中川ゆう子

中川ゆう子岐阜県議|日本共産党

12月議会質問(4)30~40代の就職氷河期世代への支援

2018年12月24日 3:02 pm
カテゴリ: 活動報告

30~40代の就職氷河期世代への支援

人材不足を理由に先の国会で外国人労働者の受け入れ拡大が決められました。しかし、170万人以上の方が死亡していたり、劣悪な労働環境があるなど問題が明らかになり、受け入れ態勢の議論は不十分です。

一方、こうした議論から置き去りにされているのは国内の求職者や無職者などです。

バブル崩壊後、企業は一斉に採用抑制に転じ、1993年ごろから2005年ごろまで就職氷河期が続きました。就職率が最も悪化したのは2003年で、大学生の新卒の就職率は55%でした。就職先を得る事にも非常に困難があり、就職先が見つかったとしても自分の志望分野からかけ離れていたり、2000年ごろからはフリーターや非正規雇用が急増した時代でもあります。

その当時に就職活動を行っていた学生は、現在の30代から40代の世代にあたりますが、非正規雇用で職場を転々とするなど、十分なキャリアを積むことができないまま今に至るケースもあります。
企業側の採用ニーズはどうしても20代の新卒や第二新卒などの世代が中心であり、求人倍率は昔に比べ改善していたとしても、若い世代に比べ正規雇用がむつかしい年代に入っていることも悩みです。

総務省の労働力調査によると、昨年度、正社員を希望しながらも非正規雇用で働いている不本意非正規の数は、全体として多少の改善傾向はありますが、年齢別だと45歳から54才が最も多く全国で60万、35才から54才で110万人以上に上っています。
また、中には、求職活動を諦めたり、人生設計が描けず引きこもり状態にあるという相談も寄せられています。

自治体戦略2040構想研究会の第一次報告においても、今後迫りくるわが国の危機として「就職氷河期世代で無職や低賃金で経済的に自立できないまま高齢化を迎えることが社会全体の危機」であるとされ、今後検討すべき自治体行政の方向性の一つに、「就職氷河期世代には、これまで十分活躍の場が与えられてこなかった人がいる。こうした人々が多様な働きかたができる受け皿を作っていく方策を検討する」とされています。
たまたま就職氷河期に就職活動をしていた世代でもあり、個人の問題や自己責任ではなく、社会全体の問題として考える必要があると思います。
そこで2点、商工労働部長にお聞きします。

中川ゆう子の質問

この就職氷河期世代の雇用環境の現状をどのようにとらえているでしょうか

商工労働部長の答弁

平成29年の労働力調査によると、就職氷河期世代に近い35歳から44歳の完全失業者の数は、10年前の70万人から39万人へとほぼ半減しており、完全失業率も4.9%なら2.6%と、全世代平均の2.9%より低く、改善しております。

また、この世代の男性の雇用率は、10年前と比べて7万人増加し、かつ非正規雇用者は35万人減少しており、雇用状況は改善していると考えられます。一方同世代の女性の雇用者は10年前より56万人増加しておりますが、非正規雇用者も81万人増加しています。これは、非正規雇用に就いた理由として「家事・育児等との両立」「家計の補助等」「都合の良い時間に働きたい」との回答が76%あり、自らの意思で非正規雇用を選ぶ人が多いものと推察されます。

このような数字の上では改善が見られますが、この世代の方々が、就職活動の時期に厳しい経験をされ、賃金など待遇面への影響を受けている可能性もあることから、就労支援に際しては、こうした点にも配慮し、丁寧に寄り添って対応したいと考えております。

中川ゆう子の再質問

H29年度の完全失業率が改善し、非正規が減少、自らの意思で非正規を選んでいるという認識ですが、不本意ながら非正規となっている人数は全世代の中で働き盛りの30~50代が一番多くなっています。認識が違うのではないか。

 

商工労働部長の再答弁

平成29年の労働力調査によりますと、35歳から44歳の非正規雇用の男性が非正規で働く理由としては、「正規の職業・従業員の仕事がないから」との回答が1番多く、全体の35.0%となっております。他の世代でも、25歳から34歳の非正規の男性では35.8%、45歳から54歳の非正規の男性では40.7%と世代間による差があまり無いものとなっております。

