だけでなく、熊本地震のように大きな余震の後に本震が来るような場合の屋内退避のしかたについても、国に意見をすべきではないでしょうか。

危機管理部長の再答弁

今回の熊本地震の特徴を踏まえた避難の在り方について検討されるよう国に働きかけてまいります。

(2) 国に対する原発廃止と再稼働中止の申し入れについて

知事に質問

原子力規制庁の見解では、「原発の耐震基準は、強い揺れを繰り返したときを想定していない」とのことであり、すなわち、原発の近くで連続して大きな地震が起きた場合、不測の事態が起きうるということです。岐阜県の近隣自治体には多数の原発が立地し、特に福井県内には多数の断層の存在が指摘されています。万が一事故が起こった場合、県内に直接的な影響がおこる可能性があることは、県が行った「放射性物質拡散シミュレーション」でも言われているとおりです。

加えて、先ほど申し上げたように、地震対策と原子力災害の避難計画は整合性もとれていません。現在の技術では、原発との共存は不可能であり、国に対して原発廃止と再稼働中止の申し入れを行うべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。

知事の答弁

国に対する原発廃止と再稼働中止の申し入れについてお尋ねがございました。この原発の問題につきましては、本会議でも数度に渡って議論しておりますけれども、エネルギーの安定供給につきましては、国民生活あるいは経済活動の基本であり、国として責任も持って実現すべき重要課題であるというふうに思っております。

原子力発電所の存続につきましても、安全性の確保を大前提に、整合性のとれた持続可能なエネルギー政策の中で、どのように位置づけていくのかを判断していくべきものというふうに考えております。こうした基本的考え方の下で、本県としては、福島第一原発の事故以来、国に対して様々な角度から意見や要望を申し上げてきております。

特に本県は福井県の原子力発電所から25kmに位置しているにもかかわらず、隣接県としての法的な地位が与えられていなかったことから、原子力災害対策特別措置法の改正を要望いたしました。その結果、平成24年9月に法が改正され、県境から30km以内に所在する敦賀原発など4施設について、岐阜県は法的に立入調査権、報告徴収権などを付与される関係周辺都道府県に位置づけられました。

また、ン視力発電所の安全対策につきましても、早くから法とルールに基づき、厳格な安全規制を行う体制の早急な確立が必要であることを繰り返し主張してまいりました。さらに、原子力発電所の再稼働については、閣議決定された国の「エネルギー基本計画」において、「原子力規制委員会より世界で最も厳しい基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電の再稼働を進める。その際、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組む」とされております。

これに対しては、本県としては、理解や協力を得るべき立地自治体の範囲や、どのような手続きで関係者の理解や協力を得ていくのかなど、具体的なプロセスが明確に示されていないことを強く指摘し、これらを明確にした上で、国民や影響が予測される自治体に対し、原子力発電所の安全性やエネルギー政策上の必要性について丁寧に説明するべきであるというふうに申し上げてきております。

加えて、自治体の防災対策に関しましては、関係指針や政府の対応方針は出されたものの、まだ詳細が詰められてない点、例えば、自衛隊などの実働組織の支援体制、バス会社など民間事業者の協力体制、大気中放射性物質の拡散計算の具体的な活用方法を明確にすることなど、国が責任を持って早急に取り組むよう求めてきております。特に、今回の熊本地震を踏まえ、大きな地震が続いたり、余震が相次ぐ場合の屋内退避について、これまでの方針を早急に見直すよう国に対して申し上げております。今後とも、適示適切に国に対して意見を申し上げてまいりたいと考えております。

(3)一般住宅の耐震化促進の方策について

都市建築部長に質問

今回、熊本地震が発生したことにより、改めて住宅の耐震化に関心が寄せられています。平成7年の阪神・淡路大震災で犠牲になられた方の多くは、木造住宅の倒壊による圧死が原因でした。熊本地震においても、亡くなられた方の半数以上は住宅倒壊や家具転倒による圧死が原因であったと報道されています。以前は、個人の住宅の耐震化対策は自己責任と考えられてきましたが、近年は住宅の倒壊によって緊急車両が進入できなかったり、住民の避難の支障になったり、火災拡大の原因になったりと社会的な影響が大きく、耐震化は公益性をもつという考え方が浸透しております。

日々暮らす住宅の被害は人命に直接かかわる重要な問題であり、災害に強い街づくりの基盤である一般住宅の耐震化を急ぐ必要があります。昨日の澄川議員の質問に対する答弁で、岐阜県の住宅の耐震化率は平成25年時点で78%。全国平均を下回っており、これを平成32年度までに95%に引き上げるという目標を掲げている、とありました。

具体的には、耐震性が不十分な住宅は、県内で16万3000戸あり、全体戸数に変化があるので一概に言えませんが、平成32年度までにそのうち12万6000戸という規模で解体および建て替え、または耐震化をすすめるということになります。県が行ったアンケートによると、耐震化を行わない理由として、もっとも多かった回答は経済的な理由であったと聞いています。特に年金暮らしの高齢者世帯などにとっては切実な問題です。そうした中、一般住宅の耐震補強工事助成制度における国の補助負担分が、3年間の時限措置の終了により平成28年度から減額となっており、耐震化のペースが遅くなることが懸念されます。

県が掲げる「平成32年度までに耐震化率95%」という目標の達成のためには、丁寧な相談支援体制の構築のほか、補助金の引き上げや住宅に対するリフォーム助成とセットにした補助による経済的負担の軽減など、もう一歩二歩、踏み込んだ耐震化促進の取り組みが必要だと思いますが、どのような方策をお考えでしょうか。

都市建築部長の答弁

県では従来から市町村と連携し、無料耐震診断や耐震補強工事補助などの支援、無料相談会の実施、啓発チラシの全戸配布などにより、耐震化の促進に取り組んでおります。なかでも、耐震補強工事に対しては、全国的に見ても高い額の補助を行っております。また、こうした補助制度とともに、耐震補強工事や、これと併せて行うリフォーム工事について、その費用を金融機関から借り入れた場合には、「利子補給制度」により、利子の支払いに係る負担を軽減しております。

県といたしましては、こうした経済的支援を継続するとともに、専門家による相談体制の充実、支援制度の周知、意識啓発など市町村や民間事業者と連携して、さらなる住宅の耐震化促進に努めてまいります。

中川ゆう子の再質問

たしかに全国的にも高い補助、県もそして各市町村も持っているということですが、ただ、そうはいっても全国的にまだまだ低い耐震化率です。住宅のリフォームについては「利子補給制度がある」と仰っていましたが、要するにこれは住宅ローンのことだと思います。高齢者の方であったり、こういった住宅ローンを組めるの方は非常に対象が限られてくると思います。

リフォームとセットにするというのは、要するに誘導策なんですけれども、非課税世帯や手持ち資金が足りない、けど耐震補強の意思がある、という方をどうしていくのか、高齢者世帯をどうするのか、要援護者世帯をどうするのか、そこまで突き詰めて議論をしていかないと、95%という耐震化促進の方策として前に進まないと思います。そういった意味で、一歩二歩進んだ補助について考えてもらいたいと申し上げました。もう一度お答えを頂きたいと思います。

都市建築部長の再答弁

県といたしましては、全国的に見ても高い額の補助を行っておりますし、併せてお使い頂けるリフォームローン利子補給制度も用意しておりますので、まずはこの制度の周知でありますとか、意識啓発に向けて取り組んで、耐震化の促進に努めてまいりたいと思います。

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