2023年3月14日 4:30 pm
カテゴリ: 活動報告
質問しました。2.就職氷河期世代に関する課題認識と今後の取組について。3月10日、午前。
続いて、就職氷河期に関する課題認識と今後の取り組みについて、商工労働部長に質問します。議会で何度も取り上げておりますが、改めてこの就職氷河期世代とはバブル崩壊後の1990年代初めから2000年代初め頃まで就職活動を行った世代にあたります。
不況による企業の採用抑制と派遣労働の規制緩和による正社員雇用から非正規雇用への置き換えが広がった時代であり、2000年前後の大卒の就職率は50%台にまで低下しておりました。
本来なら働き盛りの年代ではありますが、非正規雇用や無業状態など不安定雇用の状況が長期に続いた方が、比較的多いなど、さまざまな課題に直面しております。ワーキングプアという名前が生まれた時代と重なっており、現在の少子化はこうした若い世代の低賃金と不安定雇用が生んだのだと思います。まさに国の施策が生み出した問題ではないでしょうか。
昨年末に国で策定された「就職氷河期世代支援に関する新行動計画2023」では、今ある社会への参加のみならず、当事者の方々の声を反映した彼ら自身が参加したいと思えるような開かれた社会を作っていくことこそが、より本質的なゴールであると示されています。
大切な視点だと思います。この3月に策定される2027年度までの「清流の国岐阜創生総合戦略」にも初めて氷河期世代への支援が盛り込まれました。単なる就労支援にとどまらない当事者の声を反映した社会をつくることを本質的なゴールにした息の長い取り組みを期待します。
そこで商工労働部長にお聞きします。
(1)就職氷河期世代が抱える問題への課題認識について
1点目です。就職氷河期世代が抱える問題への課題認識についてです。就職氷河期世代を取り巻く問題は個人の責任ではなく、雇用の規制緩和と社会保障の負担増など国の施策が生み出した構造的な問題であると考えます。取り組みを進めるにあたり、どのような認識を持っておられるでしょうか。<答弁 商工労働部長>
就職氷河期世代は、平成のバブル景気の崩壊以降、雇用環境が厳しい時期に就職活 動を行い、その後もリーマンショックなどの影響を受ける中で、現在まで不本意ながらも不安定な職に就いている、あるいは無業の状態にあるなど、厳しい状況にありま す。このため、こうした方々は、概して能力開発の機会が少なく、年齢とともに、安定した職業に転職する機会が制約されやすいことに加え、不安定な就労状態にあるため、収入が低く、親の介護を含め、将来にわたる生活基盤が脆弱であるといった様々な課題を抱えています。
こうした課題は、個人やその家族の問題ということではなく、社会全体で受け止めるべきものと認識しており、県としても、国や関係機関と連携して対策を講じていく必要があると考えております。
(2)今後の取組について
今後の取り組みについては二つに分けてお聞きします。正規雇用への促進やデジタル技術習得への支援などの事業が好評な一方、取り組みが対象者の一部にとどまっているのではないかという印象があります。集中支援プログラムが始まる当初、県によると推計ですが、就職氷河期の中で正規雇用を望みながら非正規雇用で働いている人は約5,000人、無業状態の方が6,700人ということでした。
その実情は個人によって様々であり、親の高齢化による生活不安や介護など、新たな問題も出ています。これまで20年近く非正規雇用で働いたり、無業状態だった方々の思いは非常に複雑です。
非正規雇用を転々とし、年齢を重ねるにつれ徐々に仕事が無くなった方、なんとか非正規で働いているが、将来に大きな不安を抱えている方、そして、これまでのつらい思いを抱えながら生きてきた方々にとって、今、集中支援プログラムを作ったから頑張って正社員を目指そうなどという働きかけだけでは響かないし、今更感があると、語る方もおられました。
<質問>①実態調査の実施について
そこで1点目です。今後の取り組みとして、まず当事者にしっかり届く取り組みをするには、実態調査が必要だと考えます。就労だけでなく、家庭状況や親の就労、家族の介護など生活実態を含めた調査を実施すべきだと思いますが、いかがでしょうか。<答弁 商工労働部長>
