2023年7月8日 9:00 am
カテゴリ: 活動報告
1.マイナンバーカードと健康保険証の一体化と今後の対応について。6月議会・質問と答弁 6月30日、午前。
6月30日の6月岐阜県議会の代表質問で「1.マイナンバーカードと健康保険証の一体化と今後の対応について」質問しました。知事と健康福祉部長への質問と答弁は以下の通りです。
1、マイナンバーカードと健康保険証の一体化と今後の対応について
現行の健康保険証を廃止しマイナンバーカードと保険証を一体化するマイナ保険証に移行する法案が可決されました。
しかし、土台となっているマイナンバーカード自体に誤った交付や登録が多発しており、政府はマイナンバー情報総点検本部を設置しましたが、全容把握にと改善には時間がかかりそうです。
本来は、一旦マイナンバーカードの運用をやめ、トラブルの全容解明と再発防止策に集中すべきだと思います。
また、マイナンバーカードだけでなく、健康保険証と一体化したマイナ保険証についても、保険診療に従事する医師・歯科医師の団体である全国保険医団体連合会が行った調査によると、約6割の医療機関で、オンライン資格確認の「トラブルがあった」と回答があったとのことです。
このように、国民皆保険制度が崩壊しかねない事態となっており、国民健康保険制度の保険者、事業主体である県と市町村がどのようにこの問題に向き合うのかが問われています。保険者として、県民のいのちを守る観点から質問いたします。
岐阜県においても、岐阜県保険医協会が6月上旬に行った調査によると、全国調査と同様に66.1%がトラブルがあったと回答。
主なものは、「無効・該当資格なし」と表示されるトラブルで108件、カードリーダー・マイナ保険証の不具合による読み取り不可はそれぞれ、82件、36件です。
トラブルへの対処として「その日に持ち合わせていた健康保険証で資格確認した」が44.9%で最も多い一方で、トラブル時にすぐ対応できなかったケースが53件、38.4%に上っております。
土日や夜間など保険者に確認の電話ができなかったり従来の健康保険証を持ち合わせていない場合など無保険扱いとなり、窓口で10割請求となった事例が13件あったということです。今なら、従来の健康保険証が廃止前なので、それを持参すれば7割分が返金されますが、マイナ保険証一本化されると窓口対応では保険診療が受けられない恐れがあり、経済的負担により受診が困難となることが想定されると指摘されています。
また他人の情報が紐付けされていた件数は6件あり、プライバシー確保の面だけでなく、命に関わる重大な問題になりかねない事態だと思われます。このように岐阜県保険医協会の調査では県内でも深刻なトラブルが明らかになっています。
これだけトラブルが多いマイナ保険証ですが、現行の健康保険証は来年、2024年秋頃に原則廃止され、マイナ保険証への一本化へ移行、マイナ保険証を持たない方は申請をすると資格確認証が発行されるという仕組みになります。
これまでの健康保険証と異なり申請しないと発行されないため、申請がない場合は自治体が確認の問い合わせをすることになります。こうした手続きについて、かえって自治体の業務量と手間は増えるという懸念もあります。
また高齢者や障害者など、申請手続きが困難な方ほど、無保険証のリスクが増え、保険料を支払っているのに窓口で10割の負担が発生するなど、国民皆保険制度の崩壊につながりかねません。
全国保険医団体連合会が、2024年秋に健康保険証を廃止すべきではない、と主張されているように本来、マイナンバーカードの取得は任意であり、従来の健康保険証を継続することがもっとも円滑で現実的な対応ではないかと考えます。
マイナ保険証にかかるトラブルの認識および、現行保険証廃止にかかる問題点について知事にお聞きします。県内のマイナ保険証に係る医療機関でのトラブルについてどのように認識されているでしょうか。
マイナンバーカードの活用とシステムの不備が相次いで明らかになっています。こうした中、取得が任意であるマイナンバーカードと一体化し、現行の健康保険証を廃止するという国のすすめ方には問題があるのではないでしょうか。医療機関や県民の不安に応え、国へ意見を言う必要があるとも考えます。 知事の認識と対応についてお聞きします。
