中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

9月議会(4)森の恵みおもちゃ美術館(仮称)の駐車場問題

2016年10月10日 2:05 am
カテゴリ: 活動報告

公共施設へアクセスする際の公共交通の役割を問う

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「豊かな自然を背景に木育を推進するため」岐阜市宇佐地区、旧友愛プール跡地に(仮称)森の恵みのおもちゃ美術館の整備計画が進められています。岐阜県産の木材をつかった平屋で建築費3億5000万円を予定しているとお聞きしていますが、今議会にはその駐車場整備として総額10億円が補正予算として計上されています。内訳は、西側県有地に3層の立体駐車場60台、森のおもちゃ美術館地下に60台、、森のおもちゃ美術館周辺に30台、合計3か所、150台分の駐車場との事です。

この周辺は用地が不足しており、立体駐車場や地下駐車場にせざるを得なかったことが、これだけ多額の整備費となったようですが、とくに地下駐車場は、60台分で6億6000万円であること、10億円のうち約7億5000万円は県債ということを考えると、広い土地が確保できる場所や緑の豊かな場所という選択肢もあったのではと思います。

しかし、先の答弁では、他の県営公園での設置について「公共交通機関が十分でないこと」「観光客がターゲットになっていること」などを理由に、現計画になったとの説明でした。公共交通機関も判断材料の一つであったのならば、用地不足の中、多額の予算を投じての駐車場が本当に県民に理解が得られるのか、公共交通利用への誘導策がなぜないのか、大きな疑問を持ちました。

この地域には、図書館、美術館、岐阜市の科学館が立ち並び、緑も多く、文教地区として多くの方が集っている地域でありますが、図書館・美術館の駐車場としてすでに400台の駐車場があり、北側の科学館には普通車76台分、大型バス9台分、新たな駐車場と合わせると626台分の駐車場ができることになります。

現在でもこの地域は、慢性的な駐車場不足が問題になっており、周辺の道路は、通行する車と駐車場を探し求める車で混雑しているのが現状です。道路も狭く、とくに施設の東側道路は中央線がない狭い路地です。現在の図書館・美術館の来館者数が80万人、岐阜市の科学館が通常12万人ですので、年間100万人近い人が集っています。

周辺の公共交通手段としては、JR岐阜駅からのバスが1時間に1本。JR西岐阜駅から美術館へは地元のコミュニティバスで3分。帰りは1時間かかってしまいますが、徒歩だとだいたい12分ほどです。近所の方からは、県のふれあいバスが廃止され、不便になったとの声も聞こえます。図書館のリニューアルも控えており、ここにさらにおもちゃ美術館を配置するというのであれば、どれだけ駐車場があっても駐車場不足は解消できません。駐車場建設でなくその財源を公共交通の充実に充てるなど、現在の交通量をどう減らすかといった議論も同時に行っていかないと、森の恵みや自然の豊かさに触れる施設の魅力が半減してしまうのではないでしょうか。

(1)宇佐地区の美術館・図書館利用者の交通手段の実態について

中川ゆう子の質問

先ほど申し上げた交通量の多さは、駐車場不足と車利用前提で施設整備を進めていった行政の姿勢にも原因があると考えます。リピーターを増やすためにも、森のめぐみのおもちゃ美術館の理念を生かすためにも、この地域一帯が静かで交通量をできる限り抑えた街づくりが必要不可欠です。現在の図書館・美術館利用者の交通自主段の実態はどうなっているでしょうか。お聞きします。

林政部長の答弁

平成27年度における県図書館・県美術館への来館者は、それぞれ52万6,729人、26万4,414人、合計79万1,143人となっております。一方、図書館が昨年の7月15日から8月30日にかけて、来館者の方を対象に実施したアンケート調査によれば、210名の回答者のうち、自家用車利用の方が67.9%、徒歩が7.4%、自転車は18.6%、バス2.8%、鉄道1.4%などとなっております。

(2)宇佐地区一帯における駐車場と誘導表示のあり方について

中川ゆう子の質問

宇佐地区一帯における駐車場と誘導表示の在り方について申しあげます。現在でも、駐車場を探し求めて同じ場所をぐるぐる回る時があります。駐車場が点在しており、交通量はさらに増えると思われます。美術館・図書館と一体で駐車場や誘導表示の在り方を考える必要があるのではないでしょうか。

林政部長の答弁

県図書館、県美術館の駐車場は供用になっており、点在する駐車場全体で400台を収容することができます。県図書館によると、このうち210台ある図書館の地下駐車場が満車になりますと、警備員がゲートの前で他の駐車場を案内して対応することとなっております。平成27年度において駐車場全体が満車となった日は、週末やイベントが開催された日を中心に、図書館の会館日数288日の5分の1以上にあたる64日間でした。こうしたことから、おもちゃ美術館の開館に伴い、宇佐地区一帯の駐車場の誘導表示や、現場の誘導のあり方などについて、図書館、美術館などの関係機関と協議の上、検討してまいりたいと考えております。

(3)公共交通や周辺の公有地を活用した整備計画の策定について

中川ゆう子の質問

公共施設を整備する場合、とくに都市部においては車利用前提の計画ではなく、公共交通の利用をどのくらい進めるかといった観点から大胆な計画を立てる必要があるのではないでしょうか。とくに「森の恵み」は、自然に優しいライフスタイルに変えていこうというメッセージであり、車利用前提の計画や、交通量の多い周辺環境には違和感があります。駐車場は遠方の方や乳児、高齢者、障がい者などを想定した規模にし、せめて近隣の方はバスや電車で遊びに行きやすいような計画を作るべきだと思います。鉄道やバスなど、公共交通機関の利用をどのくらい進めるかといった観点から、大胆な計画を立てるべきでないか。また、土日には県庁駐車場やシャトルバスの活用など、周辺の公有地の活用も考えられると思いますが、いかがでしょうか。

林政部長の答弁

整備予定の駐車場は、現在ある共同駐車場の満車対策をはじめ、おもちゃ美術館の利用者のため、必要最小限を整備するものであります。このため、おもちゃ美術館、図書館、美術館でのイベント開催に伴い、自家用車による混雑が予想される場合は、普段から3館による情報共有を密にして、雷管予定者には公共交通機関への利用を呼びかけたいと考えております。特に休日は、混雑の状況も見極めながら、県庁舎駐車場など県有地を活用したシャトルバス運行による輸送対策のほか、公共交通機関利用者がメリットを享受できる誘導策を検討してまいりたいと考えております。

中川ゆう子の再質問

図書館利用者の来館手段について、車が67.9%と答弁がありました。年間約80万人の利用なので約54万人が自家用車という計算。約1割減らすだけで5万人となります。必ずしも1人1台というわけではないと思いますが、数万台という単位で来館する車を減らせます。車利用が前提となった整備計画では、バスや鉄道利王者は増えませんし、公共交通は発展せず衰退します。駐車場建設の財源は公共交通充実や利用促進策に充てる考えはないか、駐車場計画を含むおもちゃ美術館の整備計画そのものを見直す必要があると考えますが、もう一度お伺いします。

林政部長の再答弁

私共としてはまず、「公共交通機関の利用者への呼びかけ」「シャトルバスの活用」「公共交通機関の利用者のメリットを享受できるような誘導」といった、こういったことについてしっかりまずはやっていきたい、というふうに考えております。

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