中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

2023年度岐阜県当初予算について

2023年3月16日 5:00 pm
カテゴリ: スタッフより

2023年度岐阜県一般会計当初予算案について

岐阜県議会は2月22日に開会され、2023年度岐阜県一般会計当初予算案と2022年度補正予算等を併せて審議します。予算の骨格は以下の通りです。(単位は一部を除きすべて万円)
《2023年度予算案総額》
【一般会計】8897億1000万(前年度当初比0.3%増)
【特別会計】4120億7833万(前年度当初比6.3%増)
合計  1兆3017億8833万(前年度当初比2.1%増)―①
《2022年度2月補正予算案》・・・(補正額)▲53億8318万円―②
①-②=1兆2,964億515万円   (▲は減額を示す)
なお岐阜県の一般会計当初予算案の規模は過去最大です。過去最大のところは全国で9都県です。

2023年度岐阜県当初予算について

1.当初予算の骨格




令和5年度当初予算案の概要     「清流の国ぎふ」づくり

〜社会経済の回復・再生・転換と人口減少社会からの脱却〜

1 基本的な考え方
新型コロナ感染症との厳しい闘いも3年が過ぎた。第8波はようやく縮小に転じたところであるが、第9波の到来への備えにも万全を期さなければならない。
コロナ禍に対峙した令和3年度及び4年度の当初予算においては「県民の生命を守る」ことを最重要に位置づけるとともに、「ウィズ•コロナ」「アフター •コロナ」にも十分に意を用いたものとしたところである。
加えて、県政の基軸としている「『清流の国ぎふ』創生総合戦略」の「『清流の国ぎふ』を支える人づくり」、「健やかで安らかな地域づくり」、「地域にあふれる魅力と活力づ<り」の3本柱に沿って未来を見据えた「清流の国ぎふ」づくりを進めてきた。
このような中、令和5年度当初予算案は、以下の2つの政策課題に重点を置いて編成している。
1つが、コロナ禍にあって大きな痛手を被った「社会経済の回復・再生・転換」である。これは、「ウィズ・コロナ」を生き抜き、「アフター・コロナ」を描くために不可欠な課題である。
こうした観点から、「コロナ禍・物価高騰等からの本格回復•再生」、「社会経済構造の転換」、「幸せと豊かさの実現」、「安全・安心・•強籾な地域づくり」という4つのテーマで取り組むこととする。
もう1つが、コロナ禍にあって進行し続けている「人口減少社会からの脱却」である。平成21年3月に策定した「岐阜県長期構想」、それを引き継いだ「『清流の国ぎふ』創生総合戦略」のもと、本県は、早くから人口減少という課題に真正面から向きあってきた。しかしながら、令和に入って県の人口が200万人を割り込んだ後も、減少に歯止めがかからない。また最近は、女性の転出超過が顕著となっている。
こうした状況に対し、「自然増に向けた取組み(少子化対策)」と「社会増に向けた取組み(新次元の地方分散への対応)」の両面から、人口減少社会からの脱却に取り組んでいく。
併せて、持続可能な財政運営にも十分意を用いていかなければならない。

本県財政は、これまでの臨時財政対策債の累増に加え、近年、激甚化・頻発化する災害への備えや公共施設の老朽化対策などにより、県債の発行が増加してきている。この結果、今後当分の間、公債費は増加傾向とならざるを得ない。
加えて、団塊の世代の後期高齢者入りにより一層の増加が見込まれる社会保障関係経費などにも対応していく必要がある。
このため、政策課題に重点的に予算を配分するとともに、事業見直しの徹底などの効率化を進め、メリハリのある予算とするよう努めた。

2 予算案の体系
1 社会経済の回復•再生•転換
(1)コロナ禍•物価高騰等からの本格回復•再生
①再生に取り組む事業者等への支援
②インバウンドのV字回復、国内観光の本格回復
(2)社会経済構造の転換
①成長分野・スタートアップへの支援
②DXの推進
③S D G s・脱炭素社会の実現
(3)幸せと豊かさの実現
①清流文化の創造’
②困難に直面している方々等への支援
③「清流の国ぎふ」を支える人づくり
(4)安全・安心・強籾な地域づくり
①感染症対策の徹底 、
②防災・減災、県土強靱化等の推進
③安全・安心の確保
2 人口減少社会からの脱却
(1)自然増に向けた取組み(少子化対策)
<「出会い」から「子育て」までライフステージに応じた切れ目のない支援>
①結婚支援
②妊娠・出産支援
③子育て支援
<女性の活躍と子育てを社会で支える環境の整備>
①女性の活躍(県内定着)の推進
②地域社会の意識釀成
(2)社会増に向けた取組み(新次元の地方分散への対応)
<人材を県内に呼び込み定着してもらうための取組み>
①魅力の発信
②働く場の創出
③県内就職の促進
④移住定住の促進

令和5年度当初予算案について (主要施策編)

1. 社会経済の回復・再生・転換
(1)コロナ禍・物価高騰等からの本格回復・再生
①再生に取り組む事業者等への支援
新小規模事業者の物価高騰対応に向けた事業転換等の支援(5億円) 3補
•原油価格や物価の高騰に対応するため、事業転換等に取り組む小規模事業者を支援
新海外企業と連携した現地での陶磁器の展示会や人材交流の実施(2,551万円)
・本県とハンガリーの世界的陶磁器メーカー「ヘレンド社」との覚書に基づき、ハンガリーでの美濃焼展の開催や同社と県内陶磁器企業との人材交流を実施。
新宇宙産業への進出に向けた海外企業とのマッチング等の支援(1,356万円)
•「ぎふ宇宙プロジェクト研究会」において、海外市場への参入に向けた展示会への出展支援や商談時の通訳サポート、専門WEBサイトでの製品紹介を実施。
新農畜水産物の輸出先開拓に向けた商社との連携による現地でのテスト販売(570万円)
・輸出のノウハウ等を有する商社と連携し、海外での県産農畜水産物のテスト販売を行うほか、農業者等に輸出手続きや商品改良を助言するアドバイザーを派遣。
新収益性の高い漁場づくりへの支援(3,397万円)
・河川の特徴を踏まえた鮎の集中放流やキャッチ&リリース区間の設定等、収益性の高い漁場づくり
に取り組む漁協を支援。
新大阪・関西万博に向けた県産品フェア開催による関西圏の販路拡大(801万円)
・大阪・関西方面を見据えた県産品の認知度向上、販路拡大に向け、関西圏の主要駅構内等において、県産品販売コーナーを設置。
〇大都市圏の工務店への県産材の斡旋や非住宅建築物の木造化等への支援(2億2,099万円)
・県産材の販路や需要の拡大に向け、首都圏や関西圏において、工務店に県産材の斡旋を行う代理店を認定するほか、県産材を用いた非住宅建築物の木造化等を支援。

