中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

9月議会質問(4)定時制高校の給食について

2019年10月17日 5:24 am
カテゴリ: 活動報告

定時制高校の給食について

夜間定時制高校の給食は「夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律」に基づき実施され、当初は、勤労生徒の健康保持の目的が強いものでした。しかし近年、不登校、引きこもり経験者、また通常の学校生活になじみにくい生徒が増加するなど、進学理由が変化してきたことにともない、生徒としっかり向き合い様々な悩みを受け止める機会としての役割も強くなっているようです。
実際にお邪魔した飛騨高山高校では、授業が始まる前に、生徒のみなさんが、それぞれ自由に食堂に入り、調理員さんと話しながら、人によってはパンやハンバーグを半分にしてもらったり、味についておしゃべりがはずんだり、中には食事は食べたけどと言いながら、おかずだけをトレーにもらったり、また、生徒も教員も同じ食堂で、好きな席に座り、友達としゃべったり、ひとりでゆっくりしたりと思い思いの様子で食事をしておられ、想像以上に自由でゆったりとした雰囲気が印象的でした。
多くの生徒が働いているとのこともあり、授業を前に気持ちを切り替える役目になっているだけでなく、生徒の様子がよく分かるし、コミュニケーションをとれる重要な場だという意味もよく分かりました。
調理員さんにお話を伺うと、いつもはほとんどすべて手作りの料理で、生徒のみなさんにもおいしいと評判だとのことです。また、生徒が農業クラブで作っている野菜をメニューに取り入れたり、柔軟な対応ができるのも、自校方式のメリットだとお話してくださいました。
このように岐阜県の夜間定時制高校の給食は、県内9校のうち東濃フロンティア1校をのぞき、すべて学校で調理員さんが作る「自校方式」で提供されています。
夜間定時制高校の生徒数はこの5年で8割に減っている中、給食利用者は逆に増えている学校もあり、加茂高校では5年前の1.5倍、飛騨高山高校は1.7倍と大変人気です。
しかし、教育委員会によると今後この自校方式から、順次、外部委託、いわゆる民間委託方式に切り替えて行くという方針に転換したとの説明を受け大変驚きました。
文科省によると、夜間定時制の給食については、「学校における食育の推進をはかる観点から学級担任や教科担任と栄養教諭が連携し、給食時間はもとより各教科において夜間学校給食を活用した指導を効果的に行えるよう配慮すること」と通知が出されています。
教員との連携や教科への活用には、外部の民間から食事を運ぶより自校方式が効果的と思われます。
そんな中で民間委託方式に切り替える理由は、給食室の老朽化や調理員不足との説明でしたが、気になるのは文科省の通知にあるような自校方式による給食の教育的な役割の検討がなされていないという事です。
外部委託はすでに、来年度から華陽フロンティア高校、大垣商業高校、大垣工業高校で導入が検討されているようです。そこで教育長に2点お聞きします。

外部委託方式に方針転換するに至った経緯と進め方について

教育委員会によると、学校長を集めた意見交換の場で話をし、学校と教育委員会のみで調整しすすめているとのことでした。しかし、学校と合意形成をとるという手順はふまず、なによりも給食利用者(そして未成年の場合は保護者も)など、当事者不在のまま進められている印象がぬぐえません。
実際に私のところに、教育関係者、保護者からの心配の声が寄せられていることを最初に申し上げておきます。
そしてこの検討にあたっては、まずは現在の自校方式による教育的な役割を評価すべきと考えますが、外部委託方式に舵を切るに至った経緯をお聞きします。また方針転換を受けて、これまでどのように進めてきたのか、そして、今後どのように進めていくのかお答えください。

教育長の答弁

学校給食には、自校方式での給食の提供と外部委託がありますが、例えば、県立特別支援学校19校のうち、5校は自校方式、14校は外部委託方式により対応しており、夜間定時制高校における学校給食は、いずれの方式であっても、教育の観点からの問題はないものと捉えているとことです。一方、自校方式の夜間定時制高校では、その継続が望ましいと考えているものの、給食希望者の減少や炊事員の確保が困難となっている状況から、この方式で給食提供を継続していくことができるか、疑問や不安を感じております。
このため、昨年度、こうした高校の保護者や学校長、職員などによる意見交換会を実施し、関係者の理解を得ながら外部委託の方向で調整をしていくこととしました。しかし、今年度に入り、自校方式の高校の意向を確認したところ、すべての学校がこの方式の継続を希望しましたが、華陽フロンティア高校については、炊事員の確保の見通しが立たず、来年度からは学校の厨房を使い、調理のみを委託する予定としております。
今後も、各学校の意向や実情を十分に踏まえて対応してまいります。

