中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

6月議会質問(4)太陽光パネルの適正な設置・管理について

2018年7月6日 6:54 am
カテゴリ: 活動報告

太陽光パネルの適正な設置・管理について

太陽光パネル設置のための山林の開発が進んでいるが、急傾斜地に広範囲に設置する、無秩序な大規模発電設備がつくられるなど、住民から災害や景観、電磁波障害などの心配や苦情の声が出されている。

具体的に事例をご紹介しますと、岐阜市のある地域では、住宅地のすぐ上の山の斜面一面に太陽光パネルが設置され、災害時や長年の風化による倒壊などの心配の声が広がっています。すぐ近くの谷が昔、土砂が崩れた場所でもあることから、住民の心配は大変理解できます。

また、開発を行った事業者が土地を分譲し、運用するときには責任を持つ所有者が多数にわたる状況になるなど、責任の所在が明確でなく、地元住民からは何かあったときに誰に相談したらよいか、他県では破損したパネルが放置され感電防止の対策もされていなかったことから、安全な維持管理や耐用年数を過ぎたあとしっかり撤去されるのか放置されるのかわからないといった指摘もされています。

恵那市岩村においては、県が公表する山地災害・崩壊土砂流出危険地区を含む約20ヘクタールを開発しメガソーラーを建設するという計画が明らかにあり、農村景観日本一などの景観資源を守ろうと住民を中心に建設中止の署名や建議書が市議会に提出され、太陽光発電に関する条例制定が進められています。開発予定地の直下には「土砂災害特別警戒地域」も広がっており、ゲリラ豪雨が頻発する中、開発されれば災害発生の危険性が高まるとの不安が広がっています。

再生可能エネルギーの普及は大変重要なことですが、これが自然破壊や住環境の悪化を引き起こすことになれば、再生可能という本来の目的からも大きく逸脱することになります。

そこで、太陽光発電パネル設置をめぐる諸問題と、適正な設置・管理について商工労働部長に3点お聞きします。

 

(1)設置・管理に係る県の課題認識と対応策について

近年、急速に各地で設置が進む太陽光発電パネルの設置や管理について、どのようなことが課題であると認識され、これらの課題にどのように対応されているのでしょうか。

商工労働部長の答弁

太陽光発電は重要な再生エネルギーでありますが、発電施設の設置に関し、地形の改変を伴う、あるいは周辺の景観・環境に影響する場合には、地域住民への十分な配慮が必要であります。また、発電事業は長期間にわたることから、施設撤去やパネル廃棄なども見据えた適切な事業計画が求められます。しかしながら、一部の事業者が地域に十分な説明を行わず施設を設置し、地域住民の不安や不信を招いていることは大変遺憾なことと考えております。

このため、県では平成28年度から、市町村との連絡会議を設けて情報共有を行うとともに、サポートデスクを設置し、事業者への指導や市町村の支援に努めているところです。

こうした中、昨年4月、いわゆる「FIT法」の改正に伴い、国から事業者向けガイドラインが示されました。ガイドラインでは、地域との関係構築、周辺環境への配慮、設備の適切な処分など、発電事業の段階に応じて遵守事項などがきめ細かく示されております。

先ずは事業者に国のガイドラインを周知し、遵守してもらうことが重要と考えておりますが、その運用から一年余りが経過し、改めてガイドライン遵守の実態を把握・検証したうえで、必要な対策を検討していく必要があると考えております。

 

(2)設置・管理に係る県ガイドライン策定に向けた取り組み方針について

先ほどご紹介したような心配や相談の声が住民から寄せられる背景には、太陽光パネルの設置についてルールがないことが一因だと考えます。国では1年前にガイドラインを策定しており、他の県でも、県のガイドラインを策定し、問題に対応するなどの取り組みがされているようです。岐阜県としてもガイドラインを作り一定のルールを作っていく必要があると感じているがいかがお考えか。

商工労働部長の答弁

県ガイドラインについては、現在、他県の状況調査とともに、県内市町村との意見交換などを実施しておりますが、先ほど述べました国のガイドライン遵守状況の実態などについて丁寧に調査をしたうえで、関係者と十分に意見交換を行いながら、検討を進めてまいります。

他方、現在、国においては「第5次エネルギー基本計画」の改定が進められており、この中で、太陽光発電については、地域との共生、太陽光パネルの破棄問題への適切な対応に言及した素案が示されております。このため、こうした国の動向も見極めた上で、検討を行っていく必要もあるものと考えております。

中川ゆう子の再質問

国のガイドラインについては遵守されているか必要な対応を検証ということですが、例えば、住民へ理解を得るよう務めることや、具体的なコミュニケーションの方法を自治体と相談する、これはガイドラインに書いてあります。

それを県は今周知されているのですが、実際に徹底されているのか、この点について調査が必要だと思います。今は周知しているだけで、それが徹底されているかの調査はされていない。この点は対応として不十分だと感じますが、強化できないかお考えをお聞きします。

県独自のガイドラインについて、国の動向を見守るということですが、確かに国のエネルギー基本計画はいま議論されておりまして、この夏に見直しの方向性が出ると。そのあと、もし法規制が行われるとしても、そのあとの動きになるわけで、規制などの取りまとめの法律ができるかどうかの目途もたっていない訳です。今、国の動向を見守るとおっしゃいましたが、今現在でも取り組みを強化するべきだと私は感じておりますので、県独自のガイドライン策定の必要性についてもう一度お考えをお聞かせください。

商工労働部長の再答弁

現在発生しております問題の多くは、地域住民とのコミュニケーション不足によるものと捉えております。その解消に向けては国のガイドラインの周知が重要であると考え、県としても事業者への働きかけを強化してまいります。

さらに先ほど申し上げたように、地域住民とのコミュニケーション等の国のガイドライン遵守の実態について丁寧に調査したうえで、県のガイドラインについて検討してまいりたいと思います。

(3)既設太陽光発電に係る近隣住民説明会等の開催要望があった場合の設置事業者への働きかけについて

国のガイドラインでは、太陽光パネルを設置する際、近隣住民とのコミュニケーションを図るとともに、事業について理解が得られるように近隣住民に配慮するように求めている。また、その方法については自治体に相談するように努めることとされている。

しかし、太陽光パネルが設置されてはじめてその経過を知ったとの声が寄せられるなど、ガイドライン趣旨が徹底されているか疑問である。そこでお聞きしますが、すでに設置されている太陽光パネルについて、住民説明会などの開催要望があった際には、行政として事業者に対して説明会の開催を働きかけることなどの対応が必要と考えるがいかがでしょうか。

商工労働部長の答弁

国のガイドラインにおいて事業者は、事業計画段階のみならず、事業途中、事業終了まで、地域住民に十分配慮して事業実施に努めることが求められております。また、地域とのコミュニケーション方法については、地元自治体に相談することが推奨されております。

このように、事業者には地域住民への適切な対応が求められておりますので、県としても市町村と連携して、事業者に必要な対応を行ってまいります。

Pocket

↑ページトップへ行く