中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

12月議会質問(1)厚生労働省が発表した再編統合が必要な病院リストに対する対応と地域医療を守る取り組みについて

2019年12月18日 5:24 am
カテゴリ: 活動報告

厚生労働省が発表した再編統合が必要な病院リストに対する対応と地域医療を守る取り組みについて

厚生労働省が発表した再編・統合の議論が必要だという公立・公的医療機関424病院。そのうちおよそ3/4は中小規模の病院であり、7割が人口50万人未満の地方の病院。特に過疎化が進んでいる地域、比較的小規模な病院のほとんどが対象にあげられています。中山間や農村部などのへき地における不採算医療を担ってきた公的・公立病院の役割を正当に評価せず、医療と社会保障費の抑制を目的にした、地方を狙い撃ちするやり方だと言わざるをえません。

岐阜県内では9つの病院がリストアップされておりますが、かけがえのない役割を果たしておられる病院です。県においては、こうした国の動向に関わらず、県民が真に必要とする医療を不足なく守っていく役割を果たしていただくよう要望します。

厚労省が再編・統合の議論を要請している県内の病院について、現在まだ一部ではありますがその果たしている役割を含め調べてみました。

山県市の岐北厚生病院は、山県市だけでなく岐阜市北部、関市からの患者を多く受け入れ、地理的要因から、急性期から回復期・慢性期までを担う中核的役割を担っています。また緩和ケアにも力を入れておられるとともに、在宅医療についても24時間対応で訪問看護師を当て、地域の開業医を支える役割も果たしています。

病棟の建て替えにあたり、稼働していなかった病床を返上し、県の地域医療調整会議で説明も行い、理解を得ながら進めており、いよいよ来年新しい病棟がオープンすると地元住民も心待ちにしている矢先の発表でした。車で20分以内に類似の医療機関があるといっても、バスを乗り継げば片道2時間はかかり、なくてはならない存在です。JA厚生連の病院はもともと中山間の農村部の医療を守る役割で作られた病院であり人口も少なく交通の不便な地域である場合が多い。こうした病院設立の原点をも無視されています。

一方、街中にあり、近くに県立多治見病院がある多治見市民病院も名前が上がった病院です。市長と病院長が公開質問状を提出されました。お話を伺うと、県立病院とは高度急性期・急性期で役割分担がされており、スムーズな連携が取れているとのことで、県立病院にとっても重要な存在であると思います。さらに様々な努力で黒字に転じており、厚労省の唐突な発表は「目的が理解できない」し「病院の信頼を損なう」を批判されておられました。

飛騨市神岡の飛騨市民病院は、この地域で唯一の総合病院であり、そもそも県の地域医療構想で2025に向けて現在の病床数を維持するとされ、再編・統合の議論は一切ありません。一番近くの病院は高山市の久美愛病院であり、車で45分もかかり、雪深い冬などはさらに時間を要する事になると思われます。様々なご努力で医師や看護師確保の取り組みを行っておられますが、それでも「現場は看護師が一人欠けても病棟が成り立たないほど状況が続いている」上に、今回の厚労省の公表を受けて、看護師の中にも「病院がなくなるならと転職を口にする方もおられるほどでした。

厚労省が示す議論が間違っているだけでなく、医師や看護師確保での各病院や自治体の努力に対し、足を引っ張っている状況です。どの方々からも、不採算部門や過疎地域の医療を担う自治体病院の必要性を県からも訴えて惜しいとのことでした。

県としては、何よりも患者や住民が引き続き医療を受けられる体制をどう作るかが重要であり、厚労省が一方的に統合再編ありきで具体的な病院名をあげるべきではありません。

 県としての見解と国に対するリスト撤回及び民間病院のリスト公表に対する中止の要求について

中川ゆう子の質問

厚労省はこのリストをもとに、来年9月までに答えをだすように迫っていますが、そのバックデータは未だに公表されていません。県としては分析ができず、反論もできないということである。

この件についての知事の考えをお聞きするとともに、こうした現状を踏まえれば、まずは9月末に公表された病院名のリストの撤回を国に対して求めるべきと思いますがいかがか。

