2022年6月28日 9:00 am
カテゴリ: その他
原油、物価高騰対策を知事らに質問。6月24日午前、本会議で。

6月24日の午前、本会議質問で。原油髙や物価髙から県民の暮らしと地域経済を守る取組みについて知事らに質問しました。
1)生活に困窮している県民への支援について
まず最初に生活に困窮している県民の生活について伺います。立憲民主党、日本共産党など野党4党はこの物価高騰対策として消費税減税法案を衆議院に提出いたしました。財源は所得税の累進課税、法人税の応能負担の強化をすすめるものです。
一方、政府は初めて防衛費を5年間でGDP比2%に引き上げることを表明しました。現状の2倍、教育費より多くなります。5兆円規模での増額です。
財源は国債発行との話もあるようですが、先の戦争中、国債発行が連発され、大不況に陥ったことを忘れないことともに、国債続発は益々、物価高騰に拍車をかけることにつながります。
消費税の引き上げ、社会保障費の削減は避けられず、防衛の前にむしろ暮らしが押しつぶされるのではと大変危惧しています。総務省の4月消費者物価指数は、生鮮食品を含めた総合指数で、前年同月比2.5%上昇しました。消費税増税時を除くと約30年ぶりに高い上昇率です。
しかし、何もかも同様に上がっている訳ではないようです。消費総額1%変動時において、変動が小さい、生活必需品が中心である基礎的支出項目と、変動する弾力性が大きい贅沢品など選択的支出項目で物価上昇率を比較すると、
基礎的支出項目の上昇が大きく4.8%まで上昇し、選択的支出項目はむしろ下がっているものもあることが、参議院の決算委員会で指摘されています。
つまり、光熱水費や食品など生活必需品が、選択的支出項目にくらべ大きく値上がりし、低所得世帯の影響はより大きくなることを意味します。
家計調査に主要品目の上昇率を乗じた試算では、二人以上世帯の年収200万円未満の世帯での負担増は年収の4.3%に相当しています。消費税5%増税に近い負担増です。
一方、1500万円代の世帯では負担増は年収比0.7%ほど。今回の物価高騰は生活必需品ほど上昇率が大きく、低所得世帯ほど影響が直撃していることが分ります。
実際にコロナ危機や物価高から暮らしを守るため、世界では何らかの消費税や付加価値税の減税に踏み切った国が91か国に上っており、日本でも緊急で引き下げに踏み切るべきだと考えます。
地方自治体での取り組みも急務です。非課税世帯や今年に入って家計急変した世帯への臨時特別給付金は、令和3年度に支給された世帯は除外されています。
また、子育て世帯生活支援特別給付金は、こちらは昨年に引き続き受け取れる制度であるが、対象世帯の線引きに矛盾が生じています。
たとえば夫と妻、子ども二人の4人世帯で世帯所得200万円のケースでは、共働きでそれぞれ所得が100万円、税法上では別所得、子どもは扶養家族の場合は支給対象となり、所得が夫婦どちらかだけで、他3人が扶養家族の場合は課税世帯となり、給付金対象外となります。
おなじ所得階層であり困窮度に違いはありません。それは、子育て世帯だけでなく、低所得の学生、今月15日に支給された分から0.4%減額された年金暮らしの高齢者でも同様の状況です。
そのため静岡県では約11億円規模で学生支援を発表しました。徳島県では県内産の農産物の提供、東京都足立区では国の非課税世帯に対する臨時特別給付金の対象外になった課税世帯のうち世帯所得200万円以下の世帯への給付金を決めています。このように、地方自治体において独自に救済策が実施されています。
そこで2点、知事に質問します。
1点目。県独自の支援の充実についてです。物価高への対応であるはずの国の特別給付金の対象は非常に限定的です。実際に生活に困窮している県民はさらに多く実態とかけ離れています。県独自に充実させる必要があるのではないでしょうか。
2点目。国の支援に対する見解と国への更なる対策を求める要望について
