2016年6月30日 4:00 am
カテゴリ: 活動報告
精査を重ねて、結論を出す
いずれも理由を明確にしました
中川ゆう子の6月議会最終日討論の全文を掲載します。
議第77号議案
平成28年度岐阜県一般会計補正予算中、航空宇宙科学博物館リニューアル整備事業費8億350万円と債務負担行為補正について申し上げます。現在、各務原市が運営し、リニューアル後は県と市で共同運営する事となっており、その整備費の一部です。総額およそ30億円という説明がされてきました。しかし、今議会では、この説明を大きく上回り、県の負担は20億円から約33億9,000万円、各務原市は10億円から14億9,000万円、総額49億円と、これまで説明されてきた総事業費を大きく上回る予算計上がされました。
増額要員の一つである既存建物の耐震補強や雨漏り対策に想定以上の費用が掛かり約10円増額した点は、見通しが甘かったと言わざるを得ませんが、その他に3点申し上げたいと思います。
展示制作では5割増しの12億円に増額された理由として、ワーキンググループの提案を取り入れたとの説明がありましたが、そもそも多くの意見を取り入れてつくられたのが基本構想だと説明を受けてきました。予算も敷地面積にも限りがあります。ワーキンググループの提案を否定するものではありませんが、内容を精査する必要があると思います。
外構工事は当初計上されておりませんでしたが、ここには既存のトイレの改修などが含まれております。こうした改修は、もともと各務原市が行っておくべきものであると考えます。構想段階では、費用負担の考え方として既存施設の改修は各務原市が負担するとなっており県が費用負担する明確な根拠はないのではないでしょうか。
最後に、総事業費だけでなく、こうした費用負担の考え方も含め、3月の当初予算議決から間もないうちに大きく変わる、予算計上の在り方について大きな疑問を感じます。多少の補正は理解できますが、この期間で、本当に内部で議論されつくしたのか、現場や各務原市と思いを共有してすすめられているのか、大変不安を感じるということを申し上げておきたいと思います。
議第81号議案
岐阜県認定こども園の認定の要件に関する条例等の一部を改正する条例について、これは、朝夕など子どもの数が少ない時間帯において、職員の配置定員2名のうち、1名を有資格者でない者でも可能にするなどの要件緩和です。しかし、朝夕の時間帯は、子どもの数が少ないとしても、保護者と職員が直接顔を合わせる唯一の時間帯でもあり、気になったことなど伝達する貴重な時間です。こうした配置基準の緩和は国主導で行われているものではありますが、根底には保育の担い手、保育士不足解消の狙いがあると思われます。しかし、たとえ保育士不足解消のためであっても、子どもの安全を脅かすような基準の緩和は認めるべきではありません。先日の本議場では、「平成26年度に保育施設における死亡事故や重篤な事故は177件あり、前年より増加している」との答弁がありましたが、有資格者の配置基準の緩和はこうした安全管理の点でも心配です。また、有資格者がたった一人という保育現場こそ、保育士への責任は過重となり、結果として、保育士不足の解消から逆行しかねません。保育環境の改善や保育士の労働環境改善こそ保育士不足解消には最も必要であることを申し上げ、本議案には反対します。
議第82号議案
岐阜県児童福祉施設の設備及び運営に関する条例等の一部を改正する条例について。これは、児童福祉施設の排煙設備の設置義務を緩和するものです。以前は、屋内階段で避難が困難なことも考え、屋内とは別に避難用の屋外階段も義務付けられていたものを、規制緩和によって階段は1つでよいとされてきました。今のところ県内には該当する保育室はないとのことですが、火災の際、おさない子どもたちをどう避難させるか、安全策を強化させることこそ必要と考えます。議第85号議案
徳山ダム上流域の山林の取得について。道路を作る約束をした旧徳山村村民には相談もなく、公共保障協定が変更され、始まった事業であり、公有地化事業そのものに反対です。今回は、約3,538ヘクタールを取得するというものであり、賛同できません。議第89号議案
岐阜県保健医療計画の変更について。本計画の基本方針に加えられた地域医療構想は、いわゆる「医療・介護総合確保推進法」医療法に基づいたもので、将来あるべき医療体制が策定されています。この中心課題は、病院の病床の再編と削減です。2025年の必要病床数を見ると、不足するといわれる回復期病床の増はありますが、全体として約3,000床の病床削減が示されました。前提となる在宅医療は、飛騨圏域などの広大な地域性や医師・看護師不足の状況からみると非現実的であり、国の法改正によるものではありますが、都道府県ごとの事情を勘案されていないものと感じます。国における医療改革の議論が、医療費削減からスタートしているのが問題であり、いかに医療を充実させられるか医療の実態からスタートすべきです。
請願第20号
安全保障関連2法の廃止を求める意見書採択についての請願。政府が、憲法を変えることなく今までの解釈を180度変えるというやり方は、憲法の安定性を奪うものであり、「政権によって憲法の解釈が変わる」という国際的にも日本の信頼を失うものです。どのような政権であっても、国民から負託をされているのは憲法にしたがって政治をおこなうということであり、個別政策に違いがあっても立憲主義の枠を超える事は許されません。この安全保障関連法により、自衛隊は日本近海だけでなく、地球規模で米軍の防護が可能となり、日本の国民や国土を守るという専守防衛の自衛隊の役割から大きく変わりました。自衛隊は命の危険が非常に高い任務になると指摘されていますが、この根拠となる法律に、憲法の後ろ盾がないということは重大な問題であります。
国家の安全保障に対して様々な考え方はあったとしても、集団的自衛権容認や立憲主義の枠を超える立法については認めがたい、という多くの市民や野党の共闘は全国に広まっていることも申し添え、本請願の採択を主張します。
請願第21号
子どもの医療費無料制度の拡充を求める請願書。「親の経済力と関係なく、平等に医療を受ける機会を」と県内自治体の努力により、子どもの医療費無料化は広がっております。医療費無料化をめぐっては、「医師の多忙化」や「コンビニ受診、医療費が増える」との声も聞こえますが、厚労省自身も仮に国の制度で就学前まで無料にしても「波及増はゼロ」と否定しております。同様に、県内では、全ての自治体で義務教育卒業まで無料化がすでに拡充されており、こうした心配はないものと思われますが、実際、各自治体の財政負担は大変重いものがあり、今議会には岐阜県市長会からも同趣旨の陳情が出されているところです。本請願の主旨は妥当であり、採択を主張します。
請願第22号
所得税法第56条の廃止を求める意見書。家族で事業所を営んでいる場合、税法上は配偶者とその親族の労働の対価は必要経費に認められていないのが所得税法56条です。この条項の最大の矛盾は、家族が隣のお店で働いたら給与がもらえるのに、家族従業員であれば給与を経費として認めないこと、要するに実際に働いている人間の正当な対価である給与を税法上否定してる点にあります。こうした家族従業員の多くは女性であり、給与所得の公的証明がえられないために、不慮の事故の際の補償や社会保障などの面でも、さまざまな不利益を余儀なくされており、国連でも所得税法の見直しを求める勧告が出されたところです。
白色申告も記帳が義務化された今、税法上、人の人格に関わるところで差をつけるべきではなく矛盾が生じております。国において早急な見直しを求め、本請願の採択を主張します。