中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

6月議会(4)杭工事に関する情報提供への対応など

2016年6月29日 5:24 am
カテゴリ: 活動報告

恵那市事案から、今後の再発防止策などを問う

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中川ゆう子の質問

(※「 」内は新聞記事引用)

平成19年に完成した恵那市飯地町地内の橋について、先月19日、「杭の施工記録が偽造された疑いがあり、県が調査中」との新聞報道がありました。報道によると、「報告書をまとめた杭工事技術者の男性は取材に対し、実測の記録用紙を使わず、架空のデータを記録した用紙を県恵那農林事務所に提出したことを認めた。」とあります。

この橋は、24本の杭を地中の硬い地盤まで打ち込む工法で施工されましたが、記事によるとこの男性は、「施工の際、規定より浅い深度に固い地盤があり、杭を打ちこむことができなかったが、施工業者から規定通りの報告書を出すよう強要された」と説明しているとあります。また、「この男性は今年に入り、県に内情を告発し」、県は業者への聞き取りなどの調査をしている、というのが新聞報道の全容です。

この橋は、長さ18.78メートルで、水田が広がる山間の川に架かっています。ときおり地元の方の軽トラックや自家用車が通行する、住民が日常的に利用する橋であり、この情報提供についての全容解明と橋の安全確認を徹底的に行うことを強く要望します。問題はそれだけではなく、情報提供に対する県の対応についても疑問を感じています。

いま行っている調査は、今年の初め、この男性による情報提供をきっかけに始まりましたが、実はこの男性は3年前、平成25年秋にも同様の情報提供を県に行っています。

しかし当時の県の対応は、職員による現場の目視確認と、業者への聞き取りで終了したとのことです。業者は情報提供の内容について否定しており、お互いの言い分が食い違いますが、偽装とも偽装でないとも言い切れないままであります。偽のデータを使って報告書を作成したと証言しているわけですから、業者への聞き取りにおいては、報告書を作成した方が誰なのかまで詳細に説明を求める必要があったと思いますし、それができなかったのであればそこで調査を終了させることなく、さらに詳細な検証をすべきだったのではないかと、率直に感じるところです。

そこで、農政部長に4点お伺いします。

 (1)恵那事案のデータ偽装に係る最初の情報提供への県の対応について

農政部長に質問

住民が通行する橋の安全性に直結する問題であり、県の公共工事への信頼にも関わる問題です。3年前の最初の情報提供では、本人は名前まで名乗っており、さらに、この男性は情報公開請求した資料を受け取る際に、同様の情報提供を県に口頭で直接行っています。

この事案を重く受け止め、県が主体的に調査や事実確認などをしっかり行うべきであったと思います。3年前の県の対応が適切であったとは思えませんが、見解をお聞かせください。

農政部長の答弁

平成25年の情報提供時には、施行業者への聞き取りや工事関係書類の検証を行いましたが、いずれも偽装を疑うような証言、データが得られなかったこと、さらには現地調査においても橋梁にひび割れ、沈下などの異状がないことから、偽装は無いと判断をいたしました。

当時、杭工事に関わった二次下請業者について、情報提供者から情報を得ておりましたが、先ほど申し上げましたように施工業者への聞き取りや、現地調査結果で判断をし、二次下請業者までの聞き取りを行いませんでした。今年に入り、再度情報提供があり、さらに昨年からの全国的な杭工事のデータ流用問題があったため、二次下請業者まで聞き取りを行ったところ、情報提供者が実際にデータの取りまとめや報告書作成に関与していたことがわかり、改めて工事関係書類を再検証した結果、施工管理資料の不足等が判明をいたしました。

このため。平成25年当時、正しいと判断したデータそのものの信ぴょう性に疑いが生じたことから、改めてボーリング調査等を実施することとしたものでございます。

(2)恵那市事案の検証方法と今後の進め方について

農政部長に質問

現在進められている調査について、検証方法と今後の進め方についてお聞きします。新聞報道にあった情報提供後も、この男性からはさらにくい打ち施工時の画像データについてあらたな情報提供が寄せられています。県が主体となり、報告書のデータ、画像などの検証、詳細な聞き取りを行い、少しでも疑念があれば現場の検証を行うことが必要であると思います。

現在、業者によるボーリング調査中と聞いていますが、県の職員立ち合いのもと、業者による検証をし、最終的には、県と第三者で報告書の確認、現場の確認などの検証をすべきです。そこで、どのように検証を行っているのか、また今後どのように検証を進めるのか、お聞かせください。

農政部長の答弁

今回のボーリング調査につきましては、杭が支持層に確実に到達しているかどうかを確認するため、5月下旬に着手をいたしまして、今月末を目途に実施しております。調査にあたっては、客観性を確保するため、ボーリングの位置、深さ、箇所数、磁気探査などの調査項目について外部の学識経験者の意見を聞きながら県が決定するとともに、調査結果の評価についても同様に判断をしてまいります。

なお、調査費用は施工業者が負担をしますが、調査には県の職員が立ち会い、その場でデータを確認しながら進めていることから、調査の信頼性は確保されていると考えております。

 (3)施工に関する情報提供があった場合の県の対応指針について

 農政部長に質問

3年前と違い今回は、業者にボーリング調査を依頼されています。情報提供があった場合、時期、対応部署、対応する職員が違っても、対応に差が出てはならないと思います。統一的な対応ができるよう、県として対応指針を作るべきと思いますが、見解をお聞かせください。

農政部長の答弁

粗雑工事につながるような情報を入手した場合は、「粗雑工事等対応マニュアル」に従いまして、現場調査、関係者への聞き取り等の他、必要に応じて安全確保のための対応を行うこととしております。しかし、マニュアルでは必ずしも聞き取り範囲について明確でないことから、今回の事案を踏まえまして、情報提供があった場合には関係する下請業者への聞き取りを確実に行う等、聞き取り範囲を明確にするとともに、工事関係書類の検証の漏れがないか等のチェックリストを作成し、マニュアルの運用面での充実を図ってまいります。

(4)県が行う杭工事における不正防止策について

農政部長に質問

県が行う杭工事全般における、不正防止策についてお尋ねします。旭化成建材の杭工事に関するデータ流用事案を受け、県においても過去10年間の施工記録の中で8件について施工データの流用が判明し、改めて安全性の確認を行いました。

国では、くい打ち工事のデータ流用問題を受け、工期の延長や追加費用が必要になった場合の対応などについて指針を検討しているとの話も聞いております。他都市の事例の調査や、業者からの聞き取りも必要と考えますが、今後、県が行う杭工事における不正防止策についてどのような対策を取られるのか、お聞かせください。

農政部長の答弁

横浜市のマンションにおける杭基礎工事のデータ流用問題を発端といたしました、県発注の工事における同様の問題を受けまして、杭基礎工事に関する施工管理の徹底を行っております。具体的には、契約時に交わす仕様書の一部変更などによりまして、県発注の既製支持杭工事について、すべての杭の打ち込みに関し、元請け業者が必ず立ち会い、そして支持層への到達を確認するよう追加しております。

さらには、県の監督職員は、受注者から「杭の打ち込みに関する記録データ等、杭の支持層到達を証明する記録」を提出させ、施行期間中に杭の施工状況を確認することとしております。今後とも、こうした施工管理の徹底を図り、不正防止を図ってまいります。

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