2020年度岐阜県予算に関する要望書
教育委員会
- 定時制高校の給食は、生徒の学業支援にとって必要不可欠です。県では、廃止の意向も示されているとの情報もあります。廃止ではなく施設の拡充を求めます。例:飛騨高山高校
【県回答】定時制高校の給食について。定時制高校における給食については、調理場の老朽化による衛生管理等、調理にかかわる職員の高齢化や不足の面を考慮しながら、学校の意見を踏まえ、廃止ではなく計画的な外部委託による提供を継続して進めていく予定。
- 「子どもの貧困調査」の結果から、学習支援を要望する保護者が所得の大小にかかわらず多くおられます。県の補助金もいくつかあるものの低所得者対象としている補助金であることや生活指導も伴うとのことです。上記結果を勘案し、所得の大小に関わらず学習支援をする方々への補助を要望します。所得で区切るとその学習支援事業へ行きたくても利用できない人が出てきます。
【県回答】(健康福祉部)子どもの学習支援に関する事業については、所得制限はなく、生活困窮世帯やひとり親家庭の子どもの他、学習機会の不足等がみられる子どもを対象としており、生活支援を必要により実施することとしています。今後も厳しい家庭環境などから、様々な課題を抱えた子どもに対する学習支援事業を実施してまいりたいと考えております。
- すべての市町村に学校司書を配置するために、県として助成制度を創設してください。
【県回答】学校司書について。学校図書館に関する法律として学校図書館法というのがあり、その中で学校司書の配置が努力義務として規定されている。そのため、各学校設置者、小中学校であれば市町村の教育委員会においてその設置について務めているところ。その整備充実を図るために、国の方も学校司書配置についての地方財政措置というのが行なわれている。それを今は財政面の支援として活用していると認識している。この状態の中で、県としての独自の新たな助成制度を設けるのは、なかなか難しいのではないかなと考えている。引き続き国の支援制度というものをしっかりどの市町村にも周知していって、学校図書館の充実に向けた取り組みを促していきたい。
- ニート、ひきこもり、不登校等の困難を有する青少年の問題に対する支援として、青少年の育成・支援に関する課題を把握するための調査を実施してください。また、中間組織(教育支援センター)の充実や、NPO等民間団体(フリースクール)との連携を強化して子どもの居場所と学びを提供するサード・プレイスの充実を進めてください。
【県回答】困難を有する青少年支援については、青少年の育成支援の課題を把握するための調査を県では本年8月から、県内の各地域で青少年の育成支援に関して活動している団体に対し、活動内容や課題を把握する活動状況調査や、青少年の困難や立ち直りに関する具体的な支援事例を受けて調査しているところでございます。
【県回答】サード・プレイスの充実について。本県ではH26年度に、不登校の高校段階の生徒を対象とする適応指導教室G-プレイスを総合教育センターに開設して、カウンセリングをはじめ、学習相談やコミュニケーション力を高めるワークショップ、あるいは、体験活動などの社会的自立に向けた支援に取り組んでいるところ。小中学校の児童生徒については、市町村の教育委員会等において、地域の実情に応じて教育支援センターの設置等されているところで、不登校児童生徒への支援が行われているところ。今後も市町村教育委員会と連携を取りながら、児童生徒に対する支援の充実に努めていきたい。
- 夜間中学を岐阜県内に設置してください。日本語教育を必要とする外国人のニーズや、不登校になっているなど多様な生徒を受け入れる重要な役割を担っています。
【県回答】夜間中学の県内設置について、毎年市町村教育委員会を通じて行ってきている設置の理由調査で、これまでのところ具体的な検討をされている市町村は今はないという状況と認識している。引き続き、市町村や関係部局と連携してニーズの把握に努めていくが、今年度においては、例えば外国人ニーズの把握の観点から、関係団体から個別に意見聴取し取り組みを進めていきたい。
- スクールソーシャルワーカーの増員を求めます。多治見市では現在、スクールソーシャルワーカー2名で小中学校を巡回し、相談件数は小1409件、中546件と増加傾向、明らかに不足しています。募集しても集まらないのは賃金の安さにあります。正規職員を計画的に配置できるよう支援してください。
【県回答】本県では、県内の6つの教育事務所にスクールソーシャルワーカーを配置しており、各学校の要請に応じて、スクールソーシャルワーカーを活用できる体制を整備しているところ。今後においては、活動実績や現場のニーズ等を把握・分析の上、その配置について検討していきたいと考えている。
- (旧)養老女子商業高校の施設や土地の利用の現状と今後の活用について県の考え方を示してください。