②インバウンドのV字回復、国内観光の本格回復
新サステイナブル・ツーリズムを牽引する「岐阜未来遺産」の認定と受入環境改善等の支援
(1億1,300万円)
・持続可能な観光の国際指標を取り入れた本県独自の基準を満たす観光プログラムを「岐阜未来遺産」として認定し、認定地域等が行う魅力発信や受入環境改善を支援。
新JETRO等と連携したサステイナブル・ツーリズムの海外誘客プロモーシヨン等 (7,104 万円)
• JETRO ((独法)日本貿易振興機構)等と連携し、本県のサステイナブルな自然・歴史・文化等の海外プロモーションを展開するほか、新たな体験型のツアーを造成。
新海外重点市場の現地旅行会社等との連携による県内旅行商品の造成(5,051万円)
・コロナ禍前に特に本県への来訪が多かった国の現地旅行会社等と連携し、現地メ ディアの招請や旅行博等への出展のほか、県内向け団体旅行ツアーを造成。
〇関ケ原古戦場を核とした戦国・武将観光の推進(4億4,088万円)
・関ケ原古戦場において、「大関ケ原祭2 0 2 3」の開催や記念館の展示を充実するほか、国内外に向けた誘客プロモーションを実施。
新平日誘客促進キャンペーンの実施(3,000万円)
・全国旅行支援事業終了後に安定した国内観光需要を確保するため、県内観光事業者等と連携した平日誘客プロモーションを実施。

(2)社会経済構造の転換
①成長分野•スタートアップへの支援
新ドローンに関する調査研究等の実施や開発・製造の支援(2,095万円)
・「岐阜県ドローンビジネス推進研究会」において、ドローンの活用や市場参入に向けた調査研究等を行うほか、新たにドローンの開発や製造を支援。
新産学金官でスタートアップ創出を支援するコンソーシアムの設置(712万円)
・産学金官による「ぎふスタートアップ支援コンソーシアム(仮称)を設置し、起業家交流会や起業に興味のある中高生を対象にしたワークショップを開催。
〇スタートアップの事業化を支援する補助制度の拡充(1億371万円)
・スタートアップの事業化に必要な費用を支援する補助制度について、補助限度額を200万円から最大1,000万円まで拡充。
〇自動車産業の電動化対応を支援する専門家派遣の拡充や研究会の開催支援(1,147 万円)
・自動車産業の電動化対応に向け、企業支援を行う専門家派遣を拡充するほか、EV市場等への参入に向けた研究会やワークショップ等の開催を支援。
・半導体関連産業やデータセンター等の誘致の推進(31億375万円)
・DXの進展により、更なる成長が見込まれている半導体関連産業やデータセンタ一等の企業誘致を推進。

②DXの推進
新岐阜県DX推進コンソーシアム(仮称)」の設置による県内企業へのDX支援の強化 (1億円)
・企業•団体が参画する「岐阜県DX推進コンソーシアム(仮称)」を設置し、参加企業等が行うデジタル技術の活用に向けた共同研究や実証事業への支援、先進事例調査等を実施。
新製造業のDX人材育成に向けた研修カリキュラム開発や実践的訓練の実施 (3,472 万円)
・製造業のDX人材育成に向けた研修カリキュラムを開発し、カリキュラムを活用した研修と企業内での実習を組み合わせた実践的な訓練を実施。
新農産物の栽培環境や生育状況のデータ収集・分析を行うシステムの効果実証等(1,020 万円)
・モデル産地において、農産物の栽培環境や生育状況のデータ収集・分析を行うクラウド型のデータ連携システムを活用し、生産性向上効果の実証等を実施。
〇デジタル技術を活用して地域課題解決に取リ組む市町村や企業等への支援 (1億3,133万円)
・デジタル技術を活用した地域課題解決に向け、市町村、企業等の取組みを支援するほか、地域における連携協議会等の設置、開催を支援。

③SDGs•脱炭素社会の実現
新SDGsの達成に向けた行動を促すための多様な教育機会の提供 (1,701万円)
・県民フォーラムや親子向けワークショップの開催、学校等への講師の派遣、市町村のセミナー等の開催費用の助成等、SDGsの達成に向けた多様な教育機会を提供。
新SDGsに取り組む事業者の登録制度の創設(132万円)
• SDGsに取り組む事業者に対するインセンティブの充実に向け、事業者の取組み実績を評価し、登録する制度を創設。
新太陽光発電設備導入に向けた新たな支援(1億2,700万円) 3補含む
・県民の太陽光発電設備等の共同購入事業や県内事業者の自家消費型太陽光発電設備等の設置を支援。
新本県独自の森林吸収クレジット制度「G―クレジット(仮称)」の創設 (1,703 万円)
・適切な管理が行われている森林の二酸化炭素吸収量を事業者間で売買可能なクレジットとして県が独自に認証する「G―クレジット(仮称)」制度を創設。
新県民や事業者と連携した「J―クレジット」の創出(110万円)
・県において、県民や事業者が設置した太陽光発電設備のCO₂削減効果を取りまとめ、「J―クレジット」として国の認証を受ける仕組みを構築。
〇省エネ性能の高い住宅の取得を支援する補助制度の拡充(2,800万円) 3補
•省エネ住宅の取得を支援する補助制度について、より省エネ効果の高い基準に適合する場合の 補助金額を、1戸あたり4 0万円から60万円に拡充。

(3)幸せと豊かさの実現
①清流文化の創造
新「『清流の国ぎふ』文化祭2024」「清流の国ぎふ総文2024」に向けた県民運動の展開
(3億3,201万円)
・「『清流の国ぎふ』文化祭2 0 2 4」の機運醸成に向けた県民運動の展開や「清流の国ぎふ総文2 0 2 4」に向けたプレ大会等を実施。
新「エンジンO2in岐阜」や「清流の国ぎふ将棋フェスタ」等の多彩な文化プログラムの展開
(1,777 万円)
・「エンジン01in岐阜」や「全国将棋サミット2 0 2 2」のレガシーを活かし、「エンジン02 in岐阜」やプロ棋士との交流イベント「清流の国ぎふ将棋フェスタ」を開催。
新 「現代陶芸美術館」におけるハンガリーの陶磁器文化の紹介(4,545万円)
・「現代陶芸美術館」において、ハンガリーの「ブダペスト国立工芸美術館」と連携し、ハンガリーの陶磁文化を紹介。
新ポーランドとの国際文化交流の実施(300万円)
・ポーランドのシロンスク県との協力•友好関係の覚書を締結し、同県を拠点に活動する民族合唱舞踏団の岐阜県公演の開催や県民との交流会を実施。
〇清流の国ぎふ地歌舞伎の魅力発信(6,006万円)
•県内の地歌舞伎保存団体等が、ぎふ清流文化プラザにおいて、順次、公演を行い、清流の国ぎふ地歌舞伎の魅力を発信。

