2017年10月12日 11:39 am
カテゴリ: 毎日の活動
県住宅供給公社が管理する賃貸住宅の退去時における退去者の原状回復費用の負担について
住宅供給公社が管理する県内の賃貸住宅において、入居者から、退去の際、部屋の原状回復費用の算定内容に納得がいかないと相談を受けました。公社から提示された「退去住宅の検査調書」を見てみると、
通常、あまり請求させることのないタタミやタタミ表の新調費用、ふすま、網戸の張り替え費用まで退去者負担になっています。
その他、床板や水回りなど、合わせて45万円以上の金額が提示されておりました。
通常、あまり請求させることのないタタミやタタミ表の新調費用、ふすま、網戸の張り替え費用まで退去者負担になっています。
その他、床板や水回りなど、合わせて45万円以上の金額が提示されておりました。
こうした賃貸住宅の退去の際の、原状回復費用について、国土交通省はガイドラインで次のように述べています。
「賃借人(ちんしゃくにん)に原状回復義務が発生し、賃借人が負担する費用の検討が必要となるが、この場合に修繕費の費用の全額を賃借人が当然に負担することにはならないと考えられる。なぜなら(略)経年変化、通常損耗の分は、賃借人は賃料として払ってきている」からだ、とのことです。
「賃借人(ちんしゃくにん)に原状回復義務が発生し、賃借人が負担する費用の検討が必要となるが、この場合に修繕費の費用の全額を賃借人が当然に負担することにはならないと考えられる。なぜなら(略)経年変化、通常損耗の分は、賃借人は賃料として払ってきている」からだ、とのことです。
この方がお住まいになった期間は40年以上。ざっと計算すると、これまで家賃として公社に1000万円以上支払ってこられました。
先ほどの畳や網戸の新調は、本来は、今まで払われた家賃の中で対応すべきです。
全く支払わないというつもりではないが退去の際に45万円以上負担するというのは納得がいかないという退去者の思いは、確かに納得のいくものでした。
先ほどの畳や網戸の新調は、本来は、今まで払われた家賃の中で対応すべきです。
全く支払わないというつもりではないが退去の際に45万円以上負担するというのは納得がいかないという退去者の思いは、確かに納得のいくものでした。
なお、この40年間で、公社によるタタミの取り換えは1度もされていないということでした。40年以上住めばどれだけ丁寧に住んでも畳や網戸など経年劣化や通常の損耗は避けられず、退去の際にこれらを新品にする費用を請求するのは、国のガイドラインから見ても、適切ではないと考えられます。
そこで都市建築部長にお聞きします。
県住宅供給公社の原状回復費用の請求に係る対応への県の見解について
中川ゆう子の質問
県住宅供給公社の原状回復費用の請求に係る対応への県の見解について伺います。
公社によると、退去時の費用負担については、国土交通省のガイドラインに基づいて対応しているとの事でしたが、実際の退去者への請求金額は、経年変化などが考慮されておらず、本来公社が負担すべき金額まで、退去者に請求がなされていると判断できます。
このような取り扱いは、ガイドラインの定めと異なっており、公社の説明と実態が一致していません。
県は、住宅供給公社の監督官庁でありますが、公社のこのような対応に対して県としてどうお考えでしょうか。見解をお聞きします。
都市建築部長の答弁
県住宅公社が管理する賃貸住宅の原状回復費用について、2点お尋ねがございました。
まず、公社の原状回復費用の請求に係る対応への県の見解についてお答えいたします。
まず、公社の原状回復費用の請求に係る対応への県の見解についてお答えいたします。
県住宅供給公社においては、公社賃貸住宅から退去される場合、国土交通省のガイドラインに基づき、退去者立会いのもと、経年劣化についても考慮したうえで、原状回復すべき部分を特定し、退去者の同意をえて手続きを行っていると認識しております。
例に挙げられました案件では、原状回復すべき部分については双方で認識を共有したものの、その負担割合については合意に至っていないものと理解しております。