//答弁 知事//
マイナ保険証につきましては、全国でも様々なトラブルが報告されております。国からは、異なる個人番号が登録された事案が令和3年10月から令和5年5月2 2 日まで に7,3 7 2件、うち薬剤情報等の閲覧に至ったものが10件あったと公表されており ます。県内でも、被保険者情報が誤って登録されていたことやシステムへの反映に時間を要 したことにより、医療機関が医療費を請求する先の保険者を誤る案件が発生しておりま す。
また、カードリーダーや顔認識が正常に作動しなかったことにより、被保険者が医療機関窓口において紙の保険証の提示や一旦10割負担を求められる案件なども発生して います。このほか、原因ははっきりとしないものの、窓口において本来と異なる自己負担割合 が表示されたケースもございました。
これらは、他の都道府県においても同様であると思われ、私としては大変に由々しき事態であると考えております。
一方で、本来、マイナンバーカードと健康保険証を一体化することにより、様々な利 便性が想定されております。例えば、患者本人にとっては、薬や健診結果など過去の情報を基に最適な医療を受け られるとともに、これらの情報を自ら閲覧でき、健康管理に役立つといったことが挙げ られています。
また、就職、転職、引越をして保険者が変わってもマイナンバーカード を健康保険証として使い続けることができるという利便性もございます。
医療機関等におきましては、カードリーダーによる顔認証で被保険者が加入する保険 の情報が確認でき、事務処理が効率化されるという利便性がございます。しかしながら、現実には、冒頭申し上げたようなトラブルが相次ぐ状況に、多くの国 民の皆様が不安を感じておられます。
これに対し、岸田総理からは、健康保険証の全面的な廃止については、国民の不安を 払しょくするための措置が完了することを大前提として取り組んでいくとの方針が示さ れたところであります。私自身も、まずは国において国民の不安をしっかりと払しょくすることが不可欠であ ると考えております。
現在、岸田総理の指示を受け、デジタル庁を中心に、厚生労働省や総務省など関係省庁からなる「マイナンバー情報総点検本部」がスタートし、本年秋までに総点検を行い、再発防止を進めていくこととされております。今後、国からの依頼を受けて紐付け実施機関による総点検が実施されることになりますが、具体的な事務作業の手順やスケジュ ールなどは今のところ不透明であり、県としても、今後の動きをしっかりと注視し、対応してまいりたいと思います。
<再質問>
マイナ保険証のトラブルの認識と現行保険証の廃止の問題について知事に再度質問します。今のトラブルについては由々しき事態だと認識されている。一方で利便性とメリットもあって総点検を行っているのを注視するということでしたけれども、今始められている総点検というのは紐づけの問題だと限定されています。
医療機関で資格確認ができない、顔認証できないという多くのトラブルというのは、そもそも対象外であるということ。
更には由々しき事態というのは同感ですが、もう一つ問題は健康保険であって他人の情報が紐づけされていることは場合によっては健康を脅かす、命を脅かす重大な事態だと認識を保険者として持つべきだと再度その認識を伺いたい。
現行の保険証の廃止については慎重になるべきだと是非言ってほしいと認識を伺う。
//答弁知事//
新しいカードによる安全確実な本人の確認、認証をどう社会全体として進めていくかという中で、今、大変厳しい場面に来ているということでございます。私としては、そういう危惧のお気持ちもわかりますし、私もシェアいたします。これから行われるであろう総点検について、県も一定の役割を果たしながら、どうこれを乗り越えていくかということに全力を尽くしていくという意味で、注視していくと 申し上げた次第であります。
<再々質問>
マイナ保険証について、知事に聞きます。国の総点検を注視して、これを全力で乗り越えていくために頑張るということですが伺いたいのはマイナ保険証のトラブルは全力で取り組むべきですが現行の保険証をどうするべきということについてはやはり自治体から意見を言うべきだと思います。今、保険確認ができなくて十割負担になったということ。もう一つは部長答弁にあったように資格確認書は例外的な扱いである。任意であるマイナンバーカードにもかかわらずマイナ保険証以外は例外的な扱いになってしまう今の健康保険証の在り方についてはしっかり言っていくべきと思っています。