②困難に直面している方々等への支援
新不登校等児童生徒の学習・相談支援を行う校内教育支援センターの設置(3,980 万円)
・県立高等学校に不登校等生徒が教室とは別室で学習・相談支援を受けられる校内教育支援センターを設置するほか、市町村が行う小中学校への同様のセンターの設置を支援。
新ヤングケアラーの支援に向けたオンラインサロンの開設(386万円)
・ヤングケアラー本人や経験者等が悩みや経験を共有し、相談し合うオンラインサロンを開設。
〇農福連携の促進に向けた障がい者への農業体験講座や商品販売会の開催等(2,700万円)
3補含む
・農福連携の参入促進や販売拡大に向け、新たに障がい者への農業体験講座を開催するほか、農福連携商品の販売会の開催や取扱い企業等の認証制度を創設。

③「清流の国ぎふ」を支える人づくり
新デジタル社会で求められる社会人向けのデジタル基礎知識の習得支援(484万円)
・社会人に求められる知識習得やリスキリング(学び直し)を支援するため、資格取得対策講座等を実施。
新「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」における企画棟や新コンテンツの整備(7,263 万円)
・「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」の新たな企画棟整備に着手するほか、AR (拡張現実)技術等を活用し、宇宙飛行士の仕事を体感できるコンテンツを整備。
新ぎふ木育の全県展開に向けた「ぎふ木遊館」のサテライト施設の設置や木育プログラムの開発等
(8,235万円)
・市町村等における「ぎふ木遊館」のサテライト施設の整備を支援するほか、木育•森林環境教育プログラムの開発やぎふ木育関係者のネットワーク化に向けた交流会等を開催。

(4)安全・安心・強靱な地域づくリ
①感染症対策の徹底
新感染症危機に備えた協議会の設置(改正感染症法)や衛生資材の備蓄(6,422万円)
・感染症危機に備え、改正感染症法に基づく県、保健所設置市、関係医療機関等による協議会を設置するほか、入院医療機関で使用する衛生資材を備蓄。
・新型コロナの病床・宿泊療養施設・後方支援病床・自宅療養者支援体制等の確保
(278億3,515万円)
・病床確保に向けた医療機関への空床補償や協力金支給、軽症者等の宿泊療養施設の運営、自宅療養者への支援のほか、陽性者健康フォローアップセンターを運営。
・新型コロナの検査体制やワクチン接種体制の確保(90億2,128万円)
・重症化リスクの低い有症状者等への検査キットの配送、高齢者施設等の従事者への予防的検査のほか、ワクチンを接種する医療機関への支援等を実施。

②防災•減災、県土強靱化等の推進
・治水・砂防・農業水利・治山施設の整備等(242億9,715万円) 12補、3補
・治水•砂防•農業水利•治山施設などの重要インフラの継続的な整備や河道掘削、道路のり面対策等を実施。
・東海環状自動車道西回り区間やI Cアクセス道路の整備(101億1,478万円)
・防災・減災、県土強籾化、企業立地、広域観光等への効果が期待される東海環状自動車道西回り区間と、効果を最大限引き出すためのI Cアクセス道路の整備を促進。
・名鉄名古屋本線鉄道高架化事業の推進(7億7,000万円)
・高架化する鉄道の仮線の整備に必要な詳細設計や用地取得を実施。

③安全•安心の確保
新救急要請の要否を相談できる専用電話窓口の開設(3,062万円)
・救急車を呼ぶべきか判断に迷う際に、専門家からアドバイスを受けることができる専用電話窓口(#7119)を開設。
新へき地医療拠点病院等が行うオンライン診療への支援(920万円)
・へき地医療を支援する拠点病院等が行う、へき地診療所等に対するオンライン診療を支援。
新女性の視点等を踏まえたモデル的な避難所運営の支援(700万円)
・女性等の多様な視点を踏まえ、専用更衣室や防犯センサー等を整備したモデル的な避難所の整備を支援。
新企業向け訓練資機材の活用等によるサイバーセキュリティ対策の強化(118万円)
・サイバーセキュリティ訓練用のパソコン端末等を整備し、重要インフラ事業者向けの演習を行うほか、商工会議所等と連携したサイバーセキュリティ対策の講演会を開催。

2. 人口減少社会からの脱却
(1)自然増に向けた取組み(少子化対策)
<「出会い」から「子育て」までライフステージに応じた切れ目のない支援>
① 結婚支援
〇「ぎふマリッジサポートセンター」の運営(4,778万円)
・「ぎふマリッジサポートセンター」において、市町村の結婚相談所登録者同士をつなぐ広域的なお見合いの実施や婚活•お見合いの様子を動画により紹介。
新結婚を希望する男女の交流会等の開催(900万円)
・結婚を希望する男女のお見合いイベントや従業員の結婚支援に取り組む企業間の独身男女による異業種交流会を開催。
・新婚世帯の引越費用等の支援(8,840万円)
・新婚世帯に対して、引越費用や新居の家賃等を支援。

② 妊娠・出産支援
新第2子以降の出生児への10万円の祝金の支給(7億2,600万円)
•夫婦1組あたりの出生数の増加に向け、第2子以降の出生児1人あたり、定額 10万円の祝金を支給。
新不妊治療費の自己負担分の支援(3億3,000万円)
・不妊治療を受ける方の経済的負担の軽減に向け、治療費の保険適用後の自己負担分を支援。
新母子保健と児童福祉の一元的な相談機関の体制整備に向けた支援(3,131万円)
・全ての妊産婦や子どもに対し、市町村が母子保健と児童福祉の両面で一元的な相談支援を行う「こども家庭センター」の設置や運営を支援。
〇「県不妊・不育症相談センター」における休日相談の実施(286万円)
・不妊や不育に関する相談対応を行う「県不妊•不育症相談センター」の利便性向上に向け、土・日曜日にも相談窓口を開設。
・出産や子育てへの伴走型相談支援と出産・子育て応援ギフトの支給 (2億6,137万円) 3補含む
・市町村が行う、保健師等による出産•子育てに関する伴走型相談支援や妊娠時と出産時における、それぞれ5万円相当の応援ギフトの支給を支援。