厚生労働省が開く説明会では、民間病院の病院名を公表すべきとの意見が出て、厚生労働省は民間病院についてもリスト公表に向けて準備を進めているという。

公立病院・公的病院同様に、民間病院について「再編統合について特に議論が必要」としてリストを公表したら、さらに地域住民や病院関係者の混乱を招くだけである。リスト公表をしないように国に対して求めていくべきではないでしょうか。

知事の答弁

先般の国による病院名の公表につきましては、おとといの答弁と重なるところがございますが、第一に、各地で自主的な議論が進められている中で、特定の病院を名指しすることはあまりにも一方的かつ唐突であること、第二に、地域の実情を考慮せず、全国一律の基準で機械的に病院を選定すること自体に問題があること、第三に、リストについて再検証を求めながら、その根拠となる情報を示していないことという三点から、適切ではなかったという風に考えております。

全国知事会としては、市長会、町村会とともに、国に対して、「地域の住民の不信を招いている」と申し上げて、地方の意見を十分に踏まえて協議を進めるよう、申し入れたところでございます。

また、「地域医療確保に関する国と地方の協議の場」というのがございますが、その場におきましても、知事会側からは、病院名の公表に関し、「本当だったら、もうリストを返上していただきたい」とまで申し上げ、早急に議論を正常化するためにも国の信頼回復に向けた努力と真摯な対応を求めております。また、ご指摘もありましたように、全国各地からも、また、県内、多治見市、飛騨市等々からも厳しい声が出ておるわけであります。

こうした様々な批判を受け、厚生労働省は、今回の公表は、必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるものではなく、病院が将来担うべき役割や、それに必要なダウンサイジング・機能分化等の方向性を機械的気に決めるものでもない、という風にコメントしております。また、加藤厚生労働大臣も、「唐突感があった、もっと事前に説明してほしかったといった声は真摯に受け止める」と述べられたと承知しております。

また、民間病院リストに関する国の具体的動きについては、必ずしも承知しておりませんが、今回のやり方への反省は、国において当然あってしかるべきものと思っております。

県としては、地域医療構想の実現に向け、引き続き、圏域ごとの地域医療構想等調整会議において、地域の実情を踏まえつつ、粛々と検討を行ってまいります。

そして、国に対しては、全国知事会意見でも申し上げておりますけれども、「実りある改革の基礎となる国と地方の信頼関係を再構築し、一体となって持続可能な地域医療提供体制を構築するため」、思い切った国費による財政支援を含めて「真摯な対応」を求めてまいります。

中川ゆう子の再質問

これまで県は地域医療構想に関し、少なくとも不足している病床機能を増やすものだと説明してきた。厚労省が削減ありきのリストを参考にすることは矛盾している。不正確な情報で名前が公表されれば、それは栄誉にかかわる問題。医師・看護師確保と乗り組みの足を引っ張っているし、実際にそういう話が出ている。採用に支障が生まれるという報道もあり、人口100万人の病院はリストの対象外でありながら、さらに医師の偏在を招くことになるため、リストを撤回するしかない。

そもそも、地域医療構想は県の責任で行うもの。バックデータもなく、正確さに欠いた内容であるがために混乱を招くのでは。置き去り亥されている患者や住民のことを第一に考えるべき。国に対するリストの撤回が念頭にあるのかどうか、お考えをお聞かせいただきたい。

知事の再答弁

先般のリストの公表が、地域において不信と混乱をもたらしたものであるということで、早急に議論を正常化するためにも、政府の真摯な対応が求められるということは、知事会としても、町村会あるいは市長会とともに申し入れておるわけでありますし、これに対して、真摯に受け止めるということがございましたので、私どもとしては、それを踏まえて、粛々と地域医療構想について、まさに地域の実情を踏まえながら、検討を進めていくというスタンスで臨むということでございます。

中川ゆう子の再々質問

知事は撤回についておっしゃらないが、リストの進め方にも問題があります。リストが公表されただけでない、公表資料には今後の進め方も盛り込まれています。地域医療構想についてのワーキンググループの資料は「再編統合やダウンサイジングの方向性についての結果よりも首長の意向が優先される恐れがあるので、首長が合意内容に沿わない取り組みが行われないようにするための対策も検討する必要がある」とある。最終的には病院の判断というが、その病院の設置者である首長の判断さえも指定する対策も講じられ、今回多くの首長が反対の声を上げたが、その声すら否定する考えです。これがこのリスト発表の目的で、今後の方向性です。国に対するリストの撤回を求めるべき。せめて検討方針に対しては、やるべきではないと毅然とした態度で臨んでほしい。