【県回答】旧養老女子商業高校の施設や土地の利用の現状については、体育館については、大垣養老高等学校の部活動で利用し、グランドについては地元の皆様に開放しご利用していただいているところ。現在養老町において、同行の校舎跡地利用検討委員会を設置して、町としての活用方策について検討しているところ。その状況も踏まえながら、ひきつづき幅広く活用方策を検討していきたい。
- 現在の小学1年生、2年生及び中学1年生に実施している少人数学級をさらに拡大してください。
【県回答】県の教育委員会としては、これまでも児童・生徒に対するきめ細やかな指導を充実させていくという趣旨で、国の方で定められている小学校1年生の35人以下という少人数学級の制度に加えて、小学校2年生と3年生、中学校1年について35人以下の学級編成というものをしている。これをさらに拡大していくという要望だが、なかなかこれをさらにということになっていくと、職員数の増加ということで、予算的な部分で引っかかってくる。県としては、既存の制度と連携したうえで、教職員定数の改善、教職員の加配措置を国にしっかり要望していきたい。こうしたものを通じて、引き続き本県の少人数教育をしっかりと意識していきたい。
- 子どもたち一人ひとりの成長を見守り、それぞれの個性を大切にできる豊かな学校教育を実現するため、また、いじめをなくすためにも、学校規模や実態に応じ正規教職員を増員してください。
【県回答】子どもたちをしっかり教育していくという上では、正規の教職員というのも確保していくことが大切。ここ数年で申し上げると、小中学校に関すると、毎年4百数十名規模の新規採用を行っている。退職教員の先生方が活躍できるように、毎年200人程度を再任用として雇用している。ベテランの先生方の知見を活用して、教育の充実に努めているという状況です。今後も新規採用を計画的にすすめていくことによって、学校教育の環境をしっかり整備していきたいと考えている。
- 県立大学へ進学する学生も使える新たな給付型奨学金制度の創設、または清流の国ぎふ大学生等奨学金の対象拡大を県として行ってください。
【県回答】(清流の国ぎふ推進部)県外に在学し、将来岐阜県にUターンし、県内に居住就労する意思のある学生、生徒となっています。県が実施しました調査では、県内出身者で県内大学を卒業および県内企業に就職する割合は74.6%と、比較的高い水準になってきております。限りある予算のなかでUターン促進を図ることとしています。今後とも本奨学金制度を生徒に十分周知して、清流の国ぎふを支える人材が流出しないよう取りくんでまいります。
- 高校生を対象とした返済不要の奨学金制度の創設を求めます。経済的理由により高等学校の就学が困難な方に対して、入学準備金や通学費などの補助を要望します。小中学校で就学援助金を受給していた子が高校生になり、制服代や教科書代など通学のための費用などに充てられるような奨学金制度の創設を求めます。
【県回答】高校生向けの事業としては、現在国庫補助事業ですが、一定の所得以下の世帯に対する授業料等についての就学支援金という事業を実施している。さらに、要保護者とか非課税世帯とかいった低所得者の方に対しては、返済不要の奨学給付金制度というのがあり、こちらで、授業料以外の教育の負担軽減を図っている。
- 教職員の増員、待遇改善、少人数学級などの教育環境改善の取り組みをしてください。10年間で100億円減っている教育人件費を引き上げ、県独自に正規の教員を増やしてください。
【県回答】定数改善、少人数学級についてはいま申し上げたとおり。教職員の人件費に関しては、関係法令に基づいて、学校の規模だとか学校の構成とかそういうところに応じて、毎年度繰り返し財源措置で行われているということです。このため、県独自で引上げを行うということになってくると、一般財源のところから使われていかなければいけないということになるので、現実的には厳しい状況にあるのかなと認識している。先ほど述べました通り、県としては、教職員定数の改善だったり、教員の加配措置というものをしっかり国に引き続き要望していく。またそれに加えて、外部人材ということで、教員のサポートを行うような方々の雇用をすすめることによって、しっかりと学校の現場で先生方が教育の専門職として働いていただけるような環境を整備してまいりたい。
- 災害時の避難所ともなる学校体育館へのエアコン設置を検討してください。
【県回答】災害時の避難所となる学校体育館のエアコン設置について。災害時の話については、本年6月に県と県冷凍空調設備協会との間に災害協定が結ばれて、災害時には冷凍機器等が借りられると聞いている。一方学校そのものの空調はどうなっているかというと、昨年の猛暑を受けて、県、市町村もまず普通教室、そして特別教室の方を鋭意進めているところ。ちなみに県は6月に普通教室全教室の設置が済んで、来年度までには、特別教室の方にもエアコンの整備をする予定となっている。体育館についてですが、体育館というのは非常に容積が大きくて、まず設置コストとか維持管理コストが非常に膨大になるという課題がある。まずは夏場に体育館を利用するということになれば、その日の気温とか湿度といった環境条件を十分に配慮して、児童・生徒に対しても休憩をとったりだとか、こまめな水分補給をすることで、健康面での安全確保について万全を期していきたい。