③ 子育て支援
新高等学校への進学等を控えた中学3年生への3万円の準備金の支給 (6億500万円)
・中学卒業時の子どもにかかる経済的負担の軽減のため、中学3年生1人あたり定額3万円の準備金を支給。
新放課後児童クラブの支援員を助言・指導する巡回アドバイザーの派遣(406万円)
・放課後児童クラブの支援員に対し、安全確保や児童への対応方法等の助言•指導を行う巡回アドバイザーを派遣。
新進学・就職を控えた生活保護受給世帯の高校3年生への5万円の支援金の支給(200万円)
・高校3年生のいる生活保護受給世帯を対象に、大学等への進学•就職活動のための定額5万円の支援金を支給。
〇私立学校等の運営に対する支援の充実 (93億5.483万円)
・私立学校等の運営費を支援する補助金の単価を増額。
〇私立高等学校等の授業料を支援する補助制度の対象世帯の拡充 (3億5,183万円)
・私立高等学校等の授業料に対する補助制度の対象世帯について、これまでの世帯年収750万円未満から、800万円未満に拡充。
〇県外大学生等へのUターン奨学金の貸与月額を3万円→6万円に倍増 (2億6,203万円)
・県外の大学等に在学する学生が、卒業後、県内にUターンして居住し、就業する場合に返還を全額免除する奨学金の貸与月額を倍増。

<女性の活躍と子育てを社会で支える環境の整備>
①女性の活躍(県内定着)の推進
〇スタートアップの事業化を支援する補助制度における女性起業家への補助率引上げ
(1億371万円)
・スタートアップの事業化を支援する補助制度において、女性起業家に対する補助率を2/3から3/4に引き上げ。
新県内企業で働く女性のキャリア形成に向けたアドバイザー等の派遣(500万円)
・県内企業に女性のキャリア形成に向けた助言や提案を行うアドバイザーの派遣や社内研修等に対する講師派遣を実施。
・新たな「ぎふ女のすぐれもの」の認定・魅力発信(1,428万円)
・女性が企画•開発に参画した商品や取組みのうち優れたものを「ぎふ女のすぐれもの」として認定し、商業施設等でPRを実施。

②地域社会の意識醸成
〇「ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業」の認定拡大(3,007万円)
・仕事と家庭の両立や女性活躍の取組みに優れた「ワーク•ライフ•バランス推進エクセレント企業」の認定拡大に向け、市町村と連携した企業訪問やアドバイザー派遣等を実施。
〇出産・子育て応援ギフトの支給を契機とした「ぎふっこカード」参加店舗の拡大 (1,607万円)
・妊娠時•出産時における応援ギフトの支給を契機に、ギフトを利用できる店舗に対し、「ぎふっこカード」の利用店舗への参加に向けた働きかけを実施。
新安心して子どもを生み育てることができる環境整備に向けた県民意識調査の実施 (340万円)
・より効果的な少子化対策を行うため、県民の子育ての状況や少子化対策に関する意識•ニーズ等についてアンケート調査を行い、現状の課題の整理や分析を実施。

(2)社会増に向けた取組み(新次元の地方分散への対応)
<人材を県内に呼び込み定着してもらうための取組み>
①魅力の発信
〇三大都市圏の移住交流拠点や移住情報サイトによる県内魅力情報の発信 (4,623 万円)
・東京、大阪、名古屋の移住交流拠点や移住情報サイトにおける、本県の自然環境や子育て等の支援制度、移住者からの声等のコンテンツの充実を実施。
新本県の魅力の効果的な発信に向けた移住者目線での地域の魅力調査 (358万円)
・移住者目線での効果的な情報発信を行うため、新たに移住者から見た本県の魅力、地域の特性などに関するアンケート調査を実施。
〇リニア中央新幹線を活用した地域づくりの推進 (6,450万円)
・改訂後の「県リニア中央新幹線活用戦略」に基づく新たな施策の具体化に向けた検討を進めるほか、市町村の二次交通等の整備に向けた取組みを支援。

②働く場の創出
新サテライトオフィス進出企業と地元企業等の連携による県内定着の促進 (4,640万円)
・県内のサテライトオフィスに進出した企業の定着に向け、進出企業と地元企業との連携事業を支援。
〇本社機能移転の促進に向けた補助制度における対象の拡充 (2,542万円)
・県外から県内に本社機能を移転する企業に移転費用等を支援する補助制度について、新たに情報サービス業務を本社機能として追加。
・半導体関連産業やデータセンター等の誘致の推進 (31億375万円)【再掲】
新「ぎふ森のある暮らし推進協議会」と連携した森林サービス産業の育成支援 (573万円)
・森林サービス産業の育成に向け、新たに設立した「ぎふ森のある暮らし推進協議会」と連携し、森林利用に関する基礎知識習得研修や先進事例を紹介する講習会を開催。

③県内就職の促進
新県内小中学校の新規採用教員に対する奨学金返還支援制度の創設(制度創設)
・教員の人材確保に向け、県内高校を卒業し、県内の小中学校に新規採用された教員に対し、大学時の奨学金の返還を支援する制度を創設。
〇県外大学生等へのUターン奨学金の貸与月額を3万円→6万円に倍増 (2億6,203万円)【再掲】
新Uターン就職を支援する拠点の開設(3,279万円)
・J R岐阜駅に隣接するアクティブGにUターン就職を支援する拠点を整備し、県内企業の情報発信コーナーの設置やUターン就職相談会、合同企業説明会等を開催。
・「オール岐阜・企業フェス」による県内企業の魅力発信(2,567万円)
・県内外の学生、就職、転職希望者を対象とする県内最大級の合同企業説明会を実際に対面して行うリアル開催とオンライン開催の双方で実施。

④移住定住の促進
〇東京圏からの移住促進に向けた移住支援金の拡充(3,855万円)
・東京圏から県内に移住する世帯に対する支援金制度における子育て加算の限度額を1人当たり30万円から100万円に拡充。
〇県外から移住する若者世帯等に対する移住支援金の支給(2.510万円)
・市町村と連携して、若者世帯や過疎地域への移住者に移住支援金を支給する事業の実施市町村を拡充。
新農村地域での「半農半X」等の多様なライフスタイルの実現に向けた調査(220万円)
•農村地域への移住や交流人口拡大に向け、農業と他の仕事を組み合わせた「半農半X」等 のライフスタイルの実現に必要な支援を検討するため事例調査やヒアリング調査を実施。
・「国際たくみアカデミー」による古民家を活用した移住定住ワークショップの実施 (100万円)
・国際たくみアカデミー」の指導員や生徒が、移住者等を対象とした古民家の再生やD I Yに関するワークショップを開催。