こういった状況下で本来国が担うべき役割は最優先で国民の暮しを守ることだと考えます。国の支援に不足があるのではないでしょうか。実際に生活に困窮している県民をまもるため特別給付金の対象拡大や臨時交付金の増額、または消費税の減税など要求をしていく必要があるのではないでしょうか。知事の見解を伺います
<答弁 知事>
本県はこれまで、新型コロナ対策として、各年度当初予算に加えて、2 9次に亘る補正により総額4,2 9 3億円に上る予算を編成してまいりました。それぞれの財源 としては、国の新型ロロナに関わる交付金を活用しながら、県の財政状況を見つつ、 例えば、新庁舎建設基金の使途拡大などいろいろと知恵を絞ってきたわけであります。
このコロナ禍におけるエネルギー、物価等の高騰に係る対策となる今回の補正予算 におきましても、国の地方創生臨時交付金の増額分を最大限活用しながら、限られた 財源の中で、生活者支援及び事業者支援について、直面する問題を見定め、対応する こととしたところでございます。
そのため、生活者支援に関しては「子ども•家庭支援に関する意見交換会」、事業者支援に関しては「経済•雇用再生会議」を開催するとともに、社会福祉協議会など、 生活者支援に係わる関係団体、経済団体、農林畜水産業に係る関係団体などへのヒア リングをはじめ、幅広く皆様からご意見をお伺いしてまいりました。
また、同時に補正予算を編成する県内の市町村とも意見交換、情報交換を行いなが ら、支援策をとりまとめてきたわけでございます。
そこでまず、「生活者支援」ということでありますが、緊急優先課題として位置づけた低所得のひとり親世帯への給付金支給、緊急小口資金や住居確保給付金等の受付期間の延長、給食費の上昇抑制のための財政措置、家計が急変した世帯への私立学校授業料支援制度の拡充を講じてまいりました。
また、継続的な寄り添い支援として、生活困窮者に対する相談体制の強化、求職者へのメンタルカウンセリング、合同企業説明会の実施、就労相談体制の強化などを行 うことといたしました。
以上の結果として、県独自の給付金制度の創設は見送ったところでございます。 次に、今後の国への財源増額要請についてでありますが、今の補正予算によって現時点での緊急優先課題について極力対応してきておりますけれども、現下の燃料、 原材料等の価格高騰が家計に与える影響は、まだまだ底が見えたわけではございませ ん。
今後、生活必需品をはじめ物価上昇傾向がさらに強まることも懸念されるわけで あります。したがって、引き続き状況をしっかりとフォローし、必要に応じて、国に対し追加 対策びその財源手当てについて、要請してまいりたいというふうに考えております。
<再質問>
13項目質問しましたがその中で4項目再度、お尋ねいたします。まず初めに知事に尋ねます。生活に困窮している県民の支援、県独白の支援の充実について再度伺います。 緊急小口資金や低所得者の方の緊急小口資金、または給食費の補填、こういったことはそれぞれは私は否定いたしませんが、どうしても個別的な支援になってしまうのではないかと思います。
先ほど申し上げたように、所得階層が同じで、同じ困窮度なのに支援金が受け取れたり、受け取れなかったりする、こういう隙間をどうやって埋めるか、生活費の支援というのが緊急手当的に必要ではないかと思います。
先ほど、それについては見送られたということですが、そうであるならば、こういった制度を受けられない人たちへの支援というのはどのように考えていらっしゃる か、お考えを伺います。
さらに、国に交付金の増額を要求していくということでしたが、生活費の支出が増 えているわけですから、そこに併せて消費税の削減についても要望でぎないか、それについてもお考えを伺います。
<答弁知事>
