2019年12月18日 5:33 am
カテゴリ: 活動報告
国民健康保険について
先ほどの厚労省のリストに公表された医療機関を訪問した際に、ここ最近、医療を受けるべき患者の負担が大きく、必要な医療を受けられにくくなっている現実と、診察の遅れによる重症化を医療機関にいるとひしひしと感じるようになったと語られました。医療費の負担と合わせ、保険料の高さも深刻です。地域医療構想を考えるうえで、こういった問題を抜きにしてはならない、医療現場の方の実感だと思います。岐阜県の国保の滞納世帯数は、国保加入世帯全体の12.7%です。2017年のデータですが、滞納による短期保険証の発行は全国で82.4万世帯、資格書いわゆる保険証が発行されていないのは18万世帯を超えています。全国的には、滞納世帯の6割が年間所得200万円未満であり、保険料の高さが滞納の要因になっているのは明白です。
何よりも問題なのは、協会けんぽなどと比較し、保険料が異常に高く、同じ収入であったとしても場合によっては2倍もの差が生じているということです。低所得者が多い保険なのに他の健康保険より高い負担という構造的な問題が「保険料は精いっぱい払っているがその分、病院にかかる経済的余裕がない」という事態をまねいております。
せめて協会けんぽ並みに、同じサービスなら公平な負担割合であるべきであり、公費の拡大により、制度全般を見直し持続可能な社会保障制度にすることを改めて求めます。
この国民健康保険は、昨年から県単位化され、事業主体が県になりました。県が各市町村の納付金を決め、保険料の賦課徴収を市町村が行うという仕組みです。県単位化1年目は、前年に比べ国民健康保険料の料率を引き上げたのは県内4市町村でしたが、今年は県内15市町村。本算定時における一人当たりの調定額は、昨年と比較し増加した市町村は24に上りました。
支払い能力を超えた高い保険料(税)の引き下げとほかの健康保険との保険料格差解消に向けた対応について
中川ゆう子の質問
このようにそもそも保険料が高く、他の健康保険の保険料と比較して格差がある課題について来年度どのように対応していくのか。健康福祉部長の答弁
県としては、まずは、医療費の適正化の対応として、特定健診受診率の向上や糖尿病性腎症の重症化予防などに引き続き取り組み、国保加入者を含め、県民の健康づくりを促進してまいります。また、国保に対する公費支援として、低所得者への保険料軽減措置等を目的とした市町村への財政支援も行ってまいります。
しかしながら、国保については、加入者が比較的高齢であり、平均所得に比して医療費、そして、保険料が高くなる傾向となります。これは構造的な問題であり、国の制度設計が課題であります。
そのため、持続可能な社会保障制度の確立に責任を持つ国に対し、国保財政の基盤強化のための更なる財政支援の拡充などを引き続き要望してまいります。
法定外繰り入れを阻害する保険者努力支援制度に対する改善要望とマイナス点導入への対応について
保険者努力制度は、各自治体の取り組みを点数付けし、それに応じて国が交付金を交付する仕組みです。特定健診受診率向上など、加入者の健康を守る重要なものもありますが、来年度実施分から、各自治体が保険料抑制のため行っている法定外繰り入れをなくす観点で、指標が新設され、マイナス点が導入されることが明らかになりました。もともと、この制度には「滞納率の解消」の指標があるため、今回のマイナス点導入によって、保険料を滞納させないし、保険料を引き下げるための法定外繰り入れも拒むという狙いがあると考えられます。
県内で対象になる市町村は、岐阜市、山県市、白川町の2市1町。いずれも赤字削減・削減計画を策定したのでまずは加点されるようですが、問題は今後です。
岐阜市では、削減するために「保険料の引き上げ」をおこなうこと、白川町では県への納付金が想定以上に急増し、保険税の賦課徴収額が不足したことが原因の法定外繰り入れだったとのことで、今後は税率改定を実施すると記されています。どちらも住民負担を上げざるをえない状況におかれていることが計画から読み取れます。
今後は、これらの自治体では、計画通りに法定外繰り入れをやめないと、減点の対象になるため、結果としてこの新たな減点方式が、保険料引き上げにつながります。
これまで、国においても県議会においても、法定外繰り入れをするかどうかは最終的には自治体の判断にゆだねると答弁していましたが、実質、繰り入れを阻害する仕組みになっています。
中川ゆう子の質問
こうした自治体の判断を縛るやりかたに対し、県として国へ意見すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、さらなる保険料の引き上げに繋がらないよう、ペナルティー分を県が補填し市町村の自主性を守るべきと考えますが、見解をお聞かせください
健康福祉部長の答弁
まず、国は、保険者努力支援制度に導入された原点は、ペナルティーではなく、制度改正に伴って拡充された3400億円の公費配分のメリハリを強化するもの、としています。また、法定外繰り入れの実施そのものは減点対象ではなく、今後の削減計画が未策定の場合などに限り減点されるものです。法定外繰り入れの実施自体は市町村のご判断によるものですが、現行の制度は、市町村が将来的な給付と負担の均衡に努めていただくことを緩やかに後押しする制度であると考えております。このため、仮に減点により交付金が減額となった場合でも、その補填を県として行うことは考えておりません。
繰り返しになりますが、県としては、国保制度に対する財政支援の更なる拡充を国に要望してまいります。
中川ゆう子の再質問
実際来年度、すでに限定方式が投入されます。国から保険料引き下げのための財源投入はない。法定外繰り入れの補填は、平成30年度1月国保県単位化直前、加入者の負担に十分配慮し、法定外繰り入れをしてでも保険料を上げないよう国が明言、県もそれに従って市町村に伝えている。国の主張通りに法定外繰り入れがなくなれば、全国平均で年1万円保険料が上がり、今後高齢化が進むたびに保険料が上がり続ける。これでいいと考えるのでしょうか?なぜ法定外繰り入れをしているのかというと、保険料が高すぎるから。社会保障としての在り方が問われるほど生活を圧迫しています。この問題を解消せずに法定外繰り入れはだめだといっても筋は通りません。
県は国からの減額措置に対し長年補填してきた。収入と負担能力に見合った保険料に引き下げることがまず重要でないか。自治体が独自に保険料を引き下げる取り組みを阻害するのが重要ではない。法定外繰り入れを阻害する減点をなくすよう国に要望すべきではないか。
健康福祉部長の再答弁
繰り返しになりますけれども、現行の保険者努力支援制度は、法定外繰り入れの実施そのものについては減点対象とされておりませんで、今後の削減計画が未策定の場合などに限って減点対象とされております。このように現行の保険者努力支援制度は、法定外繰り入れは市町村のご判断、という考えに立ちながら、その削減を緩やかに後押しするもので、現時点で国への制度廃止の要望などについては考えておりません。