以上、岐阜県が発表した2023年度一般会計当初予算案と2022年度補正予算案の概要です。

【2023年度岐阜県一般会計当初予算案の見方と問題点】

《政府予算案との関わり》 国民生活と地方自治体予算にも大軍拡予算の影響が
2023年度政府予算案は、異常な軍拡予算で戦後最悪の内容です。しかもこの大軍拡は財源の当てのない無責任な計画であり財源不足は明らかです。「5年間で43兆円」という大軍拡計画ですが、いつ社会保障費、教育、中小企業、農業等の国民生活に密着した予算が削られ軍事費に充てられるか分かりません。大軍拡の初年度予算としての2023年度予算案でも社会保障費の自然増の内1,500億円が削減され、コロナ対策予算も縮小されています。しかも東日本大震災の復興のために使う復興特別所得税の一部を大軍拡予算に振り替えようとし、これまでタブーとされてきた軍事費に建設国債を充当することまで計画しています。県民は地方からも国民への増税反対はもちろん、軍拡そのものの中止を求める声をあげましょう。

政府は物価高騰対策に無為無策
2023年度の政府予算案の政策的経費である一般会計当初予算案の歳出増加額は5兆3,571億円ですが、その9割に相当する4兆7,999億円が軍事費です。こうした軍事費の異常突出のため、他の予算は削減されるかわずかな伸びに抑えられています。従って41年ぶりの物価高騰に苦しむ国民生活に対する政府の政策は無為無策です。岐阜県では昨年、第45回県政世論調査を行いました。その中で「前年に比べ暮らし向きが苦しくなった」という回答が前年より15.2%も増え50.3%になりました。この県民の苦しい叫びに応えて県行政はどう対処しているのでしょうか。
2023年度岐阜県予算案は、1.社会経済の回復・再生・転換 2.人口減少社会からの脱却、という二つの体型で組まれています。主な施策を見ましょう。

1.社会経済の回復・再生・転換
(1)  コロナ禍・物価高騰等からの本格回復・再生
〇(新規)小規模事業者の物価高騰対応に向けた事業転換等の支援(5億円)
〇宇宙産業への進出に向けた海外企業とのマッチング等の支援(1,356万円)
〇大都市圏の工務店への県産材の斡旋や非住宅建築物の木造化等への支援(2億2,099万円)

(2) インバウンドのV字回復、国内観光の本格回復……インバウンド効果に疑問
〇サステイナブル・ツーリズムを牽引する「岐阜未来遺産」の認定と受け入れ環境改善等の支援(1億1,300万円)
〇海外重点市場の現地旅行会社等との連携による県内旅行商品の造成(5,051万円)
〇関ケ原古戦場を核とした戦国・武将観光の推進(4億4,088万円)
日本の国内総生産(GDP)がプラス成長したのはインバウンド(訪日外国人)消費に依存しているようです。しかし、インバウンド頼みで経済が好調になったとしても、国民生活が貧困なままでは健全な経済成長とはいえません。ましてこの観光予算も関ケ原古戦場を核とした戦国・武将観光が中心で経済効果に疑問を残します。

(3)社会経済構造の転換……ドローン等スタートアップや半導体関連産業を支援
〇成長分野・スタートアップ(起業から短期間で成長を遂げた企業)への支援として、「ドローンに関する調査研究等の実施や開発・製造の支援」(2,095万円)や、「スタートアップの事業化を支援する補助制度の拡充」(1億371万円)、「半導体関連産業やデータセンター等の誘致の推進」(31億375万円)があげられます。また、DXの推進として県内企業の支援を強化する施策(1億円)や、SDGs・脱炭素社会の実現として、新規事業「太陽光発電設備導入に向けた新たな支援」(1億2,700万円)が計上されていますが、いずれも散発的な対策のようです。

(4) 幸せと豊かさの実現
相変わらずのイベント行政、注目の新規事業も
「幸せと豊かさの実現」という標題ですが、中身は相変わらずのイベント行政が中心のようです。2025年度に開催される「ねんりんピック」に向け、2023年度は「ミナレク運動」の展開として(9527万円)を計上しています。その他に「『清流の国ぎふ』文化祭2024」、「清流の国ぎふ総文2024」(第48回全国高校総合文化祭)も合わせて3億3,201万円を計上しています。相次ぐイベントの開催は県職員に大きな負担をかけますし、大きな県予算も使います。一考を要する事業です。
その他に、この項目では、「不登校等児童生徒の学習・相談支援を行う校内支援センターの設置」(3,980万円)と、「ヤングケアラーの支援に向けたオンラインサロンの開設」(386万円)という二つの新規事業を予算化して注目されます

感染症対策の徹底―政府は各種支援制度を打ち切り、県予算も不安定部分のこす
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを国は5月に五類へ移行しますが、これに合わせてこれまで実施してきた各種支援制度をいっせいに打ち切ります。「生活困窮者自立支援金」が2022年12月に期限を迎え、国民健康保険の「コロナ傷病手当金」は2023年3月に、「休業支援金・給付金」や「小学校休業等対応助成金」は2023年5月にそれぞれ期限を迎えます。政府は公的責任を後退させていますが、岐阜県予算案では、国庫補助金を中心にした主な3つの事業が予算化されています。
〇「新型コロナウイルス感染症にかかる医療・療養体制の確保」(288億9,578万円)
〈財源内訳〉国庫283億9,329万円、一般財源4億89万円、諸収入6,159万円
〇「新型コロナウイルス感染症に対応する医療機関の環境整備」(3億7,860万円)
〈財源内訳〉国庫3億4,360万円、繰入金3,500万円
〇「新型コロナワクチンの接種に向けた体制の確保」(22億2,033万円)
〈財源内訳〉国庫20億42万円、諸収入2億1,991万円
但し、具体的な国の対策が未定のため県は5類移行を加味せず予算を組んでいます。そのため新年度の途中で大幅な減額補正をする可能性があり不安定な内容です。このように感染症対策の財政的な中心は国であり、今後の感染拡大にどう国が備えるのか心配されます。一方、コロナ禍で医療機関の減収が続くことで、地域医療が成り立たなくなる深刻な事態が出ています。これを受けて岐阜県保険医協会は、「地域医療機関等への機能継続交付金」の創立を求める請願を県議会へ提出しました。残念ながら県議会では中川ゆう子県議の採択主張だけで不採択とされました。今後、「機能継続交付金」を実現して地域医療機関を守る必要があります。
その他、新年度予算案で県は、新規事業として独自に、「感染症危機に備えた協議会の設置(改正感染症法)や衛生資材の備蓄」(6,422万円)を予算化しています。

