中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

【23年6月議会/質問と答弁3】医療的ケア児の普通学校への入学について

2023年7月8日 10:00 am
カテゴリ: 活動報告

医療的ケア児の普通学校への入学について

6月議会・質問と答弁


6月30日の6月岐阜県議会の代表質問で「3 医療的ケア児の普通学校への入学について」教育長に2点の質問をし、以下のような答弁を得ました。

<質問>

(1) 国連によるインクルーシブ教育の勧告に対する所感及び次期教育ビジョンにおけ る位置づけについて
医療的ケア児とは、社会生活を営むために、人工呼吸器による呼吸管理、かくたん吸引などが不可欠な児童であり、医療技術の進歩にともない増加傾向にあると言われています。

そのため、医療的ケア児、およびその家族に対する支援に関する法律が制定され、社会全体で医療的ケア児を支え育てていく環境作りの推進と、自治体の責務が定められました。

今回はこの医療的ケア児に絞って、質問いたします。昨年、国連の委員会は国連障害者権利条約に関して日本へ勧告を示しました。その内容は92項目にのぼるものであり、同時に国や自治体の政策決定の過程で障害者代表の参加を勧告しています。

教育の分野では、障がいのある子どもとない子どもがともに学ぶインクルーシブ教育の推進に関して、「分離教育の中止」という衝撃的なキーワードが一部報道され驚きましたが、この点に関しては表面的な言葉の印象だけでなく内容をしっかり深く掴むことが重要だと感じます。

障害者権利条約の理念から考えると、一人一人の発達を最大限保障し排除しないことがまず重要であり、個々の発達に合わせた学びの場を保障するための特別支援教育を全否定するものではなく、その意義や役割をさらに高めることは否定されるものではありません。

障がいの有無で学ぶ環境を区別し本人不在で決めるのではなく、できる限り多様な選択肢を用意することが必要です。現状の学校にはその余裕はないため、余裕のある体制づくり、教員へのサポート、学校施設の整備などあらゆることが課題となり、長期的な取り組みが必要です。

これまで岐阜県では、交流を重要な取り組みの1つとして「岐阜県版のインクルーシブ教育システム」がすすめられてきましたが、国連の勧告はさらに踏み込んだものになっており、次期教育ビジョンではさらなる拡充が必要だと感じます。

そこで(1)点目、
国連によるインクルーシブ教育の勧告の対する所感および次期教育ビジョンにおける位置づけについて教育長にお聞きします。

勧告をどのように受け止めておられるでしょうか。また今年度、次期教育ビジョンの策定を迎えますが、インクルーシブ教育の位置づけ、県の方針(職員体制、校舎の構造)を伺います。

2点目の質問です。
こうした中・長期的なビジョンと共に、今起きている課題について、条約や勧告に照らし一つ一つ解決していく事がとても重要だと思います。

子どもの最大の利益に基づいて、学ぶ場を選択でき、合理的配慮が受けられる事が重要とされながらも、実際には教育ビジョンで描いているようにすすめられず、子どもや保護者が不安な思いを抱えているという状況があります。

岐阜市内でお聞きした事例を少し紹介します。普通学校への進学方針が確定したケースで、医療的ケアを行う看護師や支援員が見つからない場合は保護者が付き添うか、入学を諦めるかという選択を視野に、入学直前まで不安な日々を過ごしたという声がありました。

保護者にとっては、子どもの小学校入学と自身の仕事、退職による家庭の収入など、本来天秤にかける事ではない問題を天秤にかけ不安な日々を過ごされたと思います。

県教育委員会が策定している教育支援の手引きでは、支援体制を含む基礎的環境の整備、合理的配慮の提供など、きめ細かく情報提供を行うとされていますが、どうしても医療的ケアを行える支援員の採用が必要なため、このような状況が生まれてしまうとのことです。

県教育委員会によると、現在、保護者のつきそいは県内で3事例あるそうですが、保護者の仕事の有無や経済的状況が関係するため、誰もが可能なわけではありません。初めてのケースが多いため、受け入れる学校側の不安も大きく、人材確保と受け入れの仕組み作りが求められています。
そこで(2)点目として、

普通学校における医療的ケア児の支援者確保に向けた県と市町村との連携について教育長に伺います。県内では在宅看護ステーションと連携している市町村もあるようです。また、県においては医療的ケア児支援者養成研修やナースセンターを通じて人材確保や人材育成に精力的に取り組んでいます。

こうした県の取り組みと市町村で連携し、本人や家族、学校現場が不安を感じない仕組み作りができないかと考えるところです。お考えを伺います。

//答弁 教育長//

国連の障害者権利委員会の勧告は、「全ての障害のある児童生徒に対し、医療的なケ アを含む合理的な配慮のもとで、通常の学校教育を利用する機会を確保すること」などを日本政府に求めたものであり、文部科学大臣は、「勧告の趣旨を踏まえて、インク ルーシブ教育システムの推進に努めていく」と述べております。

私としても、この勧 告を受け「障がいのある児童生徒と障がいのない児童生徒が可能な限り同じ場で共に 学ぶ」というインクルーシブ教育の重要性、そして、インクルーシブ教育をこれまで 以上に推進するためには、医療的ケアを含む合理的な配慮が適切に提供できる人的• 設備的な体制をさらに充実させる必要があることを再認識したところです。

次期教育ビジョンの策定に当たっては、医療的ケアを受けながら通常の学級で学ん でいるインクルーシブ教育の実践の場を策定委員会の委員にも実際に見ていただき、 合わせて、教師や医療的ケアに当たっている看護師等との意見交換などを踏まえて、 インクルーシブ教育の位置づけについて、今後、議論を進めさせていただきたいと考 えております。

3 医療的ケア児の普通学校への入学について

(2 )普通学校における医療的ケア児の支援者確保に向けた県と市町村との連携につい て

//答弁 教育長//

障がいのある子どもが特別支援学校に入学するのか、特別支援学級に入るのか、といった就学先の最終決定は、市町村教育委員会において、前年の12月頃に行われます。

しかし、医療的ケア児の場合は、看護師等の確保をはじめ、医療的ケアを行う場所の確保などが必要であり、最終決定を待っていては、準備が間に合わないケースも あります。

こうした中、ある市においては、小学校入学の2年前から、教育委員会と 福祉部局とが連携して相談に応じ、入学に向けて、保護者や主治医、学校などの関係者の合意形成を経て、入学前年の10月には、看護師等の募集や学校側の受入体制の整備を開始した例もあります。

このように入学に向けた準備が早く開始できれば、看護師等が確保しやすくなり、また、医療的ケア児の本人、さらには保護者、学校関係者の不安も軽減できます。

県教育委員会としましては、市町村の教育委員会と福祉部局、医療関係者などからなる 「特別支援教育連携協議会」などを通じ、医療的ケア児の円滑な就学に向けた仕組みづくりを働きかけてまいります。

 

医療的ケア児の保護者の皆さんのお考え、声や状況を聞きながら、国連の勧告などさらに岐阜県におけるインクルーシブ教育(包括的教育)の条件整備について深めていきたいと考えます。

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