2023年3月16日 1:00 pm
カテゴリ: 活動報告
請願の採択などを求めて、討論に立ちました
3月16日、午前の県議会閉会日に子どもの医療費助成の拡充や長良川河口堰など2つの請願の採択や6つの議案に対する意見を述べるため討論に立ちました。
議第1号 令和5年度岐阜県一般会計予算について主な3点について
医療整備対策費のうち病床機能再編 約5億1300万円強、県内3医療機関の急性期、慢性期病床の削減、約128床分の削減がすすめられます。医療機関の再編統合 約12億7000万円、県内医療機関の統廃合、2件が想定されています。3年にわたるコロナ禍で、医療体制における様々な課題が顕在化しました。病床には一定の余裕が必要であり、採算性と効率化を過剰に求めることはふさわしくありません。
今回対象になっている東濃では、病院の統廃合に反対し、地域の医療機関の存続を求めるみなさんが何度も岐阜県へ要望にいらっしゃいました。このまま全県で病床削減とダウンサイジングをともなう医療機関の統廃合を進めていったら、地方はますます住みづらくなります。地域医療構想の見直しとともに根本的課題である医師不足へ本格的に向き合うべきだと申し上げます。
2点目。2023年度の県債発行額は、新県庁舎の建設が一段落したため前年比で24%減ったものの、公債費は約1100億円余と前年から5.5%の増加。実質公債費比率も2021年度から上昇しています。
岐阜県行財政改革指針案では、「公債費は金利上昇の影響も加わりさらなる増加が見込まれる」としていますが、従来のような東海環状自動車道、ダム建設など県債を多額に発行しなければならない事業を中心においては、財政危機は乗り越えられません。
たとえば、最重点プロジェクトに位置づけている東海環状自動車道整備は、2023年度予算では約101億円。しかし財源は、国庫補助金が約4億2000万円円余に過ぎず、約95億円を県債発行でまかなっています。
これが結果的に県財政に大きな負担を生み出し、教育や福祉を拡充するための財源を圧迫することにつながっています。多額の県債依存から脱却するためには、こうした大型公共工事中心のあり方を見直すことを求めます。
関連して今後の公共工事のあり方についても申し上げます。生活道路、橋梁、トンネルなどインフラの老朽化対策は待ったなしです。住民の命に老朽化対策について県は従来からその必要性を強調しているものの、住民要求や現場からの要求に対し予算不足は否めず、十分に対応できているとは言いがたいのが実状です。
悲惨な大事故を防ぐためにも、公共工事の軸足を高規格道路建設から、老朽化と安全対策に切り替えるべきと考えます。
議第4号 令和5年度岐阜県国民健康保険特別会計予算
加入世帯の全国平均所得はこの30年で100万円以上減っていますが、保険料は1.5倍以上に増えています。国民健康保険は、高齢者や非正規雇用など比較的低所得世帯が加入者に多く、さらに事業主負担がないため他の医療保険と比較して負担が重いという構造的問題に加え、物価高騰による生活コストの上昇が生活を直撃しています。
県が市町村から徴収する納付金は保険料の算定根拠となりますが、加入者一人あたりの額で計算すると前年に比べ増額しており、これが保険料の引き上げを招くおそれが十分にあります。さらに県単位化の際に導入された激変緩和措置は2023年度で終了であり、改善の見通しはもてません。
国へさらなる財政支援を求めるとともに、県として、取り崩し、一般会計からの繰り入れなどによって、せめて他の医療保険の保険料と同水準まで引き下げるべきです。
議第9号 令和5年度岐阜県徳山ダム上流域公有地化特別会計予算
1986年に岐阜県知事を立会人とし、徳山村村長と水資源開発公団で締結された公共保障協定は「山林に入る道路を確保する」というものでした。当時、「山への往来を保障する」との約束によって、譲歩し移転補償に応じた方もいらっしゃったほどで、地権者の譲歩と決断がなかったらダム建設は不可能だったと思われます。その後、旧徳山村村民である地権者には何の相談もなく、この公共補償協定が変更されはじまったのが、この公有地化事業です。経緯から見ても、地権者が納得されなかったということも当然のことであり、事業そのものに反対です。
議第10号 令和5年度岐阜県県営住宅特別会計予算