今回の補正予算の性格でありますが、常にそうでありますけれども、何か一回限りの補正予算で全てを対処するということには必ずしもなりませんし、それから、財源 という点で言いますと、今回の補正予算は特にほとんどが国からの回ってくるお金を 活用するということですから、国から供給される財源をどのようにバランスよく活用 していくかということで、やはりどうしても緊急度,重要度•優先度という観点から、いわばとんがった部分といいまか、特に課題の大きいところから手を付けでいくことになるんではないかなというふうに思っております。一部横断的にやる部分ももちろん、先ほどご答弁申し上げましたようにあるわけで ありますが、いきなり県民全員に広く配るというだけの今回の財源もありませんし、まさに考え方としては優先順位をしっかりと見定めてやると、緊急度を見定めてやるというのがやり方ではないかなと思っております。
それから、消費税ですけれども、これはつとに言われておりますように、社会保障の基本的な財源でありますし、また、一部は地方消費税ということで、地方の一般財源ということでございますので、これについて私の方から不要論を言うというわけにはまいらないということでございます。
<再々質問>
知事に再度伺いたいことがあります。国の財源が限られていて、その中で緊急度を加味して今回、支援金を創られたということで、補助金や補正予算の中身については、私は否定をしていないんです。対象を広げていただきたいということを申し上げています。過去に私、消費税の減税について、知事に質問をしたことがありました。当時、私とは考えは違いますが、知事は広く浅くではなくて、減税とは広く浅くになるので、そうではなく、歳出で対応していきたいとはっきりとおっしゃったことを、私は理解をしております。
今回、国の財源が少ないと言いますけれども、県として出来ることもあるのではないのかと思っております。是非ですね、現場の状況をしっかりと調査していただいて、同じ所得階層で低い所得階層なのに支援金を受け取れる世帯と受け取れない世帯がある、こういう不公平はなくしていただきたい。
全県民に配るということは申し上げておりません。先ほどの県独自の支援の充実に ついて再度伺いたいと思います。
<答弁知事>
限られた財源の中で、緊急度、重要度を考えながら内容を詰めていくということについては、ご理解いただけたのではないかと思いますが、そういう中で、例えば、ご 指摘のあったような所得水準というような切りロで整理ができないかと、これは一つの手法だと思いますし、常にこの問題が出ると起こってくるのが、所得水準とはなんぞや、どういうレベルなのかとか、どうやって把握するのかとか、個々人の所得、それからその世帯単位の所得など、そういう様々なデータの処理の問題とかですね、いろんなことが技術的には係わってくるわけでありますし、スピーディーに給付をするということと、それから不正の無いように、不公平の無いように、きっちりとした仕組みを作っていくということの間で常にこれは議論のあるところでございますが、一つのご提案として、今後の検討する中でまた念頭に置いておきたいと思っております。(2)県内事業者への支援について
12月議会質問後、原油高の影響について部局横断的な連絡調整会議を設置いただきました。愛知県では昨年末にすでに原油高の影響を受け、県内事業者を始め、交通事業者、社会福祉施設向けに対策を実施していますが、岐阜県においては具体的な動きがなかなか見えてこなかったことは非常に残念でありました。今回の補正予算でも、社会福祉法人への建築費の増額分補助は予算査定でゼロとなっているようです。とくに、営業努力でカバーすることができない性格である社会福祉法人では、建築費にとどまらず、おむつなどの資材、給食、建物メンテナンスに至るまで、掛かり増し経費へのきめ細かい配慮が必要だと強く要望いたします。
一方、岐阜県では、地場産業の製造業や伝統工芸などに一律の支援金を給付する補正予算が出されています。小規模の製造業者にとって心強いものであり、素早い予算措置に感謝申し上げます。
しかし産業は、製造業だけで成り立つものではなく、生産から卸、小売りにいたるまで産業全体への支援が必要です。物価高の影響は幅ひろくどの業種も広がっており、せっかくの支援金なのに、業種を限定することで効果も非常に限定的になってしまう事は危惧しています。