中川ゆう子の再質問

定時制高校の給食についてですが、1点目で至った経緯と進め方について、再度伺います。華陽フロンティアについては、調理員不足もあって存続ができないということだったんですけれど、調理員の募集は、学校に任せていらっしゃるということです。忙しい学校に募集を任せるから学校が困ってしまう。本気で存続させる気があるなら、教育委員会で募集するなど、やり方があると思います。実際に華陽フロンティアがある地元の岐阜市では、小学校で自校方式を実施し、正規・嘱託を併せて、今現在200名以上調理員を雇用しているのです。こうした県教育委員会としての取り組みが不足していたのではないか。
もう一つは教育的問題はないということですが、先ほど質問で紹介した学校別の給食利用者数によりますと、2つの学校が5年前より1.7倍、1.5倍と増えていると紹介したのですが、一方で減っているのが、外部委託した東濃フロンティア。ここは、5年前に比べ、7割も利用者が減っています。これは、数字上だけで詳細な理由はわかりませんが、この数字だけ見ても、生徒の要求というのは自校方式に大きいのではないか。教育的な要素が十分にあると考えられます。再度お考えを伺います。

教育長の再答弁

炊事員の確保についてでございますが、炊事員の勤務体制については、給食の運営状況に応じて、学校ごとに、勤務の時間帯や配置人数が異なります。こうした求人募集を、県教育委員会で統一的に行うことは非常に困難であり、また、夜間の勤務ということで、学校近隣の方々から人材確保の面を考慮し、各学校から、その地区を管轄するハローワークを通じて求人募集をしているところでございます。
民間委託の件でございます。当のフロンティア高校につきましては、調理を民間に委託をさせていただいて、現場の学校で提供する、現場の学校の調理場を使って調理をしていただいております。その校長先生にお聞きしたところ、業務委託している民間業者の方には、非常にしっかりやっていただいており、味も見た目も自校方式と変わらない、非常に質が高いというお話でございましたし、私自身、この東濃フロンティア高校の生徒さんと意見交換をしたことがございました。給食は非常においしいと高い評価をしておみえになりましたので、今、生徒の人数が減っているということはあるようですが、給食自体非常においしくて生徒さん方も非常に楽しみにしているということでございました。民間委託だからと言って、教育的効果がないということは、私はないと思っております。

中川ゆう子の再々質問

進め方について伺います。質問の時にも申し上げたんですが、少なくとも当事者や教員不在で進めるというやり方について、私は非常に疑問を持っております。今回の件について、生徒の皆さん、そして教員の方、知らない中で進められてきたということで、いろいろな不安の声も寄せられています。そもそも当事者である生徒が、実際に利用している生徒が自らのこととして考える機会を与えないというのはどうなのか。もう一度白紙に戻し、進め方を改めるべきだと思いますが、お考えを伺います。

教育長の再々答弁

調理の外部委託につきましては、昨年2回、いろいろな方を交えましてPTAの関係者等、学校の校長先生等々交えた中で、意見交換を行って進めてきたものでございます。我々としては、やはり、この定時制高校の給食を継続的に提供していくことが一番大切ではないかと。今、現在炊事員の方を募集しましても、募集は全くありません。そういう中で、やはり給食を継続していくためには、どういう方向で取り組んでいったらいいかということで、民間委託ということも大変重要な選択肢ではないかという風にとらえているところでございます。従いまして、我々としても、学校の意向・意見、いろいろな方のご意見をお聞きしますけれど、基本的に学校と意見交換しながら、将来見通しなどなど持ちながら、民間委託という方向性については、今後も取り組んでいく必要があるという風に思っております。

調理室の改修に対する考え方について

中川ゆう子の質問

教育委員会によると「外部委託は学校の理解を得ながらすすめる」ということです。しかし現状、理解を得られなかった学校の給食については、今後どのような対応とするのか何も決まっていないとの説明でした。明確に自校方式を要望している学校については、引き続き自校方式とし、衛生上安全な給食を存続させるため、給食室の改修をおこなうべきと考えます。給食室の改修についてどのようにお考えでしょうか。

教育長の答弁

各学校において、保護者や職員など関係者の意見、炊事員等の配置の見直し、施設設備の状況といった学校の実情を十分踏まえたうえで、自校方式での給食の提供を希望する場合は、できる限りその意向を尊重して対応してまいりたいと考えております。
その場合は、生徒の食の安全を確保することが重要であることから、改めて、施設などの実情を調査したうえで、衛生基準を順守し、安心・安全な学校給食を提供するために、必要な改修に努めてまいります。

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