しかしながら先ほど申し上げましたとおり、若干の数字の改善が見られますが、この世代の方々が、就職活動の時期に厳しい経験をされ、賃金などの待遇面への影響も受けた可能性がございますので、就労支援につきましては、こうした点も配慮し、丁寧に寄り添って参りたいと考えております。

就職氷河期世代に特化した就労支援の取り組みについて

申し上げたように、新卒から現在までキャリアを積むことができなかったり、そもそも人生設計が描けず求職をあきらめる状況も生まれています。まずはどうやって生きていくのか、どんな働き方がしたいのかを自分自身でつかむことに加え、企業側の理解も必要です。

中川ゆう子の質問

一般的な就労支援にくわえ、この世代に特化した支援が必要ではないかと思われますがお考えをお聞きします。また、いわゆる失われた20年がもたらしている問題でもありますので、県の長期的な計画である「岐阜県成長・雇用戦略」の中に盛り込み、長期的な取り組みとして位置付けていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

商工労働部長の答弁

県では、中小企業総合支援センターにおいて、非正規雇用の方に正社員を目指していただくセミナーや、中途雇用に積極的な企業を紹介する説明会の開催のほか、個別のキャリアカウンセリングも行っております。昨年度、35歳から44歳の方で、センターの新規利用登録者は472名で、この4割の198名の方が就職されています。

また、離職者向け職業体験では、就職に必要な技能、技術を習得していただき、訓練後の就職もハローワークと連携して支援しています。受講者のうち、この世代の最多の29%を占め、近年では訓練修了者全体で約8割の方が就職されました。こうした取り組みにより、この世代の相当数のお役に立てるのではないかと考えています。
更に、引きこもり状態などで就職相談に出向くことが難しい方には健康福祉部と連携をはかり、就労に向けた支援を行って参ります。

また、こうした支援の取り組みについては、就労支援や職業訓練などに関する「岐阜県職業能力開発計画」の時期計画において、各世代のニースを踏まえた職業訓練のあり方を検討してまいります。

健康診断の受診機会のない人を対象とした市町村健康診断事業について

就職氷河期世代が30代に入り、様々な不調が体に出る世代でもあります。
雇用されている場合は、雇用主の責任で従業員の健康診断が実施されるが、不安定雇用や無職者は健康診断の機会がありません。国保の場合、特定健診がありますが、これは40才以上が対象です。

生活習慣病予防など早い段階から取り組むことで、重症化を防ぐこともでき、ひいては、県が推進している医療費の抑制にもつながるのですが、人間ドックには数万円という高額な費用がかかるため学校卒業してから一度も健康診断を受けていないというケースもありました。

しかし本来は、自分の健康状態をチェックしたり健康を維持するには就労や経済状態に関係なく行えるものでなくてはなりません。
こうした40才未満の健康診断の機会がない方々の健康維持が課題となっており、自治体においては若い世代を対象にした検診事業の取り組みが実施されています。

私が頂いた資料だけでも、県内の半数である22の自治体が「若い人検診」などで39才までを対象に検診事業を行ってみえました。ぜひ県内に広げていただきたと思います。
また、腎機能や糖尿病などの検査、人間ドック、がん検診1種類のみ、など内容や充実度はさまざまです。せめて県内どこに住んでいても、血液検査など一定水準以上が保障されることが理想ではないかと思うところです。

中川ゆう子の質問

各市町村が独自で健康診断事業について、ぜひ県として広げていただきたいと思います。また、県内でメニューや充実度にかなりばらつきがあることは課題であると思う。このような課題について県としてどのように取り組んでいくのか、お考えをお聞きします。

健康福祉部長の答弁

特定健診は、40歳から74際までの方を対象に実施することが法律で医療保険者に義務付けられている一方で、40歳未満の方を対象とした検診は努力義務とされております。医療保険者が行う検診の対象とならない40歳未満の方については、県内38市町村が概ね特定健診に準じた内容で実施しております。

健康増進法に基づく県の健康増進計画である「ヘルスプランぎふ21」を踏まえ、市町村が住民の健康状態に応じて必要な検診を実施していただけるよう、40歳未満を対象とした検診を含む、各市町村の生活習慣病対策の取り組みを把握し、全市町村に情報提供を行って参りました。

引き続き、住民の健康状態を示すデータや検診の実施状況などの情報を全市町村に提供し、適切な検診の実施を働き掛けて参ります。

Pocket

↑ページトップへ行く