病床逼迫の中での国の病院統廃合計画は中止すべきです
厚労省は、病床削減と病院再編を求める事業を2023年度も続行しようとしています。岐阜県の瑞浪市にある東濃厚生病院は国の方針で廃止されようとしています。市民からは総合病院として存続を求める運動が起こっています。岐阜県はこうした住民の声をよく聞き、国の方針に反対するよう強く求めます。

防災・減災・県土強靭化等の推進―国は遅れている重要インフラ整備の抜本的な支援を
生活道路、橋梁、トンネル等のインフラ老朽化対策は待ったなしです。住民の命に係わるこうした事業に対し国は従来からその必要性を強調するもののあまり予算をつけてきませんでした。それが地方に反映されて住民からの要望が強く行政側でも必要性を感じながらも予算不足に苦しんできました。今年度の国の予算でも対前年度比1.03倍で不十分です。また、予算面だけでなく市町村の技術系職員不足という問題も深刻です。悲惨な大事故を防ぐためにも国の思い切った支援が望まれます。2023年度岐阜県当初予算では、「道路・河川・砂防施設の計画的な維持管理の推進」として137億2,311万円を計上しています。内訳(単位万円)は道路施設(127億929)、河川・砂防施設(10億1,381)
(主な財源内訳)国庫26億4,717、県債32億5,036、一般財源73億4,066、国庫補助金の少なさが目立ちます。

東海環状自動車道西回り区間及びICアクセス道路の整備で多額の県債発行となる
岐阜県は東海環状自動車道の整備を最重点プロジェクトの一つとして、早期全線開通に取り組んでいます。そのため、政府に対し事業推進のための重点的な予算配分を要望してきました。2023年度予算では、101億1,478万円を計上しています。しかし、財源は国庫補助金が4億2,450万円に過ぎないため94億9,190万円の県債発行でまかなっています。これが将来の県財政に大きな負担を与えます。アクセス道路は高富バイパス等です。

ダム依存の治水対策を止め、流域治水の徹底を―内ケ谷ダム建設は中止に
政府の河川行政は、近年の度重なる大水害で行き詰まり、氾濫する河川流域全体のあらゆる関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる治水対策=「流域治水」の取組みを本格的に進めるようになってきました。ところが一方で政府は石木ダム、川辺川ダムなど、流域住民の反対を押し切ってダム建設に突き進もうとしています。岐阜県でも同様に内ケ谷ダム建設を強行しています。しかも3月議会に提出された議案書では、従来の内ケ谷ダム建設費を88億7,646万円も増額し、308億9,709万円に建設費を上乗せ変更しようとしています。この内ケ谷ダムを建設中の亀尾島(きびしま)川沿線地域は集水エリアが非常に狭く、想定降雨地、降雨量に対応できない地域です。ダム建設を中止して近年のゲリラ豪雨に即した治水対策=流域治水に転換すべきです。

2。人口減少社会からの脱却
(1) 自然増に向けた取組み(少子化対策)
結婚支援、妊娠・出産支援、子育て支援の3段階で新規も含めた諸施策を提案しています。
(単位


少子化対策としても、子どもの医療費無料化の年齢拡大や学校給食費無償化の実現を
こうした少子化対策を否定はしませんが、効果を表すのは制度として存続し発展していくものです。例えば、①子どもの医療費無料化の年齢拡大や②給食費の無料化です。これらの施策は最近、多くの自治体で広まりつつあります。(1)は、「中学校卒業まで」と「高校卒業まで」を合わせると95%の市区町村に拡大しており、県段階では、新たに岩手県や群馬県などが「高校卒業まで」に拡大することを表明しています。全国知事会は昨年7月、ペナルティ全廃と全国一律の医療費助成制度創設を求めています。また、学校給食費は、小学校・中学校とも無償化している自治体が254になったと報道されています(「しんぶん赤旗」2022年12月3日付)。その後、東京都では、2023年度からの実施が昨年9月の葛飾区の実施表明を受けて、世田谷区、北区、中央区、台東区、品川区、荒川区、足立区(中学校のみ)に広がっています。千葉県でも第3子以降の子どもを対象に無償化を実施していましたが、2023年度も継続実施されることになりました。市町村が無償化した場合その2分の1を補助する制度です。岐阜県でも新日本婦人の会岐阜県本部が「18歳までの医療費無料化を求める請願」を県議会に提出しましたが、採択を主張したのは中川ゆう子県議だけで不採択とされました。引き続き運動を強める必要があります。

フランス、スウェーデン、ドイツは少子化対策の中心を環境整備の強化に転換
これらの国では出生率が徐々に上向きつつあります。フランスでは、家族手当などの経済支援を中心とした施策を90年代以降に転換し、保育を充実し、さらに出産・子育てと就労に関して幅広い選択ができる環境の整備を強めました。スウェーデンも経済支援とあわせ、保育関連政策を手厚くし、日本よりも高い出生率を維持しています。日本以上に低出生率だったドイツは、育児休業制度や保育の充実を図るなどした結果、2021年には出生率が1.58%まで回復しました(「しんぶん赤旗」2023年2月14日号)。こうした先進的な国々の少子化対策を日本も研究し取り入れるよう政府に求めるべきです。

(2)社会増に向けた取組み(新次元の地方分散への対応)
〈人材を県内に呼び込み定着してもらうための取組み〉

リニア中央新幹線建設は思いとどまるべき
このために岐阜県の魅力を発信する施策の一つとして「リニア中央新幹線を活用した地域づくりの推進」予算を6,450万円つけています。しかし、リニア中央新幹線建設計画は多くの難点があります。まず根本的には新型感染症の拡大により交通・観光需要に大きな変化が生まれその需要が大幅に減少する可能性があることです。また、建設工事での事故多発や地下水、残土の処理問題で周辺住民の反対が大きくなっていることです。リニア新幹線建設は思いとどまるべきです。

人口減にどう対応するのか
(岐阜県の人口)現在194万人⇒2050年137万人(予想)
岐阜県の人口は現在194万人で、「2050年には137万人まで減ると予想する」(2023.2/16付中日新聞)という報道がありました。岐阜県は人材を県内に呼び込むために次の様な施策を予算化しています。主な事業を紹介します。

 