入居率が低い県営住宅を対象に縮小・統合する計画は再検討すべきと考えます。入居者が減っている要因は、交通の便が悪い立地に加え、老朽化、階段しかない高層階など住環境の問題が大きく、この根本的な問題を放置したまま縮小しても、さらに何年か後に同様の事態を生むだけです。耐震補強を万全に行い、耐用年数もあり、まだまだ使える建物を空き家にしてしまうことこそ合理的ではありません。公営住宅のニーズは大きく、時代に合った間取りやエレベーターの設置など住環境を向上させ、入居しやすい環境整備こそ必要ではないでしょうか。縮小ありきの再編計画の再検討を求めます。
議第43号 岐阜県警察関係手数料徴収条例の一部を改正する条例
これは特定自動運行、ドライバーがいない状態で自動運行装置を使用して自動車を運行するレベル4段階にかかる許可申請手数料を定めるものです。現在はドライバーが乗車し、自動運行が困難な時に対応できるレベル3段階で他者を介さない専用道の公道などにおいて実証実験が行われている段階であり、無人の自動運転であるレベル4は事例がありません。
東京パラリンピック選手村では誘導員を常時配置し運行されたレベル2自動運転中に接触事故が起きており、ドライバーが乗車しているレベルでも自動運転の技術開発はいまだ発展途上の段階です。
レベル4が、これまでと大きく異なるのは、ドライバーがおらず無人であり、遠隔での監視に運転免許は必要ないという点です。事故を起こした場合、遠隔地にいる運行主任者は消防機関への通報が求められますが、通常ドライバーに課せられる救護義務や安全確保義務は緩和されます。現在の仕組みでは現場で救護することも二次災害を防ぐことも不可能です。
いまは、とにかく実用化を急ぐということではなく、自動運行の安全性をさらに高めるとともに、事故時の対応など課題を整理し、交通安全対策を強化することが求められている段階です。
安心安全の観点から見て、法整備そのものが不完全であり、現段階で運航許可の整備を行うことは時期尚早と申し上げます。
議第45号 内ケ谷ダム本体工事の請負契約の変更
これまで平成28年3月の予算計上以降、平成29年3月、令和2年3月に続いて3度目の増額変更となっています。さらに工期は、令和10年3月までに更に過去、延長されています。事業費はどんどん増額され、工期もどんどん長くなっていますが、その間の治水効果はゼロです。その分、下流の河川環境の整備や遊水地整備に時間と予算をしっかり注力することが有効ではないかと考えます。
もともと内ケ谷ダムは集水エリアが非常に狭く、想定したエリア外や想定以上の雨量には対応できません。想定外の豪雨が多発する今、災害の実態に即した治水対策にかじを切るべきと考えます。
請願第42号 長良川河口堰の運用見直しとゲートの試験的開放の議決を求める請願
本格運用から28年目となり、請願者は、環境、利水、治水において多くの問題が提起されていると述べています。委員長報告の塩害の懸念に対しては、実証データがありません。請願で提案されているように、農閑期に実証的調査をするなど、科学的なデータに基づく議論が重要だと思います。とくに、河口堰上流部の深刻な河川環境の悪化にどう対応するのか、河口堰の運用見直しを含め、具体的に検討すべき時に来ており、請願の採択を求めます。
請願第43号 県の制度として18歳まで子どもの医療費負担を無料に
岐阜県では県内全ての自治体で、15歳まで無償化、半分以上の自治体で18歳まで無償となっていますが、これは市町村の努力によるところが大きく、県の助成制度は小学校就学前までであり、15年以上拡充されていません。新年度拡充予定の自治体を除くと、高校3年間が無償化されていない自治体は、岐阜市や各務原市など15前後の市町村になるようです。
請願にある「18歳まで」の無償化は、県内どこに住んでいても子どもは皆区別無く無料に、という思いは同時に提出された署名の多さに込めれれていると感じます。
近年、都道府県レベルで18歳まで無償化される自治体が一気に増えており、新年度は東京都、岩手県、群馬県ですすめられるとのことです。対象年齢で見ると、岐阜県は全国的に遅れをとっています。
新年度、岐阜県予算においても少子化対策として様々な新規事業が計画され期待が寄せられています。これら新規事業に加え、さらに、子育て世帯が望んでいるのは公的制度の拡充であり、請願の採択を求めます。