特に医療機関からも廃止しないで継続してほしいという声も出ています。また、厚生労働省でも、以前は同時に併用していくという案も議論されていました。是非、保険者として国に声をあげてほしい。
//答弁知事//
保険証の問題につきましては色々な考え方があると思いますが、保険証とマイナンバーカードの一体化という大きな流れの中でどう考えるかということ、岸田総理のおっしゃる保険証の廃止は国民の不安が一掃されて、きちっとした措置が取られることが大前 提ということで、不安が一掃されるかどうか、まずは見極めたいと思います。
また、1年間はとりあえず猶予期間ということもおっしゃっておられるわけで、その間にどこまで不安が払しょくできるか、そこをまず見極めたうえで判断していく、ということではないかと思います。
<質問>
マイナ保険証非取得者への保険証の発行について健康福祉部長にお聞きします。現行の保険証は待っていれば手元に届く仕組みであり、手続きすることに困難がある方でも健康保険が使えるよう配慮されてきましたが、健康保険証廃止により、今後は大きな違いが生じることになります。国民皆保険制度のもと確実に加入者に保険証を届け保険が使えるようにするのが保険者である県と市の責任であり、保険料を受け取っている以上、独自に保険証を発行するなど今後も責任を果たすべきと考えるがいかがお考えでしょうか。
//答弁健康福祉部長//
現行の健康保険証は、令和6年の秋に廃止されることになっており、議員ご提案のよ うな健康保険証は発行できなくなります。令和6年の秋以降は、マイナンバーカードをお持ちでない方やマイナンバーカードを お持ちでも保険証利用登録をされていない方は、保険者が発行する資格確認書により、これまでどおり医療機関を受診いただくことができることになっております。
この資格確認書は、あくまで例外的な扱いであるため、すべての国民に一律に交付するのではなく、申請に基づいて交付する制度となっております。
なお、資格確認書の取得については、代理申請も可能であることに加え、申請を勧奨 し、資格確認書の申請が困難であると判断された場合には、保険者の職権で交付するこ ととされており、すべての方が必要な保険診療を受けることができる仕組みとなっております。
<再質問>
健康福祉部長にマイナ保険証の非取得者について先ほどの答弁で保険者の職権で発行できるという答弁がありました。資格確認証は例外的な扱いであって申請しないと手元に届かない。保険者としては保険料を100%頂いているにも関わらず手元に確実に届くかどうかはこれから次第というのが現状です。
やはり例外的な扱いではなく保険者の職権として申請がなくても発行できる。自治体が必要と認めたら発行できるわけですから原則、発行できるというのが必要ではないでしょうか。
//答弁 健康福祉部長//
先ほどお答え申し上げましたとおり、今般のマイナンバー法等の一部改正におきまし て、健康保険法等の医療保険に関する各法が改正され、各保険者の保険証発行に関する 法律上の規定が削除されており、来年秋以降、各保険者は議員ご提案のような健康保険 証の発行を行うことができなくなります。なお、我が国はすべての国民がいずれかの保険に加入する皆保険制度となっておりま すが、保険者として地域保険である国民健康保険、後期高齢者広域連合に加え、被用者 保険として、協会けんぽ、健保組合、共済組合など数多くの保険者が存在しております。
このうち県が保険者となっておりますのは国民健康保険でございますけれども、マイ ナ保険証の運用上の課題により影響を受けるのは、国民健康保険の被保険者だけでなく、 すべての国民であるため、国において国民の不安をしっかり払しょくいただくことが必 要であると考えております。
来年秋に導入の問題について全国保険医協会も問題が多いとしています。引き続く取り組みをしていきたいと思います。
<参考>全国保険医団体連合会の記事 ⇒ 毎年マイナ保険証「失効」のリスク – 全国保険医団体連合会