人口減の問題は日本全体が直面している事です。少子化対策は国会での中心的な課題ですが、内閣は予算額の倍増を口にしますがその財源についての具体化はすすんでいません。大軍拡予算を優先する内閣の姿勢はこうした重要課題については冷たいものです。岐阜県が具体的に予算化することも大切でしょうが、こうした国全体で考えるべき課題は全国知事会の場も含めて政府に政策提言する必要を感じます。

国保料(税)が値上げラッシュになる恐れあり
国保料(税)の引き下げ・減免、子どもの均等割の廃止を
市町村国保が「都道府県単位化」されてから5年が過ぎました。制度移行直後の2018年度には全国の3割以上の自治体が値上げしましたが、コロナの影響でこの値上げも2021年度は14%にとどまりました。しかし、厚労省は昨年11月、都道府県内での保険料水準の統一化をすすめるため、今後、国が「保険料水準統一化プラン(仮称)」を策定すると明らかにしました。保険料の統一化の押しつけは、自治体独自の保険料引き下げができないなど一層の負担増につながるおそれがあります。高すぎる保険料(税)の引き下げを求める運動とともにこうした国の動向への注視が必要です。また、2022年度から始まった子どもの均等割保険料(税)を軽減する支援制度の対象は、全世帯の未就学児の均等割保険料の5割を公費で軽減するものですが、対象年齢の範囲と軽減割合をさらに拡充するために政府が財政措置をとるべきです。岐阜県の「国民健康保険財政安定化基金」は2021年度50億3,100万円でしたが、2023年度末の見込み額は21億3,700万円です。また、2023年度予算案では、福祉医療助成事業費は前年度より2億9,440万円の減額で、その内の乳幼児医療費助成費も1億445万円の減額です。対象者減がその理由のようですが、子どもの医療費の年齢拡大のためには大きな運動と世論が必要です。

マイナンバー保険証の強制はやめるべき
厚労省はマイナンバーカードに保険証の機能を持たせ、診療歴などの情報を蓄積していくオンライン資格確認を2023年4月開始ですすめるため、マイナンバーカードの取得を強制しています。オンライン化の目的は、個人財産情報等を組み合わせて、国民一人ひとりの経歴・資産・健康状態を国が掌握しながら社会保障費の国費負担削減です。マイナンバー保険証の使用ありきは止めるべきです。

軽視された中小企業対策
政府の新年度予算案の中小企業対策費は総額1,704億円で対前年度比0.5%減です。コロナ禍・債務・物価高という三重苦の中小企業には余りにも冷たい予算案です。さらに「防衛力強化資金」の財源に中小企業のコロナ融資実質無利子化の利子補給金の基金(1,350億円)の余剰を充てる事まで計画しています。「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」の返済時期に入り、政府は「コロナ借り換え保障」に補正予算を組みましたが、その条件のハードルは「ゼロゼロ融資」よりも高くなっています。日本共産党は昨年11月に「緊急提案」を出し、新規融資を受けられるようにすることを提案しました。岐阜県の新年度予算でも「中小企業振興費」は前年度に比べ微減ないしは微増で大きな変化はありません。商工労働部の予算は、「ドローンの開発・製造に向けた支援」(2,094万円)や「インバウンドの本格再開を見据えた反転攻勢」(1億8,635万円)の新規事業、「関ケ原古戦場を核とした戦国・武将観光の推進」(4億2,779万円)であり、予算額の重点が移ったように思われます。

インボイス制度の導入中止の世論を高めましょう
政府は幅広い業界からの反対や地方議会での意見書採択の広がりに押されて、インボイス発行業者の登録締め切りを9月末まで延長しました。そのため慌てて登録する必要はありません。その間にインボイス制度に反対する世論をさらに広めましょう。

飼料高騰で苦境に陥る畜産農家、米作から畑地化への転換をすすめる政府
肥料や飼料が高騰し物価高騰対策が必要です。政府の肥料の補てん対策は高騰分の半分しかなく、酪農家から大きな反発が出ています。また、高騰する飼料は農業経営に大打撃を与えており、政府の補正予算額では赤字が解消されません。農水省は米の需給調整に関する政策を相次いで見直し、麦・大豆など畑作物への転換を促す措置を設ける一方、今後、転作の柱である飼料用米助成を減額する方針を示しました。こうした政府の方針転換の中で営農の継続ができるかは、水田活用交付金が受給できるかどうかにかかっており、農水省は恒常的な支援策を講じるべきです。岐阜県の新年度の農林水産業費は前年度比3.0%の減額です。この中で、政府主導の「担い手の営農定着、経営発展への支援強化」(9億637万円)〈財源内訳―国庫7億6,371万円、一般財源1億4,206万円〉があり、新規就農者等の支援と農地の集積・集約化と集落営農の活性化の事業が予算化されています。また、「食料安全保障の強化に資する生産・供給体制の構築」に10億4,139万円を予算化しています。しかし、高騰する肥料や飼料に対する具体的な支援策は見当たりません。

今後の県財政の見通し―思い切った発想の転換が求められます
県債の2023年度の発行額は641億円で前年度から見ると207億円(24.5%)少なくなりました。これは新県庁庁舎の建設が一段落したことが大きな理由です。しかし、新年度公債費は1,101億円で前年度に比べ5.5%増えています。また、実質公債費比率は、県債残高の増加がありP3のグラフが示すように2021年度から増えています。「公債費は、現下の金利上昇の影響も加わり、さらなる増加が見込まれる」【岐阜県行財政改革指針2023(案)】としています。2010(平成20)年度の岐阜県の財政状況は毎年300億円を超える財源不足が見込まれる危機的な状況でした。岐阜県は「行財政改革アクションプラン」を策定し、県職員の給与削減や市町村への各種補助金の抑制、また、県民サービスの低下など多方面の犠牲の下、2013(平成25) 年度ようやく起債許可団体を脱却しました。今後、「老朽化した公共施設の長寿命化対策や、社会保障関係経費といった財政上の課題のほか職員の定年引き上げの円滑な実施、将来を見据えた人材の確保や働き方改革の推進といった、人事・組織上の課題にも応対していく必要がある」【岐阜県行財政改革指針2023(案)】としています。
ただ、【指針2023年(案)】は、「その上でこれらの課題を踏まえながら、新たな「『清流の国ぎふ』創生総合戦略」に盛り込まれた、重要な政策課題にもしっかりと取り組まなければならない」と言い切っています。従来のような東海環状自動車道やダム建設、大型の公共施設の建設など、県債を多額に発行しなければならない事業を中心において県財政の危機をのりこえられるのでしょうか。福祉や医療、子育てなどもある意味では公共事業に繋がります。県民の所得を増やすために何をなすべきか、思い切った財政の転換が求められます。