- 特別支援学校を各務原市内に設置するよう求めます。各務原市内の小・中学部は、関市や羽島市などの特別支援学校に通学しており、小中合わせて70人いることからも、各務原市内に特別支援学校を設置すべきだと考えます。バスの送迎はあるものの毎日通うには遠すぎます。またバスに乗れない子もおり親が送迎しており、親の負担は大変なものがあります。中濃特別支援学校は人数も多く教室不足が発生しており、分教室として関特別支援学校で対応しています。子どもたちや親の負担を軽減するために、各務原市内に特別支援学校の設立を県のプランに加えてください。各務原市としても県に要望しています。日本共産党各務原市議団はいまある施設(元岐女商が使われていない)をリニューアルして特別支援学校をつくることを提案しています。
【県回答】県における特別支援学校の整備については、H18年に「こどもかがやききプラン」を策定し、このプランの学校整備計画に基づいて、新設校の開設・開講、既存校の相互化等おこない、各地域で学べる環境整備を行ってきた。「こどもかがやきプラン」策定時には、各務原市と協議をいたしまして、各務原市の意向を受けて、市内に県立の特別支援学校は設置しないことになりました。また、提案の旧岐阜女子高等学校の校舎については、現在、市立小学校として活用されているので、特別支援学校として活用することは難しいと考えている。なお県では、スクールバスを増配備することによって、各務原市内の児童生徒について、通学にかかる負担減に努めている。また、特別支援学校の整備や通学のあり方ついては、学校、関係者の意見を聞きながら今後も引き続き検討してまいります。
- 恵那南高校存続のための予算を組んでください。2007年に岩村高等学校と統合しておかれた恵那市恵南地区唯一の総合学科の公立高校で、遠くまで交通費を使って通学しなくて学ぶことのできるとてもありがたい存在です。恵那南高校は少子化の中で存続が危ぶまれながらも、「恵那川上屋」と連携し6次産業学習・地元小中学校と共に「浪漫学園」・大正村の活動に積極的に参加する地域貢献活動など特色ある教育活動を行っています。そんな中で恵那南高校進学希望者が増え、一昨年度までは定員割れしていたものが、(定数が減らされたこともあるのですが)受験希望者が定員を大幅に超えてしまいました。また少人数で手厚い指導がされ、国立大学を初め大学進学する生徒やさらに専門的な力をつけるために専門学校へ行く生徒、企業へ就職する生徒など個に合わせた進路指導が行われています。特に就職については地元で仕事をしたいという生徒が増え、地元企業や営業所の力になっています。このように恵那南高校存続は、恵南地域活性化のためにも大変重要な存在でもあり、昨年度より「恵那南高校 地域サポーター」募集が行われ、サポーターメンバーが部活応援や学習支援・指導など行っています。
【県回答】恵那南高校の存続について。岐阜県立高等学校活性化計画の策定委員会から、H23年度の審議まとめが出され、その中で恵那南高校を含めた19校が少子化の進行のため小規模化が懸念されるということで、地域と連携して活性化を図る必要があるというふうにされている。このため、県教育委員会においては、こうした高校においてH28年度以降順次、活性化に関する事業を進めてきていて、地域と連携した活力ある高校づくりを進めてきている。恵那南高校においては、地元企業、恵那市の3者連携によって、例えば栗を素材にした独自産業学習をはじめとして様々な取り組みをしている。今年度は、高校入試において入学定員を超える出願者があった。今後も引き続き、多様な学習ニーズにきめ細かく対応する恵那南高校の特色が発揮できるように、地域と一体となって高校の活性化を図っていきたい。
- 恵那特別支援学校への送迎バスの改善について。今年、小学1年生の児童が重度心身障害児のため、送迎バスの利用はできないと言われ、家族が毎日100kmを送迎しています。特別支援学校の送迎については、家族による送迎をしなくてもよいように、送迎バスに看護師を配置していただくよう改善してください。
【県回答】恵那特別支援学校の小学部1年生の中には当該の児童は確認できなかったが、小学部2年生のなかに当該の児童が在籍していると思われる。日常的に医療的ケアを必要とする、あるいは恒久的に医療的ケアを必要とする児童生徒で、例えば痰の吸引を必要とする児童生徒は、安全上の観点から基本的にスクールバスには乗車していない。ただし、日常的に医療的ケアを必要とする児童生徒でも、スクールバス乗車中に医療的ケアを必要としない場合に限って、校長が主治医や指導員の意見を踏まえたうえで、乗車を認めている。また、看護師のスクールバス乗車については、いまのところ考えてはいない。