退去時の原状回復費用については、ガイドラインに「退去者の故意・過失により使用不能としてしまった場合には、賃貸住宅の設備として本来機能していた状態まで戻すための費用などについては、退去者の負担となることがある」とされていることから、使用できない状態となったものについては、原状回復費用の全額を退去者にご負担いただくこともあり得ると考えます。
中川ゆう子の再質問
都市建築部長より、住宅供給公社の原状回復の費用の算定について伺いましたが、1点目について、もう一度伺いたいと思います。
入居者に何らかの支払い義務が出ることはあると思います。その場合は請求をするとの答弁でしたが、例えば長年、40年住んで、その後設備を新品にといいうのはおかしいというのが国のガイドラインです。入居年数によって、設備の残存価格というのはどんどん下がっていきます。
だいたい設備というのは、5年から15年で残存価格が下がっていって、最後は入居者の費用負担というのは1円になるというのがガイドラインの基本的な考え方ですが、この認識はあるのかどうか、もう一度お答えをいただきたいと思います。
都市建築部長の再答弁
原状回復費用における経年劣化の取り扱いについての、再度のお訪ねだと思います。
先ほども申し上げましたが、退去者の故意・過失により使用不能となってしまった場合の物を、使用可能な状態、本来機能していた状態まで戻すための費用については、退去者にご負担をいただくという考えで、ガイドラインに則った算定をしております。以上でございます。
先ほども申し上げましたが、退去者の故意・過失により使用不能となってしまった場合の物を、使用可能な状態、本来機能していた状態まで戻すための費用については、退去者にご負担をいただくという考えで、ガイドラインに則った算定をしております。以上でございます。
退去者への現状回復費用の請求状況に関する調査の実施について
先ほど例に挙げた公社賃貸住宅における平成24年度から平成28年までの退去者の負担額を見てみると、平成26年度までは10万円以上負担した方は36件中1件ですが27年度は18件中8件、28年度は10件中9件。と、平成27年度を境に急増しており、その中には10万円を超え、20万、30万という高額な金額を退去者が負担している事例がかなり見受けられます。
こうした退去者が負担する原状回復費は、入居時に支払った敷金の範囲内であればそこの中で清算し、足りなければ現金で支払うことになります。
そのため平成26年度まではほとんど、退去者が負担する原状回復費用は敷金の範囲内で清算され、退去の際にあらたに現金で支払った例は3年間で1件のみです。
しかし、27年度以降、退去者が負担する費用が敷金の範囲内で収まらず、現金で追加で支払っている件数が急増しています。27年度が、18件中8件。28年度が10件中8件です。
平成26年度以前と平成27年度以降で、国のガイドラインは変わっておらず、原状回復に関する公社の対応や考え方も変わっていないという説明でしたので、一体何が原因なのが疑問を感じています。
住居は生きていく為に必要不可欠であり、こうした話が住民間に大きな不安を与えていることも申し添え、お聞きします。
住居は生きていく為に必要不可欠であり、こうした話が住民間に大きな不安を与えていることも申し添え、お聞きします。
中川ゆう子の質問
公社賃貸住宅や県営住宅を含め、公社が管理する全ての賃貸住宅について、公社から賃借人への現儒回復費用が適正に積算され、請求されているのか、その状況についいて、県として調査を実施すべきと考えますがいかがでしょうか。都市建築部長の答弁
原状回復費用の請求状況に関する調査の実施についてお答えいたします。
ご指摘にありました県住宅供給公社の賃貸住宅における近年の状況について確認したところ、平成26年度以前は、退去者負担が小さい傾向が窺えました。
これは、住まい方により損傷の度合いに差が出ることに加え、ガイドラインの運用において解釈に幅が生じたことによるものと思われます。
このため、県としましては、原状回復費用の算定方法について、引き続き調査を進めるとともに、あらためて負担割合の考え方について整理するよう、公社を指導してまいります。
一方、県や市が設置し、公社に管理委託している公営住宅は、公営住宅法において公共団体が負担すべき修繕の範囲が定められており、退去者負担について適正な算定が行われていると考えておりますが、今後、確認・調査を行ってまいります。