中川ゆう子
県庁内のパワハラ対策の責任者である総務部長が組合との団体交渉の場でパワハラ行為を行い処分される事案が起こりました。大変残念な事であり、期待を裏切られた思いです。
パワーハラスメント(以下パワハラ)は、受けた人にとっては命に関わる事案にもなりかねない重大な問題です。県民の痛みを受け止められる岐阜県であるためにも、職員を守るためにも、県庁内でのパワハラの一掃は必要不可欠です。
職員組合との団体交渉の場で行われたという点を考えると、県庁内部では日常的に起きているのではないかと心配になります。また、パワハラ防止に取り組む責任者にもかかわらずパワハラに対する意識が欠如している行動であり、こうした状況下でこれまで職員がしっかり相談できる体制だったとも思えません。全庁的な調査が必要ではないでしょうか。
(1)知事の任命責任および全庁的なパワーハラスメント事案の検証について
総務部長はパワーハラスメントの責任者です。知事の任命責任はないのでしょうか。本気になって根絶のための方案を考えていただきたいと思います。
知事の任命責任および全庁的なパワーハラスメント事案の検証について伺います。
(2)これまでの取り組みの課題と組織体制の見直しについて
対応にあたった人事課の聞き取り調査では、これまで当該部長からパワハラを受けたことも聞いたこともないと全員が回答したとのことです。しかし、上司である総務部長のことについて同じ部内の人事課が他課長に聞き取りをする形であり、対応する組織体制に課題があると考えます。
また、これまでパワハラ研修は階層ごとの初任者研修で受ける仕組みになっており、昇任時に受けるそうですが、本来は定期的に研修を実施し、意識付けを行うべきです。
厚労省の委託事業であるR2年度職場のハラスメントに関する実態調査では、ハラスメントの行為者は上司が最も多く、続いて会社の幹部、ハラスメントを受けても相談など何もしなかった理由としては、「何をしても解決にならないと思った」「職務上不利益が生じると思ったから」となっています。相談窓口を設置するだけでなく、相談しても大丈夫だと思える環境が重要ということです。
ハラスメント経験者と未経験者とで職場の特徴の回答を比較すると「上司と部下のコミュニケーションがない、少ない」と回答した割合が、ハラスメントを経験した人に多いとの特徴もあったようです。コミュニケーションがポイントだと思います。こうした調査結果も活用し、今後の対策に生かしていただきたいと思います。
そこでお聞きします。
これまでの取り組みについて課題はないのでしょうか。今後の取り組みについて利害関係がない相談窓口を作るなど組織体制を見直してはどうかと思いますが、お考えをおきかせください。
答弁 知事
今回の事案は、これもまたあってはならない行為でありまして、ハラスメント防止を統括する立場にある総務部長が、自らパワーハラスメントを行ったことは、私自身、任命権者として大変重大な間題であると受け止めております。
このため、速やかに事実関係を調査し、必要な処分と人事異動を行ったところであります。そして、今回のような事案を再び発生させることがないよう、ハラスメントの根絶に向け、組織をあげて早急に対策を強化・徹底することが、私の責務であると認識しております。
このため、全庁的な体制として、新たに「ハラスメント防止対策本部」を速やかに設置し、私自身が先頭に立って、対策の徹底を図ってまいります。併せて、各部においても、部長をトップとした「対策部会」を設置し、部内の個別事例の共有や具体的な対応のあり方について意見交換を行います。加えて、新たにハラスメント防止対策を一元的に担う専門部署を設置してまいります。
御質間のパワーハラスメントを含めたハラスメントに関する全庁的な検証につきましては、今申し上けました体制を速やかに構築した上で進めてまいりたいと考えてお ります。
また、これまでの取組みには、幾つかの課題があったことも事実でございます。
ます職員の相談窓口は、現在人事課や各部主管課などに設けておりますけれども、県機関の窓口では相談しにくい職員も想定されます。相談しやすい環境を一層整備する必要があると考えております。
また、ハラスメントに関する職員研修では、現在は昇任時などに行う階層別研修で 実施しておりますが、数年おきの受講となることから、研修の更なる充実が必要であると考えております。
こうした課題を踏まえて、第一に、組織体制を強化いたします。
先ほど申し上げました全庁的な体制の構築に加えて、利害関係のない外部の専門家による相談窓口を新たに設置することで、職員がより相談しやすい環境を考え、事の早期把握・早期対処につなげてまいりたいと思います。
第二に、ハラスメントに関する認識を徹底するため、研修体系を見直してまいります。
まず、全ての部次長級職員を対象に、毎年、パワーハラスメント研修を実施いたします。また、全職員を対象に、動画を活用した研修を同じく毎年実施するほか、毎月、設問方式による自己点検も行ってまいります。さらに、階層別研修につきましても、研修時間を拡大し、ケーススタディを導入するなど内容を充実してまいります。
(2)これまでの取り組みの課題と組織体制の見直しについて
再質問 中川ゆう子
2点うかがいます。
1点目。答弁を聞いておりまして思ったのは、パワハラというのはそもそも人権侵害にあたりますし、知事や幹部は”自らは絶対しないしこの組織に中で絶対に(ハラスメントを)許さない」という姿勢を表していただきたい(ということです)。それが答弁にあった「対策本部」であったり「対策部会」だというふうに思います。それぞれ対策を出されましたけれども、そのポイントは、職員の皆さんが”自分の安全が守られて安心して相談できる”と、心から思えるかどうかが、ポイントになってくると思います。相談窓口をつくる、研修を毎年行う、それもいいですが、それを生かした職場にできるのかどうか、そこにかかっております。特に国の実態調査で明らかなように”上司と部下のコミュニケーションのあり方で大きな違いが出てる”、上司の立ち振る舞い、職員の関わり方というのが大切であり、その手本を見せていくのがトップである知事だと私は感じます。そうした姿勢をこれから見せていくのか?組織全体を変えていくのか?うかがいます。
2点目。
パワハラ、ハラスメントを一元的に扱う専門部署をつくるということですが、これはこれから非常に重要になってくると思います。
たとえば、ハラスメントの相談を受けたときに「昔はもっと大変だったよ」とか「こんなこと当たり前にあった」とか「それはあなたが期待されているからだよ」ということを、どうしても同じ組織の人間だと言ってしまいがちですが、これは専門家から見ると「やってはいけない対応例」「不適切な対応例」だといわれております。そういう意味では、専門部署をつくるということは重要ですが、そこの職員、対応に当たる方というのは一定の専門的なトレーニングが必要です。これは職員に対して行われる毎年の研修とは少し視点が違うものになります。その専門部署、その職員の育成についてどう考えているか大変重要なポイントになってきます。
再答弁 知事
たしかに、本部を作ったり、いろんなシステムを作ったり、専門の部署を作ったからそれでいいということではありませんで、よく言われるように「仏作って魂人れず」ということにならないように、そこはむしろ、私自身が先頭に立ってやっていくという、そういう思いでおります。
それから、専門部署の人間のトレーニングもそうでありますけれども、何らかの形で、このパワハラについてもやはりそういったことに詳しい方々もおられるわけですから、有識者、専門家の方々のいろんな意見を聞き、助言を受けるというような仕組みも、この体制の中に取り込んでいくということも考えてみたいと思っております。