知事の再々答弁

先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、知事会のほうからは、返上という言葉を含めて申し上げているわけでありまして、それに対する厚労省の受け止め方も、先ほどご紹介したとおりであります。

したがって、当然、今回のやり方への反省は、政府の側にあるであろうという風に思っておりますし、私どもとしては、粛々と岐阜県の地域医療構想を具体化していくという作業を進めていきたいということでございます。

リスト公開を受けた今後の対応と県としての支援について

ストの公表を受けた今後の対応と県としての支援について、健康福祉部次長にお聞きします。

飛騨市では新聞でこう報道されて以降、市民から不安の声や問い合わせが相次いだため、正確な情報を記して、病院はなくなることも縮小することもないという文書を新聞折り込みされたそうです。それによって、住民からの心配の声はぴたっとなくなったということでした。

多治見市民病院でも、患者の待合ロビーにて市の見解をしっかりお知らせしているということで、各病院や自治体がそれぞれ不正確な情報に対し情報発信をされています。

この地域医療構想に基づく病床のあり方については、県が責任を持つものであり、県が正確な情報が何なのか、どこがどうなるのかしっかり住民に知らせることが重要だと思います。

さらに、この地域医療構想は住民の皆さんが引き続き不足なく医療を受け続けられることを第一に考えることが重要であり、当然、都市部と異なり、地理的要因や通院の足の問題なども関係する問題です。病床数の数合わせであってはならない。

そこで、健康福祉部次長にお聞きします。

過去の答弁で、「足りない機能をふやすものであり、病床を削減するものではない」とありました。引き続き削減・統合ありきのものであってはならないと考えますが、今後、地域医療構想をどのように進めていくのか。また、自治体や病院関係者からは僻地医療などに対する支援を求める声が多く出されていますが、県としての支援の重要性をどのように認識されているのかお聞きいたします。

健康福祉部長次長(医療担当)

県においては、これまでも地域医療構想の実現に向け、各医療機関の自主性を尊重して、地域関係者が納得できるように、各圏域の地域医療構想等調整会議において、議論を進めており、今後も引き続き粛々と議論を進めてまいります。

厚労省も、今回の公表は、必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるものではなく、再編統合にはダウンサイジングや医療連携・文化も含まれるとコメントしており、地域住民や医療関係者の不安の払しょくに努めてまいります。

また、構想の実現のための財政基盤も含めて持続可能な地域医療提供体制を構築することが必要であります。特に僻地においては、中山間・へき地にある医療機関へ大真意を派遣した際の経費補助や、市町村区域を超えて連携するへき地医療機関への運営費補助、市町村が行う医師確保の取り組みに対する支援などを実施しているところであり、今後も引き続き、中山間地・へき地にある医療機関が必要な医療を提供できるよう支援してまいります。

中川ゆう子の再質問

地域医療構想は全国一律の一定の基準を用いたものであり、病床数はあくまで参考地。病床を削減するものではなく、不足している病床を増加させることを目的とするという見解を県は示しているが、この見解に変更はないか、お考えをお聞かせいただきたい。

健康福祉部次長(医療担当)の再答弁

県議にもご指摘いただきましたけれども、地域医療構想の実現に向けましては、地域の実情、特に地理的条件、地域における病院の役割、こういった地域の実情などを十分に踏まえたうえで、関係者と議論していくと、こういった方針に、今後も引き続き、変りはございません。

中川ゆう子の再々質問

今回のリストに限らず、今後の地域医療構想の進め方は、病床を削減するのではなく、不足している病床を増加させるという見解を踏襲することに変更はないか、お考えをお聞かせいただきたい。

健康福祉部次長(医療担当)の再々答弁

地域医療構想につきましては、2025年度のあるべき医療体制を、二次医療圏ごとに策定をして、必要病床数を推計し、2025年のあるべき姿に向けた圏域ごとの医療提供体制の見直しの方向性を示しているものでございます。この中で、4つの医療機能の中で、特にこの急性期病床から回復期病床への転換の促進などを進めていくこととしておりまして、ご指摘いただいたように、機能ごとの文化というものを進めていくということでございます。

基本的な方針については策提示、それから、これからについても変更はございません。

 

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