就職氷河期世代の実態を把握するためには、大きく分けて、就労に向けた支援を必要とする方と、社会参加に向けた支援を必要とする方を調査する必要があります。このためまず、就労支援の点からは、ハローワーク来訪者を対象に「就労実態アンケー卜調査」を、また、社会参加支援の点からは、民生委員等を通じて「ひきこもり等に関する状況調査」をそれぞれ実施し、状況を把握しております。
また、「ぎふ就職氷河期世代活躍支援プラットフォーム」において、若者サポートステーションをはじめとする支援機関等から現場の実情を伺うことにより実態の把握に努め、事業の実施につなげてきております。
例えば、就労支援機関への一歩を踏み出せない中で、社会参加へのサポートを望まれる方がいるという実態を踏まえ、個別相談から就労支援機関への同行までをサポー卜する伴走型の支援事業を実施しております。今後とも、実態の把握に努め、ニーズに基づいた施策を展開、強化してまいります。
<再質問>
先ほどの答弁では、ハローワークの所で聞き取り調査を行った、ひきこもりの調査として民生委員から聞き取りを行ったということですが、私の問題意識はこういう公的支援に結びついていない方々が課題なのではないかということです。国の新行動計画でも「当事者の声を」というようにうたっております。ですので、当事者への調査を実施すべきではないか、実態調査の実施について伺います。
<答弁 商工労働部長>
当事者ご本人や保護者の方などと日々、面談やカウンセリングなどで直接かつ客観的に接する相談事業実施団体の方々などから、就職氷河期世代本人の声や置かれている状況、ご自身が気づかれていない課題など様々な実態やニーズを丁寧に伺うことが、より効果的な支援につながるものと考えております。なお、全国で調査を実施している県は少数にとどまっておりまして、実際にお答えいただいたサンプル数も少なく、調査の難しさを感じているところでございます。
今後、年齢とともに、就職氷河期世代を取り巻く環境がより厳しくなることが見込まれることから、少しでも早く、より多くの方が将来に希望を見いだせるよう、支援に繋がる取組みを推進したいと考えております。
<質問>②長期にわたり無業の状態にある方々に対する新たな取組について
次に、長期にわたり無業の状態にある方々に対する新たな取り組みについてです。現在、県では、大きく分けて就労支援とひきこもりに対する相談支援や居場所支援を行っています。しかし、実際には単なる居場所やカウンセリングを求めているわけではないが、本格的な雇用へのステップは大きすぎて踏み出せないという方もいらっしゃいます。
そこで質問です。このように長期にわたって無業状態にある方々への支援として、本格的な就労支援や職業訓練とひきこもり相談や居場所だけではなく、その中間的な取り組みもあってよいのではと思いますが、いかがでしょうか。お考えをお聞きします。
<答弁 商工労働部長>
就労を希望しながら長期にわたり無業の状態にある方々については、様々な事情を抱えていることもあるため、働くことや社会参加を促す中で一人ひとりに寄り添った支援が求められます。そのため、若者サポートステーションにおいて、本人がどのような状況にあるのか、どのような就労や社会とのつながりを望んでいるのかなど丁寧にカウンセリングをした上で、多様なメニューを用意し、社会的•職業的な自立を支援しております。
ご指摘のように、これらの方々にとって、正規雇用への道はハードルが高いことから、非常に短い時間の就労を経て、段階的に就労時間を増やしていくことも重要な取組みであると考えております。
そのため、昨年4月、県障がい者総合就労支援センター内に開設されました「岐阜市超短時間ワーク応援センター」と連携し、若者サポートステーションに相談に来られた方に、週20時間未満の勤務に関する情報を提供しているところです。今後ともより多くの超短時間勤務の情報が提供できるよう、超短時間ワーク応援センターとの連携を強化してまいります。
<再質問>
「超短時間ワーク応援センター」と連携していくとお答えになりましたけれども、こちらは岐阜市の取組みです。これは県レベルの新たな取組みとしてやってはいかがでしょうか。この点についてお考えを伺います。<答弁 商工労働部長>
「岐阜市超短時間ワーク応援センター」は開設後まだ1年が経過するところであり、まずは、超短時間勤務の事例を蓄積することが重要であると考えております。その上で、岐阜市以外の方への支援の在り方については、関係機関と相談しながら研究してまいりたいと考えております。