2023年度岐阜県一般会計当初予算案に対する一般新聞の評価(2/16付朝刊)

(中日新聞) 解説欄の中で、「大胆な子育て政策の浸透が鍵」だとしています。県の人口が現在では200万人を切って194万になったとし、2050年には137万人にまで減ると予想しています。そのため、この事態を打開しようと岐阜県が全国の都道府県に先駆けて、第二子以降の出生児へ10万円の祝い金といった政策を持ったことを「大胆な政策」と位置付けています。そして、「今回の現金給付策も、子育ての経済的不安を全面的に払拭できる額ではないだろう。でも、社会に向けてメッセージを発信することには大きな意義がある」と記述しています。その上で、「子育てしやすく暮らしやすい県というイメージを浸透させられるか」と問うています。
(岐阜新聞) 地元紙だけあって多くの紙面を使って県予算案を詳細に報じています。解説欄では、今年度の岐阜県の当初予算案が、「社会経済構造の転換までを見据えた増額予算」としています。内容的には「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進やスタートアップ(新興企業)育成など、新たな次元を目指そうとする県の旗振り役としての決意と県民に対する強いメッセージ性がにじむ」としているところです。併せて「人口減少社会からの脱却を改めて予算編成の柱に据えた事にも攻めの姿勢がうかがえる」とし、「子育て支援の給付金制度を目玉に、自然増へとベクトルを向ける事業を予算化」と評し、「いずれも短期的に目に見える成果を出しにくい分野で、未来への投資」と捉えています。そして、そのため「広く県民の理解と共感が得られるような丁寧な説明と定期的な現状報告が必要だ」と説明しています。
(朝日新聞)「第2子以降に祝い金・中3に進学祝い金」「県予算案 人口減に重点」との見出しを付けて県予算案の内容を報じていますが、「解説欄」はありません。内容的には、「県は、優先順位が高い政策課題として『社会経済の回復・再生・転換』と『人口減少社会からの脱却』を掲げており、これらの課題に対応する事業に積極的に予算を配分した」としてその政策を説明しています。予算案の歳入について県債発行額についても24.5%減となったし、その原因について簡単な説明をしています。また、歳出については、公債費が3年連続の増加となったと報じ、古田知事の所見が報じられています。その後で「実質公債費率」の現状と今後の見通しについて述べています。
(毎日新聞) 解説欄で、2023年度岐阜県当初予算案は、「持続可能な財政運営に象徴される『守り』と、コロナ後を見据えた経済活性化という『攻め』の折衷型となった」としています。そして、「長期的成長のため子育て世代や企業をいかに引き付けるかに腐心した形跡が読み取れる」と評価しているところです。9~12年度の実質公債費率が18%を超え、地方債発行の許可団体に陥った中から、21年度時点で全国3位の6.1%までに回復させた古田知事の財政改革を述べており、「健全財政を維持しつつ、地域経済の活性化も実現できるか。県民がその手腕を注視している」と結んでいます。
(読売新聞)「県予算案 最大8897億円」「コロナ後見据え2本柱」との見出しを掲げて県予算案を報道していますが、「解説欄」はありません。記事内容は、「県債残高 2年連続減」「県債残高の推移」(グラフ付)「人件費は3.5%減」「観光回復へ部新設」「コロナ対策421億円」です。その他に「古田肇知事の記者会見での一問一答」を囲み記事で載せています。

日本共産党・中川ゆう子県会議員が県民とともに取り組んで今回予算化されたもの

◎就職氷河期世代への就労支援 (4,502万円)
正規雇用に向けた支援、無業の方向けの職業的自立支援や正社員への転換への支援
◎有機農業の拡大 (3,213万円)
アドバイザーを新設し、有機農業の体制の強化。消費者の理解促進や交流の開催。環境負荷の低減に向けた技術開発や栽培体系の転換への支援
◎フードバンクへの支援 (360万円)
規格外農産物等のフードバンク利用への助成や農業団体とフードバンク団体との体制の構築
◎小中学校の全学年で少人数学級実現
国加配定数の活用で進めてきた35人学級を小学校6年生、中学校3年生も加え、全学年で実施
◎特別支援学校の環境整備 (2,634万円)
特別支援学校の設置基準を満たしていない校舎・運動場等の拡充の計画や改修
大垣、岐阜本巣、飛騨の3特別支援学校
◎子ども食堂・子ども宅食運営支援 (1,148万円)
子どもの居場所としての「子ども食堂」や「子ども宅食」を実施・支援する市町村に新設・運営の経費を補助
◎就職氷河期世代のひきこもり支援 (234万円)
就職氷河期世代のひきこもり状態にある方に相談や伴走型支援を行い円滑で持続性のある社会参加を支援
◎鉄道駅のバリアフリー化補助 (6,113万円)
バリアフリー法の基本構想により、バリアフリーの鉄道駅を市町村が鉄道業者に補助するとき、市町村へ支援 JR岐阜駅

中川ゆう子県会議員の議会質問や県民との運動・交渉が実を結び実現したこれまでの予算の紹介

◎県出身大学生などへの奨学金の貸与 (1億4,359万円)
県外大学などに進学する学生に、県内にUターンして居住・就職することを条件に奨学金を貸与。卒業後5年継続して条件を満たすと返金が全額免除に。
◎岐阜県被災者生活・住宅再建支援事業の拡大 (2,000万円)
被災者への支給額の水準を100万円から国の水準300万円に増額。適用条件を「建物の解体・長期避難」まで拡大し、県と国の支援の格差が解消されます。
◎ライフライン保全対策事業費補助金 (3,000万円)
2018年台風21号での倒木による大規模な停電被害を受け、倒木の恐れのある道路沿いの立木を事前に伐採し、停電発生を未然に防止する事業を補助。
◎避難所環境整備事業費補助金 (1,000万円)
市町村が行う災害時の避難所に必要な資機材の整備を助成する制度。新たな助成対象に、携帯電話やスマートフォンを充電するための災害対応充電器が追加。
◎全ての県立学校にエアコンを整備 (12億2,970万円)
昨年の猛暑を受け、今年の夏までにすべての県立高校の普通教室や音楽室などの準教室にエアコンを設置するよう整備が進んでいます。
◎ひきこもりの実態調査 (292万円)
県内全域を対象に、県内の民生委員・児童委員の協力を得て県内全域を対象にひきこもりの実態調査を行います。
◎パーキング・パーミット制度の導入 (2,840万円)
障がい者等用駐車場の適正な利用のため、対象者に利用証を交付するパーキング・パーミット制度が導入されます。

2023年度当初予算に関わるものです。皆さんからの意見や情報をお待ちしています。

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