そこで2点、知事にお聞きします。1点目。県内事業者への影響の把握と、地場産業事業者に対する支援金の効果についてです。県内業者へはどういった影響が出ていると認識されているでしょうか。
また地場産業事業者に対する支援金はどういった効果を狙ったのかお答えください。冷蔵冷凍品をあつかう卸や小売りでは、値上げ分すべてを価格に転嫁することができず利幅を減らして対応ざるを得ないと聞いております。
なにもかも急激に値上がりしており、影響は製造業に限ったものでなくなっています。とくに規模の小さい自営や小規模事業者は一気に立ちゆかなくなる危機に瀕しています。
そこで2点目として、業種を限定しない支援についてお聞きします。支援金は地場産業と伝統工芸の製造業に限定するということだが、業種を限定せず幅広く支援すべきではないでしょうか。
<答弁 知事>
世界的な供給不安に加え、急激な円安などの影響により、原油や原材料価格は高騰を続けておりまして、コロナ禍のダメージから回復しつつある本県経済に深刻な影響が及んできております。県内企業の景況調査では、昨年来、改善が進んできた景況感を示す指数、景況DI でございますが、本年1月から3月期は、対前期比で16. 8ポイントのマイナスに転じました。その後、4月から6月期には、13. 7ポイント上昇しましたが、県内総生産の約3割を占める製造業では、8. 4ポイントの上昇にとどまっております。
県としても、先ほど申しましたように、「経済•雇用再生会議」をはじめ様々な機 会を通じ、そうした影響について、丁寧にお伺いしてまいりました。
そうした中で、とりわけ、「運輸業」「施設園芸農業」については、燃料費の高騰、「畜産業」「木材産業」では原材料費の高騰、また、「製造業」では、燃料費、原材料費双方から影響が及んでおり、いずれの業種でも価格転嫁が大変困難であると強い危機感が寄せられております。
こうした状況を踏まえて、今回の「『ウイズ•コロナ』総合対策」では、限られた財源の中で、緊急度や重要度を見定めつつ、できる限りの支援策を講ずることといたしました。
先ず、燃料や原材料価格高騰の影響を受けている幅広い事業者に対し、資金繰りを支援する新たな制度融資枠を設け、信用保証料を全額支援いたします。
加えて、部材等の国内生産に向けたサプライチヱーンの再構築や、新分野への事業展開などに取り組む事業者には、予算規模を大幅に増額し支援を強化いたします。これらは業種限定ではありません。
次に、コスト高による収益圧迫の影響を直に受け、特に厳しい状況にある業種を対象に支援金を支給してまいります。 ’
すなわち、燃料価格の影響を強く受けているものの、国の価格統制により利用料金への転嫁が難しいバスやタクシーなどの「交通事業者」「一般公衆浴場事業者」、経営費に占める燃料費の割合が高い「施設園芸農家」、高騰する飼料費が生産費の半分を占める「畜産農家」、木材価格高騰による住宅価格の上昇が避けられない「木造住宅事業者」に、それぞれ価格上昇相当分を支援いたします。
加えて、製造業では、原材料費が経営費の3割以上と高い割合を占めておりまして、なかでも、地場産業では、これに加えて、小規模事業者の割合が高いこと。陶磁器の焼成に使用されるガスや電気は、国の原油高対策の対象とされていないこと。地域内での小規模事業者による分業体制が確立しており、価格転嫁が容易でないこと。
国内需要への依存が高く、円安のメリットを享受できないこと。むしろ、輸入コストの増加によりマイナスの影響を強く受けていること。等々構造的な課題があり、今回の価格高騰、為替変動による影響が大きいことを考慮して、事業継続に向けて支援金を交付することといたしました。
今後は、原油、原材料価格に加え、電気料金の高騰や円安などによる影響が一段と顕在化することが懸念されます。
県としても引き続き、県下の経済状況の推移、業種毎の動向を注視し、必要に応じ追加対策も検討してまいりますし、また、国に対して必要な財源の要請もしてまいりたいと思っております。