2017年7月12日 1:04 pm
カテゴリ: 活動報告
県公共施設等総合管理基本方針によると、20年後には、県有施設の6割近くが築50年以上経過した建物となります。県立学校は現在、昭和30年代40年代に建築され築40年から50年を超える校舎もかなりの割合で現存しています。総合庁舎においても、もうすぐ築50年を迎える庁舎もあり老朽化が課題となっています。これらをみても、今後改修や建て替えで莫大な費用が必要なことは明白です。
また、こうした学校や各地の総合庁舎は県民の生活にもっとも近い施設ですが、現段階において建て替えの計画は聞いておりません。本来ならこちらを優先する必要があるということを申し上げておきたいと思います。
そんな中、新しい県庁舎は、建設費500億円から550億円と想定されています。その半分は借金であり、将来に大きな負担となりかねません。規模の縮小と予算の削減が必要と思われます。
(1)費用面、およびリスク管理面からの建て替え計画の見直しについて
知事へ質問
まず、なぜ人口が減っていくのに、現在の1.6倍という大規模な本庁舎が必要なのかという点が率直な疑問です。青森県では築54年の県庁舎の老朽化にともない、新しく立て直すのではなく、建物を減築し耐震補強し断熱改修やバリアフリー化を実施するという新しい手法を取り入れました。岐阜県同様、築30年を経過する県有施設が増えたことによる維持管理費が課題となり、県有施設利活用方針を策定しそれに沿った決断だったとのことです。
昨年策定された岐阜県の公共施設等総合管理基本方針でも公共施設については「必要性や適正規模を精査したうえで、拡充、縮小、転用、統合、廃止の検討を行っていく」とあります。
たとえば、計画ではふれあい福寿会館内の行政機能を新庁舎に移動させることになっていますが、また使える増え愛福寿会館を長く活用していくことや、民間ホテルの活用により、県庁舎にあたらしく取り入れる迎賓機能を縮小させ、建て替え規模を抑える、3棟ではなく2棟にすることで費用を抑えることが可能ではないか、と思います。
リスク管理面についても申し上げます。このエリアが災害時に大きな被害を受けた場合のことを考え、県民サービス棟に入るとされている警察機能、岐阜県土木、本庁を同じ敷地内に配置せず分散させるなど再検討が必要ではないかと思われます。
以上、費用面とリスク管理面を加味し見直す必要があると考えるが、あらためて見解をお聞きします。
知事の答弁
この県庁舎の再整備につきましては、ご案内のように、有識者会議、あるいは県議会の場、あるいは様々な観点でご議論をいただくとともに、県民の皆様からもご意見をいただいておりますが、そうしたことから昨年3月に基本構想をとりまとめたところでございます。この基本構想をもとに、県庁舎の規模や機能、構造などを具体化すべく、現在基本設計を進めているところでございます。まず、新庁舎の規模についてでございますが、老朽化・狭隘化への対応、それから災害対策の中枢拠点としての高い耐震性確保など、現庁舎が抱える課題を解消し、県庁舎が備えるべき機能などを見たすための必要面積を積み上げたものでございます。例えば、危機管理機能につきましては、500人規模の関係者が情報共有・連携可能な常設の災害対策本部スペース、あるいは食料・物資備蓄庫を整備することとしております。
また、県民の皆様が、気軽に訪れ、県の魅力や県政情報を収集できるスペース、県民と職員が相談・対話できる面談室や会議室を十分確保していきたいと考えております。
なお、ご指摘がありましたが、県の人口は減少傾向にありますが、例えば防災対策、道路、河川管理などの部門のように、人口の減少が行政需要の減少には必ずしもつながらない事務もございますし、また、人口も短期間に急減するという性格のものではございませんから、これまでの作業では、現職員数をもとに、必要な規模を想定しておるということでございます。
次に、既存施設の活用についてでございますが、現状では、岐阜県総合庁舎を平成24年で廃止をし、岐阜地域の現地期間を県庁周辺のふれあい会館等に分散して配置しておりますが、分散していることによって、現地期間の連携が必ずしも十分にうまくいっていないということ、また、事務スペースも狭隘化しているという状況でございます。
また、民間施設の活用ということでございますが、本来行政として持つべき機能は、原則として県庁舎に集約すべきであるというふうに考えております。会場までの移動にともなう時間的なロスやホテル等を借りた場合の費用負担の面など、外部の施設で開催することの非効率を解消してまいりたいというふうにかんがえておるところでございます。
そして後ほど総務部長からもご答弁申し上げますが、基本設計にあたりましては、基本構想と同様に議員の皆様をはじめ、県民の皆様から様々なご意見をいただきながら進めることとしております。その際、合わせて事業費につきましても、設計の経過で十分に精査をし、可能な限りコスト縮減に努めてまいりたいというふうに考えております。
さらに、リスク面から建替え計画の見直しをすべきではないかとご指摘をいただきましたが、新庁舎は、通常建築物の1,5倍の耐震性を確保するとともに、洪水による浸水を想定し、主要な電気・機械室を2階以上へ配置するなど、大規模災害発生時にも危機管理拠点として十分機能する庁舎を目指しております。
こうしたことから、危機管理対応の中心となります土木や警察機能を新庁舎に集約することは、危機管理機能の向上につながるだけではなく、大規模災害時における連携という点においても効果的なのではないかというふうに考えております。
(2)建て替え計画に関する県民向け説明会の開催について
総務部長へ質問
県庁舎の建て替えは、大規模プロジェクトであり、多くの県民の意見を聞き進められるべきと考えています。そのために、構想段階から広く住民説明会を開く必要があったことを改めて申し上げておきたいと思います。
また、県庁周辺の住民にとっては、子どもの通学路が、職員の自動車通勤に使われるため、非常に心配をしているという声があります。建て替えにより、通勤の車が増える事に対する不安もあります。周辺住民に対する具体的な説明はされていないとのことですが、こうした意見は丁寧に聴き計画に反映させる必要があります。
早期の段階で、地元住民や、県民に広く計画の周知と意見聴取のための説明会を行い、さまざまな意見を反映したうえで建て替え計画をつくる必要があると考えるが、県の見解はいかがでしょうか。
総務部長の答弁
新庁舎の基本設計の策定にあたりましては、本年3月に県議会県有施設再整備対策特別委員会からいただきました提言で、「有識者会議や本委員会を含め、広く県民等の意見を聴取することで、今後とも丁寧な議論を進められたい」とされたことも踏まえまして、県民の皆様のご意見をいただきながら、丁寧な議論を進めていく必要があると考えております。県議会特別委員会や有識者会議での議論に加えまして、今後、県内の様々な関係団体や、県庁近隣の住民の方々にもご説明を申し上げ、県民の皆様から幅広くご意見をいただきながら、基本設計の策定に向けて検討を進めてまいりたいといいうふうに考えております。