2022年6月28日 11:00 am
カテゴリ: 活動報告
男女の賃金格差の解消の取組みについて質問。6月24日午前、本会議で。
男女の賃金格差の解消に向けた取組みについて質問しました。
国税庁の民間給与実態統計調査によると、男女の平均年収は男性532万円に対して女性は292万円。仮に40年間勤務すると生涯賃金は1億円近い差が生じることが分りました。
子育てや介護などにより勤続年数が短くなる女性も多いため、実際にはさらに格差は大きいと考えられます。
そしてこの賃金格差は、退職金や年金など現役世代だけでなく老後まで、女性の一生に大きな影響が及びます。
政府も課題として認めるように日本における男女の賃金格差は世界的に見ても極めて大きく格差を解消するための取り組みが必要です。
私自身、コロナ禍初期に女性の相談が急増した実感があります。失業やパートアルバイトの急なシフト減による収入減が主な相談でした。
コロナ禍で女性の貧困が顕在化しました。女性の経済的不安定さは、何かあったときにたちまち食べることさえ困ってしまう危うい状況です。
県に続いて、岐阜市もおこなっている女性の寄り添いサポートは今年で2年目になりますが、若い世代から高齢の世代まで年齢を問わず多くの女性が利用されています。
行政として、個別相談や、食料、生理用品の配布にとどまらず、コロナ禍で多くの女性が生活困窮に陥るという社会的課題を根本から見直すことに今こそ力を入れて取り組むべきだと思います。
この賃金格差の要因は、単身世帯の男女においての賃金比較7割から9割の差があることを考えると、出産や育児のための退職、再就職によってキャリアが途絶える事だけでなく、非正規雇用の割合が高いことや、企業による採用、登用、手当の差、さらに女性が多く働く福祉などの分野が他業界にくらべ低賃金であることもあげられると思われます。
女性の活躍推進法では、各企業が、女性役員の割合、男女別の平均勤続年数などいくつかの項目をえらんで公表したり、目標値や目標までのプロセスを行動計画としてまとめ、厚労省のデータベースや自社サイトで公表する仕組みがあります。
働きやすい職場を選択したい女性にとっても、働く女性を応援したい企業にとっても重要なツールです。
しかし厚労省によると、1月時点でこのデータベースで「男女の賃金の差異(さい)、格差について目標を掲げている企業は2万7000社のうち7社しかなく、具体的数値を示しているのは2社にとどまっていることが分りました。
男女の賃金格差解消に向けてはまだまだ実効性が乏しい印象です。そんな中、政府は今年、賃金格差解消の一歩として、301人以上を常時雇用する企業に対して男女賃金格差の開示を義務付ける方針を発表しました。
男女の賃金格差解消はジェンダー平等の土台であり、バロメーターだと言われています。国の動きは非常に重要ですし、県としても男女間の賃金格差の解消に向け目標と期限を明確にし積極的に取り組む必要があると考えます。
また、女性の貧困解消とともに申し上げたいのは、日本の男性、特に30代から40歳の男性は、世界で一番長時間労働を強いられていることです。
家族の生活費に対する責任の大部分を男性が背負い、女性は家計補助という社会にいまだに根付く性別役割分担は、長時間勤務や精神疾患、過労死、ワーキングプアなど労働におけるひずみを起こす一因でもあります。
労働におけるジェンダー平等という考え方は、女性の貧困やワーキングプアを減らしていくという女性だけの問題ではなく、誰にとっても豊かで働きやすい成熟した社会であると申し上げ、以下3点、子ども女性局長に質問します。
「女性の活躍推進計画」が男女共同参画計画の1項目になると聞いております。たしかに現在も男女共同参画計画には「働く場における男女共同参画」という柱はありますが、女性の労働面における課題は多く、「女性の職業生活」に焦点を絞った女性の活躍推進計画が策定されたと認識しています。コロナ禍で次期計画策定が延期されていましたが、計画自体はまだ目的まで道半ばであると感じています。
そこで1点目の質問です。
女性の活躍推進計画について、次期計画を策定するのではなく男女共同参画計画の1部になるということで格下げされる印象が否めません。女性の労働面での社会的課題が多い中、計画統合にはどのような狙いがあるのでしょうか
<答弁 子ども.女性局長>
本県は、「岐阜県男女共同参画計画」の4つの柱のうち、「働く場における男女共同参画」について「清流の国ぎふ女性の活躍推進計画」として切り出し、女性登用の拡大に向けた経営者の意識改革をはじめ、職業生活における女性の活躍を推進してまいりました。一方で、女性活躍を進めるにあたっては、家庭、地域及び職場における男女共同参画を総合的に推進することが重要であることから、テレワークなど働き方改革、男女の育児等への参加意識の向上など、コロナ禍における環境変化を踏まえつつ、「女性の活躍推進計画」が終期を迎えるこのタイミングで両計画を統合し、取組みを強化することといたしました。
両計画の統合により、家庭、地域など社会全般に根強ぐ残る「固定的性別役割分担 意識の解消」、「生涯を通じた女性の健康支援」などの取組みと「働ぐ場における男女共同参画」を併せて推進することとなり、男女共同参画という大きな視点のもと「女 性の活躍」が一層進展するよう、着実に取り組んでまいります。
<質問>男女の賃金格差の現状と、格差解消の重要性につい
2点目です。男女の賃金格差の現状と、格差解消の重要性についてどのようにとらえていらっしゃるでしょうか。お考えをお聞きします。<答弁 子ども•女性局長>
国の令和3年賃金構造基本調査によると、県内女性の賃金水準は、男性の100に 対し71.3となっております。格差の要因でありますが、女性は出産•子育てなどの負担が大きく、キャリアを積みにくい療境にあること、非正規雇用が多いこと、介護•保育など女性が多く働く職種は比較的賃金が低いことなどが考えられます。
賃金格差は、女性の経済的自立を妨げる極めて重要な問題であり、解消に向けた不断の取組みが必要であることから、県では、女性のキャリア継続や再就職を支援するセミナーの開催、女性管理職養成研修への支援、仕事と家庭の両立支援に取り組む企業の認定、賃金面での処遇改善への支援など、格差解消のための環境整備を進めており、今後も継続して取組みを進めてまいります。
<質問>賃金格差解消を盛り込んだ計画の策定と具体的な取り組みについて
行動計画に賃金格差解消に関する項目を盛り込む企業はまだまだ少ないのが現状です。女性の活躍推進に取り組むエクセレント企業認定制度が岐阜県にはありますが、こうした制度を活用し、賃金格差解消に取り組む県内企業を積極的に応援する、行動計画に盛り込むことを積極的に呼びかけるなどの取り組みはできるのではないでしょうか。賃金格差解消を県の計画に明記し、具体的に取り組むべきではないか。と思いますが、お考えをお聞きします。
<答弁子ども・女性局長>
行政、企業、団体及び県民など関係者が一体となって賃金格差解消に向けて取り組むベく、皆様のご意見を伺いながら、新たな「男女共同参画計画」において格差解消の取組みを明記することや目標数値を設けることについて、検討してまいります。加えて、新たな取組みとして、ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業の認定において、任意で男女の賃金割合を公表する企業については独自の取組みとして 評価するとともに、当該企業を女性の活躍を推進する先進的企業として広くPRいたします。
また、男女における生涯賃金の格差是正や介護•保育従事者の処遇改善について、全国知事会等を通じて、引き続き国に要望してまいります。
こうした取組みにより、働く場において、女性がいきいきと輝き、男女が共に能力 を最大限発揮して活躍できる、男女共同参画社会の実現を進めてまいります。