中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

6月議会質問(3)県ひきこもり地域支援センターの今後の活動について

2018年7月6日 6:57 am
カテゴリ: 活動報告

県ひきこもり地域支援センターの今後の活動について

ひきこもりとは、6か月以上家庭にとどまり続けている状態であり、他者と交わらない形での外出、例えば誰ともコミュニケーションをとらないがコンビニには出かけるなどといった例も含め、社会的参加を回避した状態のことを指すとされています。

 

39才までの若い世代を対象にした内閣府の調査によると、全国で54万人がこうした広義の引きこもり状態にあると推計されています。また、調査の中では、過去にひきこもりの経験があると回答した方を含めると、ひきこもり状態、または過去にひきこもっていた人は全体の約1割弱であり、ひきこもり経験者も含まると若者のおよそ10人に1人という高い割合にあるとの指摘もあります。なかなか目に見えづらいですが、実は決して一部の特定の人が抱える問題ではないというのが実態ではないでしょうか。

ひきこもりの背景には、学校での不登校、仕事上でのトラブル、人間関係など様々なきっかけがあるようですが、日々生きづらさを抱え生活している中で誰もが直面する可能性があるともいえると思います。

内閣府の調査でも明らかなのは、ひきこもり状態の方の多くが社会で活躍したい、人の役に立ちたいと思っており、支援を充実させることの重要性が見て取れます。

人口減少や少子化の中で、「地域に若者がいない」「どう呼び込むか」といった話を聞きますが、実は地域には、社会に出て人の役に立ちたい、夢を叶えたいという想いを抱えている若者がまだまだいるということです。そういった意味で言えば、ひきこもり支援は大きな可能性を持ったものであり、本人や家族だけでなく広く社会全体に対し大きな意味を持つ取り組みであることをまず申し上げたいと思います。

 

(1)開設以来2年間の取り組みの現状と課題について

そこで健康福祉部長にお聞きします。

ひきこもり地域支援センターはこの春で全国67自治体に設置され、岐阜県においてH28年度に開設されました。開設されたことで、相談件数が増え、本年5月には「ひきこもり支援ガイドブック」がまとめられるなど支援体制がつくられてきたように感じます。開設から2年が経過し、現状と見えてきた課題についてお聞きします。

健康福祉部長の答弁

平成28年6月に県精神保健福祉センター内に設置したひきこもり地域支援センターでは、ひきこもりの相談、人材育成、普及啓発やネットワークづくり等の支援体制整備に取り組んでまいりました。

昨年度、377件の相談対応、グループミーティングなど当事者への支援に加え、支援者向け研修会の開催、ひきこもり支援ガイドブックの作成や、支援を行う関係機関からなるひきこもり地域支援連携会議の運営などを実施しております。

課題としましては、身近なところで相談・支援が受けられる体制の整備、切れ目のない支援を行うための関係機関のネットワークづくり、様々な居場所作りなどがあげられると考えております。

 

(2)ひきこもりに関する実態調査の実施について

国によるひきこもりの調査は2度実施されていますが、2度目の2015年の調査では、ひきこもり期間が7年以上という回答が最多で、ひきこもりの長期化が進んでいることが明らかになりました。本人も家族も高齢となり、いわゆる8050問題といわれるように、親の年金が頼りであったり、介護や病気などの多重な問題を抱えるなど、状況が複雑で深刻になります。

しかし、2度の調査はいずれも39歳以下が対象となっており、長期化と高齢化が進むひきこもりの実態はつかめていないのが現状で、今年度国では40代から50代の世帯を対象にした調査を実施するようです。このように、支援の拡充には実態調査が欠かせません。

全国では県独自に調査を行う自治体も増えており、昨年までに全国21都府県が実態調査を行い、支援に生かす取り組みをされています。

岐阜県では、支援団体に対して、繋がっている相談者の把握は行われたようだが、それはほんの一部であり、県内の実態把握はされておりません。今後取り組みを拡充するためには実態把握が必要不可欠ではないでしょうか。お考えをお聞きします。

健康福祉部長の答弁

ひきこもりの実態調査の内、相談支援機関以外を対象とした調査については、これまでに、国において一部の地域の若者全員を対象としたものや、他県においてひきこもり当事者の情報を入手する可能性が高い民生委員などを対象としたものがあることを承知しております。

このような状況をふまえ、相談支援機関以外を対象として、ひきこもりの実態を把握する方法を検討しているところであり、今後は、ひきこもり地域支援連携会議などのご意見もうかがうこととしております。

 

(3)アウトリーチ等の公的な支援の拡充と職員の増員について

ひきこもり支援窓口に紹介パンフが作成され、各支援団体では問い合わせや見学が一気に増えたという話を聞いています。今後も周知を行われれば相談も増えると思われるが、ひきこもり地域支援センターの職員が2名というのはあまりにも少ないと感じております。

さらに、ひきこもっている本人はもちろん、家族と継続的につながるには、アウトリーチ(いわゆる訪問)が欠かせませんが、県としては行っておらず、現在は民間の支援団体しかありません。民間の団体はあくまで自主的な支援活動であり、当然地域差があり、人に依拠するところが大きい活動になってしまいます。

民間の支援団体がない地域はどうなっているのでしょうか。相談窓口に連絡をとれる人だけ支援が受けられる状況は、十分とは言えません。

厚労省のひきこもり地域支援センター運営事業でも、相談窓口の明確化、情報発信、関係機関との連携に加え、電話などによる相談に加え、家庭訪問を中心とした訪問支援が含まれております。

民間の支援団体任せにせず、公的なアウトリーチを実施することや、今後の支援拡充のため職員の増員や育成を行う必要があると思っているが、いかがお考えでしょうか。

健康福祉部長の答弁

岐阜県ひきこもり地域支援センターでは、専任職員の保健師と社会福祉士の2名を配置し、相談業務などを行っております。

ひきこもり状態にある当事者やその家族に対し、家庭訪問を中心とした訪問支援、いわゆるアウトリーチ型の支援活動については、ひきこもり地域支援センター自ら取り組むとともに、センター以外にも、地域の社会的資源に精通し、当事者を取り巻く状況を理解した身近なものにより実施される体制の構築にも取り組んでおります。

これまでにセンター自ら実施する訪問支援に至ったのは3件、身近な者により実施される体制の構築の取り組みとしては、昨年度、支援者の相談技術向上のための研修会の開催が2回、地域での支援方策を検討する会議での助言が3回などとなっております。

今後のセンターの体制につきましては、他の相談支援業務などセンター全体の業務を点検しながら検討してまいります。

中川ゆう子の再質問

現在でも、センター自らで県内でアウトリーチに取り組んでみえて今までで3件と、グループミーティング、ガイドブック、連携会議、人材育成などお二人の職員でされているとのことです。アウトリーチのタイミング、また、アウトリーチにはガイドラインやマニュアルがありますが、このマニュアルで対応できる性格のものでもありませんし、それこそ経験や知識が生きるマンパワーであると思います。これからさらに検討して充実させるとのことですので、職員の増員についてお答えいただけなかったので、その点だけ検討するのか再度お答えください。

健康福祉部長の再答弁

センターにおきましては、相談、訪問支援のほか、人材育成、普及啓発、ネットワークづくり等に取り組んでおります。今後の職員の体制を含むセンターの体制につきましては、これらの業務などセンター全体の業務を点検しながら検討してまいりたいと考えております。

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